
札幌市中央区円山は、いわゆる高級住宅地であるらしい。ふと思い立って、午前中は円山を散歩してみることにした。
地下鉄円山駅周辺は北海道神宮、円山公園、円山動物園など観光・行楽スポットも多く、地名の由来である円山も近い。札幌は明治の開拓時代に京都を模して作られた街なので、東西南北の道路で碁盤の目のように仕切られている中心部と、その外辺を取り巻くような周辺部がある。円山はその中心部と外苑部の中間に当たる。
京都を東西に反転させたような街づくりになっていて、円山は京都の東山地区を想定されたようだ。今でこそ都心地域扱いされているが、明治初期には冬になると中心部とは行き来が途絶える田舎であり、冬の北海道神社参拝は困難であるため都心部に頓宮(支店・出張所みたいなもの)が置かれるほどだった。
その円山地区も今ではすっかりマンション街に変わっっている。自分も一時期はこの地域住んでいたことがあるが、当時は木造二階建てアパートがマンションと呼ばれていた。今では10階建以上の「高層住宅の別称である「マンション」」が町中をひっしりiと埋めている。
そのマンション群の一角に、昔あった円山市場が規模縮小して営業していた。最初はミニまるの意味がわからなかった。英語のMinimalなのかと思ったが、そうではないようだ。ミニ円山市場ということだろう。中には八百屋、肉屋、魚屋、惣菜屋という市場の主力メンバーが残っていた。昔懐かしの惣菜屋はなかなか素晴らしい商品ラインナップだったので、ついつい二品ほど衝動買いしてしまった。豆腐のおからを煎った「うのはな」とイカゲソフライだ。どちらも昔は低廉価格惣菜の代表選手だったが、今ではすっかり高級品になっていた。

地下鉄駅からぶらぶらと南下して、昔住んでいたあたりまで散歩をした。知らないうちに面白い店ができていた。ドイツパンのベーカリーだった。中に入ってパンを物色してみたのだが、ドイツパンという割に甘いコーティングを施したパンも多い。ハード系のパンや、北欧の特徴的なライ麦パンを期待していたのだが、どうもフランス系のパンが多い。一般的はフランス系のリッチテイストなパンが好まれるのだろう。お目当てのカイザーゼンメルは見つからず、ハード系のくるみパンを一つ買ってみた。というのも、この日の朝飯がパンだったからだ。

泊まったホテルの朝食は、隣接するセルフ喫茶店で食べるシステムだった。ミールクーポンをもらい一旦ホテルを出て10mほど離れたところにある喫茶店に行く。そこでA/B/Cセットの一つを選ぶというものだ。なんとも合理的と言えば合理的だが、朝の7時でありながら店内は満席の混雑ぶり。どうやら高校生の修学旅行ご一行様が同じ宿に泊まっていたらしい。テイクアウトもできると言われて辺りを見渡すと、確かに袋に入った朝飯を持って友人を待っている高校生がたくさんいた。
よく考えれば、この日の朝飯をテイクアウトして円山公園で遅めの朝飯を食べるという手はあったのだなあと、ドイツパンを買った後で思いついた。衝動的な散歩は、そんな計画を立てる前に動き出してしまう。やはり衝動的な行動はあまり得策ではないのだなあ。