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旅をする

まるも 続き

久しぶりに訪れた丸もだが、開店してすぐの9時過ぎに行ったせいか、店頭には何も出ていなかった。帰り際に振り返ってみれば、入り口周辺に黒板やら、掲示板やらが色々と出現していた。以前に訪れた時には見かけた記憶がないので、おそらくコロナ対応で積極的にアピールすることにしたのだと推測した・・・。

モーニングセットがあることすら知らなかったが、これまでも訪れていたのは午前中だったはずで、それにもかかわらずお目にかかっていないとすれば、超人気で売り切れていたということなのだろう。トーストで朝食という習慣がないこともある。一般的にモーニングセットに関心が薄いせいだ。それでも、コーヒーを頼むとトーストとゆで卵がつくことがあるくらいは常識として知っているが。マルモにもモーニングがあったのかあ、とちょっと感動した。

マルモの名物がハニートーストであると知ったのは、このメニュー案内をみた後で、ネットで確認した。相当な人気商品らしい。コーヒーを楽しむに特化していたから、メニューをまともにみていなかったことも原因だ。メニュー表をマジマジとみてわかったことは、懐かしのクリームソーダとか、今はどこで飲めるのと言いたいくらいの喫茶メニュー絶滅種、レモンスカッシュが存在していたことだ。ウィンナコーヒーは、スタバなどのバリスタ系コーヒー店で飲めるものなのだろうか。ラテの上にホイップクリームというのはありそうだが。

写真で写っているよりも店内は暗い。本を読むには明かりが足りないと思う。ただ、コーヒーを飲んで静かに時間を過ごすのには居心地が良い空間だ。昔は喫茶店とはタバコの煙とコーヒーの香りが入り混じった大人の空間というイメージがあったが、このご時世ではタバコの煙が消え去り、コーヒーの香りが鮮烈になった。BGMにかかるクラシック音楽以外には、会話すらほとんど聞こえない静寂。大人のちょっとした贅沢、そんなことを思っていた。都内でこんな場所はどれだけ残っているのだろう。

地元所沢では、茜屋珈琲店がいまだに健在なのでありがたいと思っております。

駅弁

松本駅の駅弁 2

発車時刻案内板の中央西線と中央東線という表記は、ひょっとすると松本駅でしかみられない書き方なのではないか、などと変なところで感心してしまった。確かに松本駅は篠ノ井線の駅なのだろうけれど、そのあたりを詳しく書いても旅行者にはわかりにくいだけだろう。そもそも松本駅利用者(訪問者)の立場で考えてみると、新宿から松本経由で長野に行く人がどれだけいるだろうということだ。東京駅から新幹線で長野に行く人が圧倒的に多いだろう。たまたま住まいが八王子で、東京駅に行くよりは、特急あずさに乗って行った方が楽かなあ、と考える人がどれだけいることか。
その上、松本で一旦降りて、また長野を目指すという複雑な行程の旅人しか、この中央東線のお世話になることはないのだ。この時刻案内板には、その辺りのJR関係者の微妙な感覚が表れているような気がする。謎は深いなあ。

松本の駅弁の二つ目は、やはり塩尻の駅弁屋のもの。幕の内弁当風な、ちまちまとしたおかずがたくさん入っているタイプで、ご飯が少なめ。受ける感じとして、在来線でのんびり鉄道旅を楽しみながら、酒のつまみとしてワンカップを片手にどれを食べようかあれこれ悩む、みたいなオッチャン向け商品だ。包装紙に書かれた内容説明を見るだけで楽しくなる。

ところが、ちょっと笑ってしまったのが、包装紙を開けたらなんと違う名前の弁当が出てきた。うーん、色々とツッコミどころはあるが、おそらく弁当箱の在庫を大量に抱えたまま、リニューアルすることにした。そのため、包装紙で名前を隠してしまう作戦、みたいなことだろう。ここは笑って許そうではないか。何年か経てば、在庫処理も終わり新しい箱が登場するに違いない。

そして蓋を開けて中身を見ると、いやはや、傑作だった。これだけあれば、ワンカップどころか酒の2杯や3杯は飲めそうだ。これまでは鳥取駅「とっとりの居酒屋」と弘前で買った「津軽の弁当お魚だらけ」が駅弁界の二大酒のつまみ駅弁だと思っていた。その酒のつまみ弁当についに新規認定するものが現れた。これで、三大酒のつまみ弁当になる。
個人的には、卵焼きと蒲鉾の組み合わせはあまりに幕の内弁当っぽいので評価が下がるが、世の中にはこの二品が弁当の絶対定番と思う人もいるだろうし、文句をつけようとは思わない。かの名作、横浜シウマイ弁当にも卵焼きとかまぼこはセットされている。弁当界の定石と諦めよう。
塩尻定番の山賊焼と、キノコの酢の物あたりがご当地感、山国感を強く打ち出している。あきらかに塩尻の駅弁はハイレベルだった。実はこの弁当屋の釜飯も食べてみたいのだが、それはいつの日にか。釜飯の傑作、横川の釜飯と匹敵しそうな予感はしているのだが。

食べ物レポート

信州らうめん ここにあり?

この店で初めてラーメンを食べたのは10年以上前のことだ。当時、何度目かのラーメンブームが起きていて、コミック「美味しんぼう」に触発されたグルメ漫画がラーメンを大きく取り上げていた頃だったと思う。ご当地らーめんが爆発的に広められ、札幌ラーメンのようなチェーン店化されてシステムが広がっていった。その一方で次々と新ご当地ラーメンの後継者が出没していた。
会津喜多方ラーメンが走りで、京都ラーメン、尾道ラーメンなどなど百花繚乱だった。そこに九州系豚骨ラーメンが暴力的に殴り込んできて、日本中あっという間にとんこつブームになった。そんなご当地ラーメンブームの中、なぜかほとんど取り上げられなかったのが信州ラーメンで、確かに信州といえばそば王国だしな、という思い込みが強かったのだろう。その信州松本で行列のできるラーメン屋としてぶいぶいと言っていたのが(個人的な感想です)この店だった。そのときの食べた記憶は濃厚な味噌ラーメンだなあというもので、信州味噌を使うとこんなアレンジになるのかという程度だった。

お蔵を改造したと思しき店内は意外と狭く厨房とカウンターでできている。入り口にある自動販売機で食券を買う。席につく。ラーメンが出てくるのを待つ。というシンプルの極みな動線だ。夜の8時過ぎで店内には誰もいない。超がつく繁盛店でもこんな感じになってしまうのか、と寂しい気分になってしまった。午後8時というまだまだ夜も浅い時間で店内独り占めだった。

券売機で人気NO1と書かれていたみそラーメンプレーン。追加トッピングもなし、味変もなし。シンプルの極みだが、まず初見のラーメン店ではプレーンを注文するものだと決めている。初見ではないが、味をすっかり忘れているので、ここはやはりプレーンが正解だろう。

明らかに見た目がコッテリ系のスープで、食べてみればコラーゲンでどろっとした濃厚な豚骨スープだった。それに負けない味噌の味の強さで、ああ、この味だったと思い出した。スープの強さに負けない味噌の強さとなれば、結果的に塩味が強くなる。そこに太めの麺を放り込むことで味のバランスをとっているが、これが10年以上前に完成していたというのがすごい。チャーシュー、メンマどちらも今風の高水準なもので、特にメンマは特筆ものだった。柔らかくて長めのメンマがたっぷり入り、太めの麺とのかみごたえ対比がたまらない。チャーシューもとろとろ系というよりふわふわ系の柔らかさだった。
いやあ、もしこれが10年前から変わっていないとすれば、当時はどれだけ先進的ならーめんだったのだろう。おそらく、毎年すこしずつ改良されているはずだから、10年前はちょっと違うものだった可能性が高いが。

「麺匠」を看板にするだけあって、素晴らしい一品だった。「らうめん」を名乗る店に外れなしの法則は正しいのかなあ。

旅をする

ゴールデン酒場 本店らしいぞ

つなぐ横丁で焼き鳥を平らげた後、街をフラフラしていたら、あの気になる店「ゴールデン酒場」に巡り合った。キンキラキンに輝く看板を眺めていれば、馬刺しの文字があるではないか。おまけに店頭のれんは「肴」「呑」「飯」と、積極的にこちらの胃袋を責めてくる。上手な店作りだなと感心した。
そして、馬刺しに飢えていて街を彷徨っていただけに、ほぼノータイムで暖簾をくぐった。店内は完全開放型で、入り口から開けっ広げというか、ほぼ外で飲んでいる雰囲気だった。浅草の浅草寺西側、町外れにある商店街の飲み屋がこんな感じで、路上にはみ出る客までいるアウトドア飲み屋だった。松本も負けてはいないらしい。ただ、冬はこのスタイルは無理だろう。

まだ熱燗が恋しい気温ではないが、ここはあえて松本の地酒を熱燗で注文した。ちょっと甘めで、懐かし系の日本酒だった。昭和の酒は大手メーカーも地元の酒造所も、みんなこんな感じの甘めの酒だった。焼き鳥によく合うのはこの手の日本酒だと、当時は思っていたが、今はちょっと違う感じがしている。好みとして甘すぎるからだが、平成時代に日本酒の作りが劇的に進化したため、そこから取り残されたように元二級酒を売っている蔵の酒はどこか懐かしい。二級酒探しは酒造りが盛んな場所を旅をするときの楽しみの一つだ。

馬刺しは、今やスーパーでも売っているくらいポピュラーな食べ物になったが、ほんの20年ほど前までは、わざわざ名産地まで食べに行く代物だった。福岡で熊本から直送だから美味いですよ、と言われて食べた馬刺しは確かにうまかった。血の味がする野性味と濃厚な脂が熊本馬刺しの第一印象で、それを九州特有の甘い醤油で食べる。これは焼酎によく合うぞと思った。
その後しばらくして、信州馬刺しを食べたとき、油よりも旨みを感じるというか、血の味、鉄の味に甘さが混じり込んだようなかんじだった。生姜醤油で食べるとさっぱりして、これは濃口の日本酒が良さそうだと思った。
久しぶりに信州馬刺しを食べたが、やはり旨味が引き立つさっぱり系だった。生姜で食べるのが定番だが、ここはちょっと変化球でニンニクスライスで食べてみたいななどと思ってしまった。高知のカツオの食べ方だが、ねっとりとしたカツオと鉄分の味が馬刺しに重なったせいだ。
常連となって通い続ければ、そんな面倒な注文も受けてくれそうだが、初見では失礼だろう。レモンスライスは、馬刺しに絞りかけるのではなく、馬刺し最後の一切れを楽しんだ後、まとめて口の中に放り込んで酸味でお口直しとした。
もう一つか二つ、つまみを注文したいと思ったのだが、カウンター席は外気オープンで喫煙可能席だった。両サイドに愛煙家が席につき、少々耐え難い環境となり早めに退散した。11月くらいまでは寒さをあまり感じないで楽しく飲めそうだなあ。でも、夏は暑いし蚊がよってきそうだななどと考えながらお店を出た。

名店でした。

街を歩く

台湾カステラ って台湾生まれですか

松本城に行く手前で、夜歩きをした飲み屋街を昼に歩き回ってみた。蕎麦屋で昼飯にしようと蕎麦屋を物色していたのだが。

そこで発見したのが「王様のカステラ」の看板だっった。松本では台湾カステラがブームになっているのかなと、看板をよくよくみてみたいたら・・・。なんと中華料理屋のコロナ対策で、台湾スイーツの販売を始めたらしいことに気がついた。まあ、あくまで個人的な推測だが。
台湾スイーツはここしばらく流行中と聞いていたので、松本にも台湾甘味が押し寄せてきたのか。おしゃれな街だから、そういう流行ものも当たるのだろうか。

開店前なのに入り口にはメニュー看板が並んでいた。やはり一階は中華料理の店だし、二階は別入り口のようだが、店としては一緒なのかなあ。10月も営業と書いてあるのだから、本当は緊急事態宣言うんぬんでの客数減少への期間限定対策だったのかもしれない。こちらもSTAY HOMEボケで流行り物情報に疎くなっているが、台湾カステラはあちこちで売られているのだろうか。
台湾ラーメンや台湾まぜそばなら詳しいが、台湾カステラはしらんもんねえ。渋谷とか原宿あたりに行けば、行列のできる店がありそうな気もする。唯一知りたいのは、台湾カステラは台湾で売られている純正品なのだろうかということだ。台湾ラーメンや台湾まぜそばは日本の名古屋がルーツの、台湾では食べることができない国産メニューだから、どうもその辺りが気になるのだが。

旅をする

つなぐ横丁の猥雑な感じ

つなぐ横丁の中は小ぶりな店がぎっしりと詰め込まれた、昭和レトロ的空間で、昭和時代の居酒屋を知っている人間からすると、「あーこれこれ、こんな店、よくあったよね」という感想になる。

業種がなんでもありなので、台湾の夜市的なバラバラさというかカオスな感じもするのが楽しい。丸い椅子とパイプ足のテーブルなどもはや死物だと思っていたが。

メニュー板を見るだけでも楽しいが、出てくる酒もなんでもあり。ワインにカクテル、泡盛に日本酒、まさにカオスだ。そう言えば一時期大ヒットだった肉寿司も最近は見かけなくなったと思っていたが、この店ではしっかり現役だ。

平成生まれにとってはこの猥雑感が新鮮なのだろう。昭和生まれにとっては、時代に奪って変わられ消滅していった業態が、ゾンビのように復活した感じもする。アサヒ生ビールは、当時キリンのラガーに対抗するべくキラーコンテンツとして投入され人気があったビールだ。今では生ボールが当たり前で、スーパードライがアサヒの代名詞なのとは、隔世の感がある。最近、アサヒの生ビール缶が発売即売り切れになったとニュースで見た。アサヒ生を懐かしむ世代が買い占めたのか、それともレトロ感に引かれた若者に人気が出たのか。その辺の動向を知りたい気がする。

焼き鳥屋のつくねには2大流派があり、この写真のようにバー状のものをつくねと呼ぶ流派と、丸い団子が3個刺さっている「串団子」ならぬ肉団子を捏と呼ぶ派が業界を分けている。焼き鳥屋でこのつくねの形状の話をすると、どちらの流派でもうちが本物と説教された経験があるので、これは業界のタブーであると思っている。
個人的には団子派なのだが、業界主流はこのバー式つくねのようだ。火通りというか焼き方を考えると、このバー状の方が合理的な形であるように思うが。バー状つくねには卵の黄身を合わせて食べることも多い。団子型つくねの場合、卵の黄身はついてこないようだ。

横丁内の店を見て歩いて発見した「商標登録 ゴールデン酒場」の看板にひきつけられた。一般名詞「ゴールデン」+「酒場」で商標登録できるのかというビジネス的な疑問だった。まあ、語感としてはそそられる。ゴールデンと言いながら、チープシックな感じというか、あまり高級感が感じられないのが良い。
「ゴールデン酒場ねえ、ふふふ」となんだかウキウキしてくるのが不思議だ。新宿とか渋谷に昔あったよねえ、という感じがするし、池袋なら今でもありそうだ。やはり「ゴールデン」という言葉は昭和オヤジの反応率が高いのだな。

駅弁

松本駅の駅弁 

松本と聞くと、昭和歌謡の名作で歌われた新宿発「あずさ2号」のイメージが強く、中央本線の駅だと思い込んでいた。よくよくJR 路線図を確かめると、中央本線は松本の手前、塩尻駅で名古屋方向に向かう。松本駅は塩尻と長野を結ぶ中間点の扱いだった。北アルプス方面の山登りや上高地観光に行く場合は、この松本駅が鉄道乗り換え地点に当たるのだが、それでもあずさ2号が通ると思い込んでいた中央本線駅とは違う。篠ノ井線だった。しかし中央本線の駅ではないが、あずさは通る。全く自分の思い込みの記憶違いだ。
ちなみに新宿発のあずさ号で松本までは2時間40分ほど。東海道新幹線で言えば東京・新大阪が2時間半程度だから、感覚的には松本と大阪は同じくらいの距離になる。だからブレイクハートで旅に出ると、信州松本は程よい距離になる。これが甲府ではちょっと近すぎるし、八王子や高雄ではお手軽すぎる。松本の先、長野まで目指せばどうだと言いたくなるが、長野だと心理的、感覚的にちょっと遠すぎるみたいなところか。昭和歌謡をよく知らない人は、狩人、あずさ2号で検索して歌詞を調べてみると理解できるはずだ。

与太話はさておき、松本駅は駅の規模の割に駅弁の種類が豊富だと思う。東北新幹線や北陸新幹線各駅でも、これ程の駅弁ラインナップを持つところは少ないはずだ。その理由は、松本駅の駅弁と中央本線塩尻駅の駅弁が販売されているからだ。東京と横浜の駅弁が並ぶ品川駅みたいなものだろう。駅弁の種類が豊富で選ぶのに困ってしまう。
おまけにもう一つ困るのが、改札口の中に駅弁売り場があり、土産として駅弁を買うためには入場券が必要になるということだ。仙台駅では改札の外に駅弁専門店があるので便利だった。札幌駅、盛岡駅、京都駅、広島駅も改札外で駅弁が買える。東京駅の「祭」は改札内、新宿駅、品川駅も改札内だから、駅によって駅弁販売の対応はさまざまなので文句を言っても仕方がないか。

改札の外にある駅弁ポスター 入場券販売強化を狙うJRの陰謀のような気がする

今回のお目当ては「とりめし」で、弁当の包装紙にあるように塩尻市の弁当屋さんのものだ。鳥のイラストもゆるい感じでほのぼの感があるが、このご時世で税込み700円というのはずいぶんと張り切った値付けだ。ただ、この駅弁は歴史が長いようで、ずっと前から革新的な値付けだったのだろう。ちなみに700円の駅弁として記憶に残っているのは横川の釜飯だが、30年ほど前になる。釜飯はコンビニ弁当の2倍だなという記憶なので、現在の横川の釜飯1000円も似たような価格設定ということになる。
そうなると、このとりめしのお値段はすごいものなのだ。おまけに信州特産野沢菜入りと大きく書かれているが、野沢菜たっぷりが信州人に効き目のある言葉とは思えないので、県外人向け商品なのだろうと推理する。圧倒的な価格戦闘力と、ローカル食材アピールは素晴らしいマーケティングセンスだ。

蓋を開けると、鶏そぼろと鶏肉のW鳥パワーで攻めてくる。野沢菜もたっぷりと言うか、もはやこれは主役級の量で、とり野沢菜メシと言った方が良いくらいだ。紅生姜程度の量であれば、添え物として奥ゆかしい。そして、味違いを楽しむ名脇役になる。ところが、この野沢菜の量は暴力的で、主役を食ってしまうWヒロイン的な強烈さだ。しかもうまい。野沢菜というとすっきりとした浅漬け、時間をおいて発酵した古漬け、どちらも捨て難いうまさだとは思う。が、このとりめしに乗った野沢菜はもう一つの変化系野沢菜で、濃い味付きの野沢菜炒めだった。

結論だが、このとりめしは反則級にうまい素晴らしい駅弁で、できればあずさ10号(例の昭和歌謡のあずさ2号はすでに廃止されている)で新宿駅まで運んできて、新宿駅の駅弁専門店で売って欲しい。今でも、山梨の駅弁は売っているのだから、ぜひ駅弁屋さんとJRの方、ご検討ください。

旅をする

松本の夜歩き そぞろ歩き

松本駅前を日暮どきにぶらぶらしてみた。写真の通りに、松本駅には高層駅ビルがない。JRの駅前開発の主力が新幹線駅であることは間違いない。だから在来線の駅にはあまり力が入らないのだろうな、ということは理解できる。
北陸新幹線が開通したこともあり、在来線しか通っていない地方中核都市はもはや数少ない。南北に眺めてみても、県庁所在位置は概ね新幹線が通っている。新幹線が通らない県庁所在地を思い浮かべると、関東近郊では山梨県甲府、日本海側で福井県福井、鳥取県鳥取、島根県松江、関西方面で奈良、和歌山、三重県津。四国は4県ともアウトで、九州が長崎(これはもうすぐ通る)、大分と宮崎。
こうして並べてみれば、確かにどの駅も高層駅ビルとは無縁なようだ。奈良だけは駅横にビルが立っていたが、それ以外の都市ではは3−4階立てが多いような気がする。ただし、旅をするものから見れば、これくらいの大きさの方、低層ビルくらいが駅らしい。

地方中核都市では、駅前と旧市街に二つの繁華街があることが多い。松本もそれに近い。駅前の飲み屋街には全国展開をするチェーン店が多い。お城の裏手?に当たる一角には古い居酒屋や「女性の接待が伴う飲料主体」の店がある。旧市街は地元民が中心で、駅前繁華街はビジネスホテルも多く、観光客と出張サラリーマンが中心になるのかもしれない。しかし、夕方だというのに人通りが少なすぎる気もした。まあ、ご時世というもので、旅をする人が少ないよりも、飲酒という行為が社会的に歓迎されていないだけなのかもしれない。

駅前すぐの一等地にあったハイボールバーは、かなりオシャレ感が高い。ドアも開け放たれ開放感がある。まだ、夕方は暖かい時期なので、こういう場所で飲むのは良いなあと思うのだが。

そこから100mは慣れれば、なんと魚居酒屋があった。この山国松本で、なぜ魚?と突っ込みたくなるが、それはあくまで観光客、ビジター目線の考え方だろう。松本市民だって魚は好物だろうし、この物流網が整った現代日本では、日本海側の漁港からであれば、2時間もかからず新鮮な魚の配送は可能で、朝に水揚げされた魚が夕方には提供可能、つまり港町で食べるのと松本で食べるタイミングに差があるわけではない。そんな具合に納得はできる。ただ、松本で刺身で乾杯という気分にはならないのも確かだ。だから地元客専用のお店だろう。

似たような話が記憶にある。昔々、沖縄に出張して仕事先の方と会食をした。その場所が鮨屋で、いったいどんな沖縄の魚が食べられるのだろうと期待していたら、「うちの魚は全部築地から空輸している」と職人さんに威張られて、気が遠くなった。たしかに沖縄の人にとっては、築地から空輸した魚といえば高級品という意味になっているはずだ。それを理解できないことはないのだが。あの大きい青い熱帯魚みたいなやつの刺身食べてみたかったのだよね。

ビルとビルの間にできていた小路に、下がっている赤提灯が飲む気をそそる。入り口の前に止めてある自転車が、町の飲み屋という感じがする。こんな街で暮らしてみたいと思わせる、風情のある光景なのでありました。

旅をする

珈琲まるも

松本駅から松本城に向かうと、途中で小さな川を渡る事になる。川筋沿いに土産物などの店が立ち並ぶのはお城側で、反対側はちょっと趣の異なる店、飲食店などがバラけた感じで広がっている。中町通という昔ながらの商店街のようだ。その外れに近いところにあるのが、美しい喫茶店と絶賛評価している「珈琲 まるも」だ。2年ぶりに訪れたのだが、コロナのご時世に関わらず相変わらずにしっかり営業を続けていた。実にめでたい。

頼むのはブレンドコーヒー一択なので、他のドリンクの味は知らない。次こそは試してみようと思いながら、あいかわらずのブラックコーヒーにしてしまう。コーヒーの味は、酸味が強めで濃い。スタバなどのコーヒーとはちょっと違う。ジャパニーズコーヒーとでもいうべき、砂糖とクリームが合う濃い味なのだろう。それでもブラックで飲むのは、高校生の頃からの好みなので死ぬまで変わらないと思う。砂糖とクリーム入りのコーヒーを最後に飲んだのはいつだろう。おそらく30年近く前にスタバが日本で開き始めた頃、試しに飲んだカフェラテが最後の砂糖・クリーム入りコーヒーではないか。

店内は随所にコロナ対策がとられているが、もともと空間を贅沢に使った喫茶店で、混雑すると言っても隣の客とは随分離れている。今回も窓際のテーブルを独り占めした。ここは障子越しに漏れてくる明かりが心地よい。本を読むにはくらいが、コーヒーをひっそりと飲むにはちょうど良い。障子越しの間接照明は、残しておきたい日本の文化の一つだ。自宅にも障子のある部屋は一つだけ。今は、窓ガラス越しの直接照明が主流の時代だから余計に障子越しの明かりが気になってしまう。

初めてこの店に来た時から、一度はまるも旅館に泊まってみたいと思い続けている。やはり、思い切って今年は「旅館」に泊まってみようか。この喫茶店の周りには、中町通りを中心に洋食屋、蕎麦屋、焼き鳥屋、うなぎなどなど松本のうまいもの店がずらっと揃っている。秋の夜長を旅先の和室で過ごすのも良いか。

街を歩く, 旅をする

松本名物は「あめ」

おしゃれな外観 まるでブティック

ホテルのモニターに観光案内がつながっていて、ホテルから徒歩圏の観光名所が載っていた。それとは別に松本の名物みたいな情報も載っていて、つらつらと眺めていたら、松本名物は「飴」とのことだ。お城と並ぶ名物らしい。ずっと知らなかった。そこでネットで松本の飴屋を調べると、なんと相当な数の飴屋が存在するらしい。そこでお城の近くの飴屋に行ってみることにした。

潔い看板で、売り物が一眼でわかる。すばらしい。松本が何故あめで有名になったのかわわからないままだが、サトウキビの産地だったということもなさそうだし。原料が水飴だったとしたら、味噌、醤油、酒などの発酵所関連の技術かもしれない。

店内に入ったら従業員の方がいないので暫し待っていた。その間に撮ったのがこの「神飴」の看板。最初は左から読んでしまい「飴の神様っていったいだれだ?」などと考え込んでいたが、ふと気がついた。これは右から読むのだ。そうなると、このお店の飴がとてつもなく美味しいのだという意味になる。実に楽しみだ。そのうまそうな飴を一箱買い込み、これは土産ではなく自分で食べようと決心した。うまいものはシェアする前に、まず自分で確かめておくべきだという、心優しい決意だ。しかし、本当に松本はオシャレな街なのだな。