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街を歩く, 食べ物レポート

タイムスリップ感をあじわう

札幌の副都心と言われる新札幌地区にあるラーメン店を贔屓にしている。そのあたりに行く機会があれば、だいたい立ち寄ることにしている。昔っぽい味のラーメンが売り物だ。店内は昭和中期のおもちゃや看板などが陳列掲示されていて、いわゆる昭和レトロ推しな店だ。
今では消失した炭鉱町の名物食堂で提供されていたラーメンを復刻しているから、まさにThe 昭和 で間違いない。
ただ、今回も懐かしラーメンを食べにいったら、店頭看板の上に貼られた「昭和の良き時代の店です」という文言にちょっと引っかかってしまった。別に文句をつけるつもりはないのだが、昭和の最終期や平成生まれの人にとって、昭和とは自分の記憶にない未体験時代だろうから、江戸時代とか鎌倉時代と同じ程度の「想像の世界、時代」でしかないはずだ。そうなると昭和が良き時代だったと思えるのだろうか。
知らない時代=良い時代にはならないだろうし、そうなると自分たちの親や祖父母が生きていた時代の話を聞いた結果、昭和は良い時代だったのねということになるのだろうか。
リアルに昭和を生きてきた世代、昭和初期生まれ、昭和中期生まれの世代は、今やすっかり高齢者層であり、ましてやその大半は後期高齢者、要介護高齢者ではないか。その世代にとって昭和が良い世代かどうかはそれぞれの思いがあるだろうが、少なくとも自力で外出が難しい世代であり、昭和を懐かしむために外出するのは難しい人が多いことは推測できる。
そうなるとリアル昭和を知っていて、それにノスタルジーを感じる世代は客層として極めて少数になるのではないか。
とすれば、経営上の課題として考えるべき主たる客層は、やはりリアルな昭和を知らない世代になるであろう。かれらが昭和に感じるものはノスタルジーではなく、タイムスリップ感、自分の知らない日本を体験してみたいという気分ではないだろうか。加えて言うと、昭和リアル体験のない世代にとって、昭和世界とはハリポタ的なファンタジー世界、ドラクエ的なRPGゲームの中に登場する仮想世界みたいなものではないのかと思う。
そんなことを看板の前で立ち止まり考え始めてしまった。まったく「いかん、いかん」だ。我は時代の考察をしに来たのではなく、ラーメンを食べにきたのだぞ、とセルフツッコミをした上で自己反省をする。

今回は3種類ある昭和の醤油ラーメンのうち、初代が作っていた元祖なラーメンにしてみた。当然、リアル昭和体験があるから、「そうそう、この味だよね、なつかしー」と感動しながら食べてしまう。メンマではなく支那竹が乗っていると言いたい。赤い渦巻きのナルトが乗っているが、昔より厚切りだと感心した。昔は輪切りのゆで卵が一切れだけ乗っていたが、今では丸々一個乗っているのが嬉しいと言いたい。チャーシューは明らかに昔のものよりうまい。しっかりと肉々しい味がする。そして、北海道ラーメンの絶対的トッピング「お麩」が乗っているのが実に懐かしい。などなどノスタルジー的な感激どころが満載なラーメンなのだ。
ただ、やはりこういう楽しみ方はリアル昭和体験世代の特権というか、罠のようなもので、昭和を知らない世代には楽しみようがない。今後滅びゆく種族を相手にしたノスタルジー商売はどうにもお勧めできないなと思う。
だからこの店はノスタルジーではなく「タイムスリップ感」を売り物にして、長く営業を続けていて欲しい。滅びゆく世代の一員としてそんなことを思うのだが、美味しいラーメンを食べるには余計な情報でもあるようだ。
次に来る時には、2代目が作ったというラーメンと給食セット(アルミの弁当箱に入ったライス+おかずセット)にしよう。

ちなみにセルロイドやブリキのおもちゃというのは、もはやどこにいったら売っているのだろうか。全国チェーンの駄菓子屋でも見かけないなあ。Amazonあたりで売っているのかな………

食べ物レポート

簡便食としての鮨がほろ苦い

今回は切り身が大きい もう少し細めに切ってある日もある 個人的には細め切りが好みであります

日本三大がっかり観光名所に選ばれている?旧農学校の脇に、よく行く鮨屋がある。一時期は外国人観光客に占拠されていたが、ここ数年は比較的空いていて待ち時間も15分程度で入れることが多い。ただ、ここしばらくは日本人観光客が急増してランチタイムは、また待ち時間が伸びてきている。お店にとってはようやく苦難の時期が終わったということだろう。
いつものサーモンユッケを頼みながら軽く酒を飲む。今日は何を摘もうかとメニューを見ていて気がついた。なんと、握り鮨が全面的に値上がりしている。特に自分の好みのネタが絶望的な価格上昇をしている。悲しい。が、このご時世だし値上げもせずに店が潰れてしまうくらいなら、値上げをしてもお店を続けて欲しい。
お店も苦しいだろうが、客も苦しい。お互いに助け合って生きていこう、などと悲壮な(笑)決意をしてしまった。

相変わらずのイカ・鯖連合で注文したが、イカも鯖も高級魚の一角に食い込んできた。本来の高級ネタである鮑は注文するのに抵抗がある値段になってしまったので、今回は泣く泣くパスした。それでも握り鮨が「うまくて、早い」というジャパニーズ・ファストフードとして王者の地位にあることには変わりがない。「安い」というポジションだけは危なくなってきているが、それでもすでにラーメンは1000円時代だし、街の蕎麦屋でもりそばが1000円越えをする時期も近そうだ。ハンバーガーもテレビ宣伝に出てくる巨大系バーガーはすでに単品600円越えだから、鮨だけが高いということでもない。
平成で刷り込まれた「物価の上がらない世界観」は破綻しつつあるのだが、それを認めたくないダメオヤジのぼやきと自省するしかない。スーパーで売っている機械製造の握り寿司パックもすでに1000円越えしているし、たまに職人さんが握る鮨を食べにくるのはささやかな贅沢として許されるはずだ。ただ、その時はやはり勘弁食として鮨を4-5貫摘んでさっと帰るのが、インフレ時代の大人のお作法かもしれないなあ。

街を歩く

コロナの落とし子

京都の名物お菓子といえば、生八橋と短絡的に思っていた。高校生の時に行った修学旅行以来の刷り込み記憶だ。30代になり仕事の関係で京都に訪れることが増え、いろいろと現地の方に教えてもらい、お土産のレパートリーが増えた。その中でいちばんのお気に入りがスグキ(丸のまま)の漬物で、これは日本の発酵文化として一つの頂点であるとまで思っている。
これに続く発酵ものといえば、飛騨高山で売られているカブの千枚漬けだろうか。あえて加えると北海道のニシン漬けが古くなったものくらいだ。
ただ、京都の菓子という観点で言えば、「阿闍梨餅」(あじゃりもち)に尽きる。京都駅横の百貨店でも、この菓子の販売店はいつも長蛇の行列で、新幹線の時間に余裕がない時は諦めるしかない。

もちっとした皮の部分がうまさの秘訣だろう

その阿闍梨餅だが、お江戸でも日本橋の三越、高島屋などでは週に一回程度販売されることがある。ただ、ここでも人気商品らしくあっという間に売り切れるらしい。日本橋に和菓子を買いに行き、おまけに行列までして買いにいくというのもゾッとしないので、基本的には諦めているのだが。
ところが感染症拡大期、さすがの京都も観光客が激減して土産物屋も大変だったようだ。当然、人気の和菓子屋もあれこれ対策が必要だったことは理解できる。その結果、なんと自宅近くにある元・百貨店の諸国名物販売コーナーに月に何度か全国の名物菓子が並ぶようになった。その中に、これまた驚異というしかないのだが、阿闍梨餅がラインナップに入ってきた。
どうも埼玉のハズレの街では阿闍梨餅の知名度が低すぎるのか、行列して買う必要はない。ワゴンの上に山盛りの積まれているので、個数制限もない。欲しいだけ買える。これは本場の京都でも体験できない天国プランだろう。この3年間でいったい何度阿闍梨餅を楽しんだことだろう。感謝だ。

コロナが終息しつつある時期になり、観光客が有名観光地を中心に急回復しているそうだが、そうなると我が地元で阿闍梨餅を売る必要もなくなるだろうと思っていた。それはちょっと残念だが仕方がないことだとも思う。
ところが、どうやら月に何度かの遠征販売は今後も継続されるらしい。ありがたいことだ。おまけにこの遠征販売のローテーションの中には、浅草の亀十のどら焼き含まれている。浅草の名物どら焼きは店頭で並んでも買えない人気商品だった。おそらく今頃は昔のように大行列ができていたり、早い時間に売り切れているのだろうから、地元で並ばずに買えるのは「素敵なこと」だ。苦しい時期に販売してくれていた拠点を、平常モードになったからと言って切り捨てはしないということだと推測する。真っ当な商道徳は今でも生きているようだ。
いろいろとあった感染症の3年だったが、良い落とし子がないわけでもないということだろうか。埼玉のハズレの街で、少しだけ幸せなことが増えたのは間違いない。

街を歩く

北の街で変わっていたこと

北の街の都心部に桜が咲いていた。普段は何も気が付かずに歩いていたが、中心部の街路樹が桜に変わっていたのはいつからのことだろうか。確かに花が散った後の桜は、よくよく観察しなければただの街路樹だろう。気が付かなかったのも無理はないか。
冬のライトアップされた街並みはすぐ気がつくが、街路樹の花はタイミングが合わないと見ることも叶わないから仕方がないと言い訳する。街の街路樹が全部桜になったらさぞかし綺麗だろうなと思うが、桜の木は手入れが大変なのだろうか。

北の街で最大のランドマークである「ぽんぽこシャンゼリゼ」で、建設中だったビルが竣工間近になり、囲いの工事壁が撤去されていた。地下街から直結する巨大ビルは、新設される水族館が売り物らしい。もしここにオホーツク名物のオオカミウオが飼育されることになったら、結構な頻度で通うことになりそうだ。これまでオオカミウオを見るには隣の港町にある水族館に行くしかなかったのだが、この都心部で会えるとしたら、それはかなり素敵なことではないか。
ちなみにオオカミウオはその名に似合わず、実に個性的というかゴワゴワした顔をしていて、心が落ち込んでいる時に会うと、「ああ、自分は人に生まれてきてよかった」と思わせてくれるマイ・ネガティブヒーローだ。斜め上ではなく斜め下という異なる角度から元気をくれる存在と言っても良い。水族館、期待しよう。

日ハムの新球場が開いた。駅からはシャトルバスが出るようだ。駅から歩いて行くには長い坂道を降りて行って、また同じ高さの坂道を登らなければならないから、シャトルバスは必須だと理解できる。ただ、ボールパークの周辺はほとんど原野なので、そのうちに野良な民間駐車場がボコボコと空くのだろう。駐車料金は3時間5000円くらいになると思うけれど。
ボールパーク内はキャッシュレスだそうで、高齢者対策がどうたらと新聞に書いていたが、そもそも高齢者対策などというなら球場までのアクセスの方がよほど大事たと思う。ちなみに、この駅は高架駅舎なのだけれど、小さなエレベーターはあるがエスカレーターはない。地上から駅舎までは緩やかな斜路になっているが、車椅子で登るにはしんどそうな、なかなか微妙な建築物だ。
将来的には駅前ビルに(併設されるシャトルバス乗り場まで)ペデストリアンデッキが接続されるらしい。それまでは、我慢してねということだろう。

この混雑を体験しようと、試合開始1時間前に到着する列車に乗ってみた。確かに車内は立っている乗客が多く、身動きがとりにくいくらいに混雑はしていたが、首都圏でいえば午後3時の山手線程度だろうか。朝7時の山手線の方がよほど混み合っている。
車社会で生きている北海道民には苦行となるかもしれない混雑度だが、首都圏生活者であれば鼻歌混じりでこなしてしまうかも。
ただネットニュースを読む限り、いまだに新ドームは空席がたくさんあるそうなので、この先ホームで優勝争いがかかったゲームになると、つまり球場が満席になるようなことがあれば、車内の混雑度はもっと上がるだろう。
なによりベースボールのゲーム開催ではなく、若者に人気のあるアーティストのコンサートなどがあると殺人的に混むかもしれないなと思った。やはりベースボールは「オールドタイマー」向けのエンタメなのだろう。当面はエスカレーターの方が大事そうだ。

食べ物レポート

桜とビール

北の街の南部にある桜の名所でおこなわれる花見会に招待された。地下鉄駅から歩いていく途中で、綺麗な桜の花小路を見つけた。個人のお宅のようだが、一般向けに解放されていてお好きに見ていってということだった。小粋な方がいるものだと感心した。

その桜の名所は小高い丘の上にある。その丘の下には、老舗味噌ラーメン店が店を構えている。おそらくこの店に来るのは20年ぶりくらいではないかと(大袈裟だな)思うが、普段であれば歩いてくるはずがない。車でなければ来店がするのに不便な場所がから、前回は車で来たはずだ。記憶がはずれてはいないと思う。

店内には窓際にずらっと行列ができていて、その行列が入り口からはみ出している人気ぶりだった。店内に入いってみると、昔の記憶とは異なって実にこぎれいて明るい。改装したのがいつ頃なのかはわからないが、それほど時間はたっていない感じだった。
券売機で注文の品を決める。周りを見渡すと半分以上が観光客という感じだった。聞こえてくる会話から判断しても、北海道外から来た客が多い感じだ。ぱっと見ではわからなかったが、どうやら台湾から来たカップルもいた。すごいことに彼らは二人でラーメン三種(味噌、塩、醤油)コンプリート注文していた。従業員の方が、「3 Bowls coming, together 」みたいなことを言っていたから間違いないだろう。
どうやら、三種コンプリート注文する外国人観光客は多いようだ。老舗のラーメン屋も着々とグローバル化していた。しかし、自動販売機は日本語でしか書かれていない。どうやって味違いラーメンを選んだのだろう。スマホで翻訳アプリを使って………みたいなことだろうか。

この日は花見ということもあり、地下鉄駅からの徒歩移動だから、いつもはできないラーメンとビールが堪能できる。缶ビールというのがちょっと残念なところだが、出された銘柄はクラシックなので文句なしだ。じつは、このクラシックというビールは、プレミアムビールである「恵比寿」より美味いと思う。お江戸で売ってくれないのが悲しいが、たまに(何故か)JR東日本の駅売店で行われる北海道フェアで大量に販売されることもあり、全く手に入らないという訳でもない。
近くのスーパーでもこまめにチェックしていると年に3-4回は販売していることがある。ただ、気温と湿度の関係はビールの味にとって重要で、北海道で飲むうまさをお江戸ではなかなか味わえない。
まあ、お江戸にはお江戸にあったビールもあるからそちらを楽しめば良いのだが。

そして本命の味噌ラーメンが出てきた。スープの表面をたっぷりの油が覆っている。だから、スープから湯気が立たない。スープの表面が光って見えるのは、全面的に油で覆われているからだ。ただ食べ始めても油は気にならない。スープの味が濃厚なので、逆に「脂」が旨さを引き立てる感もある。具材はシンプルにメンマともやしだが、このシンプルさがまさに売り物だろう。
味噌ラーメンの調味料といえば唐辛子、それも一味に限る。最初にぱらぱらとふりかけ、途中から追い唐辛子で辛味増量をする。スープの熱さと唐辛子の辛味で額にじわりと汗が出る。これぞ正統的味噌ラーメンの楽しみ方ではないか。(ドンドンと机を叩いて力説したくなる)
待ち時間40分、食べ終わるまで10分の至高の贅沢だった。ほろよい加減のクラシックが幸せな気分を盛り上げてくれる。このまま、花見などしないで飲みにいってしまおうかと、怪しい誘惑に駆られてしった。ビールと味噌ラーメンは、そんな魔力を秘めているのですよ。
ラーメン・ビールに餃子などという夾雑物をいれるのは、まさに邪道なラーメン道だなどと勝手なことを呟きながら、桜が咲く丘の上まで急な坂道を登っていった。あまりの寒さに、やはり桜はどうでも良くなりました………

街を歩く

立ち飲み屋にて思うこと

年に3ー4度、長いお付き合いになる年上の友人と会う。それは北の街の盛り場であったり、お江戸の繁華街であったり場所もまちまち、店も様々なのだが。今回は北の街で駅から徒歩3分の場所だった。隣の港町では老舗にあたるレストランが、支店として開けた居酒屋だ。感染拡大の前は立ち飲み屋だったが、最近全席を座われる席に変更したというので、どれどれ見物にとやってきたのだが、相変わらず立ち飲みスタイルは健在で(というか座れる席の方が少ないようだ)、早い時間では比較的空いているようだった。
とりあえずという名のビールを注文したあと、つまみをあれこれ物色していたのだが、おすすめはおでんと言われたので壁に下がっている名札を右から全部……………みたいな乱暴な注文をした。一盛りが3個だそうで、3種のおでんが入った小鉢が二つ出てきた。なんだか妙に懐かしい味のするおでんだったが、お江戸風の濃いつゆではなく家庭的な薄味だったせいだろう。

追加で注文したのが、これも店長イチオシらしい「大根の天ぷら」だ。これは一度出汁で煮た大根を揚げたもののようで、歯触りは柔らかく衣と大根の味がほどよく調和している。これはまた食べてみたいと思わせる名品だった。
野菜を一手間ふた手間かけて美味しく食べさせる料理屋は信頼して良い。料理人の腕前の差は、野菜の煮物に一番よく現れるとも思っている。こういう創意工夫された料理は素直に喜び、次の季節にはまた違った野菜料理を楽しませてもらおうと思う。
料理は独創性より様々な素材と調理法の順列組み合わせから生まれる。独創的な料理など、圧倒的な調理機器の進化でも起きない限りは生まれるものではない。「うまい料理」とは地味な順列組み合わせを試し続ける「料理人の努力」の結果だと思うのだ。

卵焼きも料理人の腕前の差が出る。家庭料理でもできそうなものだが、やはり美味しいだし巻き卵はプロの手仕事というべきだろう。卵焼きに押された焼印がどんな意味があるのかよくわからなかった。この店の屋号にある紋所なのだとは思うが。これもまた食べる時の楽しみの一つだ。

その立ち飲み屋から2軒目の店に梯子をすることになった。駅高架下にある屋台村の一角に信州から来た焼き鳥屋がある。ここしばらくは、この店に通うことが多かった。屋台村には10軒以上の店が入っているのだが、この焼き鳥屋は大混雑だった。焼き鳥も美味いが店長の人柄だろう。小体な店は料理だけではなく、コミュニケーションも大事な商品だ。
いつものようにおみくじ付きの割り箸で運試しをする。大吉が出ると何かすごいサービスが受けられると言われ続けているが、一度も大吉が出たことがない。よほど運が悪いのかとも思うが、まさか店長の作戦ということもないだろう。少なくとも大吉が出て、とてつもないサービスを堪能するまでは通い続けるしかない。
しかし、立ち飲み屋から屋台村への梯子というのは、なんといえば良いのでしょう。よほどの酒好き以外は、あまりやらないはしご酒コースだろうなあ。

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モグモグタイムにヒンナなオソマ

冬季オリンピックで活躍したチームがモグモグタイムで愛用していた道北のお菓子をようやく手に入れた。3年くらい空港や土産物店で探していたが、いつも売り切れだった。たまたま、今回は空港のハズレに用事があり歩いて行く途中に見つけた。空港の土産物屋で良い配置場所を手に入れるには、相当な政治力が必要とされていると思うが、人気で売り切れの土産物を見つけるにはちょっと外れた場所のほうが確率が上がるのではと、ようやくながら気がついた。今後は難易度の高い土産物を見つけ出すためには、空港の探索ルートを変えなければいけない。
ちなみに最近のレア系人気商品は「生ノースマン」らしい。老舗の菓子屋が長年販売していた菓子をリニューアルかつ「生に改造」したようだ。これも空港のハズレにある店ではまだ販売していた。

北海道を舞台にした冒険活劇の連載終了後、あれこれコラボ土産もうまれているらしいが、作中に実物が登場した月寒あんぱんはなかなかの人気のようだ。札幌に住んでいればどこでも買える当たり前の食べ物だが、あんぱんという割には生地が薄くて硬くて「あんぱん」らしくない。
ただ、これが時々無性に食べたくなり銀座のアンテナショップに買い出しに行ったりする。なんとか全国区にまで知名度が上がり近場のスーパーで買えるようにならないものだろうか。金神様のご意向で全国販売していただきたいものだ。

ちなみに、この金神様コーナーは「ヒンナ・ヒンナ」無コーナーと名付けられていた。これも作中でよく使われていたアイヌ語で「おいしい」という意味らしいのだが、確かに食べ物が集中して展示されている。「美味しいものコーナー」的なことと理解できる。
ただ、その中に「これは、売っていいいのかな???」的なネーミングのものがある。食べていいとは書いてあるが「オソマ」だ。これも作中では、アイヌ少女がアイヌ伝統食を同行する元陸軍兵士にあれこれ紹介するのだが、その時に唯一認めた日本食が味噌だった。不死身の陸軍兵士が木の弁当箱に詰め込んだ味噌を持ち歩いていて、それを調味料として仕立てたアイヌ料理を「ヒンナ、ヒンナ」と楽しむのだ。
しかし、アイヌ少女はその味噌を「オソマ」と呼ぶ。確かに見た目は類似している。気になる方は、オソマをネットで調べて貰えば良いのだが………
商品名にするとは冗談みたいなノリの良さというべきか。買おうか買うまいか、随分迷って今回は諦めることにした。まあ、金神様は全体的にこの手の「濃いジョーク」が満載なので、原作のイメージを忠実に再現すると、こうした面白コラボ商品に辿り着くということだろう。決して北海道ジョークではないとは思う。……………多分

街を歩く

一枚の写真が伝えること

北の街でちょっと飲み屋の話題的になっているのが「ビル解体工事」の話だ。都市中心部の官庁街で高層ビルが建築されていた。大手建設会社の仕切りで、駅前通りから工事中のクレーンが見通せるほどの高層ビルだった。そのビルが建築基準に達していない不良部品を使っているのが、発注元の検査で発覚して、なんと10階以上鉄骨が組み上がっている段階から解体工事をすることになったそうだ。当然ビルの竣工は何年か遅れるだろう。
ニョキニョキと伸びていった高層ビルが、みるみる縮んで行くという都市伝説的な風景らしい。たまたま現場近くを通りかかり発見した解体工事の看板を見ると、面白いのが「このペナルティー解体工事」も週休二日制厳守らしい。おそらく解体工事監督のおやすみ日なのだろう。ペナルティーをくらった後の解体工事で、ブラックな労働環境にすることはできないだろうし。
安物部品で削減できたコストはどれ位なのかは聞いていないが、解体工事を合わせて10億円単位のマイナスになるようだ。安物買いの銭失いとはこういうことを言うのだろうか。解体工事の現場が、たまたま北海道警察の近くだったので気になったのだが、なぜ解体しているかと言う「説明文」は見つからなかった。札幌市民には暗黙の了解事項らしい。
大通公園のオリンピックマラソンスタート地点と同じくらい、建設業界に関してあれこれ考えさせてくれる「北の街の新名所」ではないかなと思った。
発注者も請負業者も日本有数の大手企業だから発覚した事案らしい。発注者が気が付かなければ地震で倒れる高層ビル第一号になったかもしれないと、飲みながらの馬鹿話で聞いた。それもまた怖い話だ。一枚の看板にドラマがある………

食べ物レポート

大行列の回転寿司で

昼時には大行列ができる回転寿司も、2時を回ると待ち時間なしで入れることもある。コロナの間は地元客が中心だったが、今では外国人観光客も多い。隣の席は外国人観光客、反対側の席は日本人観光客だった。回転寿司屋に大きなキャリーバッグを持ち込むと、かなり窮屈になるのだが、客も店もあまり問題にはしていないようだ。北の街で回転寿司はレベルが高いと言うことになっているが、実はネタの種類が思っているより少ない。北海道は道外観光客が予想しているよりはるかに魚種が少ない。瀬戸内あたりの豊穣な魚地帯と比べると、半分以下ではないか。えびかにいくらうにという高級ネタを除けば、地魚などは数えるほどだろう。最近復調してきているニシンがちょっと珍しい程度だ。

寿司を注文する前にサイドアイテムをチェックすると、なんと「イカザンギ」なる名前があるではないか。たこザンギはすでに一般化しているが、イカザンギは初見だ。これは食べてみるしかないと喜びつつ、出てきたものを食べて若干の違和感がある。ゲソ唐揚げとどこが違うのか。確かに衣に味がついてはいるが……………
決してまずいというつもりはない。普通に美味しいイカゲソだ。ただ、これをザンギというのはなあ、という感じがする。社長のこだわりだろうか。

気を取り直し、三陸わかめの唐揚げ?も追加注文してみた。これは、予想外に美味い。海藻の天ぷらはあちこちで食べたが、わかめのカリッと感はスナック菓子のような軽さだった。しかし、鮨屋にきていきなり揚げ物2品というのは客としてどうだろうかと自問してしまう。

心を入れ替えて、最近すっかりお気に入りの鯖の巻き寿司を注文する。これは、酒の肴としてもうまい。巻物としては最高傑作だと思うのだが。ただ、最近の鯖不足?のせいか、微妙に値段が上がっている気がする。

念の為(どこが?)に定番の鉄火巻きも頼んでみた。これはこれでうまい。が、北海道まできて鉄火巻きとはどうよ、とこれまたセルフツッコミ状態になる。北海道産まぐろ使用とか言われれば、また風情も変わるというものだが。おまけに、この辺りで満腹感が込み上げてきて、胃袋の余裕がな苦なってきた。

最後の一品にマイカを選んだ。ちょっと前までは北海道の誇る安くてうまいネタだったはずのマイカだが、今ではすっかり高級魚扱いで庶民の手には届かない(程でもないが)高値になってしまった。代用品としてはヤリイカが使われるようだが、マイカのねっとりとした舌触りと甘みを含んだコク味とはものが違う。
今更ながら思うことだが、2時間待ちになることもある大人気の回転寿司屋で、巻物とイカを食べて帰るというのは相当に怪しい客だろう。うまいものを好きなだけ食べるというポリシーを貫くには、回転寿司は不向きな業態なのかもしれないなあ。

食べ物レポート

東家本店にて極める

知る人ぞ知る、知らない人はたくさんいる北海道蕎麦屋あるあるの一つだが、北海道蕎麦の本家筋は釧路にある。釧路の春採湖近くにある蕎麦屋から分店しているのが東家系蕎麦屋だ。釧路本店名物である蕎麦寿司が食べられるのは、東家系列では当然のことだ。ただ、この蕎麦寿司の知名度があまり高くないようで、ちょいと残念な気がする。
札幌の蕎麦屋巡りでもしてみようかと、平日の昼下がり、サラリーマンのランチが終わる頃に暖簾をくぐった。札幌の東家本店はススキノの近くにある。その割に夜の早い時間で終わってしまうから、締めの蕎麦とするのは難しい。もう一軒の蕎麦屋が夜遅くまでやっているので、そちらではたまに深夜蕎麦をすることもあったが、この店は使い方がなかなか難しい。

昼下がりの蕎麦屋で注文するとしたら、それは「かしわ抜き」に限る。というか、かしわ抜きや天抜きがない店には、昼下がりどころか夜にも行ってはいけない。そういう店はクイックランチ専用に限定するべきだと思う。
かしわ抜きはそれだけでうまいものだが、ちょっとゴージャスにするには天ぷらを別に注文して、かしわ抜き+天抜き作成コースにするべきだ。
今回は、かしわ抜きにホタテの天ぷらを追加した。正統天抜きとするには海老天がベストだが、ここは北海道的アレンジで「ホタテ」にしてみた。
かしわ抜きは小さめのどんぶりに濃いめのつゆが入っている。具は長ネギと鶏肉だから、かしわ蕎麦のそば抜きであり正しいお作法だ。つゆがちょっと甘めなところが好みだ。つゆの味が染みこんだ長ネギをつまみながら一杯やる。昔お江戸にいたいなせな兄ちゃん(不良)が嗜んでいた、蕎麦屋で一杯の高級版だ。いなせなにいちゃんたちはたいて貧乏だったので、熱燗にもりそばでちびちびやっていたそうだ。もりそばと比べれば、かしわ抜きは三段階くらい高級な酒の肴だろう。いなせなにいちゃんたちからすると、どこぞの大店のボンボンがするけしからん贅沢な注文だ。

ホタテの天ぷらは、天つゆがついてこない。塩の入った小鉢がついてきたから、塩で食べてねということらしい。確かにホタテは塩で食べるとうまいだろう。まず一口は塩をふりかけて食べた。熱々でジュワッと旨味が溢れてくる。ホタテを注文したのは正解だ。

ただ、そのあとはかしわ抜きの残りにドボンとホタテ天ぷらを投入した。衣がつゆを吸い取ってふやけてくるのを待つ。そのブヨブヨしてきた衣を箸で剥ぎ取ってつまむ。これまたうまい。天ぷらの衣が蕎麦のつゆを吸うと旨さが何倍かに増幅されるが(個人的な見解です)、それをちびちびつまみながら飲む酒は実にうまい。大衆酒を熱燗で飲む時には最強のつまみだろう。間違っても純米大吟醸などと組み合わせてはいけない。下卑た食い物の旨さを楽しむには、大衆酒こそが似合っている。
立ち食い蕎麦屋のほとんど衣しかないかき揚げ蕎麦がうまいのは、人間の本能にきざまれている旨味成分、つまり脂とアミノ酸がたっぷり含まれているからだ。かしわ抜きや天抜きは、そのかき揚げそばから満腹感を醸成する炭水化物、つまり蕎麦を抜き去ったものだから、旨さだけを残した食べ物だ。酒の肴に向かないはずがない。

最後には、もりそばで締める。この蕎麦、炭水化物を最終段階で投入し完全なる満足感を得る。そして、蕎麦湯に溶け込んだルチンを蕎麦つゆのグルタミン酸、イノシン酸と共に味わう。アミノ酸の摂取も完璧だ。
実は、蕎麦屋の一杯こそ、人類の本能に刻み込まれた「旨み」を完全に達成するための究極技だと思っているのですがねえ。