
新潟名物、鳥の半身揚げなるものを知ったのは数年前のことだ。某唐揚げ専門店で働いていた頃、全国の有名な鳥唐揚げはほぼ制覇したと思っていたが、取りこぼしがあったのだと気が付いて笑ってしまった。まだまだ酒豪が足りないな。
それ依頼、新潟で一度は名物の唐揚げを試してみたいと思っていたが、なかなかタイミングが合わず伸び伸びになっていた。
あいにくと本店はお休みだったので、新潟駅近くの店に行って挑戦することにした。開店時間に合わせて行ったのだが、すでに客が入っていて30分もすると満席になった。人気店なのだが、客の会話を耳にすると、どうやら新潟出張の客をもてなす接待居酒屋みたいな使われ方らしい。なるほど駅まで徒歩5分という立地だから、早めに名物唐揚げで一杯やって新幹線でGo Homeというお手軽接待には向いているなあ。

ホームページで事前に唐揚げのことは予習はしていた。カレーあじなのだということだ。席につくなりノータイムで半身唐揚げを頼む。調理時間は20分ほどかかるらしい。注文時に4つに切り分けることもできるがというので、そうしてもらった。揚げたての半身唐揚げは熱くて手に持てないはずだ。箸で持つには大きすぎる。カットサービスはありがたい。

唐揚げを待つ間につなぎとしてあさりの酒蒸しを頼んだ。久しぶりに食べたあさりだが、この店は大ぶりのアサリだったので、極めて美味い気がする。お江戸で頼むと、シジミのように小さいあさりが出てきてガッカリすることが多い。
シンプルに貝から出たスープがうまい。最近よく感じることだが、汁物、味噌汁やスープなどで酒を飲むのが良いなあ。まず、お腹に優しい。あまり腹が膨れることなく、出汁の旨みを堪能できる。スープが胃袋を守ってくれるので深酔いはしないと、勝手に信じている。滋養に満ちた健康法?なのだ。

カウンターの天井付近にある品書を見ていたら、なんと人生訓が描かれている。なんともお節介なサービスだと思いながら、ついつい読んでしまう。酒と女と歌を生涯愛すと書いてありますが、これはギョッとして典型的なセクハラ文章ではないかな、などと笑ってしまった。
典型的な昭和後期の気分が伝わってくる。きっと品書のスペースが余ってしまい、苦慮した誰かが描き始めたんだろう。

さて、四分割された唐揚げが登場した。早速「ドラム」つまり鳥の足から食べることにした。この部分は味を確かめるには肉と衣のバランスが良いからだ。もも肉は皮の割に肉が多い。手羽や胸部分は白身の肉なので味がちょっと淡白になる。
実食した感想だが、カレー味というとちょっと違う。ほんのりとカレーの残り香がある程度。某フライドチキンは11種のスパイスを使っているが、これはそこから3ー4種減らしたかなと言う感じがする。期待していたものとは違っていたが、唐揚げとしての完成度はまずまずだ。
個人的には小樽名履の半身唐揚げの方が好みだ。そちらは塩味だが、おそらく下味をつける時間が長いので、衣だけではなく肉にまで味が染み込んでいる。
まあ、鳥唐揚げは揚げたてを食べれば大方ハズレはない。揚げたてさえ食べていれば、失敗することは殆どない。たまに残念に思うのは、冷凍唐揚げを間違って低温で揚げてしまったものに当たったときだ。大手居酒屋チェーン店でよく起きる。

鳥好きの方は一度は試して見ると良いと思う。個人的には小樽の半身唐揚げ「なると」と丸亀の「一鶴」が、日本の鳥料理のナンバー1・2だと思うが、この唐揚げはそれと遜色無いレベルだ。あとは好みの問題だろう。某フライドチキンに関しては、店長が知り合いであれば、直接店長に頼んでみると、意普段より格段に美味しく食べられる可能性はある。チェーン店とはいえ、やはり手作りだから作り手によって差が出るのだよね。
もちろん、そこで働いていた時は自分が作ったチキンが一番うまいと思ってましたよ。