
ファミレスに行ってサラダを注文することはほとんどない。いわゆるミールサラダ、主食になるサラダの開発を怠っているせいだ。アメリカのカジュアルダイニングに行けば必ず存在するミールサラダは何故日本で出現しないのか。そこは野菜流通の課題も大きいのだが、何より「野菜がご馳走」と思わせる商品開発力の不足だと思う。
低い原価で満足度の高い商品となるとどうしても、味濃いめ、脂多め、肉系統になる。典型的なのがハンバーグだ。肉の質で勝負すルステーキからは逃げ出し、あれこれ混ぜ物を入れることで増量可能なひき肉料理でなんとかしようとする。これが日本におけるファミレスのリアルな商品開発の論理だろう。その論理の上には、調理技術で差をつけられる野菜料理でメインを作る、という困難さは最初から放棄するしかない。要は、ヘタレなのだ。
この混ぜ物の技で誤魔化す料理手法は、本来は町場の中小規模食堂が考える手なのだ。焼き肉に対するホルモン焼きや牛すじ肉を使った煮物、焼きそばに米を入れて増量した蕎麦飯など、庶民の知恵とでもいうべき低原価のうまい料理はたくさんある。
ただ、中小企業とは違い大手であれば大量な原材料確保による購買力と、セントラルキッチンによる加工の合理性追求により、安価で安定した商品を出すことができるはずなのだ。それをサボるのだから、「経営者の顔を見せてくれ」と言いたくなるような残念なものしか出てこない。特に最近は酷い。
サイゼリヤだけがその一般的なファミリーレストランのやり方を否定して、我が道を行く感がある。正面切ってサラダを売ろうとしているのだ。それもよく喫茶店のランチセットについてくる小皿サラダみたいなちまちましたものではなく、肉料理の手前で食べるためのボリュームがあるサラダを目指している。
そんなことを思いついて、サイゼリヤで小エビのサラダを単品で頼んでみた。ミールサラダというほどの量はない、あくまで肉料理が出てくるまでの繋ぎであり、注文して即出てくる時短メニューだ。今回はドレッシングが多すぎるかなと思ったが、まあ、それはオペレーションの揺れの範疇だろう。
そしてこのサラダを食べ終わる頃に肉料理が出てきた。抜群のタイミングと言って良い。サラダとメインの肉料理の間に時間が空くと、食事としては間が抜ける。サラダを提供することを本気で考えるのであれば、このメイン料理との提供時間差を合わせるという難事を克服しなければならない。
サイゼリヤという企業は、コストカットの鬼と関連業界では思われているが(そしてそれは正しくもあるのだが)、実はコスト以上に時間マネージメントの意識が強い企業だと考える。
低価格を支えるオペレーションについて、そろそろ外食企業は理論武装をするべき時期だと思うのだが。ファストフード業界ではだいぶ進んでいると思うが、テーブルサービスではサイゼリヤ以外では、どこが見どころのある企業を探し出すのが難しいのだ。おそらく次のエポックメイキングなことを始めるのは、ステーキハウス業界だと思うけれど……………