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食べ物レポート

ローカルラーメン その2 千歳「赤門」

北海道の空の入り口、千歳空港のある町「千歳市」は、あまり大っぴらに言われることはないが軍都だ。人口は9万7千人。地方中都市といったところだが、陸自と空自の一大基地があり、自衛隊関係者の人口(家族を含め)は、2割を超えるだろう。そのためか千歳空港内のサービス業では従業員の採用が難しい極度な人手不足状態になったりする。(札幌市内よりも実質的な時給は高くなるにもかかわらずだ)

その千歳の町の中心部にあるイオンのフードコートに、なぜかチェーン店ではないラーメン屋がある。フードコートには普通はチェーン店が入る。ラーメン屋でも例外ではなく、チェーン店でなければ、その地域の有名店の支店が入るはずだ。そのちょっとした例外のような店が「赤門」と言うラーメン店。

店頭のメニューを見ればわかるが、推しメニューは味噌ラーメンで、北海道で最近ではなかなか珍しいお値打ち価格というところだ。札幌ではなぜか意外とラーメンの値段が高い。少なくとも北海道のファミリーレストランである「びっくりドンキー」のハンバーグプレートより高い。安さの秘密というほどでもないが、実はこの店は、昔はイオン(当時はサティ)の中で独立したラーメン屋だった。フードコートの改装時に取り込まれた形になっているが、店としての歴史は古いのだ。古典だからこそ、長くやっている店だからこそのお値打ち価格ということか。

味噌ラーメンは、スープの色がいかにも味噌という茶系で、もやしとチャーシューがトッピング。これはちょっと珍しいやり方?で、もやしと挽肉炒めがのっている代わりにチャーシューなしというのが、古いタイプの北海道味噌ラーメンだからだ。流行りのWスープなどはしっかり無視して、濃い味噌味が旨さの秘訣だろう。フードコート内だと、今風のラーメン屋が入りそうなものだが、千歳の町では伝統的なラーメン屋が生き残ったということだ。千歳市民は小学校のうちからこの赤門ラーメンを食べて育ち、北海道の伝統をぜひ受け継いでもらいたいものだ。

ただし、千歳市にはもう一つ名物があり、外道ラーメン(個人的な感想です)であるカレーラーメンが、市内のあちこちで繁殖しているらしい。元祖「味の大王」は、苫小牧のラーメン屋だと思っていたら、住所的には千歳だったから、千歳で一般的になったのも不思議ではないが。この千歳におけるカレーラーメンは、また探索してみるつもりだ。

個人的要望として「赤門」はぜひ長く続いて欲しい。

食べ物レポート

ローカルラーメン 太樹「味の龍月」

北海道の住人でも、この街はどこにあると聞かれたら答えに困る人も多いであろう「大樹町」だが、最近では民間ロケットの打ち上げ実験が報道されている。あの堀江さんが支援するロケット集団「インターステラテクノロジズ」社が打ち上げるロケットの射場がある。十勝平野の南側で太平洋に面しているあたり。ここにスペースシャトル(宇宙往還機)の機場を作る話もあった。SFに登場するスペースシャトルの発着陸には通常の空港の何倍もの長さの滑走路が必要で、日本の既存空港では対応できない。広大な十勝平野であればそれが建設できると言うことだったのだろう。だから、大樹町道の駅も「コスモール大樹」という。(ただ中に入ると宇宙感はほとんどしないのが悲しい)
個人的には、将来には日本の宇宙事業のメッカになって欲しい。(種子島のJAXA射場は遠すぎるので)

そんな大樹町の道の駅の向かいにある食堂で食べたラーメンはなかなかの感動ものだった。
ナルトにお麩にチャーシューにシナチク(メンマとは言いたくない)が乗った醤油ラーメンは、スープも麺も昔のままだ。都会の店ではすっかり進化して、国民食から日本料理B級代表へすっかり垢抜けて行った小洒落た「ラーメン」からは取り残されたような、「レトロ」なラーメンが現役なのだ。北海道でも町の中華料理や食堂では、こうしたラーメンが今も生き残っていて、それがまたうまい。最近の流行には超然とした孤高の一品だ。きっと大樹町以外でもあちこちにこう言うレトロ・ラーメンが生き残っていると思うのだが、ぜひ長生きして欲しい。

名品と言うしかない 醤油ラーメン プレーン

ただ、これは東京の支那そばとは違う、北海道の「ラーメン」と言うものなので、ローカル食であることも間違いない。

旅をする

道の駅 新冠 競争馬の殿堂

襟裳岬の近く、北海道日高地方の海沿いにある新冠という街で道の駅に立ち寄った。
道の駅は、それぞれの地方の特色を持ったお店があることが多いが、ここはびっくりの「競走馬」の世界だった。

最盛期と比べると競馬人気も随分下火になってきたような気がする。デートが府中競馬場なんて時代もあったのだから・・・。
その頃の名馬の「石碑?」がずらっと並べられている。競馬ファンにとっては、一つ一つ眺める価値があるのかもしれないが、競馬ファンとは言い難い身分なので、刻まれた名馬の名前もうろ覚えでしかない。

そして、この道の駅のもう一つの拠点が、レコード館だ。全国から寄贈されたレコードが保管されている。おそらく全国でも屈指のレコード保存施設だろう。音源がレコードからCDに代わり、電子媒体、そして今やオンラインと変わってしまったが、デジタル化されていない音源も多いだろうから、このレコード保管施設は文化財的にとても重要だと思う。

「ハイセイコー」の名前を覚えているひとも少なくなっただろうけれど、この馬が一時期の競馬ブームを作った名馬であったことは間違いない。競馬好きな方だったら、初夏の新冠を訪れるのが良いと思う。緑の草原で闊歩する競走馬を見るのは、なかなか良いものだ。

新冠から襟裳岬まではほんの一走り。

街を歩く

街歩きで気がついた「メニューと看板」について

昔から、カメラ片手に街をふらついて写真を撮っていたが、最近はスマホのおかげで本当に便利になった。デジカメが売れなくなる理由がよくわかる。そんな街歩きで気がついたことのあれこれ。

最近見つけたお気に入りの喫茶店の店頭看板。個人的には色々と注文をつけてみたいところだが、喫茶店でランチという習慣はぜひ復活して欲しいので文句はつけない。
この魅惑のラインアップ。良いですね。オムライスとスパゲッティナポリタンは絶対定番だし、生姜焼きプレートは外せない。カレーとピラフも忘れずにという感じで、そもそもこの喫茶店でランチという看板に引っかかる年代といえば、決して若くないはずだ。少なくとも昭和生まれで、まだスタバが存在しなかった時代に喫茶店をヘビーローテションで使っていた年代だろう。

だから、こうした懐かしのラインアップを見せられると、1回では済まず、2回3回と吸い寄せられるようにきてしまう。そういう麻薬的効果を、ごく一部の客層に及ぼすという意味で、この看板は大変有効だと判断する。一番下にさりげなく載っているコカコーラ瓶入りの写真は、これまた「やられました」感が強いなあ。

茅野市のラーメン屋のメニューは実に力強かった。一押しは味噌ラーメンに棒状の角煮が乗った「ガツン系ラーメン」で、実にストロングスタイルな押し方だ。ただ、標準メニューは一番下のプレーンな「たれ味噌ラーメン」のはずで(普通のラーメン屋であれば)、この強弱の差がすごいと思う。標準品が廉価版というか劣化版というか、そういう見せ方になっているのだ。相当にトッピングの角煮に自信があるのだろう。ただ、注文したのは「タレ味噌ラーメン」で「一本角煮ラーメン」は次回のお愉しにになったけれど。普通のラーメン屋とは違うメニューの見せ方、価格の高い方を標準として見せるというのは参考になるなあ。

北海道地方特有のザンギという食べ物、鳥の唐揚げとは微妙に味付けが違うが、要はフライドチキンと言ってしまえばそれまでの鳥の唐揚げだ。ただ、北海道でも意外と「ザンギ専門店」は少ない。「うまみギュッと・・・」という表現は、どこかで見たような気もするが、ザンギの特徴はよく表せている。そもそも鳥の唐揚げは、全体に茶色で、色のバランスがわるい食べ物だから、広告としてコピー(swん伝文句)で補ってやらないとうまそうに思えない。そこを上手に処理しているので、店頭看板としては優秀作だ。ただし、広告として広域に使う場合は、これだけでは北海道人しかわからないということで補足は必要になるけれど、お店の場所がススキノの外れだから、北海道人限定で「ザンギ」と言い派なしでも良いかもしれない。

全国にあるローカルフードって、観光客に説明するような必要はないような気もするので。

食べ物レポート

野郎ラーメンと桑名の類似性

東京で、一時期ものすごい勢いで出店していた野朗ラーメン。最近はちょっとご無沙汰気味だったが、サイトで店舗数を見たら16店あった。感覚的にはもっと店があったような気がしていたが、あれっ? 意外と少ないな。

チャーシューが素敵な野郎ラーメン

野郎ラーメンの定義?といえば、こってり豚骨、野菜大盛り、太麺でもぐもぐと噛むラーメンといった感じだった。記憶ではもう少し麺が細くても良いのではと思っていたのだが、久しぶりに実食してみると、うーん、麺が太いなあ、もう少し茹でてもらいたいなあだった。全体的に量が多いラーメンなので、食べている途中で麺がだんだん伸びてくるから、これくらいが良いのかもしれないのかなと、頭の中を疑問符が飛び交うまま食べきった。若い人向きであることは間違いない。繊細というより力押しのスープには好みが分かれるところだろう。ただ、これで麺大盛りを頼めば、1日1食で良いというボリューム感であることは間違いない。野菜大盛りもできるので、今日はガツンと食うぞという時には向いている。いってみれば「伝説のすた丼」のラーメン版、ラーメン二郎の進化系ということか。

味噌スープがうまい桑名

そして、野郎ラーメンを食べてから数日後、札幌で「桑名」のラーメンを食べた。札幌で豚骨ラーメンの開祖といえば、この桑名と、あと数店をあげることができる。当時は、まだ豚骨ラーメンが九州ローカル系の、一部にしか広まっていない希少ラーメンだった頃から、札幌で人気があった。その桑名で味噌ラーメンを食べたのだが、あれ、こんなにスープが濃厚だったか? 豚骨ベースがこんなに強かったか?と感じた。スープは強いが味噌味は控えめというちょっと変わったバランスで、昔の記憶にある味とは明らかに違う。減塩した上で、出汁を濃厚に変えたというところか。これが妙に野郎ラーメンのスープに似ている。桑名の麺はやや太めの中太麺で、いわゆる札幌系の縮れ麺だから野郎ラーメンのガッツリ太麺的な要素は全くない。チャーシューも野郎ラーメンは煮豚系の柔らかさで、桑名は硬めの豚くささが残る古典的チャーシュー。簡単にいえば、野郎ラーメンは発展途上の荒さがあり、桑名は完成系の大人しさがあるという感じだ。

類似性があるとは言い難いのだが、妙に食べた後の感じが似ているのは、やはりスープのせいかとも思う。東京と札幌でラーメンのスープが平行進化してこうなったのか、それともどちらも日本のどこかにある、美味しいラーメンを模倣してここまで進化したのか、そのどちらでもあるような気がする。なんと言うか、一つのゴールに向けて収斂していくような、そんな不思議な感想を持った。

ラーメンを食べて哲学的になったのはこれが初めてだが・・・。

食べ物レポート

今は札幌ナンバーワン行列店 彩未

冬なのでしばらくラーメンの話を続けることにした。

今札幌で一番行列ができるラーメンといえば、この「麺屋 彩未」ではないか。テレビ番組などに露出することも多い有名店だ。
最寄りの地下鉄駅から歩いて5分程度、駐車場も併設されているがこの行列にたえられるような台数ではないので、車で行くのは止めた方が良い。タクシーで乗り付けても、都心部からは大した距離でもないが、とにかく行列が凄いので、待ち時間は1時間で済めば御の字ということだ。

開店時でこの行列

店主は、これも名店「すみれ」で修行したとホームページに書いてある。「すみれ」と「純蓮」は兄弟店(のようなもの)なので、札幌のラーメン屋にはこのどちらかの卒業生も多いようだが、個人的には「すみれ」の方が好きだ。どちらの店も表面に油の層ができていて、それがラーメンの熱を逃さない熱々の秘訣といったあたりは同じ。人気店で昼には行列しないと入れない。

生姜が特徴
色はグレー? 味噌ラーメン

さて、彩未のラーメンだが、見た目は味噌ラーメンらしからぬ色だ。正直いってグレーな味噌ラーメンは初めてみたような気がする。味噌ラーメン独特のオレンジに近い茶色のスープを見慣れているだけに、「これは何?」というのが第一感だった。ただ、それ以外は思ったよりオーソドックスな感じの味噌ラーメン。スープがちょっと塩味薄めながら豚骨だしが濃厚という珍しいバランスだ。トッピングとしてのっているおろし生姜を少しずつスープに溶かしながら、味変を楽しむのがおすすめらしい。もともとラーメンスープ、特に豚骨系は生姜が合うとは思っていたが、生姜推しというラーメン屋は珍しい。一つには生姜が原材料としては高いということもあるようだが。最近札幌ではやりの店は、濃厚系Wスープの店が多いようで、それと比べるとシンプルにまとまっている感じだ。

これはぜひ醤油味も食べてみたいと思わせる旨さなのだが、この行列に並ぶことを思うとゲンナリしてしまう。ましてや、冬になってきて雪の中で並ぶのは些いささかしんどい。

雪が溶けたら、再度チャレンジしてみようかと。

お店のサイトはこちら→ https://www.menya-saimi.com/about

書評・映像評

「百姓貴族」 リアルの農家エッセイ

表紙 by Amazon

タイトルには惹かれて手を取ったのは随分前のことで、1・2・3巻と立て続けに読んだ。それから本屋で見かけることもないまま何年かたってしまい、先日平積みされている6巻を見つけて買ってきた。

十勝の農業の話で、「銀の匙」でも書かれていたリアルな農家の生活や経済観が大量出展されている。都会人の「農業幻想」を木っ端微塵に打ち砕くリアルさが良い。この辺りは生き物を扱う牧畜と大規模な畑作(野生動物との戦い)の話であるからだろう。稲作であれば、この手の話題よりも治水問題、水利権争いや共同作業と機械化のぶつかり合いなどが大きな問題になるので、ザックリと言えば人同士の絡みの話になる。それだとそのまんま社会の縮図にしかならないので、絵的には面白くならないかも。などと考えもした。

荒川家の頑丈なお父さんの強靭ぶりもすごいが、「百合根」が投機的に扱われていたという話で、なるほどと肯いていた。確かにバブルの時期は、農作物でもそんな話があった。夕張メロン初競りで信じられないような値段(たしかひ一玉100万円くらいだったような記憶もあるが)がついてニュースになった。夕張は億万長者の街かと思ったものだ。それから10年くらいして、夕張市は破綻したが。

知り合いの農家に聞いたことだが、作付けカレンダーを作るのはお母さん、それに従って畑で働くのがお父さん、だから、農家の収入はお母さんの知恵によって著しく変動するみたいなことだった。農家も女性主導の社会ということだ。(うーん、これは性的差別にはならないと思うが)
この本を読みながらそんなことを思い出していた。確かに、百姓では王様には成れないが、貴族くらいになれる人はいるのだなあ。

https://www.amazon.co.jp/dp/4403671802/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_.dqcEbEVH2GD1

旅をする

ギネスを札幌で

札幌はビールの本場、というのはサッポロビール関係者だけだと思うが、昔はミュンヘン札幌ミルウォーキーなんてCMもあった。北緯四十五度前後がビールを作るには向いているみたいな話だったと思う。札幌にもビヤホールという場所が狸小路二丁目と札幌ビール工場敷地内にあり、確かに出来立てのビールが飲めるありがたいところだ。札幌駅と千歳空港にも銀座ライオンがあり、そこもうまいビールが飲める。

札幌駅1階のレストラン街に、一軒のパブ風ビアハウスがあり、そこはギネス推しという札幌では珍しいエール酒場だ。日本人は透明感の強いピルスナーが好みのようだが、コクという点ではエールがうまいと思う。東京下町では黒ビールを小瓶で、なんて小洒落た飲み方をするおっさんがいるが、札幌ではギネスをちびちびという店が少ない。

メニューは当然ながらギネスによく合う濃いめの洋食がラインナップされている。肉系のつまみが主体で、おまけにワインもメニューに出ているが店内ではみなさんジョッキでグイ飲みだ。

実はこの店は、メニューに書いてはいないが昼のみの穴場で、カウンター席の端の方で大急ぎでランチをかき込んでいるサラリーマンを横目で見ながら、一人優雅にちびちびギネスができる。そんな時のつまみは当然フィッシュアンドチップスだよなーなどと、余裕かました妄想を展開する。札幌らしいのはビーフステーキではなくラムステーキがドーンと大きく出されていることだ。これもまた楽しみ。次回の札幌ではこれをぜひ実現してみよう。

昼ビールは、背徳の極みでありながら、自己解放でもあるのだよね。(言い訳です)

旅をする

帯広の夜は魚がうまい? 内陸都市でさかなとは

帯広は十勝の真ん中で、海には全く面していない。ところが魚居酒屋が乱立する不思議な街だ。和菓子の原材料、小豆、砂糖、小麦、全てが十勝平野で揃う。ついでに乳製品も豊富なので、洋菓子の原材料も揃う。十勝にはお菓子の名店が多い。だからお菓子の街宣言でもすれば良いのにといつも思っているが、実際には帯広名物と言えば豚丼。そして乱立する魚居酒屋。ちょっと不満がある。

その帯広の夜の街を歩くと、もはや全国区の知名度?を持った北の屋台村がある。ここは、レストラン初心者が、安い家賃で半年契約で場所を借りて、お客がついたら屋台村を卒業して自分の店を開くというコンセプトなのだそうだが、中には卒業を嫌がって留年するオーナーもいるらしい。一軒がそれぞれ個性を持った店作り、メニュー作りなので、はしごをするのも楽しいが、逆に小さい店なので、お目当てのところは満席ということもある。

北の屋台村

屋台の前にぶら下がる提灯、行灯が風情をそそる。実は夏の屋台は何度かきていたが、冬の時期は初めてで、妙に寒々しい感じがする。これで雪が降ればまた感じも変わるのだろうが。何やら八代亜紀的世界だ。

この屋台の周りは一大居酒屋街で、看板が帯広風というか妙にでかい。2階3階ぶち抜きの看板などなかなか見ないななどと思いつつ、大衆寿司酒場には思わず笑った。帯広で寿司か・・。ただ、最近は流通が良くなったので、北海道内陸部でも魚はうまいのだ。例えば、釧路根室で上がった魚を札幌まで陸送する。その途中で帯広で荷を下ろせば、札幌より良い段階の魚を仕入れることができる。これは旭川も同じで、オホーツクから札幌に行く途中を中抜きするので、札幌よりも生きがいいと鮨屋の親父が威張っていた。

寿司居酒屋の横には炉端焼きで、これまた賑やかな看板があった。どこの居酒屋でも豚丼は出しているようで、逆に豚丼専門店は中心部では少ない。さすがに北海道内では景気が良いと言われる十勝の中心だけに、飲み屋街も賑わっていた。

そんな元気な帯広の夜の街で、小ぶりな人気居酒屋にふらっと入った。7時からは予約でいっぱいと言われ、それまでならばということでようやく席についた。お目当ては豚丼飯なし、要は蕎麦屋でいう天抜き(天ぷらそばの蕎麦抜き)のようなものだ。このメニューを食べにこの店を選んだのだよね。豚丼のアタマは、ライスと合わせてちょうどよく味付けされているから、ちょっと味が濃すぎるかとも思ったが、酒の肴にはちょうどよかった。出てくる量もジャストサイズというか、あと一切れ二切れ多かったら、持て余したかもしれない。甘辛の豚焼肉は実にうまいぞ。

居酒屋「かかし」で食べた豚丼の頭

そして、えりも産のツブを刺身で注文。ここ数年、えりものつぶ貝は不良続きで、値段は高騰する一方だ。もはや庶民の食べ物とは言いがたい。昔はツブ一個が100円程度、貧乏人の味方だったのだが。それでも、酒の肴に腹いっぱいになるほど食べるわけでもないので我慢するしかない。コリコリとした食感と磯臭い味がツブ貝の持ち味だが、それと肝の苦味が酒にはまたよろしい具合で。それでも、札幌で食べるよりはだいぶお安かった。

襟裳のツブ

次回は帯広で鮨屋に行って鮨屋の豚丼食べてみようか。

旅をする

小樽を散策してみたら

冬になる直前の小樽を散歩してみたが、なぜかこんな寒くても外国人観光客が押し寄せるので、運河方面には出動しないことにした。
駅前を海方向に降っていくと、昔の金融機関の建物が残っている。石造りの堅牢な建物はすでに歴史的建造物なのだが、倉庫街の近くに金融機関があるというのは商都小樽ということの現れか。

安田銀行小樽支店と書かれた銘板だが、すでに安田銀行など存在しない。安田財閥すら消え去ってしまった。(現芙蓉グループが後継ともいえるが)それにもましてすごいのが、案内文が日本語以外に英露中韓の4カ国語で記載されていることで、なんだかこれほどのものは東京でもみない。

その安田銀行跡地も小洒落たレストランとして使われている。時間があればこのレストランでランチでもと思わないでもない。ただし、こうしたところに来るときはそれなりの格好で、それなりの同行者が必要だとは思うのだが。

小樽のアーケード商店街、都通りを歩くと、これまたレトロな光景に出会うことが多い。その中でもお気に入りなのが喫茶店「光」。外見から想像する通りのクラシックな店内にはランプの光があふれている。(ただし店内撮影禁止)
コーヒーを注文すると、これまた実に濃い味のコーヒーが出てくるのだが、北海道特有のカステラという焼き菓子(長崎名物のカステラとは違う食べ物で、焼いたドーナツのような物)がついてくる。

アーケードのあちこちには小樽弁の解説垂れ幕が下がっているのだが、これも今の若い人では相当に死語となっているだろう。全国的に方言(政治的に言い換えると地方言葉というらしい)が薄くなり、消えていきつつある。それでも「なげる」は、現役バリバリな方言で、北海道転勤族が最初に気がつく言葉らしい。あとは「こわい」だろうか。ただ、これの語源は北陸方面らしいので、北海道弁とは言い難い。

もともと北海道は、「外地」つまり植民地扱いだったし、本州、特に東北から北陸にかけての戊辰戦争敗北地域からの移民で出来上がった混成地帯だった。だから、北海道弁といっても各地の方言が入り乱れイントネーションが交雑してできた、いわば人工言語だ。おまけに、函館から日本海側は津軽とほぼ同化していたので(というか津軽漁民が季節的に移動してきて定着化した地域なので北津軽ととか沖津軽とでもいうべき場所だった)、津軽弁と近しい浜言葉が話される。実は、これが行政府が置かれた札幌圏を中心とする地域の住民には、さっぱり理解し難い言葉ともなっている。小樽は、その日本海側文化圏の北端にあたり(厳密には留萌あたりまでが日本海文化圏だろうとも思うが)、札幌とは微妙に言葉が違う。長くなったが、小樽弁と言われるのは、こうした歴史的由来がある代物なのだ。

小樽を支えた産業については、またいつか別稿で。