街を歩く

松屋の牛飯

松屋は牛丼御三家の一角を占める大チェーンだが、牛丼とは言わない。牛飯なのだ。まあ、それに文句があるわけではない。
おそらく牛丼業態が拡大する時代、吉野家の牛丼に対して松屋の牛飯という、差別化路線が選ばらたのだと思う。ただ、松屋はその後に牛丼専業路線から、メニュー多角化、定食屋への道を選択した。そのため牛丼という究極のファストフードとしては異例なキッチンレイアウトを持っている。業界の異端児だと思う。

吉野家では有料な味噌汁が、無料でついてくるというのも松屋の差別化路線だが、個人的にはこれは不要なサービスだなとは思っている。その分だけ単品値段を下げて欲しい。
牛丼の価格が各社横並びであった時代であれば、同価格で味噌汁有り無しは、価値の差を生み出したかもしれないが、今では牛丼の値段は各社ばらばらだ。ブランドよりも店舗の場所の差の方がよほど使い勝手を分ける条件だろう。
正直に言って、吉野家、松屋、すき家の大手3社の牛丼を同時に食べ比べたとしても、そこに圧倒的な味の差があるとも思えない。それよりも一鍋仕込んだ後の経過時間、つまりどれだけ加熱を続けているかみたいな調理時間、保管時間による味の差異の方が大きく影響するのではないか。ちなみに自分の好みは玉ねぎがグダグタになるほど長く煮込まれているものだ。これはなかなかお目にかかれない。人気店では回転が早いから、いつも玉ねぎはシャキシャキだ。売れない店のピーク後とか深夜帯とかが狙い目の時間帯になる。出会うには難度が高い。

知人の外食評論家によれば、テイクアウトでは経過時間によりブランドの差は出ると言うのだが、1時間置いた吉野家と出来立て松屋の差など気にするものがいるだろうか。できたてのほうがうまいと感じるのではないか。
などなど、牛丼についてはあれこれ思うことも多い。個人的には、牛丼とは少ない肉を出汁にしてご飯をモリモリとかき込む食べ物だと定義している。だから、頭(牛肉の煮込んだ部分)と米のバランスは他の丼物と比べて際めて悪い。(ご飯が多すぎる)
ちょっと老舗な町の蕎麦屋でカツ丼などを注文してみるとその差がよくわかる。町場の丼物は、基本的に頭大盛りで提供される。牛丼のようなケチった頭のものは珍しい。すき焼き屋に行って、気まぐれに牛丼的なもの、例えばすき焼き丼みたいなものを頼むとその差は歴然だ。

だからこそ、牛丼屋は日本で最初のファストフードであり、今後も低価格で貧乏人の救世主の座を明け渡すことはないと思うが、最近は不穏な動きもある。一部の牛丼提供店では並盛り500円を超えている。これは危険な水準だが、いつまで続けられるのか。きっと客数割れで価格変更を迫られると思う。

少なくともファストフード業界大手はほぼほぼ全社、価格の上げ過ぎで軌道修正を迫られている。インフレが長期化すると、必ず出現する低価格業態がそろそろ暴れ始める。時間の問題だ。その時は、また牛丼1杯 380円が復活するかな。ただし税込だと418円だから、おそらくは税込390円あたりが落着店だろう。

ちなみに、松屋はまだ普通の丼を使っていたので安心した。すき家のテイクアウトボックス入りの牛丼はちょっと悲しいからなあ。

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