駅弁

人気駅弁を解体すると

前々から気になっていた新潟駅弁の名作を、東京駅で手に入れた。駅弁屋は一時期のがら空き状態がどこに行ったかと思うほど、旅行客で激しい混雑ぶりだった。お目当ての弁当を探すのにも苦労する。幸いなことにこの駅弁が入荷していれば入り口付近に置いてもらえるのがありがたい。人気者の強みだろう。
それでも時間によっては入荷前だったり、売り切れていたりでなかなか手に入れることができなかった。ちなみにこのえび千両ちらしと書かれているものは絵葉書になっている。駅弁を食べたら感想を誰かに書いて送りなさいという、親心というか心優しさだ。

蓋が二重になっていて、下の蓋にはお品書きが添えられている、なんともそそる駅弁だ。そして蓋をとると、全面的に黄色が目に入るが、これは厚めの卵焼き。真ん中に乗るのはたらこかと思ったら、エビのおぼろらしい。

卵焼きを半分めくってみたら、その下にはうなぎとこはだが「こんにちは」と登場してきた。なんとびっくり箱のような仕組みになっている。

卵焼きを全部外してみたら、エビとイカも出てきた。これだけでちらし寿司的に完成形だとおもうが、実際には卵焼きで隠されている。この仕掛けを知らずに卵焼きだけ見たら、なんだかしょぼい感じがするのは間違いない。
このサプライズ型の弁当はあまりみたことがない。ご飯の上をおかずが覆っている、例えば焼肉弁当みたいなものはよくある。鶏そぼろと錦糸卵でフルカバーという駅弁もたくさんある。しかし、全面卵焼きとは、すごいものだ。
酢飯は、主食として食べるのも良いが、酒の肴としても戦闘力抜群だ。JR東日本の駅弁味の陣で大将軍認定されただけある。しかし、新潟の駅弁が東京で買えるというのも、これはこれですごいことだ。新幹線を使ったサブ・物流は真剣に考えても良いのではないか。やはり最後尾と先頭車両を貨物仕様に改造して、海産物などを2時間で運ぶサービスがあれば、使いたい飲食業も多いと思うが。

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池袋の西の果てで見つけた

所用で池袋に行くことになった。待ち合わせの時間が午後イチだったので、久しぶりに池袋の外れにある名店に行こうと思い、少し早めに出かけた。昼時は混み合うのがわかっているので、午前中に食べてしまおうという企みだったが、12時前だというのにほぼ満席で、ようやくカウンターに席を確保した。その後は、すぐに空席待ちになった。しかし、この店名はいつ見てもすごいなあ、と感心する。姉妹店は「カレーは飲み物」だから、社長のセンスがずば抜けているというしかない。ただ、この店名を誰かに話すのは、ちょっと気恥ずかしい気もする。なので、いつも一人飯にしている。

いつも注文するのは肉そばだが、肝心の肉と蕎麦は海苔の下に隠れていて見えない。そばつゆは濃いめの甘めでラー油が浮いている。ただ、この程度の量のラー油でそれなりの辛さになる。最初に海苔をえいやとツユに放り込み、その下から肉とそばを引っ張り出す。後は適当にそばをツユにつけこみ、もぐもぐと食べる。つるっととか、ズルズルとか、という形容詞は使えない。太くて腰のある麺は「もぐもぐ」としか形容できない。

そばを食べた後、ぶらぶらと池袋駅方向に戻るときに気がついた。なんと、新型のドミノの店にはバイクがない。蕎麦屋に行く途中では、ドミノができたのかと思って見過ごしていた。

DーPITという看板は、駐輪場のことなのだろうか。何やら、かっこいい名前だが。おそらく、池袋西部を中心とした宅配エリアではバイクよりも自転車の方が小回りがきいて良いのだろう。坂道のない平面的な街だから自転車でも問題はなさそうだ。ウーバーや出前館の活躍で、自前の宅配注文が減っているのかもしれない。
しかし、自転車で出前とは、文明的に後退したような妙な敗北感を感じる。アフターコロナの世界が変わっていく象徴みたいなことだろうか、とずいぶん大袈裟に考えてしまった。

食べ物レポート

徒歩3分の洋食屋

自宅近くの駅前にある洋食屋で、ランチの定食はハンバーグと豚天という不思議な組み合わせの日替わりを出している。ハンバーグはファミリーレストランなどで出てくる工業製品っぽいものと違い、形も不揃いというか歪なこともある。そのゴツゴツとしたハンバーグは妙に昔懐かしくなる。ランチ時に行列ができることはないが、それでもいつもだいたい満席で、おまけに夫婦と思しき年配カップルが多い。街の洋食屋らしいという感じがする。逆に若い人は全くいない。向いがラーメン屋、それも二軒が並んでいるので、若い方々はそちらに吸収されているのかもしれない。そんな街の洋食屋に、とてつもなくうまいものがある。

ケチャップのたっぷりかかったオムライスは、時々無性に食べたくなる。禁断症状が出ると我慢できなくなり、近くの洋食屋にかけこむのだが、その店選びは慎重でなければならない。特に、最近流行の洋食屋は候補として除外することにしている。いまどきのオムライスといえば、トレンドとしてフワトロ卵にデミグラスソースがほぼ定着している。個人的には、これはオムライス亜種であって、定番ケチャップ型からの進化系ではないと思う。
正統オムライスとは卵焼きが薄く(ペラペラ感が重要だ)、ソースはたっぷりとケチャップがかかり(これもケチっていけない)、中身はチキンが入ったケチャップライスであらねばならない。変形版として、ドライカレーになっているまでは許す。チキンの代わりにハムが使われていても許す。しかし、マッシュルームとベーコンになると、これは様式の逸脱だと思う。
半熟フワトロ卵はいただけない。だからあちこちにあるオムライス専門店は嫌いだ。独断と偏見にみちみちたオムライス観だとは自覚しているが、これをかえるつもりもない。
幸いなことに、「我が正統なオムライス」を提供してくれる店はあちらこちらに現存しているので滅び去った食文化ではない。残りの人生でも、おそらく全滅はしないだろう。ということで、いつものホームタウンの洋食屋で、正統オムライスを楽しめるうちは人生安泰というものだ。
この店の生姜焼きは旨そうなのだが、いつもオムライスを頼んでしまうので未見の名品扱いにしている。あとはカレーライスとかハヤシライスも食べてみたいが、やはりオムライスに引き寄せられてしまう。オムライスは、魔物だなあ。

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加速度と慣性の問題

再現シーン

くら寿司のカニカニフェア?に行ってきた。前回は、未確認のまま開始前日に行ったので「カニ」が食べられなかった。個人的なリベンジチャレンジだ。カニシリーズを全制覇するべくやる気満々で乗り込んだのは良いのだが・・・。
まずは最初に、カニ足とむき身のセットを頼んだ。実はこれが到着したときに事故は起きていたが、写真撮影のため修正した。

事故現場

くら寿司の配送レーンは相当なスピードで皿が運ばれてくる。目の前を他の客の注文した皿が流れていくので、速度感は実感済みだ。個人的な感覚では、くら寿司の方がスシローより速い気がする。はま寿司はちょっと遅めかもしれない。まあ、感覚的なものなので、ひょっとすると回転寿司施設設置協会みたいなものがあり、そこの認定でレーン速度は全て同速であるのかもしれないが。
そして、レーンは急発進、急停止するので、当然ながらシャリの上に乗っているネタの密着度はネタの粘性と接地面積に影響される。接地面の密着度が低い場合、急停止したときにシャリの上からネタが飛び出す可能性がある。当然、回転寿司業界としては品質確保のために、その辺りの事故研究は十分に検証されていると思っていた。
しかし、今回のカニすき身は盛りが多過ぎたためか、上部のカニすき身が停止時の急減速に耐えられず「慣性」の法則に従い、崩落を引き起こしていた。
すき身の崩落方向を考えると、握りはレーンに対して垂直に置かれていたため、停止時に前部にある握りのネタが崩落したと考えられる。もし、シャリ玉をレーンに並行に置いていたら、すき身の前半部分の一部決壊程度で済んだかもしれない。
これは皿の置き方の向きを厳密に指定していない本部の問題か、あるいは社内規定で「レーンに並行に寿司を置くように」というマニュアルを守らなかった店内オペレーションの問題なのか。初めての崩落事故で原因追求が望まれる。(個人的にです)

などという物理的、社会行動学的考察をしてみたが、文句をつけるつもりもなく、どうせ口の中に入れば味に変わりはないと、あっさり食べてしまった。すき身の盛りが多いから、カニ味はたっぷりする。普通においしいので、これはこれで良い。
ただ、皿にこぼれたすき身を一気に放り込むため、皿を持ち上げてのカキコミ飯になってしまった。

カニカニチャレンジをしたせいで、いつものイカ・タコの無脊椎動物攻略は諦め、軍艦巻きとホタテで終了した。回転寿司各社で軍艦巻きのバラエティーはずいぶん差がある。今度はどこかでオール軍艦巻攻めをしてみようかとも思うのだが。

そして、食べた皿を返却したら、いきなりびっくりぽんが始まり、いつもだとすぐに「ハズレ」となるのだが、なぜか今日はずいぶん引っ張っているなあ、とぼんやり見ていた。
なんと、5年ぶりくらいのあたりだった。今は、鬼滅とのコラボだそうで、いつもの寿司キャラ人形ではなく、箸置きが出てきた。おそらく一番人気だとおもわれる「炭治郎」なので、これはついていると思うべきか。
何やら、今年最後の運を使い果たした気分になった。正月は鬼を払うべく「炭治郎」箸置きに活躍してもらおうか。

街を歩く

有楽町から銀座へ

12月の初旬に銀座に出かけた。たまたま通りかかった、有楽町の宝くじセンターは長蛇の列だった。確率的にはどこで買っても同じだろうが、やはり一等当選が出ていない売り場とたくさん出ている売り場では、人気度が違うようだ。有楽町の駅にある宝くじ売り場もそれなりに行列ができていた。まだ、午後5時前だったので、この方達は仕事の途中でちょっと抜け駆けして宝くじを買っていたのだろう。5時を過ぎたら、この何倍もの行列ができるはずだ。この行列が意味するものは、少なくともコロナが落ち着いているということだろう。あの夏のオリンピック狂乱期とは違う。

そんな師走の後継を見ながら、銀座3丁目の商業ビルの屋上に行ってきた。夏は流石に暑いが、それ以外の季節であれば人影も少ない。空中公園とでもいうべきだろうか。コロナの間は閉鎖していたのではないかと思うが、今では解放されている。ベンチがあちこちにあり、ドリンクの売店もある。この屋上の下の階はレストランが多数営業しているのだが、食事を目当てに来る人たちには、この空間は目に入らないのかもしれない。銀座を散歩して、ちょっと休憩したくなったときに便利な場所だ。目の前が、かの有名な「和光」なので、ゴジラをボスとする怪獣たちが来襲したら、まず真っ先に破壊される、東京デストロイヤーのターゲット地域だ。最近のお約束の地は国会議事堂・東京タワーから変わって、渋谷とスカイツリーみたいだが・・・。やはり伝統芸として、晴海上陸で銀座へ侵攻、微妙に皇居を避けて国会議事堂というコースだろう。

みたいなことをを妄想するには良い場所だ。今日の夜であれば、カップルにあふれていそうだ。聖夜が終われば、1週間で謹賀新年になる不思議な国にはよく似合う「ハイスペックタウン・銀座」のスイートスポットです。

街を歩く

最新式?のくら寿司メカ

くら寿司からメッセージが送られてきて、カニ祭りがすごいみたいな情報だったので、いそいそと出かけた。ところがそれは早とちりというもので、カニ祭りは翌日から開始だった。お目当てのカニは食べられなかった。全くの自爆行動だったから文句をつける相手もいない。仕方がないので、くら寿司のあれこれを一人で検証してみた。
回転寿司というのは技術革新の塊で、外食産業の最先端を行っているのだと感心する。まずすごいのが、潜水艦の食堂のようなスペース活用だ。テーブルの真ん中の蓋を外すと、そこに醤油やガリ、箸やスプーンが隠れている。自衛隊の潜水艦でもこんな感じの工夫をしているのをみたことがある。食べるときは蓋をして元に戻すとテーブルが復活する。

くら寿司名物びっくらポン・マシーンも見た感じがアップグレードしていた。が、それよりもすごいのが「無添加」「抗菌寿司カバー」「スマホ注文」の三点セット訴求で、うまいとかお値打ちとか産地直送などの「食べ物」に関わる記号が全くないことだ。
さらっと食品の安全安心を訴えている。特別にコロナ対策を言っているわけでもない。外食の供給者としては極めて「かわった」主張だと思うのだが・・・。これが時代の一歩先ということなのかもしれない。

そしてタッチパネルでの注文だが、実は一番最初に「びっくらポン、やりますか?」と聞かれるのが笑った。寿司の注文の前に確認お求めてくる。どうやら参加宣言しないと、ルーレットが回らない仕組みにしたらしい。知らずにやった客が当たりでびっくりしたとか、注文したいのにルーレット画面が出て注文できなかった、みたいなクレームがあったのだろうか。
それとも、びっくらポンの景品コスト削減だろうか。そんなことを色々と考えると楽しい。ちなみに、回転寿司大手のタッチパネルの操作性を比べると、実は埼玉ローカルの回転寿司(実際にはほとんど寿司皿は回転していない)が一番使い勝手が良い。残念ながらくら寿司のタッチパネルは、作り込みが下手くそみたいに思う。スシローも似たようなものだが。外国語対応よりも、スムーズな注文の流れをシステム開発会社と検討して欲しいものだなあ。(作りの悪さはファミレスでも似たようなものだが)

結局カニは食べられなかったが、くら寿司のお得なランチセットを堪能した。おまけでついてくる茶碗蒸しが、実は1番の好物だったりもする。この茶碗蒸しはあちこちにある和食ファミレスなど相手にならないハイレベルだ。寿司でない方を感動されても、ありがたくないかもしれないが。茶碗蒸しの質でブランドを選ぶとすれば、くら寿司は最上位だと思う。
回転寿司業界はとんでもないレベルで機械化、省人化が進んでいるので、結果的にそれが有効なコロナ対策になっている。外食業界の住人はもっとお勉強をしに回転寿司(それも新店)を見に行くべきだと思うが、不思議と業界人っぽい人は見かけないなあ。

街を歩く

高田馬場 看板さがしの散歩

会社勤めをしていたときには、ほぼ毎日通り過ぎていた高田馬場駅周辺が、この一年でずいぶんかわってきたようだ。コロナがきっかけになったとは思えないが、駅前の古いビルがどんどん建て替えられていく。長年見慣れた光景が変わっていくのは、妙な気分がする。高田馬場駅前といえば、昔は早慶戦の後に酔っ払った早稲田の学生が大騒ぎしていた。その大騒ぎが度を越したのか、駅前にあった噴水がなくなり広場になった。今ではその広場も囲いがされて、なんとなくオブジェっぽい訳のわからない空間になってしまったが・・・。その駅前広場に面したビルがBIGBOXで、昔は赤いビルだったが今は青いビルになっている。いつの間にかテナントもすっかり入れ替わってしまった。

その隣、駅の正面にあるビルもずいぶんお世話になった。大規模書店が入っていたので、帰り道によく立ち寄って本を買っていた。高田馬場は学生街という印象があるが、意外と本屋が少ない。学生が本を読まなくなったとも言えるし、本がいらない時代になったせいだとも思う。どちらにしても愛用していた書店の看板がビルから消えたのは悲しいものだ。(書店はまだ現在なのだが、看板だけがなくなったらしい)

駅前広場の北側にある飲食店雑居ビルが改装中で、おそらく耐震工事も合わせたお化粧直しだろう。このビルのテナントは、どの店も怪しい雰囲気があるので、宝探しのように店を物色して入ったものだ。一階は昔ながらの個人経営飲食店とセブンイレブン、二階にはマクドナルドがある。上層階に、くら寿司が最近開店した。この先は怪しげで楽しそうなテナントが、ナショナルブランドに置き換わっていくのかもしれない。

日本産唐揚げブランドと台湾唐揚げブランドが、上下の看板で張り合っている姿はなかなか興味深い。高田馬場には台湾出身者が多いのか?などと思うのだが。最近は全く聞くことがなかった中国語の会話が、このあたりを歩いているとあちこちから聞こえてきた。観光客か留学生か、それとも企業実習生が戻ってきたのか。あるいはここしばらくは路上で中国語を話すのを避けていたのか。新宿や池袋ではまだまだ中国語が聞こえてこない。高田馬場の不思議現象だ。

これもちょっと不思議な看板だった。店頭に入店待ちの行列も出来ていたから人気店なのだろう。スンドゥブは韓国料理だろうと思うが、漢字で書くと「純豆腐中山豆腐店」となるのだから、豆腐を売る豆腐屋みたいな意味合いになる。不思議な店名だ。おまけに、武田菱と思しき「家紋」がついている。中山さんがやっている豆腐屋なのか、中山という地名が発祥の地である豆腐屋なのか。かなり、怪しい感じがするので、これは是非一度入ってみなければと思う。ただし、ちょっと店内を覗いてみたら女性比率が高すぎる。昼のピークを避けて、オヤジは入っても目立たない時間を選ばなければいけない。美味いものを食べるのも大変なのだ。

もう一軒すごい看板を見つけた。コンビニより安い生中!と書いてある。色々と突っ込みたい表現だ。ただ、そこは素直に宣伝文句を信じてあげようか。おそらく、生ビールではない生中を頼み、一本50円の伝串(これもどんな食べ物なのか)を頼み、250円払って出てこよう。とてもお安い高田馬場のダンジョン探検だ。
やはり高田馬場はこういう怪しい、楽しい、びっくりな店がなければ、「らしくない」街だ。久しぶりに高田馬場で一杯やりにいこう。二軒目はマイ定番の串鐡にしようかな。

食べ物レポート

自由が丘のビストロで味わう幸せの正体

ニンジンのラペ

知人と自由が丘で会食することになり、一軒目は有名な居酒屋で日本酒を楽しんだ。二軒目は少し様子の違う店をということで連れて行かれたのが、自由が丘の外れにあるビストロだった。よく考えれば、ビストロなる店に行くのも、ほぼほぼ2年ぶりくらいになる。おうち時間が増えるということは、おいしい食べ物と会えなくなるのだ。
飲食商売が大変だという話はあちこちで聞くが、うまいもの食いたいという買い手、使い手が、すっかりおいしいものを食べる機会が減ってしまって・・・とぼやいているのはあまり聞かない。自粛ムードの中で、少数意見として葬り去られたか、それとも「自粛擁護派」への忖度として、情報自粛していたのだろうか。
ワインを飲みながら、野菜料理を食べる。作り手の技量に感動する。普段であれば当たり前の「食を楽しむ」行為が凍結されていた一年半だったのだと改めて思った。
この赤い野菜はニンジンのラペ、酢で締めたニンジンとてもいえば良いのだろうか。赤いのはおそらくビーツを使ったのではないかと思うったが、料理を運んでくれた従業員に聞きそびれてしまった。

砂肝もこうなればご馳走

一緒に頼んだのが、砂肝のコンフィ。低温で油で加熱したものだ。低温調理なので、肉が硬くなりすぎないのが良いところだった。一つつまんでゆっくりと味わう。まさに「おいしい食べ物」を食す楽しみ。丁寧で嫌味のない接客も合わさり、良い時間を過ごした感じがする。

個人的な見解ではあるが、レストランの楽しみの半分はおいしい食べ物で、残り半分が綺麗なトイレだと思っている。トイレが綺麗な店は、店全体が綺麗だ。逆にトイレが汚れている店は、厨房内や客席の床が間違いなく汚れている。トイレだけ綺麗で他が汚いという店はありえないと思う。清掃とは、そういうものだ。だからトイレの清掃状態や備品、調度品などを見ると、その店の衛生レベルや店主の考えがわかると思っている。

トイレへの気配りができれば、店の中は綺麗に隅々まで掃除されていて、厨房内も清潔で、接客も気持ちが良いはずだ。良い店の条件は、そんなことの積み重ねだろう。このビストロには、久しぶりの大満足を感じて帰ってきた。飲食店経営者のみなさんに、「最初のコロナ対策は、トイレの改装だ」と言いたい。

街を歩く

イチョウを探して散歩したら歴史にぶち当たった

毎年11月下旬になると、晴れた日にはイチョウを探して散歩に出かける。紅葉の季節というが、赤い葉っぱよりも黄色い葉っぱが好きだというのがイチョウ探しをする単純な理由だ。自宅周辺には桜の木・コブシの木・ケヤキは多いが、イチョウはだいぶ離れた公園に行かなければ見つからない。

イチョウは落葉がすごいので、この時期は木の下も真っ黄色になる。黄色くなった地面、これも楽しみな光景だ。初冬の日差しはお昼でも斜めから差し込む。それで、地面に写る影も合わせて、なかなか綺麗な光景になる。

晴れた空と黄色い葉っぱの対比も綺麗だ。気温が下がってきて、早足での散歩も気持ちが良い季節になる。たまに落ちている葉っぱの中から何枚かきれいな葉を拾ってきて、本の栞にしたりする。そんな、イチョウ探しの散歩の途中で駅前に展示してあるYS11の実機をマジマジとみてきた。よく考えれば、駅前に飛行機があるというのは相当にすごいことなのかもしれない。駅名が「航空公園」だし。

YS11が健在だった頃、何度か搭乗したことがある。当時、まだ空港が狭くてジェット機の発着ができなかった高松空港行きと広島空港行きにそれぞれ数回乗った。どちらも海の近くにある空港で都心部とのアクセスは便利だったが、着陸の時はちょっと怖い気がした。特に、広島空港は瀬戸内海側から山に向かって着陸するので、本当に恐怖を感じた。結局、何度か恐怖体験をしたあと、広島入りは新幹線を選ぶようになった。
そんなことを思い出していると、ふと気になったことがある。YS11と比較してみたくなったのが、先の大戦中に東京をはじめとして日本各地を火の海に変えた爆撃機 B17だ。ネットで調べてみてわかったが、

B17は 全長 22.8m 全幅 31.6mと、ほぼYS11と同じ大きさだった。
航続半径1276kmで、YS11 の倍ほど航続距離になる。最高時速524km/時間だから、巡航速度で比べればYS11もほぼ同じくらいの速度だろう。戦記や記録映画の中で見ていたB 17が、YS11とほぼ同じ寸法だとわかると、急にリアルなものになった。
目の前でみたYS11と同じような飛行機が、100機単位で爆弾を落としにきたのかと。イチョウ探しの散歩で発見した「奇妙な歴史」の跡。散歩の効用は、こんな突然の出会いや発見にあるのかもしれない。

食べ物レポート

鳥貴族のチキンバーガー店

鳥貴族が焼き鳥屋に続く第二業態として開店したチキンバーガーの店に行ってきた。場所は大井町という、一号店としてはちょっと意外な場所だ。そもそも本拠地の大阪ではなく、なぜ東京で??とも思う。情報発信として東京を選んだのか、テストマーケットとして大阪より東京が良いと考えたのか、その辺りがわからない。

バーガーといえば、ポテトとドリンクの三点セットというのは、もはや業界常識だから、そこでオリジナル色を出すつもりもないようだ。フライドポテトの代わりに、別のものをつけたくなる誘惑はきっちりと断ち切ったらしい。
チキンバーガーは8種類あるが、全て390円の同一価格で、このワンプライスのこだわりは鳥貴族のDNAみたいなものだろうか。ただ、サラダチキンを挟んだものは、バーガーというよりサンドに近いので、バーガーは6種類というべきかもしれない。バーガー・ワンプライスについては、ちょっと議論の余地があると思う。松竹梅というか上中下のプライスラインを作らないと、プレミアムバーガーとかバリューバーガーといったキャンペーン対応のコンセプトが作れなくなる。マーケティング的には自由度が狭まるのをどう判断するかだ。
包装紙などにも最近のリサイクル、プラごみ問題を気を遣っているようだ。店内飲食ではドリンクの蓋(プラスチック製)を諦めれば良いのになあという気もする。

おそらくメイン商品であろう「トリキバーガー」はシンプルな作りで、カリッと揚げたチキンとレタスにマヨネーズという組み合わせだった。鶏肉が生姜味ということを除けば、あまり他のファストフード商品と差別化されていないように思う。バンズも大きめなので、某フライドチキンチェーンのクローン・コピーと言われそうだが、生姜味でかろうじて違いを出したというこだろう。
揚げたてのチキンが挟んであるので、普通にうまい。あつあつ感でいえば、某大手ハンバーガーのチキンバーガーより、出来が良いとも思う。ただ、どこかで食べた感が強く、オリジナルな感じがもう一息欲しい。

店内は、90年代に流行っていたタイル貼りの壁で明るいデザインだった。これは令和キッズには目新しいかもしれない。少なくとも平成時代のどこか暗い感じのデザイン、あるいはコンクリート剥き出しの無機質感とは違っている。席と席の間隔もファストフードとしては広めで、ゆったりのんびりと過ごせる仕上がりになっていた。学生が宿題を片付ける場になってしまった、大手ファストフードの雰囲気とはちょっと違っている。

不思議なのは、ビルに「袖看板」と言われる通行者に正対する形の店名看板が存在しないことだった。隣のビルの居酒屋の袖看板はしっかりと目立つ。ビルの大家の考えで、袖看板が設置できないのかもしれない。ただ、実際に店を探している時に、袖看板を頼りにしていたので店頭正面に来るまで、店の存在に気がつかなかった。
一号店ということであれこれ実験途中なのだろうがオープンから3ヶ月ほど経過した。そろそろ運営実験の段階から、改良型の展開時期だと思うので、2号店がたのしみだ。