街を歩く

居酒屋のお通しに見る経営学の基礎

料理の演出は、知的財産として保護されても良いと思うが

新潟にある人気の居酒屋でまず最初に聞かれるのがお通しの焼き物を何にするかで、しばらくすると土鍋で燻製炙り仕立てにしたものが運ばれてくる。初見であれば、大概の客はこの演出にイチコロだ。なので、新潟出張に来たもてなしの店として、サラリーマングループで占拠されている。個人であるいは少人数の客はあまりいない。

お江戸では見かけないタイプの店だ。高級割烹などにいくとこのような手の込んだ演出をする店はあるが、大衆価格店舗ではみられない。チェーン店となれば、この手のやり方がマニュアルが難しいので、最初から放棄している。

全国あちこちに仕事で歩き回るうちに、色々な店を紹介してもらったが、おそらくここが一番だろう。
こと、居酒屋という業態に関しては大阪と名古屋が全国の中でずば抜けて素晴らしい。お江戸の居酒屋はある意味で二流ばかりで、老舗と言われる店は残念ながら価格も客層もすっかりダメになっている。

仙台や新潟、博多あたりでは個性派の店が多いし、居酒屋を梯子しても良いと思わせる良い街だが、札幌や広島は今ひとつという感がある。
人口が30万人程度の県庁所在地では、一つくらいは飛び抜けた店があるが、それを除くと全国チェーン居酒屋に席巻されてしまってる。個性派の店は次々と廃業しているせいだろう。

酒を飲まない客が増えていることも、個人営業の店には大きな影響がある。飲食店で酒を飲まない客は、減価率が高くて儲からない。ある意味で、酒を高価で売りつけることで成立するのが外食業の根本だからだ。
酒抜きで儲かるような仕組みを作ったのがファミリーレストランとファストフードなのだが、どちらの業態もコスパ優先でショックの楽しみの重要な要素である雰囲気作りを放棄している。
合理的なビジネスモデルだが、外食の楽しみが切り捨てられている。

そろそろ日本でも外食産業についてアカデミックな研究がなされて、いわゆる外食業の専用経営学が教えられるようになる時代ではないかなあ。

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