
最近覚えた技だが、居酒屋などで壁に貼ってあるメニューが小さくて読めない時に、スマホで写真を撮って拡大してみる、望遠鏡の代わりとして使える。望遠鏡であれば拡大すると手ブレを起こしやすいが、画像にすればそれはない。見やすい。高齢者にはあまり優しくない現代の道具スマホだが、これは実に高齢者に適した機能だ。
そして本日のお品書きを眺めながらあれこれ考える。まず、ホッケがフルサイズとハーフサイズがある。これは客層を見れば納得だ。高齢者が2/3を占めるこの店では、北海道的標準サイズで提供されるホッケは頭から尻尾までの大きさが軽く30cmを超える。お江戸界隈の居酒屋で出てくるホッケは、おおよそ20cm前後でアジを比べて大差はない。それであれば1匹でも食べ切れるが、北海道サイズはどう見ても一人で食べるには大きすぎる。
豚ハヤシライスというものも。ある。肉といえば豚と答える北海道的食肉文化圏ではハヤシライス、つまりハッシュドビーフの和食仕様は人気がないのだろう。そもそも牛肉が通常食べられるようになったのは1990年代以降で、それまでは安価な牛丼屋すら生き残れない牛肉に撮っては手強い市場だった。当然、マクドナルドに代表されるハンバーガーチェーンも苦戦したし、びっくりドンキーのハンバーグが受け入れられたのは牛豚合挽きだったからだろう。
となれば、カレーと同じで牛肉を使わないハヤシライスが誕生するのも不思議ではない。ただ、それが大衆居酒屋で登場するほどポピュラーかというといささか疑問ではあるのだが、この店の売り物は締めの蕎麦なので、蕎麦と対抗馬としてカレーライスがあり、そのバリエーションとして豚ハヤシライスが登場するというのは予想できる。ぜひ注文しようと思っていたが、酔っ払って忘れてしまったのが残念だ。
それ以外のメニューには北海道的な特徴は見られない、全国のどこにでもありそうな居酒屋メニューだ。そのせいか、この店は外国人観光客の侵略からは守られている。おまけに日本人観光客も放っておいてくれるので、実に和やかで賑やかな居酒屋だ。
北海道的なスペシャルメニューみたいなものがあれば観光客が押し寄せると思うが、ご覧の通りにぼったくり価格の海鮮ウニ丼みたいなものは全く見当たらない。そもそも定番メニューでも刺身はほとんどない。
こういう地元民に優しい、そして観光客を自動的に排除できるメニューを作り上げるのはなかなかに大変だろうなあとは思う。計算してできるものでもないだろうし。
100年続く店のことだけはあるのだな。札幌の都心部のハズレにある「第三もっきりセンター」はある意味で札幌最大の聖地だろう。まあ、市役所の職員が来ることはないと思うので観光資源化されないのがありがたい。