
新潟駅前でオヤジに優しい店を探して彷徨き回っていた。この新潟名物料理の店は次善の候補として押さえておきつつ、もう少し一般的な居酒屋が良いなと思ったからだ。
新潟には酒蔵が多い。有名な大手日本酒メーカーもある。個性的な地酒を作る小ぶりな造り酒屋も多い。
腰の完売に代表される淡麗系の吟醸酒は、一時期は新潟勢が独占していたものだ。今では全国に淡麗系の酒は広がったが、最近の流行は少し変わってきて、濃厚な甘めの酒が好まれるようになった。西国の酒が優勢な状態が続いている。個人的には「出羽桜」に代表される山形の酒に好みのものが多いが、青森「豊盃」も捨てがたい。
ところが、こと新潟の酒を言えば、「辛口吉乃川」というコンビニでも売られている一般的な酒が一番好みだ。
新潟駅にある吉乃川の直営店に行ったら、高級な吟醸酒ばかりが置いてあって、(それはそれでうまそうなのだが)結局は駅のキオスクでいつもの辛口吉乃川を買って帰ったほどだ。
この店では、そういうお安い酒は置いていないかもしれない。

そして、発見したのがこの看板だ。いかにも疲れた中年オヤジを相手にしていそうな店ではないか。オヤジ向けの店は大体に作りがチープなのだから、この店頭から発散するチープ感はまさにオヤジ天国と思われる。あちこちに貼ってある張り紙を見ても鯖料理が推しらしい。オヤジ成分が濃厚に漂っている、そう思った。

その後も、あちこち物色して歩いた後に戻ってきてみたら、開店していたのブラリと入ってみたら、想像していたのはとは全然違った。ここは、オヤジ連中を拒否する「若者天国」だった。

スマホでメニューを注文する仕組みは、今や一般的となりオヤジを排斥するデジタルな仕組みの筆頭だ。ガラケーを使っているオヤジはまともに注文すらできない。スマホ注文の店は基本的にホールの人員を削減しているから、口頭で注文しようにもなかなか手隙の従業員が捕まらない。
まあ、そこはなんとかクリアしたのだが、スマホの中にある「本日の刺身1」が、一体なんであるかは画面上ではわからない。
行き当たりばったりでハズレでも仕方ないと頼んでみたら、なぜか新潟で冷凍カツオが登場した。後から気がついたのだが、レジの上に小さい黒板があり、そこに本日の刺身1・刺身2・刺身3の説明が書いてあった。
こんなところだけアナログというのは、いったい何をどう考えているのか理解に苦しむ。概ね若者向け居酒屋のデジタル化は、細部の詰めが甘いなんちゃってデジタルが多いが、オヤジ向けの店では従業員の個人技に頼る「手抜き経営」が蔓延っているので、どっちもどっちだ。残念なことにアナログ対応で気持ちが良い店というのは、基本的に高価な店なのだ。どちらが良いのだろうとなれば、それは当日の懐具合に多い区依存する。

新潟名物であり、好物でもある栃尾の油揚げがメニューにあった。プレーンと明太子バージョンの2種類があったので、恐る恐る明太子バーrジョンを頼んでみた。なんともショッキング・ピンクなルックスの油揚げが出てきた。
若者の明太子とチーズ好きは理解しているつもりだが、これはカラー・バランス悪いのではないか、というのが正直な感想だ。おまけに揚げの水分が相当に少なくなっていて、口の中から唾液が全部持っていかれる仕様だった。確かに酒が進むつまみかもしれないが、オヤジにとっては優しくない食べ物だった。

店内の内装はシンプルの極みで、低価格を実現するためにあれこれ工夫されているのはよく理解できる。喫煙可でもあり若者には良い店なのだと思う。ほぼ満席でありながら、高齢者・・オヤジはゼロ。その理由は明らかだった。昔の昭和的大衆居酒屋テイストを残しながら、若い層向けに振り切った運営法とメニュー、一度経験すると次の利用は躊躇ってしまうオヤジ族には敷居が高い店だろう。ちなみに日本酒は西国の大手酒造メーカーの一般品一択だった。これも新潟現住オヤジには辛いのかもしれない。
正しい経営方針だと思います。たしかに勉強になりました。が、もう一軒、飲み直したくなりました。