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クレの食堂

昭和中期に生まれた中高年オヤジであれば記憶している方も多いだろう「土佐の一本釣り」という長編漫画がある。当時は青年誌に連載されていたが、主人公は16歳の少年漁師でその町の大人たちとの関わりを描く物語だった。少年ジャンプの主人公は大体が高校生だったはずだから、少年漁師の物語が青年誌に連載されるということはちょっと変わっていた。画風が独特だったこともあり、実写映画化されたコミックのはじまりだった。ヒロイン役がアイドルグループの一人だったから、余計に話題になっていた。(記憶モードです)
その物語の舞台がクレ(久礼と書く)という高知県中西部にある港町だ。その町の中心部にあるのが、昔ながらの市場である「大正町市場」で、今では観光客が訪れ、うまい魚を買うところだ。テレビの旅番組にも度々登場する。

その市場の前に、小ぶりな食堂がある。市場で売っている魚を使った料理も食べられるが、イチオシはスープカレーと焼きうどんだ。焼きうどんは自家製漁師のラー油を使った、コッテリとした味わいのもの。焼きうどんなのに腹持ちが良いという不思議な代物だ。

熱々の鉄板に乗せられた焼きうどん(焼きラーうどん)は、卵と鰹節が乗っている。個人的にはこれをごちゃごちゃと混ぜ合わせて、食べるのが好みだ。味付けは漁師のラー油が効いているので、それなりの辛味はあるが塩辛くはない。卵の黄身のせいで甘さすら感じる。熱いうどんをハフハフいいながら食べると、今日も一つ美味しいものを食べました、ありがとうございます、という気分になる。

とれたて、焼きたての鰹を食べたければ、市場の中にある食堂で楽しむこともできる。焼き魚も含め地場の魚を中心に素朴に美味しいものが用意されている。カツオ丼(ドンではなくドンブリと読む)は、飯とカツオというシンプルな組み合わせが最高で、カツオ好きにはたまらない。
カツオどんぶりで一度やってみたいのが、半分くらい食べたところで、上から冷酒をかけて茶漬けならぬ酒漬けでかきこんでみたい。どこかで鯛めしの変形でやっているらしいが、カツオどんぶりの方が豪快そうではないか。

などと、焼きラーうどん食べながら酒漬けの妄想していたら、知人の魚屋さんが差し入れてくれたカツオの刺身とたたき。そうそう、これを食べにはるばるクレまで来たのだよと、改めて感動するのでありました。
カツオ好きの高知人もわざわざ鰹を買いにくる町、久礼。機会があればではなく、機会を作ってぜひ鰹を食べに行ってほしい。お帰りには、カマスの干物かおすすめであります。

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窓の外の景色

飛行機に乗るときは通路側の席と決めたのが20代のことだった。単純にトイレに行く時に出やすいというだけの理由だった。当時は畿内テロ事件も頻発していたから、通路側の席は危険度が高いので隠れやすい窓側の席を選ぶようにと業務指示が出ていたが、ほとんど守っていないかった。
あえて窓側の席を取ったのは、モスクワ経由でイタリアに行く便に乗った時で、そのときはシベリアの大地を見てみたいと思ったからだ。実際にシベリア上空に到達して延々と広がる緑の平野だったかジャングルだったかに感動していたのはものの5分程度で、すぐに飽きてしまった。
だから、今回はたまたま翼の前の窓側席に座り外を眺めてみたら、意外と楽しいものだった。新鮮というか眼下に広がる都会のごちゃごちゃが見飽きなかった。

目的地に近づくと、ごちゃごちゃした民家や自動車がさっぱり見当たらない。なんだかじベリアみたいなだ、というのが千歳空港上空での感想だった。確かに、太平洋から千歳へ向かう地域は原生林というか道路すらも少ない場所だからなあ。

その原生林からJR移動40分で、このビルの街にたどりつく。不思議な感覚だが、それももはや当たり前というか。現代人の移動感覚や距離感はすっかり人本来の持つものとは変わっているのだろう。

札幌のシンボルと言える大通公園のテレビ塔も、たまに雲ひとつない空にくっきりと見える時がある。普段は雲の多い札幌の空だが、夏であれば月に何度かは快晴になる。こういう日には、展望台に上がって西日に赤く染まっている街並みを見るのがおすすめなのだと思うのだが、夕日の街を見て感動するのは地元民なのかもしれない。今や、すっかり夜景の名所になった札幌だが、夕焼けも綺麗なのだとこっそりつぶやいておこう。

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JR 特急と熊よけ

男前のフォルムでいいのか? 列車は女性ではないと思うのだが。

北海道内を走るJR特急は、電化されていない区間もあるためいわゆる気動車がほとんどだ。その中でも、帯広ー札幌を走る「とかち」はサンサムなフェイスをしている。いろいろ経営問題を抱えるJR北海道だが、新幹線開通を含め30年代にはなんとか元気になって欲しいものだ。
北海道の鉄道で、事故が起きるのは人ではなく野生動物がほとんどだ。首都圏の鉄道が人身事故で止まる率よりははるかに低いと思うのだが、それでも事故に遭う熊や鹿にとっては迷惑極まりない話だろう。今の技術で、鉄道脇にモーションセンサーをつけて野生動物が近寄ったら威嚇して事故を防ぐような仕組みを考えられないものだろうか。

シャンシャンという感じの音がする

ちなみに、新幹線札幌乗り入れ工事のため、札幌駅周辺の改修、改装工事が始まり、これまでお世話になっていたいくつかの店が閉店してしまった。特にダイソーとツタヤがなくなったのは痛い。

そのダイソーで、アウトドア用品売り場にあったのが「熊よけの鈴」。もちろん税込110円だった。小ぶりだが、鈴の音はそれなりに大きい。腰にぶら下げたり、リュックにぶら下げたりして、鈴の音で熊が近寄ってこないようにする。山菜取りに行くときなどにも使われるので、それなりに一般的な商品ということなのだろう。しかし、キャンプに行く時にこの鈴をつけていくかというと、ナンダカ微妙な気がする。そもそも、熊よけの鈴をつけなければ危ないところに近寄ってはいけない、というのが本筋ではないだろうか。
まあ、札幌市内の住宅地ですら熊が出現する時代なので、クマとの共存というか、遭遇を避ける用意を人がしなければいけないのは確かだ。熊に人里に出てくるなと文句を言ってもしょうがない。
なんというか、北海道の人はおおらかというか細かいことには気にしないと言うか。この熊よけの鈴がお江戸のダイソーで売っているからちょっと確かめてみたい。

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札幌の名食事 あれこれ

札幌駅前地区、北海道庁の隣に北海道議会のビルがある。議場と議員室があり、全道から陳情やら要求やら密談やらをしに、「悪い」人たちが集まってくる場所と思い込んでいた。議会ビルが建て変わり、ビル内に「喫煙所」を作るように超党派で喫煙議員が運動して、例の受動喫煙防止法で定められた公共施設の敷地内の禁煙措置に対し、議会は行政とは違う組織だから法の適用外という珍理論を展開した。その悪評で一度見に行ってみなければと記憶に残った曰く付きの建物だ。
その議会ビルの一階という好立地に議会食堂がある。議会関係者以外も自由に入れるので、陳情に来たおっちゃん、おばちゃん、議会見学に来た小学生の団体なども、みんなで中特ご飯を食べている。
そこの蕎麦は盛りが良くて安いと評判らしいので、何度か蕎麦を食べに行った。個人的にはだんだん質が落ちているのではと懸念している。その「議会食堂」の日替りメニューが、イカ天おろしそばだった。味はそこそこ、蕎麦の盛りはたっぷりめ、そこまでは良い。値段がなんともりそばの二百円ましというのには参りましたよ。日替り定食が高額メニューというのは、なんだか反則気味な気がする。
まあ、白を黒というのが商売の北海道議会にある食堂なので、とても高い日替り定食があっても嘘ではないから許される・・・。お暇な方は、道議会食堂おすすめです。人間観察にも向いています。

どうもやら東北、津軽あたりがルールであるらしいニシンの切り込みは、北海道の居酒屋では普通に置いてある。イカの塩辛みたいなものだから自家製にこだわる店はほとんどない。ただ、メーカーは乱立気味なので、店のこだわりで色々と味違いを選んでいるようだ。
お気に入りの居酒屋では、ちょっと甘めの切り込みが出てくる。カットされたニシンも大ぶりなのでか見応えがある。日本酒を熱燗で飲むには最適な一品だと思う。よく、こうした小鉢料理をシェアしたがる人がいるのだが、実はそれが圧倒的に苦手だ。小鉢を頼みたいというのであれば一人一皿にしてほしい。好きなものを好きなだけ原則からすれば、チビチビ食べたい小鉢をシェアすると、チビ・・・で終わってしまう。
今回の同行者はそれがわかっていて、自分の分を追加で注文していた。飲みにいくならこういう人がいいな。

さっっポロで居酒屋に行くと、ノータイムで頼むマイ定番が「ラーメンサラダ」だ。これも冷静に考えると、マヨネーズ系ソースで和えた冷やし中華という定義が正しいような気がする。サラダの一族というには麺麺しすぎている。
これもお店によるアレンジがすごいので、もはや元々のラーメンサラダの定義は何?と言いたくなるくらい並行進化が続いている。この店は日本酒倉本の直営店なので、魚系料理が中心だが、ラーメンサラダは肉系料理に変身した上でボリュームタップリ2人前という形になっていた。もはや、これは締めの麺に近い。胡麻味は嬉しいが、2人前の麺を食べると飽きてくる。
ただ、こういうバリエーションをあれこれ文句を言いながら食べるのが、ラーメンサラダを食す場合のお作法のような気もする。札幌に観光に行った時には、ラーメンもいいけれどラーメンサラダを何店か挑戦して欲しいものだな。

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大通公園でビヤガーデン

今年は夏のビヤガーデンが再開された大通公園で、5年ぶりの屋外ビールを飲んできた。去年はコロナというよりオリンピックに妨害されたこともあり、今年こそはといき込んでの乗り込んだ待望のビール祭りだ。
大手ビールメーカー各社が出店しているが、ここは地元サッポロビールに敬意を表し。

感染対策のため飲み物食べ物は全てセルフサービスという、あまり飲みすぎるなよというメッセージが厳しい。注文待ちの行列を捌くためのスタッフも多い。

雨に備えた大型テントで、アクリル板に仕切られた客席を風が抜けていく。換気対策は問題なしだが、やはりアクリル板越しの会話はついつい大声になるようで、隣の会話は筒抜けだ。
観光客はまばらで、ほとんど地元民らしい。まあ、観光客目当ての行事ではないし、そもそも屋外ビーやガーデン最大の敵は気温だ。それも暑さではなく、ビールを飲むには涼しすぎるという夜間の気温低下が、例年の問題だった。ところが、ここ数年は東京よりも暑い札幌という酷暑続きなので、「寒さ」に震えることは無くなったようだ。

じわりと値上げしているのは、このご時世だから仕方がないとして、札幌名物的な料理は姿を消している。これも地元民優先になっているからだろうと思う。まあ、大通公園でジンギスカンを熱望する市民というのも想像しにくい。

入り口でビールやつまみの食券を買う時に入場許可時間を書いた紙を渡された。色々と対策がとられている。誰の入れ知恵なのかは知らないが、窮屈な世界になっているのだけは確かだ。

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ローカルなパン

ローカルのパンというのは、旅の体験としてなかなか楽しいもので、見知らぬ土地に行ってベーカリーをのぞいたりスーパーのパン売り場を見て歩くのが好きだ。それでもパン売り場では時間帯によって並ぶものが変わったりするので、必ずしもローカルパンが見つかるわけではない。
滋賀の沢庵漬けを刻んだものが入ったコッペパン、香川の甘納豆が入った丸いパン、岡山のメロンパンとは言わないメロンパン、盛岡の無限大にアレンジできる福田パンのコッペパンなどなど、全国でびっくりパンを見つけては喜んできた。

羊羹パンは北海道のローカルパンだと思っていた。それを高知空港の売店で見つけたので、かなりショックを受けた。なぜ、高知で、それも西の果ての宿毛で。疑問はたっぷりある。とりあえず一つずつ買って食べることにした。味は、羊羹パンだった。北海道のものより甘さが控えめという感じもする。
このパンの放送袋の裏に羊羹パンの謂れが書いてあり、それを読んで納得した。いわく、羊羹パンは北海道や静岡にもあるが、その関連はわからない。高知の羊羹パンは昭和中期に、パンを焦がしてしまったのをごまかすために羊羹をかけたという説があるらしい。
こうなると静岡の羊羹パンが俄然気になる。北海道の羊羹パンも謂れが知りたい。謎が深まる羊羹パン事件だった。しかし、これまで10年以上高知に通いながら、高知羊羹パンの存在は全く知らなかった。高知の謎は、とてつもなく深いのだな。

と言うことで実食した。見た目は丸いパンだ。北海道のコッペパンスタイルとはちょっと違うものがスタンダードらしい。

うっすらと羊羹がかかっているところまではほぼ同じ。しかし、食べてみてわかったが、中はあんこがぎっしり詰まっていた。つまりあんぱんの羊羹かけということだ。当然ながら、羊羹の味は中のあんこに負ける。口の中はあんこ一色に染まる。いくら甘い物好きと言っても、あんこ+羊羹とは、高知人凄すぎだ。

帽子パンは高知特有のローカルパンらしい。全国あちこちのパン屋に行ったが似たようなものを見た記憶はない。強いてあげれば「メロンパンの皮」みたいなものだろうか。メロンパンの表面を覆っているビスケット生地だけを焼いたものは見たことがある。食べても見たが、お菓子っぽくてなかなかうまい。
高知の帽子パンは帽子のふちにあたる部分が、まさにこのメロンパンの皮で、真ん中の盛り上がったところは普通のパンだ。この中身をフィリングでアレンジしたものもあるらしいが、プレーンな帽子パンを買うとなんの味もしない。ただのパンだ。
だから、食べ方としては帽子のふちから真ん中にかけてバクリとかじり、ふちと頭の部分を一緒に食べる。そうするとメロンパン的な味わいになる。あるいは、ふちだけを最初にちぎって食べてしまい、頭の部分はジャムとかバターをつけて食べる。
食べ方はそれぞれ個人の好みで良いのだろうけれど、色々とうるさい人が指南をしそうな気がする。これまた、高知的な厄介さというきもするなあ。

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ひろめ市場では一休みできない

高知観光のメッカと言える「ひろめ市場」だが、観光客でもっている場所かというとそうでもないようで、高知県民にとっては市内で昼から酒が飲める場所として認識されているのではと思っている。少なくとも、週末の昼過ぎには館内が全開で宴会モードになっている。
感染症対策で客席が間引かれていることもあり、入り口には入場制限とまではいかないが、中に入っても飲食できないと満席宣言が出ていた。

ここに初めて連れて行かれた時は、なんとも圧倒されたというか、東南アジアで出会った怪しいビルの中の市場に似ていると思った。確かに、高知はあちこちにアジアンテイストがある不思議な町だ。

いまだに訳のわからないのが、入り口前にある大きな屋根がかかったスペースだ。おそらく定期的に「何かのイベント」をやっているのだろうなとは思う。屋台のラーメン屋大会でもやりそうな気配だと思っていたが、すでに屋外客席の常設ラーメン屋ができていた。外国人観光客大歓迎だった時期もあるが、今では国内観光客ですら溢れてしまうので、この先はどうするのだろうかと、他人事ながら気になる。

満席で諦めた次の日、昼前に行ってようやく場所を確保した。早い昼飯と思っていたが、結局周りの勢いに押されてウツボのたたきでビールをグビリということになった。昼からカオス状態の市場の中で、どうやらお店によってはテーブルまで配達?してくれるサービスもあるらしい。時間のかかる料理などは、カウンター前で待たれると密になるという配慮のようだ。
時代に合わせてサービスも変わるということだろう。昔は、平日の午後遅くに、仕事が終わった後、夜の街に繰り出す直前の隙間時間を埋めるのによい場所だった。今では、朝から全開のパブリック・ドリンクスペースになっているので、ひろめ市場で一休みというわけにはいかないみたいだ。その変化は嬉しいのか、悲しいのか、ちょっと微妙すぎる。

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龍馬推しの街で気がついたこと

久しぶりの高知で、ちょっと気張ったランチを食べようと川沿いのお店まで歩いて行く途中で見つけた。モニュメントというか道標というか、有名な懐に手を入れた坂本龍馬をデフォルメした面白いデザインだ。この町は、とにかく龍馬推しなのだなとわかる。龍馬は大河ドラマで有名になった高知人ナンバーワンだと思うが、ナンバーツーがいないくらいダントツの知名度だろう。

その道案内の写真を撮った後で、なんの気無しに見上げたらマンションの壁にもすごい案内というか広告があった。歩道にあるのは歩行者用、壁にあるのは自動車用なのか。それにしても、すごい執念だなと思う。なんとしても、人を龍馬の元に連れていこうという、強い意志が感じられる。
これに似た過去の偉人に対する熱量の高さは、鹿児島の西郷さんくらいだろうか。少なくとも町中にその人名が冠された場所やお店があり、銅像が大量に街の中に溢れているという条件に当てはまるのは、坂本龍馬と西郷隆盛くらいしかいない。
お江戸を戦火から救った勝海舟やその他の幕臣は、明治政府からすると敵扱いなので、お江戸に幕臣偉人像は皆無だろう。お江戸を首都化した徳川家康の像も東京周辺では見た記憶がない。
山口に行けば、高杉とか桂という明治政府成立の功労者、そして伊藤、山形という明治政府成立後の権力者の像がどこかにあるのかもしれない。が、観光名所になているのかわからない。(少なくとも記憶にはない)京都の新撰組の方が、コアな観光客を惹きつけているような気がする。どちらにしても、高知で最大の著名人は坂本龍馬さんなのは間違いないだろう。

そんなことをつらつら考えながら、コロナ前はよくお世話になっていた(ランチで)料亭に行ってきた。この手の業態はコロナで最大被害を受けたので心配していた。営業しているか心もとないので、前日に電話で確認したほどだが、無事お店は開いていた。

ランチは御膳一択と言われたが文句はない。高知の名産品が残さず放り込まれた「県外人仕様」にしてくれたようだ。ランチとしてはボリューム十分すぎる。味は保証付で、これまで何度も足を運んだが期待を裏切られたことはない。
ただ、ちょっと残念なのが、アルコールのリストから日本酒が消えていたことだ。土佐は酒豪県なので、地元の日本酒蔵がたくさんある。うまい料理には地酒を合わせて土佐気分を盛り上げたいと思うのだが、どういう理由なのかお昼は日本酒がなくなっている。これもコロナの後遺症なのだろうか。

料亭料理の美しさは、料理の素材以上に、器の色と組み合わせだと思う。立体的な造形美で、これは家庭で再現することは難しい。土佐名物と言われる皿鉢料理にしてもプロの盛り付けの技がなければ、ただの料理がてんこ盛りになった手抜きにしか見えないだろう。和食屋の懐石弁当とコンビニの幕内弁当の違いみたいなものか。
「映え」が評価される時代になり、誰もが自分で写真に撮って料理の美しさをしっかりと味わうようになった。料理人は味以上に見栄えを考えなければいけないのが、平成から令和にかけて変わった「仕事の掟」だ、などと鰹のタタキを食べながら思っておりました。
高知料亭、またまた良いランチを楽しんだが、一度は夜も来てみたいぞ。

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高知ぶらぶらで見つけた看板

高知市の繁華街はこの帯屋町が中心としたアーケードになる。飲食店も含めた多彩なお店が並んでいるが、平日は流石に人通りが少ない感じもする。コンパクトながら百貨店もまだ頑張っているので、高知市の人口を考えるとかなり健闘している商店街だろう。同程度の人口の街では、郊外にできたショッピングモールに街ごと潰されてるケースも多い。そこをなんとか踏みとどまっているというところだろう。

その帯屋町でイベントが開催される日に、たまたま出会した。朝市ではなく夜市というのが良いところだ。ただ、よく考えるとほぼ同じ場所で「土曜夜市」→「日曜朝市」と続くわけで、なんだか高知市民のイベント好きというか遊びにかける情熱が伺える。こういう街に住める人は幸せだろうな。
などと思っていたのは午後4時くらいで、その後は10分おきに人出が倍増するような勢いで、一気に道を歩くのが大変なほど混雑してきた。実にお祭り感あふれるサタデイ・ナイトだった。

その人混みを避けながら、ぶらぶらと散歩をしていたら、初めて高知に来た時にホテルで紹介してもらった居酒屋を見つけた。この店で店主に勧められるままに鰹料理のあれこれを食べ堪能したが、財布の打撃も大きかったことを記憶している。塩たたきを初めて食べたのもこの店だった。
かつおマイスターのお店になっていたのだから、やはりカツオには見識がある方だったのだろう。ちなみにカツオマイスターは何種類かあって、鰹を釣る漁師のマイスターや、鰹を売る魚屋マイスター、そして鰹を料理するマイスターがいるようだ。

これをみた時には、パン屋の店先だと思ったが、よくよく見ればパン屋ではなく本屋だった。今ではすっかり消滅業種になりつつある書店だが、やはり本好きの子供を増やす活動が将来的な市場維持につながるという長期的視点は重要だ。
などと、看板を見ながら社会考察をしてみる。高知は文化としだと再認識した。親が本好きだと子供も本好きになるらしいので、親も読書に頑張ってほしいなあ。

高知で鰹以外の魚推しは珍しいなと思い写真を撮ってみたが、そういえば高知市内で鰹ラーメンというのはみたことがないと、これまた街歩きをして気がついたことだ。高知も基本的には車社会なので、郊外型の超有名鰹ラーメン店があるのかもしれない。街中をテクテク歩いているだけでは見つからないから、これは高知市民に聞くしかないか。
ネットで調べるという手もあるが、それもなんだか面倒だ・・・。鯛茶漬けがあるのだから、鯛ラーメンもきっと美味いだろう、とは思うのだ。ただ高知短期滞在なので、ラーメンに挑戦するだけの暇とお腹の隙間が足りない。

アカボシとだけ書かれたシンプルな看板だが、やはりサッポロビールの定番から名付けられた店名らしい。高知ではキリンビールの市場開拓物語が新書本になっていて有名だが、そういえばサッポロビールはあまり見かけない。確かに大日本麦酒がアサヒとサッポロに東西分割された時から、西日本ではサッポロビールが劣勢だったはずで、高知でサッポロビールの店は珍しいのだろう。なんだかこっそり応援したくなる店だな。

今回の高知市内街歩きで一番謎だった看板というかお店はこれだ。焼きめしの店なのだと思うが、ラーメンチョンマゲが店名のような気がする。確かめるためにはお店に入って実食するしかないのだが。やはり時間が足りない。次回に持ち越しの宿題にしようと決めた。

高知には、まだ屋台の店が現役で営業中だ。夏の時期の屋台はあまりにも暑いので敬遠したくなる。寒い季節はまだ我慢できるのだが・・・。ただ、暑さにやられながら屋台で酒を飲むとなんだかアジアン・ストリート的な雰囲気もしてくる。(はずなので)少し遅めの時間に行くのは楽しいかもしれない。でも、真夏におでんは食べたくないかなあ。

そして、こちらも高知名物というべき、屋台のラーメン屋さん。昔は路上で営業していた。当時は明らかに道路の占拠だと思っていたが、警察がお目溢ししてくれたいたのだろう。しばらく見ないうちに路上から駐車場に引っ越していた。そして、今回ぶらぶら歩いていて気がついた。駐車場の上に屋根がついている。これはまさしく東南アジアで見た光景とそっくりだ。屋台も人気店になればここまで進化するのかと感動してしまった。もはや屋台の域を超え、屋外レストランというのが正しい。
日本の県別ランキングで飲酒量の2トップは高知県と秋田県だそうだが、気候の違いなのか、秋田県ではこれほどの「飲み屋アウトドア展開」は見たことがない。一度、高知県人対秋田県人の飲み比べを見てみたいと思っているのだが、なかなかその機会には恵まれない。某テレビ番組「県民」のびっくりなあれこれを紹介するヤツで、酒豪県対決みたいなものをやってくれないものだろうか。

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葉牡丹の話 続く

コロナ仕様で作られたおひとり様用カウンターのスペースはちょっと狭い。肴を一皿と飲み物を置くと、ほぼほぼいっぱいになってしまう。ただ、ひとり飲みであればそれで良い。カウンターに何皿も料理を並べても、冷めてしまったり食べきれなかったりするだけだ。一人飲みの時は、一つ食べたら一つ追加をするくらいの方が正道ではないか。

葉牡丹では熱燗が出る。それもかなり熱い。土佐を代表する二銘柄を順番に注文して味比べをした。飲み比べをすると自分の好みがわかったりするのでなかなか楽しい。結論として、しばらくは土佐鶴派で行こうと思う。
高知の日本酒は比較的重たい味だと思っていたが、最近は少し変わってきたのかもしれない。さすがにすっきりというまでにはなっていないが、それでも飲み口はさらっとしている。コップで飲む日本酒は、猪口で飲むよりうまい気ようながするのは「ダメ人間」の証拠かもしれない。
そして、お銚子とジョッキはどうやら最後まで下げないらしい。飲みすぎたダメおやじの会計トラブル防止のせいだろうか。それとも、何本飲んだかわかるようにして、飲み過ぎ注意を警告するためだろうか。

少し強めに感じる日本酒に合わせるのは、魚よりも肉が良いなと思う時がある。あまりにも外が暑かったせいで、暑さ負け防止に肉を食うかという気になったこともある。餃子という手もあるかと思ったが、素直に好物である「親どりの足」を頼むことにした。
香川県高松(丸亀)では支配的な勢力を誇る骨付鳥の、高知版というかアレンジ版だ。カリッと上がった皮の中には親鳥特有の歯応えある肉が詰まっている。あらかじめ細く切ってくれるのはありがたい。これを丸のまま出されると、歯の強度検査みたいな食べ方になる。某フライドチキンチェーンの若鶏とは究極の反対勢力だが、これがうまい。このうまさがわからないやつは「親鳥」を諦めて「若鶏」にしなさいというしかない。

壁に貼ってあるメニューも本日のおすすめというわけではない。どれも定番ばかりだ。見やすいかというと、そうでもない。これを見るためには、カウンターから反対側を向かなければならない。回れ右をしなければ、首だけ180度回すという苦行をする羽目になる。改めて、この店の売り物は焼き物、串揚げだったと気がついた。

もう少し食べてみたいなとメニューを物色しているうちに思い出した。この店は酢豚とオムライスが超絶的にうまいのだ。さすがにオムライスと両方は頼めないので、泣く泣く酢豚にした。これも量が半分くらいだったら酒の肴にちょうと良いのだが、といつもの愚痴になる。酸味が強めで濃い味の酢豚だ。お江戸の町中華によくあるサラッとした酢豚とはちょっと違う。肉も多い。
一番の違いは、具材にきゅうりが入っていることだ。きゅうり入り酢豚は奈良でも食べた。きゅうりは西日本系の具材なのかもしれない。キクラゲが入っているのもちょっと珍しい。ただ、キクラゲのコリコリ食感とタンパクな味は酢豚向けだと思う。うん、やはりこのうちの酢豚は好みだ。某大手中華チェーンは見習ってほしい。
この店ではまだまだ食べたいものが多いが、一人で来るとこのあたりでもう入らなくなる。いつも同じパターンなので(学習能力が足りないため)一向に前に進めない。次回こそはと反省しながら帰るのも、お決まりのパターンになってしまった。自分の定番居酒屋というのは、どこに行っても反省と後悔しながら帰る、こういう使い方になるのだろうな。