
渋谷に早朝から出かける時は、喫茶店でカイザーサンドを注文することが多い。このカイザーサンドというパンは、街中のパン屋では見かけることがない。ふわふわのバンズとは違う。ちょっとシナッとした食感のある甘さ少なめのパンは、朝食によく合うと思う。が、なかなか簡単には手に入らないのだ。
都内のおしゃれパン屋に行けば売っているのだろうが、埼玉のハズレにある街では、普通のバンズすら手に入りにくい。近所のスーパーではロールパンは売っていてもバンズは売っていない。つまり、ローカルな街に住むと都会のオシャレを嗜むには、それなりにコストも時間もかかるというお話しだ。

もう一つ、モーニンセットグの話を思いついた。自宅地下にも存在するファミリーレストラン「デニーズ」は、今や和洋中なんでもありの悲しいメニューになっているが、それでも昔々のプライド高きアメリカン・コーヒーショップを思い起こさせるものは多少存在する。
そのアメリカンなデニーズでも、トーストとゆで卵にコーヒーという、日本人好みのモーニングセットは存在する。だが、これは実際にアメリカに行ってみると意外なことに、決してスタンダードな朝食ではない。
まず卵はスクランブルか目玉焼き、それもたっぷりバターを使ったものが主流だ。パンについてもいわゆる食パンを頼む時には、ホワイトブレッドとしっかり指定しないといけない。ホワイトブレットと指定しないとライ麦パンか全粒粉か……………などと延々と選択を迫られる。
ただし、パンではなくパンケーキの方が一般的なように思うし、それ以外に甘い蜜をたっぷりかけたワッフルのも人気があった気もする。
ちなみに朝飯の時間にサラダを頼もうとしても出てこない店が多かった。朝食に野菜をふんだんに食べようとすれば、ホテルのビュッフェくらいしか選択肢はなかったと思う。
だから、今のデニーズのモーニングセットでトーストとミニサラダが組み合わされているのは、実に日本的な光景なのだ。本場のデニーズであれば、パンケーキにスクランブルエッグと山盛りのカリカリベーコンという組み合わせがスタンダードだろう。
デニーズも日本に来て50年近く立つのだから、すでに和魂洋才的な変異をしていても不思議ではないのだが。
個人的には、何かにつけ日本的おもてなしみたいなことを言う人たちに申し上げたいのが、現代日本で最上級のおもてなしとは、名古屋の喫茶店モーニングのことだろう。あれが最強だと思うが、実はあれこそアメリカン_・ブレックファストに一番近しい和風メニューだと思う。日本固有のあれこれを語る前に、日本にありながらグローバルな価値を持つ物をもっと見つけ出して「威張ってほしい」ものだ。