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ソロキャンあれこれ

うまいソーセージが食いたい

アメリカ在住時代には随分とお世話になったブランドのソーセージが、今では日本でも売っているのに気がついたのは去年の冬だった。これは一度食べてみたいと思っていたのだが、なかなかお値段が高い。どうも高級ソーセージのようだ。日本ではプリマハムが生産しているようなので、日本向けにアレンジもされているのかもしれない。あのアメリカ塩でたべた塩味効きすぎソーセージが懐かしいのだが、味はどうなのだろう。
あれこれ考えているうちに随分と時間が経ってしまったが、キャンプで焼いて食べるにはちょうど良さそうだ。ということで、今回のメイン料理はソーセージになった。

軽く切れ目を入れて皮が弾けるのを避ける。切れ目は適当だが、予想以上にうまそうに焼けた。表面のパリッとした感じが、焼きソーセージのうまさだが、残念ながら日本の普及品ソーセージを食べると弁当のおかず的な気分になり、肉の塊を食べている感動に欠ける。
全国あちこちにあるソーセージ工房の手作りソーセージは、確かに肉加工品を食べる満足があるが、如何せん値段が高すぎる。手近な所では、ハムソーセージメーカーのお歳暮用商品があれば、なかなかの味の良さを感じるが、これもお歳暮用を自分で買わなければいけない。当然、お歳暮用のお値段は気楽に楽しめるようなものでもない。うまいソーセージを手に入れるのはなかなか難しい。
あれこれ悩むのであれば、この米国ブランドソーセージがコスパを含め良さそうだ。

粗挽きの胡椒をたっぷりとかけ、あとはケチャップだけで食べる。ああ、これは美味い。体に直結するうまさだ。肉の塊を食べるのも嬉しいが、ソーセージという加工肉は人の知恵が加わった肉の旨さだ。大きめのソーセージを2本、独り占めして食べる快感はなかなか捨て難い。

うまいソーセージといえば、北欧を旅した時、街道筋に立って居るホットドッグ屋(二大ソーセージブランドがあるのだが)が、まるで日本の立ち食い蕎麦屋のような軽食店、究極のファストフードであることに気がついた。ソーセージメーカの直営店であるらしい。
同行してくれた現地の方は、こんな食事で申し訳ないと頭を下げられたが、その店で食べたホットドッグ、というよりソーセージは感動の美味さだった。やはり伝統の味付けなのか、塩味は日本製ソーセージと比べるとはるかに強い。ただ、肉の旨みが格段に違う。混ぜ物が少ないせいなのかもしれない。あの立ち食いソーセージを日本で食べられないものだろうか。
じゃがいもとソーセージというと、何か貧しげな食べ物のような響きがするが、おそらく欧州、米国では(店をきちんと選べば)、ほぼほぼ「お袋の味の定食屋」的な意味合いで、現地のうまい日常食を楽しめると思う。

その美味しいソーセージの記憶に浸りながら、自分で焼いたソーセージを食べると、これは当然のように、至福の時間だった。ちなみに、この時のケチャップは国産メーカーだったが、ソーセージは外国ブランドのケチャップの方が相性良さそうな気もする。
久しぶりに自分でソーセージを作ってみようかと思った、ソロキャンのシンプルディナーでありました。

食べ物レポート

愛しの山田うどん食堂

キャンプ場から早い時間に撤収を図る。そうすると必然的に朝飯抜きになる。都市郊外型キャンプ場は、そんな手抜き行動をしても全く困らない。キャンプ場から5分もかからない場所に、早朝からサラリーマン向け営業をして居る食堂がある。埼玉県の誇り、山田うどん食堂だ。座って食べる立ち食いそばというのも変な表現だが、まさにその言葉通りだ。ただし、立ち食い蕎麦というより朝定食屋という感じが強い、蕎麦とうどんはおまけ程度の扱いだ。
和風ファストフードである牛丼屋も朝飯には力を入れて居るが、こと朝飯限定で言えば、こちらの方が明らかに優秀だと思う。

店内は8時前でガランとしているが、この後はサラリーマンには見えない高齢者カップル、女性単独客、男性単独客(高齢者多し)が押し寄せて来た。駐車場はほぼほぼ満車になっているから、人気の程がわかる。改めて朝飯マーケットは大きいのだなと気付かされた。
新潟でも都心部のハンバーガー店は満席だったが、畑の真ん中の店で朝食がランチ並ににぎわうというのは、これまたすごいことだ。

うどんを食べるつもりで店に入ったはずなのに、いつの間にかざるラーメンを注文していた。きぶんのもんだいで、9月末なのに気温が高かったせいだろう。
個人的な悩みになるが、ざるラーメンとつけそばの違いがよくわからない。おそらくつけ麺は、ザルの上には乗っていない、どんぶりに入った麺ということだと思うが。つまり入れ物、容器の違いしかないのではと思うのだ。ただし、麺の太さやちぢれ具合、つけつゆの味付けや温度などで、業界のガイドラインというか定義があるのかもしれない。
この店の麺は普通のラーメンの麺とは異なる専用麺と書いてあった。さすが自家製麺のメーカーだけある。食べてみたが、普通にうまい。これより不味いつけ麺専門店もあるから、多様化した食堂のメニューとしては成功例だろう。
麺を増量すればよかったとちょっぴり後悔した。ひょっとすると、麺の量がつけ麺とザルラーメン、一番の差なのかもしれない。

伝票と一緒にクーポンをもらった。何気なく眺めていたが、来月にまた来てねということらしい。それは良いのだが、山田うどんとハロウィーンの関係がよくわからない。カボチャうどんでも販売するのかと、よくよくクーポンを見れば、なんとおまけでもらえるのがコロッケかナムルと書いてある。ハロウィーンはどこ行った?とセルフボケツッコミになる。

会計を終わり帰り際に気がついた。出口付近においてあった9月クーポン使用時のおまけ(そのサンプル)をみると、あれまあ、今月もナムルとコロッケだったのね。つまり月替わりのクーポンでも、おまけは一緒ということか。
しっかりみてみると、9月は秋のお月見クーポンだったようだ。お月見といえばバーガーチェーンで有名な月見バーガーだろうし、蕎麦うどん店で言えば伝統の月見蕎麦・うどんがあるではないか。それにもかかわらず、コロッケかナムルなのね。
いやいや、地元の誇る名食堂で、このブレのなさはすごい。11月はどんなクーポンになるのだろう。タイトルはどうであれ、おまけはコロッケかナムルになるのだろうか。
これは最低月一度は山田うどんに行って確かめなければならない。ただし、月前半に行かなければクーポンはもらえないようだ。スケジュール帳に山田うどんの日を作ることにしよう。最初のおまけはナムルかなあ。

ソロキャンあれこれ

キャンプ飯2 プルコギを食う

キャンプでは輸入肉のステーキを食べるのが楽しみの一つだ。赤身の肉を焚き火でじっくり炙るというのは、まさに最高の調味料になる。はずだったが、今回の食材調達に入ったスーパーで「プルコギ」用の味付け肉が売っていた。普段であればあまり口にしない脂身の多い牛肉だが、頭の中にあの甘辛いチープな焼き肉のイメージが浮き上がって来て……………結局、しょうもない衝動買いをしてしまった。
豚の細切れ肉というのは普通に肉売り場で見かけるが、牛の細切れ肉、それも脂身多しというのは目にすることが少ない。それが味付き、タレ付き加工肉になっているのだから、なんとなく肉屋のロス対策という匂いがプンプンする。まあ、それでもチープな美味さを否定する気もないので、えいっと3人前はありそうなパック肉を買ってしまった。

ニラ玉を作った残りのニラを大量に投入してみた。玉ねぎも追加したのは、やはり牛肉とのバランスを考えてだ。

まずニラと玉ねぎをいためる。ニラは火が入るとあっという間に量が減っていく。玉ねぎには全然火が入っていないが、そこはあっさり無視する。仕上がるまでには熱が通るはずだ。

ニラ玉ねぎの上に肉をドンと乗せる。しばらく蒸し焼き状態をたもつ。この時、むやみやたらに掻き回さない。どちらかというとニラが軽く焦げるくらいまで放置する。味付き肉なので、ニラと玉ねぎにタレの味をなじませる。

しばらくしたら、下のニラをひっくり返すように肉と混ぜ合わせて火を通していく。牛肉ではあるが、味付け肉だし完全に火が通るまでよく炒める。

プルコギなので、地元の酒マッコリを用意すれば良いのだろうが、そこまでの根性もない。代わりに持って来た濁り酒と合わせることにした。会津若松で買って来たもので、お江戸界隈では珍しい酒だろう。クーラーボックスで冷やしていた。冷えた濁り酒はアペタイザーと合わせると良いと思う。

大根のつけもの(キムチ味)をつけ合わせて、プルコギ定食風に仕上げてみた。肉は予想通りの、甘辛で脂多め。一口食べると口の中が濃厚な味で一杯になる。そこで、大根の漬物を一口、辛味とニンニク風味がプルコギの濃い味付けを違った意味で中和する。そこに濁り酒をグビリとやれば、これまた濃厚な米の味と甘さが脂分を洗い流す。あとは、このプルコギ、大根、濁り酒の無限ループになる。
チープな焼き肉はうまい。肉は正義なのだ。仕上げに白飯を食べたくなるが、そこはキャンプ飯なので後回しになるのはしかたがない。この肉を食べ終わる頃には、すっかり陽が落ちてしまった。早い夕飯になるが、キャンプの夜はここからが本番。(いつもだと……………)

ソロキャンあれこれ, 街を歩く

キャンプ飯 ニラ玉の作り方

キャンプ飯は単純なものほど美味いと思う。料理の技術より、最低限の手間暇で仕上げるいい加減さ。そして、出来立てを一気に喰らう熱さが美味さの原因だろう。だから、カレーのように下ごしらえの多い料理は、キャンプで作ることはない。ダッチオーブンを使っても、煮込み料理より蒸し焼きで丸まるの鳥一羽みたいな方が良さそうに思う。
今回はニラたまにコンビーフ缶を追加したアレンジで挑戦してみた。ちなみに、フライパンの大きさから、使用した卵は2個だったが、家庭用の大きなフライパンが使えれば卵は3、4個使ってみたい。

まずコンビーフとニラを適当に炒めた後、フライパンに卵一つ目を投入する。溶き卵にするのも面倒なので、直に卵を入れて目玉焼き状態にする。

その卵をフライパンの中で一気に潰しスクランブルエッグ状態に移行。この時はスピード優先で卵をかき混ぜる。

そのスクランブルエッグの上にニラ・コンビーフを移動して、空いたスペースに2個目の卵を投入。同じくスクランブルエッグ作業を開始する。卵は半熟になった程度の火加減で、最初に焼いた卵を裏返しにして合体させる。

合体後は、フライパンをゆすり形を整える。キャンプ飯でも見た目は大事だと思うので、それなりに努力はする。卵が半熟でゆるゆる状態だから、意外と簡単に形は整ってしまう。火通りを均等にするべく、二、三度卵全体を裏返す。

残念ながら、映え要素は低すぎるが………

軽く焦げ目がついたら完成とした。ニラとコンビーフが予想以上に多いせいか、なんとなくぼってりとした仕上がりに見える。コンビーフから出る塩味を期待して、あえて味付けなしにしてみた。

これがモデルにした、焼き鳥日高屋のニラ玉

頭の中にあったモデルは、焼き鳥屋で食べたニラ玉だが、やはりプロの手にかかるとルックスが違う。食べてみて気がついたが、出汁(うまみ調味料)とみりん少々(甘さの調整)は使った方が良かった。
まあ、それでも酎ハイを飲みながら食べる酒のつまみとしては及第点だろう。卵は1日1個までとかいう健康標語を昔聞いたような気がする。ただ、一個では寂しすぎる。ドカンと食べる卵焼きは美味いものだし、狂乱の卵値上がりも落ち着いてきているから、キャンプでは(キャンプでも?)好きなものを好きなだけポリシーを貫いて、大いにニラ玉を楽しみたい。
今回は持って行くのを忘れてしまったが、甘めのソース(おこのみ焼き用)がおすすめで、甘めの九州醤油に鰹節たっぷりかけるのも美味い。味変としては海苔を多めに散らすのも好みだ。
キャンプ飯は、気合いで旨くなる。と実感しております。

ソロキャンあれこれ

キャンプ飯 下町カクテル

気温が下がってきたということで衝動的にソロキャンプに出かけた。が、まだ暑いというか猛暑日になってしまい、アテが外れた。それでも、キャンプ場について一息入れて、簡単な設営も終わり焼酎のバイス割りを飲み始めた。
暑い時にはこれが美味い。お江戸ローカルなアルコールドリンクといえば、浅草にある神谷バーの電気ブランがイチオシだと思う。が、その銘酒の裏に隠れてあちこちにある炭酸系の割材が怪しく美味い。
一番メジャーになったのはホッピーで、今ではどこのスーパーでも置いてある。ビールテイストな割材だ。お江戸の先輩に「ビールの搾りかす」と騙されて敬遠していたが、今ではすっかり愛用している。
長く通っていた恵比寿の街ではローカル的に有名なのがホイスで、これは都内のあちこちに散在しているらしい。ホッピーとは異なり、ハイボール系の薄味だ。これもウイスキーの絞りカスとか言われたら信じたかもしれない。当然ながらグビグビと飲める。
そして、どうやらお江戸の東側で局所的な勢力を誇っているのが、このバイスという割材らしい。ほんのりと梅の味がする。
昔の焼き鳥屋で見かけた「梅割り」は、焼酎を梅酒のエキスみたいなもので割ったものだった。それが炭酸割りになっ超な感じだろうか。今で言えば梅サワーの甘くないやつという感じだ。これに氷をたっぷり入れ焼酎を注ぎバイス割りにする。下町の雄らしく、北千住発祥であるIY系のスーパーではよく見かける。
まあ、個人的には好みだが、おおよそジジイの飲み物と言って良い。(多分)

この現代ではありえないほど簡素なデザインのラベルが、今でも現役というのが素晴らしい。そう言えば、ホッピーのラベルもレトロを通り越して簡素だったなあ。これもあと一息間違えば、手抜きデザインと言いたくなるシンプルさだ。

アウトドアでの飲み物として、いくつか準備した。まず、焼酎は冷やした後、保冷ボトルで持ち運ぶ。(ちなみに魔法瓶は死語らしい)氷はブロックアイスを買ってくる。クーラーボックスの中でバイスは冷やしておくとなお良い。
グラスは屋外では使い勝手が悪いので、ステンレスのマグカップ(ロックグラス風)にする。これで氷が溶けにくくなる。暑いとついつい一気飲みしてしまうので、飲むペースにも注意が必要だ。
つまみには、ペンシルカルパス(細身のカルパスの長いやつ)をちびちびと齧りながら飲む。ポテトチップスのような口内脱水系ではなく、干し肉、干しイカなどの噛めば噛むほど旨味が出てくるものが良い。

うー暑いと唸りながら飲む酒は、冷えたビールより氷をたっぷり入れた下町系炭酸ドリンクが良さそうだ。

街を歩く

時代の終わり感がする

自宅近くにあるサンダルで行けるパルコが閉店する。すでに開店から40年が経過して、耐震補強工事の投資に耐えられないそうだ。すでに西武セゾングループから離れたパルコは某百貨店グループの傘下にあり、全国あちこちで閉店が続いている。
自宅のある街は西武グループの本拠地であり、駅前には西武百貨店、隣駅には最大規模の西友、そしてパルコを展開する巨大な商業集積地であり企業城下町だった。
おまけにライオンズ球場もある。西武グループが健在であれば、今頃はサッカースタジアムまで建設されていたのではないか。(多分、大宮からのチーム移動になったとおもっている)

見た目には老朽化したような気配は全くない。低層型2棟の複合ビル施設なので、5階建と今時の商業ビルではめずらしく高さがない。エスカレーターと2棟の連絡通路で行き来すれば、動き回りやすい。
流石に古いこともありバリアフリー対応(ドアの開閉など)は修正が必要なだと思うが、それでもまだまだ現役でいけそうな気がする。駐車場の不足が最大の課題だろう。

アトリウムで繋がれた2棟の施設 左がパルコ 右がレッツと名付けられているのが大店法の名残だ

地元ではパルコ閉店後の商業施設をどうするかで、パルコ継続の請願もあるようだが、関西系の百貨店グループでは、そんな緩い対応はしないだろう。西武百貨店売却で多少世間の注目を集めているIYグループほど問題化しているわけでもない。駅前にあった百貨店もすでにショッピングモールに変容している。
ダイエー対西武セゾンの大激突地であった面影はすでにない。そもそもダイエー自体がほぼ消滅しているし、西武流通系は切り売りされて西武DNAのかけらも残っていない。(ファミマ、西友、西武百貨店、パルコ、カーサーすでに全部売却済みだ)

来年2月に閉まるので、あれこれとバイバイ・イベントが行われるらしい。先週には、町内会の秋祭りでその第一弾が始まったようだ。ありがとうで送られる施設は本望をまっとうしたと言えるのだろうか。西武セゾングループの怨念みたいなものも感じてしまうが。
ライオンズが優勝すると町中でお祝いがはじまり、お祭り騒ぎだったのは、昭和の終わりの頃だった。とりあえずパルコの中にあった書店がなくなると、かなり不便なことになると思っていたが、パルコ向かいにあった某T系書店の閉店後に新しく書店が開店してホッとした。これも街の新陳代謝だと思うが、何やらちょっと寂しいぞ。

街を歩く

熱海駅の風景と学び

熱海の駅の降りたのは十年ぶりくらいだろうか。ただ、熱海に遊びに来たことはない。いつも会社の用事で来ていた。温泉街のそぞろ歩きみたいな体験は一度もない。たまたま、時間がちょっとあったので、熱海駅前を観光客のふりをして歩き回ってみた。
予想していた外国人観光客は思いのほか少ない。温泉が目当てであれば、山の中にある秘境温泉みたいなところの方が、外国人ウケしそうな気もする。熱海の駅前商店街で目立ったのは、高齢者カップル(いかにもという感じがする)と若い女性の二人組だった。
平日の午後だというのに、やたら人がいるのは流石に日本屈指の温泉地だ。が、熱海には海岸で銅像を見る以外に何か見ものがあっただろうか。それが気になる。

これまで何度か熱海に来ていながら、全く気づいていなかった駅前の展示品、軽便鉄道の機関車を見つけた。あまりの小ささに実物だとは思わなかった。鉄オタ的な芸術家が作った立体アートだろうと誤解してしまった。
こんな小さな機関車で、客車や貨物車を引いていたのかと感心した。D51あたりの大型機関車と比べると大人と子供の違いがある。今でば、蒸気機関車というとどこかの公園などに放置されているのがほとんどだろう。動態保存されている車両は、一部の私鉄で運行されている蒸気機関車がほとんどだ。あとは、鉄道博物館に残るくらいだろうか。
ただ、蒸気機関車の走る姿はまさに勇姿だ。煙と蒸気をたなびかせ爆走する。電気で走る列車とは異なる、単純な「力」を感じる。できればこの小さい機関車も復活させてくれないものだろうか。

テレビの鉄オタ番組(?)を見ていると、まだ全国各地に保存されている動かない機関車は多い。ゼロから再生するのは難しいだろうが、部品の再製造、ワンオフでの製作くらいはできるだろう。
こんなことにこそクラウドファンディングが活用されないものだろうか。九州のとある町では、「震電」の復元もクラウドファンディングで行われた。全国の地域おこしグループの方々には、ぜひ再考をお願いしたい。蒸気機関車で町おこしだ。
人気の出ない名産品(特に食べ物系)を開発する前に、人の心を惹きつける動くオブジェクトを作り出すことは重要だと思うのですよね。

書評・映像評

すでに昭和は歴史の彼方

画像はヤングマガジン公式サイトのものです。
明らかにダーク系にみえるが、中身は本当にダークストーリー。

久しぶりに衝撃的なコミックを読んだ。
時代は昭和初期の満洲。歴史的にはほぼ棄民だったと思える満洲開拓団の一員である若者が、戦傷して復員したあとにアヘン商売に手を染める。それを犯罪への加担とするか、人生の転落と見るか。現代の倫理観で言えば明らかに犯罪なのだろうが、当時はアヘンの栽培と販売は国家事業だった。帝国陸軍が最大の麻薬卸だというのだから、暴力団以上の反社会組織だったということになる。
闇のアヘン販売に手をつければ、アヘン商売を仕切る関東軍(帝国陸軍満洲派遣部隊)と青幇(中国の裏社会を牛耳る組織)の双方から追われる身となる。
明治後期の帝国陸軍による犯罪を描いた「ゴールデンカムイ」と似通った設定のようにも見える。「金神」は、それぞれの欲望に塗れた登場人物が、最後にはどんどんと死んでいく、かなりダークな物語だった。
清朝末期から昭和にかけて満洲を描いた名作には浅田次郎作「蒼穹の昴」シリーズがあるが、これも出てくるキャラが皆濃すぎて、おまけにほとんどが悲惨な末路に至る。浅田作品では珍しい、救いの薄い物語だ。
その二作と比べても、こちらの方がよりダークな展開になっている感じだから、少年誌での連載は無理だろうし、青年誌であっても中身はかなり重い。
昭和の満州を舞台に悪逆非道な関東軍、満州経済を仕切る経済博徒な満鉄、国威高揚を狙った宣伝工作に暗躍する満映。中国の裏社会を代表する青幇と悪役は揃いすぎるくらい揃っている。おまけに、中華帝国の中に組み込まれた異民族、モンゴル人が絡み合い複雑な抗争と人間関係が描かれる。
実写化されても映像化が難しいシーンも多い。その上、帝国陸軍を始め満州駐在の日本人は基本的に悪人扱いなので、シナリオ起こし自体が困難な気もする。
貧困だった時代の日本を振り返るという視点は、満州ものの作品に共通するものだが、ここまで日本を悪と突き放したストーリーも他に見た記憶がない。
同様に満州を舞台にしたコミックは村上もとか作「龍ーRON」があるが、こちらは主人公の設定のせいか、明るい物語だった。それと比べると、この満州アヘンスクワッドの暗さは強烈だ。

改めて思うが、昭和初期はすでに100年近く前のことで、すでに歴史的時代扱いになってしまった。某国営放送の大河ドラマでも明治を扱うことはあるが、そろそろ昭和が舞台になる日も近いようだ。敗戦による、あの時代のトラウマを感ずる世代もすでに大半が鬼籍に入り、ようやく感情任せではなく歴史的に語れる時期になったのだろう。
戦争の時代には同じ日本人でも、加害者であるものもいたし、被害者であるものもいたことを、冷静に語る人たちが生まれてきたということだ。
昭和中期には戦争を知らない子供たち、などという免罪符があったが、その方達もすでに後期高齢者となった。
戊辰戦争後の明治政府と昭和の軍閥政権は連続したものなのだが、なぜか昭和の政権だけが切り離されて「悪」として語られることが多いような気がしている。それも敗戦による民族的トラウマなのかもしれない。
悪かったのは日本人(自分達)ではなく軍部だった。暴走した軍部が国を滅ぼし、自分達はその被害者だ。というような解釈が、昭和の時代においては、暗黙の認識だったような気がする。
そのトラウマがない世代(おそらく平成生まれ)が、クリエーターとなって歴史検証を始めた。良作品だと思う。

公式サイトはこちら → https://magazine.yanmaga.jp/c/mas/

書評・映像評

文明再生 にハマる話

画像はオーバーラップ 公式サイトからリンクです
ちなみにどちらも獣耳キャラではありません。イラストと本の中身はだいぶ印象が違うのだけれど。

崩壊した文明を再興するという話が好きだ。一番最初に読んだのは超名作SFであるアジモフ作「銀河帝国の興亡」だった。次に感動したのはライバー作「闇よ落ちるなかれ」だが、これは文明再建というより文明の衰亡を防ぐという話だった。
子供の時に何度も繰り返し読んだ、サバイバルものの典型である「ロビンソン・クルーソー漂流記」がきっかけだったと思う。個人のサバイバルから人類、文明のサバイバルへと興味と関心が移った感じだろうか。
核戦争で荒廃した社会を描く「北斗の拳」よりも、崩壊した文明再建を目指す「Dr.Stone」の方が気に入っている。(どちらもお話としては大変面白い)
なので、この本の題名を見た瞬間、不見転で手に取っていた。題名が素晴らしいの一言に尽きる。「文明再生記」と書かれているのだ。読まずにはいられない。

お話は前世の記憶を持った転生者が、文明崩壊し中世レベルまで後退した社会にうんざりして、なんとか自分の知っている安楽で安全な社会を取り戻そうと悪戦苦闘し始める話だ。
主人公はまだ10歳の少年だが、前世記憶が残るせいか、やたら大人くさい発言をする。子供らしくない子供が、次々と失われた文明の技術を取り戻していくのだが……………というものだ。
文明再興における最大の道具は、本であり、識字率をあげること。つまり教育だというのがメインテーマのようだ。実に楽しいお話ではないか。ワクワクして一気に五巻まで読み切った。続きが早く読みたいのだが。刊行ペースは一年に二冊程度。完結するまでには何年かかることか。良作なのに。

そこでコミカライズされた原作を読もうと探しているが、書店では見かけたことがない。ラノベ作品に特有の事情で、書店の店頭で販売されているのはせいぜい直近半年で発売されたものばかり。ほぼ雑誌扱いなのだ。大長編化しているベストセラー(だいたい三十巻くらいになっているもの)であれば全巻揃っていることもあるが、十巻程度で完結した作品は、まず書店ではお目にかかれない。結局、本が欲しければAmazonで注文するしかない。
棚の数に限りがあるという書店の事情もあるだろう。ただ、おそらくラノベの読者の大半が、「紙の本」ではなくデジタルブックで読んでいるのではないか。となれば、書店に在庫があるかどうかはあまり問題ではない。
自分のことを考えてもコミカライズを読んだ後で原作を読もうとしたら、買う形状は電子書籍だろうなあと思う。便利でお手軽、いつでも買えるし、いつでも読める。

つらつらと考えるに、まさに本屋受難の時代なのだ。だから今回はあえて、「紙の本」を行きつけの書店で注文しようと思っていたら、なんとその本屋も来年では閉まるらしい。困った時代だ。文明再建はデジタルの波で邪魔されてしまうらしい。

「コミックのサイトはこちら →
https://comic-gardo.com/volume/4856001361321536399

原作の特設サイトはこちら →
 https://over-lap.co.jp/narou/865545739/

食べ物レポート, 小売外食業の理論

町中華と麺専門店の立ち位置

山田太郎 酸辣湯麺と鳥唐揚げをセットにしてみた

山田太郎という麺専門店では、定食メニューも存在する。サイドメニューである唐揚げや餃子を定食にして販売している。ただし、これはあくまでも麺業態の余儀であり、飯屋(丼飯とおかずの組み合わせ)になるつもりはないはずだ。
飯屋はすでに本業の山田うどんが、麺類専門店から定食+麺の店に転換して、おまけにうどん屋なのにラーメンを投入した業態変革を完了している。店名も「山田うどん」から「山田うどん食堂」になっている。個人的に見る限りでは、埼玉の最強定食屋ではないか。
その山田太郎で、微妙なサイドメニュー主役争いをしているのが餃子と鳥の唐揚げだ。どちらも人気商品だが、餃子のメリットは原価が低く抑えられるが調理時間が長いこと。唐揚げのメリットは調理に時間がかからないことだ。

サイドアイテムとして餃子に勝てるか

唐揚げの完成度はかなり高い。一般的に鳥唐揚げもも肉を使うことが多い。もも肉に生姜やニンニクなどを使ったタレに漬け込み味付けを施し、ボール状の肉塊をあげる。ただ、衣になにを選ぶかで食感はだいぶ異なる。そのあたりが、店のノウハウということになるのだろう。この店では比較的薄い衣でさっぱりとした感じになっている。
面白いのは唐揚げ単品を注文しても盛り合わせに野菜がついてくることだ。マヨネーズも付いているが、これは野菜向けではなく唐揚げ用調味料だと思われる。さて、この唐揚げと餃子、どちらがサイドアイテムの勝者なのだろう。値段は唐揚げ一個、餃子3個、どちらも140円という手頃な設定だ。実食した結果として、個人的には唐揚げが優勢になりそうな気がする。
複雑なメニュー構成を持つ町中華と比較的絞り込んだメニューで運営できるラーメン専門店では、オペレーションに求める基準が違う。専門店であれば、より単純な工程でできること、調理時間が短いことが重要だ。町中華であれば食数を稼げる低原価アイテムの存在が必須だろう。
餃子の王将が店内手作りにこだわっていたのは、この低原価維持にあったのは間違いない。(すでに餃子は手作りの方がうまいというのは伝説だろうと思っているので)

満洲の9月限定 辛い麻婆茄子

埼玉の町中華である満州は、店名にある通り餃子推しのブランドだ。基本的に全てのセットに餃子がついてくる。注文する客もそれはわかっている。餃子と合わせて食べることを前提に味付け、レシピー設計されているのだろう。
肉もりもり系のメニューが少ない。豚生姜焼きくらいしかない。チャーシューメンはあるが、チャーシュー単品は存在しない。つまり、肉を食いたければ餃子だよ、と暗に言われているのだ。牛肉を使ったメニューもない。昨年には好物だった鳥唐揚げも廃番にされてしまった。(これは悲しい)
つまり、山田太郎とは全く異なる方向感で、餃子専門で唐揚げなしのブランドとして構築されている。月替わりメニューも基本的には野菜が主力の料理になっている。
実に戦略的なメニュー企画、商品開発だろう。町中華でありながら、極めてファストフード的発想でメニューとオペレーションを組み立てている。業界の教科書的存在だろう。

コロナを乗り越えた外食企業の戦いは、値上げと客数減少の防止という二律背反する課題を解決することだ。次の生き残りステージでは、勝ち組同士が激突する。(コロナで生存失敗したブランドはそろそろ淘汰が完了するので)
それを横から観察するだけというのは、楽しいのか悔しいのか、ちょいと微妙だけれど。