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会津若松駅からぶらり歩くと

JR会津若松駅から隣駅「七日町」まで歩くと20分程度だろうか。七日町は会津と越後を結ぶ越後街道沿いに広がる繁華街だったそうだ。今では、だいぶ観光客向けの店に変わっているが、土蔵や木造建築が立ち並ぶ。老舗の漆器店などもあり見た目に楽しいまちだ。その七日町まで、観光客向けの市内循環バスが通っている。そのバスが通る道沿いに、会津若松駅から七日町の駅まで歩いてみた。

駅から5分ほどの距離にある喫茶店で、店頭看板というには物々しい懐かしのヒーロー像を発見した。ただ、喫茶店の店名とは全く関係がなさそうだ。石巻の町では、街全体で「サイボーグ戦士」の像が市民の安全を見守っているが、その兄弟分であるこのヒーローも会津の平和を守るため日夜活躍しているのだろうか。
軽食もできる喫茶店のようなので、晩飯でも食べに行こうかと考えていた。ちなみに、このヒーロは数ある石ノ森ヒーローの中で、おそらく一番悩み深い性格だったと思う。ギターを担いだ渡り鳥的な生活は、ヒーローにも辛そうだなと思っていた記憶がある。

そのすぐ近くに、これまた伝統的な大衆食堂を発見した。店頭のサンプルケースをのぞいてみると、食べてみたいメニューが大量にある。ヒーロのいる喫茶店にも心を惹かれてはいたが、今日の夕食はここにしようと決めた。
だが、午後7時に来てみたらすでに閉店していた。あまりに夜の閉店が早すぎる。実に残念だ。

サンプルケースにある説明を読むと、会津ソースカツ丼はどうやらこの店が発祥らしい。ちょっと前にテレビでみた旅番組で、会津ソースカツ丼の話が出ていた。なるほど、ここが生誕の地だったのか。カツ丼を好んで食べることは少ないが、この店のソースカツ丼は姿勢を正して食べてみたかった。再訪するしかないなあ。

おそらく休業しているらしい薬局の看板がなんとも懐かしい。もはや販売しているのかどうかもわからないが、グリーン仁丹とはなんとも懐かしい。仁丹といえばジイ様がよく食べているジジくさい何かだった。食べている周りまで、いかにも薬臭い匂いがする。仁丹とは湿布の匂いと共通する、古い薬というイメージがあった。
ところが、グリーン仁丹は若者向けの爽やかな「フレッシュ仁丹」みたいな感覚があった。ただ、仁丹に爽やかなイメージを持たせるのが難し買ったのだろう。ブレスケア商品としては、いつの間にかミント系で洋風な名前のついたタブレットに置き換わってしまった。

その先を歩いていると、漆器店の脇にちょっと窪んだ空間があった。なんだろうと覗いてみると、eyesと店名らしきものがある。後ろには小さい扉があるようだ。銀座のクラブや六本木の隠れ家レストランあたりだと、こんな小粋な体裁の入り口があるが。漆の器を売る店が夜の営業、二毛作でバーをやっているだろうかと頭の中で疑問符が点滅する。
しばらく考えて閃いた。eyesはアイズとよむ。つまり「会津」のことなのか。読み解く難度の高い店名だったのだ。どうやらバーなどではなく工房のようだ。(いまだに正体は不明だが)実におしゃれなファサードだと感心した。
その近くに民家を改造したカフェがあった。引き戸を開けると落ち着いた空間がある。ただそれ以上に感心したのが、引き戸の上にある欄間だった。普通のレストランであれば、この欄間の位置には内照式の看板をつける。
そこに、ガラス枠に嵌め込んだ細工の整った欄間を飾るセンスはすごい。夜になれば店内の照明が薄く漏れてくる綺麗な飾り窓になるはずだ。
全国あちこちの観光都市を歩いてきたが、改めてみると会津若松の町は美的センスのレベルが高い店が多い。おまけに民家を改造した木造建築の店舗ほどセンスが良い。通り全体をタウンマネージメントで体裁を整える街もあるが、どうやら会津若松の駅前から通じる道は、「個」の力、センスで出来上がっているみたいだ。

やはり旅先は徒歩で歩き回らなければ見つからない「良さ」や「楽しみ」がある。この日、会津若松は日本で一番暑い場所の一つだった。熱中症の危機を覚えつつ街中を歩き回り、感動するやら、気が遠くなるやら。次回は、少し涼しくなった時期に来たいものだなあ。

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会津若松駅の光景

会津若松に来たのは、仕事を含め7度目か8度目だ。自動車旅の途中で寄ったこともあるが、大抵はJRを使った移動にしている。来るたびに駅の中が変わっている印象があるが、外回りの景色はあまり変わらない。
特徴的だと思うのが、駅前の駐車場がガラガラだということだ。パーク&ライドという使い方はされないようだ。会津市内完結型のビジネスマンが多いのか、あるいは郡山市や福島市までは自動車移動するからなのか。多分、車移動が中心なのだろう。駅前のバスの発着も目立たない。

その静かな駅前に立つホテルによく泊まる。駅近が理由だが、最近は駅前の反対側に全国チェーンのホテルも立っているので、ホテル間の競争が激しいようだ。それでも利用するのは、毎回この少し古びたホテルだ。
そのホテルの一階に喫茶店があり、どうやら夜になるとお酒が飲めるようだ。たまたま到着した午後の時間帯は準備中の札がかかっていた。夕方になると、軽い居酒屋的な営業に変わるのだろうか。

店頭のガラス窓に貼ってあったのは不思議なポスターだった。大丈夫、間に合います。とはどこかで聞いたようなセリフだが、確かに飲み始めてから終電者までの発車時刻が書かれある。飲み始める時にお店の人に一声かけておけば、乗り遅れることもなさそうだ。終電は午後9時台なので、ちょっと急ぎ目で飲む必要はある。
今回の目的である只見線の発車時刻を見ると、なんといきなり19時台まで乗車できない。午後6時に仕事が終わると、1時間半ほど時間を潰さなければならないのだ。これでは通勤に使うはしんどいかもしれない。
なんだか自分の高校生時代を思い出した。いささか交通の不便な場所に住んでいたためJRの運転本数が少なく、時間帯によっては1時間半から2時間ほど駅で時間待ちをすることがよくあった。それを思い出したのだ。
今では10-15分間隔で運転している近郊通勤線だが、当時はローカル線の極みで、朝の通勤通学時間だけは1時間に2-3本運行する。あとは2時間間隔みたいな運転で隔世の感がある。陸の孤島に住んでいるという感じがあったし、こんな間引き運転しかできないJR(当時、国鉄)は解体されるわけだと思っていたし、恨んでいた。が、今でもそれと変わらない状況があちこちのローカル線にはあるのだ。
ローカル線の運転本数が少ないのは、鶏と卵みたいな関係があると思う。運転本数が少ないから不便で乗らなくなる。乗らなくなるから儲からないので運転本数を間引く。この繰り返しでローカル鉄道は滅びていく。負のスパイラルだ。

そんなローカル鉄道の「観光客誘導作戦」が鉄道むすめというキャラ立てプロモー^ションだが、これは「乗り鉄」の一部には好評らしい。御朱印巡り旅の現代版として、もっと活用されても良いのではと思うが。確か三陸鉄道のキャラが、人気があるというニュースを見た記憶がある。
会津鉄道はなかなか乗車難度が高い路線だが、一度乗ってみたいものだと改めて思った。少なくとも路線名だけでは記憶に残りにくいが、こういう目立つキャラと合わせ技で覚えてもらうというのは、ブランド確立のための基本手法だろう。
そういえば会津鉄道は。猫の駅長さんでも有名だったか。このお嬢さんが手に持っているのは鉄印帳だろうなあ。今更、この魔の誘惑「鉄印の旅」に乗せられてはいけない。

只見線全面運転再開はニュースにもなっているし、旅番組などでも度々放送されている。お盆を過ぎて少し暇になったと思って乗りに来たのだが、なんと高齢者の乗客が多いことに気がついた。
ちなみに、会津若松駅は只見線の始発駅だが、終点の小出駅まで行くのは、一日3本しかない。早朝、午後、夕方の3本だ。だから、沿線の景色を楽しもうとすると、朝一の始発、あるいは午後の便しかない。ところが午後の便は、小出についてからの移動がちょっと不便になる。小出駅がある上越線も、なかなかのローカル線なので、小出から長岡・水上間の運行本数が少ない。必然的に朝一の始発に乗る「高齢者客」が多くなるのだろう。ただ、そのためには会津若松に前泊しなければならない。

会津若松駅では、伝統的なキャラである「会津地方の牛」の像がお出迎えしてくれるのだが、今回は新キャラが増えていた。見た目は同じ赤い造形だが、どうやらこれはトマトのキャラらしい。やはり、宣伝はキャラ全盛時代なのだ。
郡山から磐越西線で会津若松までは1時間強。山の中を走る旅なので沿線風景は木と森ばかりだが、会津盆地に入ってくる時に空間が広がるところが気に入っている。

首都圏からは程よい移動距離の旅になるので、「乗り鉄」系の方にはおすすめの観光地だと思うのだが。次回は磐越西線完全制覇に挑戦してみたい。

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飛び方が違っていたので

千歳空港は空軍基地でもあるのだが

千歳空港は旧帝国海軍時代から拡張された軍事施設だった。そのためか、千歳は軍都として成長した。現在も陸自と空自の主要基地が存在する。人口比率でも自衛隊関係者(家族も含む)が多い街だ。
空港は戦後米軍に接収されたが返還されて、軍民共用となる航空施設になった。だから昔は航空自衛隊の訓練(スクランブル発進?)で戦闘機が離陸する姿が見えたものだ。
現在はほぼ空自利用部分と民間利用部分がほぼ完全分離されている。昔は、滑走路の先にF15の姿が拝めていたが、今では滑走路も全く別になっているので、空港の外側は千歳の原野しか見えない。全国には自衛隊の基地と併設された空港も多いが、規模で言えば千歳が最大級ではないか。

千歳空港から苫小牧にかけては原野が広がる

いつもであれば、千歳から羽田行きの便を利用するのだが、たまたまLCC(格安航空会社)の便を使い成田行きに乗った。これまた気分の問題で、いつもであれば通路側の席にするのだが、前方窓側の席が空いていたので空から写真でも撮ってみようかと思った。
通常、羽田便の航路は、だいたい太平洋上を飛ぶ。せいぜい右手に青森から宮城に続く海岸線が見えるくらいで、着陸寸前まで陸地の上を飛ぶことはない。ただ、今回は成田行きのためか、格安ルートのせいなのか、ずっと陸地の上を飛んでいた。

下北半島から津軽海峡を挟んで、上部に函館付近が見える 
これまでみたことがないアングルだった

苫小牧上空から太平洋に出た後、右手に下北半島が見える位置で若干旋回して陸地の上に移動した。その時に、下北半島北部と渡島半島南部(函館の東側)が見えてきた。意外と津軽海峡は狭いのだ。そして眼下にあるのは下北半島の拠点であるむつ市の市街地だった。

真ん中の丸い部分が、恐山に面する湖 下はむつ市街

むつ市の位置から類推すると、市街地上部にある丸い地形は「恐山」とその湖ということになる。丸く見える水たまりの右側にある白い部分が、恐山のお寺あたりだ。去年はずいぶん時間をかけてバス移動した、山の中の「秘境」だと思っていたが、空から見るとむつ市内からほんのひと息の距離に感じる。妙に感慨深いものがあった。

茨城県太平洋岸 なだらかな砂浜が続くのがわかる

その後は、東北地域を北から南へ縦断するように飛んでいった。福島から茨城にかけて海上に出たが、それは成田に向けて右旋回する為の移動だったようだ。茨城県太平洋岸の鹿島灘がはっきり見える。これも想像していた以上に長い砂浜が続いている。地図では感覚的によくわからない。Googleアースで見ることができそうだが、肉眼で見た印象とはやはり違うだろう。

霞ヶ浦上空で旋回中 左上にあるのが筑波山(多分)

茨城県から成田(千葉県北東部)に向かうには、霞ヶ浦の上を飛び、そこで左旋回するコースだった。霞ヶ浦も空から見ると予想を超える大きさだ。やはり地面を這い回る蟻の目と、空を飛び回る鳥の目では、世界を捉える印象が変わるのが実感できた。

平らな関東平野が実感できる 成田上空

霞ヶ浦上空から左旋回が続き、進路がまっすぐになったと思った時は一面が田んぼになっていた。高度が落ちていたこともあるが、関東平野は平らなのだということがよくわかる。千葉県東部は低い山・丘が続く凸凹な地だったが、成田あたりはまさに真っ平だ。
空から見ると、護岸工事を施された川と高速道路などの幅の広い道路がよくわかる。それこそ、まるでGoogleアースの光景だ。
普段は、全く見ることのない窓の外の光景だが、今回は実に新鮮な体験だった。たまには変わったことをしてみるものだ。

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千歳空港から消えたもの

消えた物 その1   簡体略字の広告

千歳空港で早い昼飯を食べようと思って、搭乗階ホールから1階上のレストランフロアーに登ると、天井から吊り下がるバナー広告(垂れ幕)の変化に気がついた。ポテト菓子の垂れ幕があったところには、確か大陸系スマホ決済の宣伝がぶら下がっていて、そこには日本語が一文字も書かれていなかった。
個人的には、西海岸の空港で「カタカナ」だけで書かれた広告を見れば似たような感じになるのかと思っていたものだ。外国人向けの広告は英語で書かれているという先入観があるせいだろう。
今ではバナー広告が全て日本語に変わっている。観光客の主力が誰かということを、広告主が理解しているということだ。コロナの3年間で一番変わったことかもしれない。ちなみに、札幌の宿泊代は、すでにコロナ期の数倍程度に上昇していて、これはバブル期の料金に近い(あるいは超えているかも)と思う。

消えた物 その2 カレーラーメン

そんな復調した千歳空港はとても賑わっていて、ラーメン道場は昼前に各店ほぼ満席の盛況ぶりだった。人気店では長い行列も復活していた。待たされるのもなんだかなあと迷ううちに、フードコートに千歳ラーメンの店があることを思い出した。久しぶりにカレーラーメンを食べてみようとフードコートに向かったのだが。
見事に、カレーラーメンの店は退店していた。その代わりにできていたのが、味噌ラーメンの店だった。創業が昭和と書いてあるので、それなりに老舗であるのは間違いないが、店名に心当たりがない。
おそらく、自分の行動範囲にはない店なのだろう。札幌市と言ってもその面積は広大で、市の東西、あるいは南北を縦断、横断するには車移動でも1時間以上かかる。知らない店、知らない場所がるのは当たり前だ。
ただ、すでに口の中はカレーラーメンを欲している状態で、己の欲望を味噌ラーメンに変更するのはいささか厳しい。ご当地カレーラーメンをメニューに加えてくれていないかと、恐る恐るカウンターに向かったのだが……………

残念なことにご当地メニューの追加はなかった。それどころか、ほぼミソ味に特化したストロングスタイルの店だった。そこはあっさりと妥協して(己の欲望は簡単に変化してしまった)、一番シンプルな味噌ラーメンを注文した。
結果は、期待以上に旨かったので不満はないどころか大満足だった。コッテリ系の味噌ラーメンだが、余計なものが乗っていない。写真に撮ると茶色一色で残念ながらビジュアル映えはしないが、味噌ラーメンとは元々そういうものだし、スープと麺のバランスさえ良ければ、概ね100点をつけられる食べ物だ。
実にうましだった。唯一後悔したのが、ニンニクを薬味で足しておけばということくらいだ。うまい味噌ラーメンには、ニンニクを入れるのが絶対要件(個人的な見解です)だが、フードコートのカウンター受け取り方式だと、ついつい薬味投入が粗雑になってしまう。反省だ。それでも、この店で違う味噌ラーメンにチャレンジしたくなった。
ついでに、札幌にあるはずの本店にも行ってみなければなあ。

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空の旅で悟りを得るか?

時間はたっぷりあるが、費用は抑えたい人向けのLCCが再開され外国人観光客が大量に戻ってきたらしい成田空港から、国内LCCを利用して旅に出た。成田空港は遠いと単純に思い込んでいたが、冷静にかかる時間を確かめてみると、羽田空港に行くのとでは30分ほどしか変わらない。埼玉県のハズレからは、成田も羽田もどっちも同じように遠いということだった。
あれっ、そんなバカなと思ったが、知らないうちに成田行きの交通機関が整備されていたためだ。特に第3ターミナルから東京駅までの直行バス便は安くて便利だと気がついた。荷物を持った乗り換えを考えると、羽田より成田の方が楽に移動できるかもしれない。

第3ターミナルからの離陸は思っていたよりも短時間だ。滑走部分に至る移動距離が短いのかもしれない。昔よく使っていた第1ターミナルからの発着は、ともかく地上移動時間が長かった記憶がある。これまではずっと通路側の席を予約してきたから、空港内の風景を見ることなどほとんどなかった。窓際の席を取れば、思っていた以上にあれこれ周りの景色が見えてくる。
成田空港開設反対のシンボルだった「砦」みたいなものはすっかり消滅したようだ。あっと思う間に離陸した後は、しばらく関東平野の広がりが見える。千葉の東部は畑と林とゴルフ場で占められているのがよくわかった。しばらく外を見ていたが、予想以上に成田と印旛沼が近いなとか、利根川を境とする茨城県は千葉県と見た目が全然変わらないぞとか、今更ながらに気がつくことが多い。できればずっと地面を見ていたいと思っていたが、高度が上がると雲の上に出てしまい地表は見えなくなった。雲の上に出ると気分はカンダタとお釈迦さまみたいな感じで、自分がお釈迦さまの視点にたてる。不敬にも、即身成仏とはこのことではないかと笑ってしまった。

しばらく飛んだ後、雲の下に出るとそこはもう北の大地だったが、見た目が明らかに関東平野とは違う。ゴルフ場があちこちに見えるのは関東平野と同じだが、あきらかに畑が少ない。ただただ広がる黒い原生林?が見える。その中に明らかに人工物である直線道路が地図に描かれた境界線のように、地面を幾何学的に分断している。
それでも、着陸してみれば空港の風景は同じで、人工的な構造物である空港は世界中どこに行っても同じように見える。違いがあるとすれば、機体に書かれた文字の差くらいだろう。空港の外はローカル、空港の中はグローバルな景色というのが実感できる。
よく考えれば空路の旅とは、ローカルな風景から空港へ移動し、その後は何時間か空の上を飛んでいるだけの、景色の変化がほとんど感じられない旅だ。成田から北の大地に飛ぼうと、南の熱帯雨林の国に飛ぼうと、あるいは東に飛び太平洋を飛び越えた文明地に飛ぼうと、そこに大きな差はない。
降りた土地で最初に感じる匂いが、唯一異郷にきたことを知らせてくれるが、それは北海道であれ、LAであれ、ゴールドコーストであれ、ほんの一瞬のことで、異国の匂いにもすぐに慣れてしまう。やはり空の旅は移動中の体験値が少なすぎるのだろう。いつに無く飛行機の窓の外を眺めながら旅をしてみたが、そんなことしか感じなかった。旅をするなら鉄道だな、などと体の中の鉄分がむずむずし始めた。空の旅とは、何も感じず解脱を目指すこと…………諸行無常みたいなことですかねえ。

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おすすめの品はヘビー級だった

北海道中央部から100kmほど北に行ったところに全道有数の米どころがある。いわゆる目隠しの味覚テストでは、全国ブランドの米よりうまいという評価をとるほどの「名米」の産地だ。北海道の米はずっとまずいと言われていた。自分の食経験でも北海道米は明らかに1ー2段階レベルが低いと思っていた。それが品種改良や農法の改善によりみるみる食味が良くなり、最近では温暖化の影響もあるのか「とてもうまい米」になっている。全国各地にある銘柄米の北海道における先駆けが「きらら」だったと思うが、その後の後継種はどんどん食味が上がっている。個人的には北海道産ななつ星が一番気に入っている米だ。
その米どころに長い付き合いになる友人がいて、毎年コメを送ってくれる。ただ、ここ数年はパンデミックの影響で会う機会もなく、すっかりご無沙汰していた。ようやく都市在住者の来訪が解禁になったので、3年半ぶりに会いに行ってきた。
以前の仕事からお付き合いのある方が全国のあちこちにいるのだが、やはり田舎の町では都市在住者は厄災の塊のような認識があるようで(それは間違ってはいないのだが)、事態が落ち着いたら遊びに来てねとやんわり言われていた。ようやく普段の生活が戻ってきたということで、最近はボチボチ昔の友人たちに会いに行けるようになった。

おいしいザンギでした ただ、量は2個でよかったです……

この道の駅では、近くに飲食施設があまり存在しないこともあり、食堂がなかなかの盛況なのだが、3年ぶりに訪れてみるとメニューがだいぶ変わっていた。あとは面白いのが非接触型の注文になっていて、メニュー名とメニュー番号をメモ用紙に書いて渡す方式になっていた。だが、そのことを丁寧に説明してくれるので完全非接触対応とは言い難い。
ちょっと意地悪に考えれば、その説明をしている時間で注文は取れてしまうのではないか、などと内心ではクスッと笑ってしまった。おまけに、その説明を聞いたあと友人が「おすすめは何かな?」と尋ねたらしっかりと答えてくれた。うーん、これも変なコロナの落とし子なのだろう。
ちなみにおすすめは、自家製麺をしているので麺類だそうだ。定食系ではザンギ定食がよく出るということだったので、二人ともザンギ定食にした。しかし、それが間違いだった。
ザンギ(北海道式鳥唐揚げ)は2人前以上に見える大盛りで、どうやらこの盛りの良さが人気の原因らしい。あと20年若かったら間違いなく喜んで完食しただろうなとは思う。だが、次からは、ザンギ定食ひとつとライス(小)を追加して、二人でザンギをシェアするのが良いと思った。それくらいの学習能力は持ち合わせている(と思う)
何より、次回はイチオシ自家製麺のラーメンにしよう。それが賢者の選択というものだ。ちなみに、この道の駅で名物は「メロン」で、北海道内にある様々なメロン産地と比較しても、特に糖度の高いメロンを販売している。かの有名なメロン産地では一玉〇〇千円もする高級品が多いが、それに匹敵する美味しいメロンを、この場所ではリーズナブルに購入できる。
なぜか出来立ての魚練製品揚げ物も売っているが、これは留萌港が近いせいだろう。北海道でドライブ旅行をする時には立ち寄ると良いちょっとした穴場だ。胃袋に余裕のある方はザンギ定食を、夏場に旅をする方はメロンをお勧めしますよ。

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駅前の「駅前」 再訪

西武秩父駅前にある居酒屋「駅前」を再訪した。昼のみの営業だそうで、午後早い時間に訪れてみたら、店主はお昼寝中だった。暖房の効いた店内は、確かに昼寝をするには絶好の条件だった。他の客もいないので、あれこれ話をしてしまったのだが、元々はお姉さんがやっていた定食屋の後を継いで、常連中心の居酒屋にしたそうだ。現在は秩父の山登りをしにきたグループやゴルフに行った帰りに立ち寄る客がほとんどで、だいたい予約をして来るらしい。だから、ふらりと一人で入ってくる客が珍しかったそうだ。メニューは壁に貼っているものだけで、テーブルには何も置いていない。壁に目をやりながら今日は何を食べようかと考えていたら、店主自らお通しセットをお勧めして来るので、そのまま言われたものを食べるのも良いかと思った。

お通しは六品で、全て一皿100円だという。消費税込みで660円と実に丁寧な説明だった。予約して来る客でも、このお通しだけでちびちび酒を飲む人が多いらしい。野菜中心の組み合わせだが季節によって出るものは変わるそうだ。枝前やこんにゃくを食べながらちびりと酒を飲んでいた。お通しの次は何か注文しなければいけないかと思ったのだが、それは無用な心配だった。
次のお勧めが登場した。フキノトウは好きかと聞かれ、全く問題ないと答えると、「酒の肴にもなるきのこ汁」が登場してきた。店主曰く、この時期の山のものらしい。進められたきのこ汁の上に、パラパラとかかっているのがフキノトウだった。フキノトウと聞かれた時には、春の山菜天ぷらなどを進めてくれるのだろうと思っていたので、これは随分な変化球だった。フキノトウをスパイス的に使うのは面白いアイデアだ。

きのこ汁を食べていると、今度はセリの束を持ってきて、これから茹でるのだが、セリのおひたしはどうだと聞かれた。では、お願いしますというと、これは追加のお通し扱いらしく一皿100円と言われた。ただ、そのセリの束を茹でるとほとんど小皿一つ分にしかならないらしい。いや、これで商売大丈夫かとちょっと心配してしまった。

セリを食べ終わる頃にまた声をかけられた。柚子巻き大根を出したっけというので、それはなんですかと尋ねたら、また一皿100円だからとことわりのあと出てきたのが、大根の酢漬けを巻いたものだった。確かに、ゆずの香りがしっかりしている。

結局、野菜料理の小皿が8皿と酒の肴になるきのこ汁で腹がいっぱいになってしまい、当初注文する予定だった、山菜の天ぷらとか鳥料理にはたどり着けないまま、引き上げる羽目になった。この日は4時から予約が入っているということであり、その前には引き上げるつもりだったが、「今からだと15時29分の電車だね」などと電車の時間まで教えられてしまった。西武秩父駅の発車時刻は全て記憶しているそうだ。どうやら客との会話も、電車の発車時刻で調整するらしく、これは「駅前」の営業ノウハウだなと感心した。
走れば発車時間の3分前で大丈夫だ、などと教えてくれたが、余裕を持って15分前には店を出た。野菜で腹が膨れるというのも不思議な経験だが、あと何回通えば「肉料理・魚料理」に辿り着けるか、ちょっと心配になる。まるで修行をするようなお店なのだが、季節により出し物は変わるそうなので、肉を食べるには春の終わりぐらいにいけば良いかもしれない。夏は川魚だそうだ。

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立ち食いそばの旅 その2

前回の立ち食い蕎麦の旅は、なんとお目当ての店を間違えるという冗談みたいな失敗をしてしまった。駅の構内に2軒も立ち食いそば屋があるなど、普通は想像できないと思うのだが、事実は改札口の左右に2軒蕎麦屋があった。ちなみに、この本日の蕎麦屋の向かい側にはラーメン屋がある。なんとも素晴らしい麺麺天国な駅だ。それを支えるだけの乗降客数があるのだろうか心配になるレベルだ。秩父市民は無類の麺好きなのかと思ってしまう。

芝桜駅と書いてあるが、この駅は「御花畑」駅だ。芝桜の名所が近くにあるので、飾り看板としてかかっているのだろうし、愛称駅名だ。その駅舎の隣に立ち食い蕎麦屋がある。これも実に古典的な立地だ。

店名は、どうやら「秩父そば」らしい。この店の他にも店があるのかもしれない。メニューは駅そば店としては珍しくシンプルだ。ただし、今回のお目当てはきのこそばで、それもメニュー板を見ると季節限定とある。何も迷わずにきのこそばを注文したが、メニュー板をよくよく眺めてみると、これが一番高額な看板メニューだった。きのこそばは天ぷらそばより高いのだから、「きのこ」はトッピングとして偉いようだ。キング・オブ・トッピングというやつだ。

注文の品は、ほぼ待ち時間なしに登場してきた。(駅そばなので当たり前か)そして、味はジャパニーズ・ファストフードである立ち食いそばの伝統をしっかり守った逸品だった。大量にのっているきのこは、何種類かのキノコがミックスされていて、薄い塩味がついている。ネギも多めだが、立ち食いそばの名脇役であるワカメもたっぷり入っていた。
このワカメというのは、伝統的な蕎麦屋ではあまり見かけない気がするが、立ち食いそばでは海苔の代わりに廉価版トッピングとして使われているのだろう。わずかにただよう磯の香りが、出汁の聞いたつゆにはよくあう。
蕎麦は茹で置きしたものを使っているようで、柔らかめだった。蕎麦の味は蕎麦っぽい。というと変な表現だが、立ち食いそば屋で多く使われている、小麦粉の割合が多いうどんに近い麺とは違っているという意味だ。つゆは薄めのあっさり系だった。どんぶりの底が見えるほどの完食をしてしまった。

楽しみにしていたサイドアイテムの味噌ポテトは売り切れだった。多分、観光客が押し寄せる週末だけの提供ではないかと思う。原材料はじゃがいもだけに、夏だけ提供という季節性はないだろう。今ポテトは蕎麦と同じくらい期待していたので、これは残念だった。
ただ、写真を撮っていて初めて気がついたのだが、キノコそばに匹敵する高額メニューがあった。「しゃくしなそば」だが、これは食べたかった。しゃくし菜漬けのうっすらとした酸味と蕎麦はよく合いそうだ。おまけに、これまた全く知らなかったのだが、SLパレオ号のカレーというものが存在するようで、それを使ったカレーラーメン、カレーうどんがある。なんと、こちらの方がキノコそばよりはるかにご当地蕎麦っぽいではないか。おまけにぶっちぎりの高額メニューだった。

その後、SLパレオのカレーを探してみたが見つからなかった。ひょっとすると秩父ではなく熊谷駅あたりで売っているのかもしれない。カレーラーメンも食べてみたいが、それより先にカレーを食すべきだろう。
また、秩父に行く用事ができたようだ。

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もうひとつの埼玉名物 秩父編

もう一つの埼玉名物としてあげたいのが、地ウイスキーの先駆けとなった秩父山奥で醸造・蒸留されているモルト・ウイスキーだ。これも供給量と需要のバランスが取れていないので、地元に行っても売り切れていることが多い。埼玉県内の酒店では置いてあるところもあるが、スーパーなどでは売っていない。「わざわざ」秩父に買いに行っても手に入るかどうかは、確率的に5分5分といったところだ。ネットで買おうとすると転売が横行しているし、ネット酒店の価格は定価ではない。自宅近くの酒店には時々在庫があるので、事前に電話で在庫を確認してから買いに行く。

地ウイスキーといえば思い出すのだが、サントリーの山梨にある白州蒸溜所まで、「白州」を買い込みに行っていたが、最近はシングルモルト人気のせいでなかなか手に入らないらしい。個人的には、「白州」とニッカ「余市」が好みの銘柄だが、秩父のウイスキーはそれより頭一つ上の上位ランクになる。(竹鶴はブレンドが変わった後はあまり好みではなくなった、残念)

独特の風味がある銘品 これがスタンダードなもの

秩父名産としての酒として付け加えると、やはり秩父錦だろうか。世間的には純米大吟醸のような高級酒を推す方が多いようだが、個人的には本醸造を好んで飲む。吟醸酒の吟醸香は冷酒で飲むには素晴らしいものが多い。特に、脂の乗った食べ物と合わせるとより美味さが引き立つ。ただ、普通に食事とあわせて楽しむのであれば、辛めの本醸造酒で十分だと思う。
今では戦中、戦後の粗製濫造された三増酒のような、乱暴極まりない日本酒はすっかり姿を消しているので、本醸造でも何種類か試して自分の好みに合うものを選べは良い時代だ。ただ、テレビCMを流すような大手酒造メーカーの製品は、慎重に検討した方が良い。日本酒メジャー企業の酒は、主たる購買層が高齢者層であり、彼らが若い時に親しんだ味、いわゆるベタ甘系の酒が多いからだ。
地酒については、吟醸酒と比べて本醸造の方がクセがあるし、独特の風味がある。吟醸酒になると微妙な差異があるが、だいたいどこの酒蔵の酒も、淡麗で芳香かぐわしいサラサラした酒に仕上がっている。だから吟醸酒の味わいはどこか似ている。大吟醸、それも高級品になればなるほど見分けるのも難しい、とても美味い酒に仕上がってくる。そんなこともあり、最近は我流な日本酒の楽しみ方として、本醸造酒を燗酒にすることが多い。
という個人的観点でおすすめするのがこちら、秩父錦の純米酒になる。これも、普通の酒屋では見かけたことがない。秩父では当たり前に手に入るようだ。

武蔵国に併合されるまでは、秩父国として独立していた秩父地方だが、今ではすっかり埼玉県の一部で「山の民」の国という感じはない。それでも、現地に行けば山々に囲まれた盆地であることが実感できる。プチ旅で行くと、そこはかとした異郷っぽさをほどよく感じられる。都内からの日帰り観光にはかなりおすすめな場所なのだが………お得な「観光切符」は三月十日までであります。
 

街を歩く, 旅をする

観光スポットではないやり残し

秩父鉄道、御花畑駅のそばというより、ほぼ構内と言いたい場所にある喫茶店がなんとも怪しげな魅力を振り撒いていた。午前中はまだ開店していなかった昭和レトロ喫茶店(自称)だったが……………
喫茶店とは朝から開店するものではないかと思う。モーニングサービスは、もはや完全に日本語化した喫茶店文化ではないか。なのに昼直前でも開店していない。今日は休みなのかと思ってしまった。

午後になり、再び店の前を通ると営業していた。メニューボードやブラックボードが出ていたので、どれどれと眺めて見た。なんと、レトロな喫茶店というからクリームソーダとかホットケーキとか懐かしいものがのっているメニューを期待していたのだが、そんなものはかけらもなかった。
この店は、メニューから見ると確実に昼からやっている飲み屋だ。(それに文句はない、逆に大変ありがたい) お値段はかなりリーズナブルだし、料理?も(つまみも)あれこれ揃っているようだ。ついふらふらと入ってしまいそうになる。
しかし、どうも店の中からかなりの大音量な会話が聞こえてくる。おそらく常連客がいて、何かの冗談にガハガハと笑っているのがわかる。そこに、一見客として入り込むのはちょっと気が引ける。
これは、次回まわしかなと腰が引けてしまった。もう少し遅い時間であれば、そして飲み屋と割り切れば、勇気を振り絞ることなく入っていけそうな……………気がする。
しかし、何時開店なのだろう。お昼12時開店だとすると、喫茶店としてはずいぶん朝寝坊な店だし、居酒屋としては相当に早起きな店だ。

この化石もどこかで展示されているのだろうと思うが、不勉強で場所は知らない。秩父郷土歴史館とか秩父博物館みたいなものがあるはずだとは思うが記憶にない。秩父観光をするにしても、もう少し下調べをしないといけないと反省する。
ただ自分で調べるより、道の駅で聞くか、西武秩父駅前の観光案内所で尋ねる方が早いかもしれない。思い返すと、自分の旅のスタイルには「誰かに何かを聞く」という当たり前のことが欠けているのだな。今更ながら気がついてしまった。誰かに場所を聞いてパレオ君に会いに行こう。これも次回の宿題だ。

そして、次回の最大宿題、絶対達成目標、マスト案件は御花畑駅立ち食いそばで「きのこそば」を食べることだ。どうやらきのこそばは、立ち食いそばの中でも最高級ランクにあるようだし楽しみだ。ついでに味噌ポテトの食べ比べもしてみよう。ただ、この立ち食い蕎麦屋も開店時間を確かめておかなければいけないぞ。定休日があるかもしれないし。

この怖い警告看板は、秩父線のとある駅にかかっていた。最近、鉄オタの暴走がよくニュースで取り上げられているが、こんなもの、「警告」が設置されるほど鉄オタは暴れまくっているのか。単線で山の中をすり抜けるように走る西武秩父線は、写真撮影のスポットが限定されているので、線路内に立ちいる悪い奴もいるのだろう。ただ、警告の内容をよく読むと、どうも不埒な撮影ではなく車体への落書き(渋谷あたりでよく見るビル壁面の落書きみたいなものか)のようだ。
そうだとすると、明らかにイタズラというより器物損壊で犯罪だな。線路への立ち入りも犯罪だが、これはもっとタチが悪い。この駅も一度降りて散歩して確認して見たい気もする。こちらは野次馬根性での覗き見なので、宿題というにはほど遠いが。