食べ物レポート

仙台で魚 好きなものを独り占めの快感

仙台は後背地に気仙沼、石巻などの漁港を抱えているので、魚を食べるには良い町だ。北と南の魚が両方集まる三陸沖で獲れる魚種は多い。マグロやアジなどの南方系の魚と鮭やサンマなどの北方系の魚が同時に出回っている。仙台朝市で魚屋を見て回ると、それがよくわかる。

1 マグロがうまい

仙台はマグロがうまい。というと不思議な気もするが、どこの居酒屋に行っても本マグロが売り物になっていて、値段は東京の半額以下であることが多い。カツオも概ね東京よりはうまい。南から泳いできたカツオが高知沖、静岡沖、千葉沖とだんだん大きく成長してきて三陸沖でUターンするのだから、仙台の初鰹は脂の乗ったモチっとした味がする。ただし、店によって当たり外れが大きいので、無難に頼みたければマグロの方が良いと思う。

マグロもカツオも甲乙付け難い

2 白身魚もうまい

白身の魚を一匹捌いてもらう。脂の乗ったうまい魚だが、煮付けにするよりは刺身が良いだろう。これを一人で一気に食べる。1000円程度でこれが注文できるのだから、やはり仙台は魚好きには天国みたいな町だ。肝を醤油で溶いて食べると、また別物になる。個人的な意見だが、タイやヒラメよりこちらがうまいと思う。

目があうとちょっとかわ3いそうに・・

3 頭もうまい

日によって変わるカブト煮もうまい。ただ、皿が出てきてギョッとする。このような絵面は初めてだ。かこれだけの魚を独り占めして、しめてみれば2000円とちょっと。仙台は魚好きには本当に良い町だ。ぶとの開き?と言えば良いのか。そもそも頭の両面が兜煮で出てくることはあまりないのではないかと、記憶を辿るが思い当たらない。それでも一度箸をつければ、止まらなくなる。濃いめの甘辛い醤油で味付けされた煮魚で、特に脳天のあたりの肉は旨味たっぷりだ。頰肉も旨いが、やはり脳天が一番よさそうだ。骨だけ残しきれいに完食。

かぶとは骨の髄まで食べよう

これだけの魚を独り占めして、しめてみれば2000円とちょっと。
仙台は魚好きには本当に良い町だ。

書評・映像評

日本史の学び直しとして 「日本史」講義

学校で習う歴史は面白くない、特に日本史が苦手だった。それが最近は日本史が面白い。

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「出口歴史本」はいつ読んでも面白い。特にこのゼロから学ぶシリーズは、地口が関西弁であり、その軽妙な表現がユーモアあふれているため、実に読みやすい印象がある。しかし、実際にはかなり骨太の歴史解説書なのだ。

最近は歴史の見直しが急速に進んでいるようで、昔々に歴史の授業で習ったことは、相当に修正され今では間違った知識になっているようだ。例えば、鎌倉幕府の開府は1192年(いい国作ろう鎌倉幕府と暗記したものだった)が、実際の東国武士の支配が始まったのはもっと前であり、1185年あたりからが実効支配開始ではないかと言うことらしい。文章に残った歴史資料の再点検と言うことで、歴史の解釈が異なると言うのも面白いことだ。

また、鎌倉幕府は全国を統治していた訳ではなく、基本的に東日本に住む「平氏」を中心とした地方政権であったとか、武家政治が始まっていても、公家と寺社などの旧勢力はそれなりの領土(荘園)を持ち、武家政治に反発しながら存在したとか。こんなこと歴史の授業では習わなかったぞと言うことがゾロゾロ出てくる。

確かに歴史は勝者が作るものであるから、どんなに平清盛が良い政治をしていたとしても、鎌倉幕府の公式見解は平氏悪者であり、源氏は善玉になる。そもそも源氏の直系政権は3代しか続いていいないし、鎌倉幕府自体が東国地方政権で、領土の揉め事調停権(裁判権)と警察権(司法)を持っていただけと聞けば、鎌倉幕府が全国統治していたとは思えない。まして、元寇が引き金になり鎌倉幕府は倒れるが、その原因も全国の武士を戦時動員したのに、恩賞(給料)が払えないための反乱などと言う、身もふたもない話なのだ。どこかの小国のクーデターみたいな話だ。

勝者が自分の過去を飾りたて美談にするのは、歴史の常でありそれを非難しても仕方がない。室町幕府は統制が弱かったように記憶していたが、意外とパワーゲームには強かったようで、鎌倉幕府ができなかった全国統治(武士のみ)は達成したらしい。
そもそも鎌倉幕府の制度設計は平清盛が志向したグランドデザインの踏襲だったと言うことであれば、鎌倉、室町と続く源氏政権(東国武士政権)は、あまり能力があったわけでもなさそうだ。こんな話は学校では習っていないな。

こんなことを学校で教えてくれていれば、もっと日本史好きだったろうに。

食べ物レポート

B級でもうまいもの?

B級グルメ 行脚はしんどい・・・

よく言われるB級グルメとはどのようなものか。個人的見解として述べると以下の三つの条件があるのではと。
●店が大きくない、立派でない、きれいではない
●材料が、特上のものではない
●調理法や味付けがいささか変わっている。
逆にA級と言われるレストランはこの反対で、店がきれいで大きくて立派、材料は吟味された高級食材、伝統を重んじた優れた料理法。
B級とはA級の裏返し、あるいは条件のスペックダウンと思えばいいのだ。

この点でいえば、ファミリーレストランのメニューはB級とは言えない。条件1「店が大きい」に抵触する。しかし、本来美味しいものが不味くなるという不思議な現象が起きると、ファミレスメニューであっても条件3 「味付けがいささか変わっている」に該当するようになる。(嫌味ですよ、もちろん)

ただし、これはB級であってもグルメとは言えないかもしれない。まずいの一言で切り捨てるのもかわいそうだなあということでのB級認定だ。

これははずれという場合もある ファミレスでは多い

今年の夏は暑かったせいか、あちこちで酸辣湯麺が夏メニューとして取り上げられていたが、どこの商品も出来が悪く、酸っぱくもなければ辛くもなく、おまけにスープの味が薄いという三拍子揃った怪作ばかりだった。その中では、辛だけはなんとかクリアしていたのがジョナサンの酸辣湯麺。ドバッとラー油をケチらずに入れただけのことだが。見た目は辛そう、そしてスープはそこそこ辛かった。麺はくっついて団子状、スープは味が薄い。それでもラーメン専門店の幸楽苑のものよりはマシだったのでB級認定。幸楽苑はランク外だ。というか、幸楽苑のそれは、金返せレベルだったので、比較しても意味がないかもしれない。そもそもファミリーレストランのメニューで、鍋をあおってスープをいじくり回さなければならない中華系麺はオペレーション的に無理ではないのか?

ジョナサン 酸辣湯麺

町の洋食屋はあたりが多い だから生き残っている

これは所沢にある洋食屋「キッチンサン」のランチセット、ハンバーグに豚天ぷらがついてお得な600円(だったと思う。他の料理は単品で頼めるが、この豚天ぷらだけはセットにしかつかないみたいだ。まさに豚肉薄切りの天ぷらなのだが、それにかかっているソース(トマト味)が微妙に豚肉にあっている。この店の一押しは豚天ぷら。残念ながらナポリタンはお勧めできないが、オムライスはまずま

キッチンサン ハンバーグと豚てん

立ち食い蕎麦は、一点豪華主義で攻める

仙台の立ち食い蕎麦チェーン店である蕎麦の神田で、冷やしそば・イカ天のせが好みだ。ここの蕎麦は立ち食いそばでは珍しく十割蕎麦で、蕎麦はうまいが、つゆがちょっと弱い。というか、東北の蕎麦屋は全体的につゆが甘めで大人しい。お江戸のそばとは違うのだが、これは東北ローカルのお約束なのだろう。ちなみに北海道の蕎麦屋は、昆布だし強めのお江戸風辛口つゆが多い。そばの地域さというのは意外とあるのだね。

立ち食い蕎麦ではかき揚げが名物ということが多いが、ここではかき揚げよりイカ天がおすすめだ。天ぷらの衣がつゆを吸って柔らかくふやけていくのを食べるのが良い。そばを茹で置きしないので、麺はスッキリしている。東京にはない、仙台の立ち食い蕎麦の良さだ。

神田そば イカげそ天

日本全国あちこちで、色々とローカルメニュー試してみるが、結構ハズレを引くことが多い。外食はいつもギャンブルなのだね。

食べ物レポート

米沢で蕎麦を食らう

ホームで駅弁売店は、もはや文化遺産

米沢の駅前で新幹線を降りると目の前が駅弁の売店だった。山形方面に向かうホームなので、山形や新庄に行く人が米沢で駅弁買うかなと思ったが、それは勘違いだった。米沢駅1番線ホームは、新幹線が上下線とも止まるので、東京行き上りの乗り込みもある。ということで2軒並んでいる弁当屋の競合体制も納得できる。奥の売店は、駅弁市場では超がつくほど有名な「牛肉どまんなか」を販売中。

駅を出てコンコースを歩くといきなり登場した前田慶次殿、なぜ米沢でと再び疑問符が三つくらい出てきた。どうやら前田慶次はこの地に最後は居ついていたらしい。戦国バサラの勇姿が最後は米沢まで来ていたとは。

さて、山形のそばといえば、板そばと冷たい肉そばになる。蕎麦の名産地だから、どちらもうまい山形名物と言えるだろう。「冷たい肉そば」は、山形県北部河北町あたりが発祥・本場で、山形県南部の米沢では見当たらないと思っていたが、しっかりと田んぼの真ん中の一軒家そばで登場してきた。さすが、そば王国山形。

実は、そばではなく「龍上海」の辛味噌の乗ったラーメンを食べようと車を走らせていて、途中で見かけた蕎麦屋にフラフラ入ってしまったというのが本当のところだった。しかし、旅の途中の直感はたまには良い仕事をしてくれる。昼時を過ぎていたが、店内はほぼ満席だった。

メニューの写真を撮る気になったのは、見ての通りのシンプルさだからだ。肉そばと肉中華とは、スープが鳥の出汁の強い透明感のある山形独特のものをつかい、麺が中華麺か日本蕎麦かの違い。あとはスープが冷たいか暖かいかは選択できる。冷たい肉そばか温かい肉そばかということだ。普通のざるそばもあるが、周りを見てもみんな食べているのは丼に入った蕎麦のようで、圧倒的な肉そば推しだった。

山形のそばは太めでもちっと歯応えがある。もう一つの山形名物「板そば」なども、スルッとすするのではなく、もぐもぐ噛み締める蕎麦だ。肉蕎麦も同様で、濃い出汁の効いたスープが絡んだ硬めの麺を噛み飲み込む。トッピングで乗っているのが親鳥の肉で、これも日頃食べ慣れたブロイラーの柔らかさとは違う。ガッチリ噛み締めて、歯応えと肉の味を確かめるように食べる。麺を大盛りにする客が多い、というかデフォルトは大盛りなのだそうだ。しかし、ここでは鳥中華のために胃袋のスペース確保をしなければならない。

鳥そばは冷たいのを注文したが、鳥中華は暖かいものにした。スープはちょっと違うような気がしたが、麺の違いが味の差としては大きい。鳥トッピングは同じようなものだが、なんと言っても蕎麦と小麦の差がはっきりわかる。山形県のラーメン消費が多いという原因は、この蕎麦屋で食べる中華そばのせいなのだろう。ただ、ラーメンはローカルルールの塊なのでなんとも言えないが、この鳥中華はラーメンとは似て非なる食べ物ではないか。あえて強弁するとすれば、豚骨ラーメンとちゃんぽんのような違いというか、限りなくラーメンに近い何か違うものという感じだ。蕎麦つゆにラーメンの麺を入れて食べる地域もあるのだから、この鳥中華くらいはラーメンの振れ幅のうちという考え方もあるが。ただし、これはこれで好みの食べ物で、また食べてみたいとは思う。

山形の麺文化は奥が深いなあ。

旅をする

岐阜城 天下布武の始まりで思う

岐阜城に行ったのは初めてだった。そもそも岐阜市に行ったことがあるのは仕事の関係で一度だけ。それも県庁の会議室に1時間いただけなので、岐阜の街自体を見たこともないというのが正しい。
自分で車を運転して岐阜市内にたどり着くと、確かに岐阜城の周りに町がへばりついたような格好で、現代都市としては使い勝手が悪いだろうと思った。岐阜城の下にトンネルが抜け道として作られている理由がよくわかる。お殿様から見れば城の周りが一望なので都合が良かったとは思うが、下々のものにとっては、ちょっとした用事があってもぐるっと山の麓を回らなければならなかったのだから、当時からなかなか大変だっただろう。

さて、岐阜城は金華山の頂上に立つ典型的な山城で、ここまで毎日通っていただろう下層武士官僚、およびその手下たちはかなり足腰が強くなったはずだ。今ではロープウェイがあるので、10分もかからずに楽チンに頂上近くまで行けるのがありがたい。

そのロープウェイも、登る途中で見下ろせば、こんな急峻な岸壁を歩いて登れるはずがないと思う。それでも途中に三重塔があるのが不思議だ。

ローウウェイの頂上駅から歩くこと5分ほどで岐阜城の天守閣が見えてくる。計算されたような門塀の向こうにお城が見える。ところがここからがまた結構厳しい登り下りがあり、お城にたどり着く頃には足がガクガクになる。日頃の運動不足のせいにしてはいけないのだが、戦国時代の人々は本当に足腰が達者だったのだろう。 

そして、その上り下りの続く坂道の辿り着く先に浮かび上がるのがこの光景だ。確かにこれは恐れ多くも・・・という気分になる。たまたま晴れた日だったこともあり、威容というか荘厳というか、青空を背景に浮かび上がる城の姿は、支配者のシンボルという感じがする。
ここで信長と帰蝶が暮らしていたのか、天下布武の構想をここで練っていたのかと。今歩いている道も彼らは歩いたのだろうか。などとちょっと感慨深くなる。

お城の右側の方には、登山道路があるようで、たくさんのハイキング客がお城の周りで休憩していた。高さや道路の取り付け具合を含め、山登り初心者や日帰りハイキングには向いているのだろう。帰りにロープウェイを使うという抜け道もあるし。同じ道を竹中半兵衛が城攻めで登っていたかもしれないというのが、ゾクゾクする。歴史的な一体感と言えば良いのだろうか、戦国時代の城を訪れると感じることだ。
確か織田信長は出世(領土拡張)するたびに城を変えている。振り出しは那古野城、次に清洲城、小牧山城、岐阜城、安土城だったと思うが、その大半がう甘じろだ。高いところが好きだったのだろう。

ただ、お城の下から見上げると意外と小さいのだよね

岐阜城はこちら

お城巡りは歴史小説とセットでどうぞ おすすめは司馬遼太郎「国盗り物語」

書評・映像評

名優高倉健と降旗監督

勝手に命名した降旗監督の「健さんと女優三部作」
81年 駅Station
83年 居酒屋兆治
85年 夜叉
この後10年以上間を開けた後期三部作もあるが、やはりこの頃が健さんの一番脂の乗った時期だったような気がする。

https://www.amazon.co.jp/駅-STATION【Blu-ray】-高倉健/dp/B00897BNPW/ref=sr_1_24?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=降旗&qid=1573024943&sr=8-24

一年おきに公開された3作だが、その当時の美人女優と健さんの絡みで淡々と語られる男と女の話。
その最初が「駅」で、倉本聰原作のオムニバスストーリー的な物語になっている。

健さん扮する警察官が「銭函駅」「増毛駅」そして陸の孤島「雄冬」・・駅はない町で話が進む。銭函、増毛どちらも北海道でも相当なローカル駅で、両駅ともに冬の雪のシーンが映像の記憶として強く残る。
降旗監督は雪の季節の海の絵が好きらしい。
今見れば、銭函駅で駅弁が売っていたり、陸の孤島であった「雄冬」には、映画で言われている通り国道が通じて孤島ではなくなっていたり、隔世の感がある。古い映画を見返すと、その当時の記憶が蘇るのが楽しみだが、現代の若者には理解できないことも多いのだろうなと感じたりもする。
「探偵はバーにいる」シリーズでも、同じように冬のススキノ(北海道)が描かれているが、その風景が微妙に違っているのは、やはり時代の差なのだなあ。

北の国からの放映が81年10月からであったことから、この作品も同時期に倉本聰が書いていた脚本なのでろう。テレビと映画の差はありながら、絵柄が似ているのは納得するところだ。

映像的には、当時の風潮、流血シーンが露骨にあったり、逆にベッドシーンが抑えられていたりと、なかなか映画の中の「モラル的な表現方法」の違いが見えるのも面白い。やたらとタバコを吸うシーンが多いのも時代の違いだろう。

この映画の見所は、やはり倍賞千恵子の芝居で、健さんとの関係がもう一息と言うところまで進みながら、結局は破局。警察を辞める決意をしたにもかかわらず、結果的に同僚を撃った殺人犯を射殺してしまう健さんの複雑な思いがそれを彩っている。主役は健さんなのだが、倍賞千恵子が押しのけたような存在感を見せている。「幸せの黄色いハンカチ」で共演した時は出所する夫を待つ抑えた演技だったが、この作品ではその正反対で健さんの抑え気味な芝居を押し除けるくらいの勢いだ。
「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」と言う健さんのセリフが象徴的だ。

倉本節と降旗描写が相まって、健さんと美人女優の物語になっていくのだが、個人的にはこの当時の烏丸節子が一番綺麗だったような気がしている。また、一番最初に登場するワンシーンだけだった石田あゆみの泣き笑いの表情が、実は一番印象的だった。
降旗監督作品では、後年の「鉄道員」の広末涼子に匹敵する「女性の綺麗な瞬間」を切り取った名シーンだった。

不倫の上の離婚、殺人犯を兄に持つ女の離郷、昔の男を今の男に殺される女、三者三様の女の別れを描いた物語は不思議な印象を残したまま終わる。
この終わり方は、やはり「網走番外地」的なことなのだろうな。

食べ物レポート

名古屋でモーニング

朝食は喫茶店という文化は素晴らしい

名古屋で喫茶店に行くと、色々とおまけがついてくるという話は有名だと思うが、特にモーニングセットが一味違う。普段はホテルで済ませることの多い朝食を喫茶手で食べてみる価値はありそうだ。

名古屋の下町という大須観音のあたりは、食べ物や、居酒屋などがごちゃごちゃと固まっているカオスな街並みだ。その中の一軒、「コンパル」に開店とほぼ同時に乗り込んだ。にもかかわらず先客が何組もいる。超常連組かと思われる高齢者軍団だった。コンパルは他にもいくつか支店があり、メニューがそれぞれの店で微妙に異なるらしいのだが、モーニングは同じようなのでお試しに大須に来た。

コーヒーは、濃い。昔のおっちゃんたちがミルクと砂糖をたっぷり入れて飲んでいた時代のコーヒーだ。ミルクのピッチャーが泣かせる、味がある。

そして、モーニングセットのハムエッグトースト ¥130なり。このホットサンドもどき、中身は卵とハムのトーストサンドは、予想外にうまい。周りにいる常連客の半分くらいが、こいつを頼んでいた。確かに、コンビニで買うサンドイッチの半値くらいでこれが食べられるのだから、名古屋の人は幸せだ。

おまけは、びっくり名古屋めしの大関クラス、小倉トースト。あんこはしっかり甘い。あんこの下はたっぷりバターなので、最近はやりな「あんバター」の発祥は名古屋だったとわかる。しかし、あんこにバターとはいったいどのような発想から生まれるものだろうか。きっと何十年か前に、バタートーストの上に、間違ってアンコ落とした奴がいるのだよね。そして、それを「アア、もったいない」といって食べた締り屋さんも。
まあ、人類史の中で新しい食べ物が生まれる時は大体そんなものだよ。人類で初めて海鼠を食べたやつとか、初めてウニの殻を剥いて中身を食べたやつとか。そういうおっちょこちょいには感謝しなければならない。名古屋の、多分、喫茶店のおっちょこちょいにも感謝しよう。

表に出て看板を見れば、納得の分かりやすさ。店内でメニューを見るとコーヒーが400円で、ハムエッグトーストは130円なのだが、看板はモーニングセット合計額で表記、合理的で分かりやすい。ただし、ランチに関しては価格が分からなくなっても気にしないのも名古屋流なのか。実は、この「コンパル」ではランチのメンチカツサンドの方が有名らしいので、今度は昼に来なければいけないと決心しつつ、名古屋は喫茶店で朝食が正しいと納得できた。

街を歩く

上野駅でぶらぶら 

下町の洋食屋とは

お江戸の下町には老舗と呼ばれる洋食屋がたくさんあるが、「じゅらく」はその筆頭と言いたい。洋食と言うよりも大衆食堂であり、ステーキと酢豚と日本酒が同居する店だからだ。浅草の神谷バーも、バーとは言いながら大衆食堂だと思っている。テレビによく出てくる下町洋食シェフの店とはちょっと違う。おそらくデパート大食堂の源流であり、たまの休みのハレの食事としての食堂だったはずだ。

進化型酢豚??

今では、外国人観光客の方が多いような気がするJR上野駅前の「じゅらく」にふらっと立ち寄った。たまたま待ち時間がなかったので入る気になったのだが、いつもは30分程度待たされることも多い人気店。カンターに一席だけ開いていたのはラッキーというもので、軽く食べるつもりがついついガツンと注文してしまった。

まずは酢豚でビールを1杯。スバ歌は本当にローカルルールが多くて、中の具材はいってみれば店任せ。ここのうちの酢豚はなぜか21隻的進化を遂げたらしく、赤・黄・緑の三色野菜は、なんとパプリカだ。人参は入っていない。あとは筍の代わりが蓮根。確かに根菜は栄養たっぷり、食物繊維多しで竹の子よりもヘルシーかもしれないが・・・。これは、イメージの中にある原型酢豚とは似て非なるものと認定するしかない。いやー、下町老舗も進化は激しいなあ。それも、違う方向のような気がする。

気を取り直して定番オムライス。そしてあえてソースはケチャップ味を注文。お皿もお洒落ですけど、このケチャップのバランスおかしくないですか?デミグラソースだとこれくらいの量はかかっていて欲しいが。ケチャップ好きですけど流石にこれは多いかと・・。中身のケチャップライスも、もう一息という感じで、
しみじみ現在進行形で下町の料理は変化していると気がつかされた。

その後目的地、国立科学博物館へ。お目当ては恐竜展。そして子供が少ない平日の午後を狙って行ったのだが、これは予想が間違っていた。世の中に、恐竜好きの大人は意外と多いのだな。そして、若いカップルがデートしていたり、なぜかおばあちゃん単独とか、びっくりする来場者像。そして、2割くらいは外国人観光客だった。さすが、上野の博物館はインターナショナル。

ようやく世間的に浸透してきた、恐竜には羽毛が生えていたという事実。要するにダチョウのような姿が恐竜なのだよということだ。恐竜はバランスを取るために長い尻尾があるので、ダチョウのように直立姿勢では走れないが、首肩尻尾まで地面に水平にして走るダチョウをイメージすれば、まさしくリアルな恐竜の姿ということだ。

そして鶏みたいな小さな恐竜が、あちこち群れていた。それが現在の恐竜像だ。あの有名なティラノサウルスレッスですら羽毛があったというし、色も鳥のように赤とか黄色とか鮮やかだったらしい。ピンクのティラノサウルスって、あまり怖そうではないが・・・。ひよこが大きくなったような恐竜は、見たくない気がする。

だから全身骨格像も、最近では直立していない前傾姿勢が標準的なりつつある。ジュラシックパークあたりから、だんだんと変化してきている。最近のNHKの恐竜解説番組は、その辺りの最新知識で補強されていたので、映像的には斬新だった。

今回は新種の展示もあったせいか、随分と混雑していたが、この辺りの真・恐竜像を理解しておかないと展示会で子供たちに笑われてしまうかもしれないので、中高年は事前に予習をしてから恐竜展にいきましょう。特に恐竜好きの子供のお父さん、要注意でありますね。

書評・映像評

蜘蛛ですが、なにか  

現代的会話饒舌体の極致か

表紙 by Amazon

饒舌体は古くはサリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」、そして庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」あたりで一般化された一人称の語り口だと思う。その後、椎名誠のエッセイ「さらば国分寺書店のオババ」あたりから言われるようになった「昭和軽薄体」辺りで確立された。
「僕は」「わしは」「俺は」ではじまる思考をそのまま吐き出すような文体だ。ラノベではいわゆる一人称視点での物語が多いのが、あまり饒舌たいが目立つことはないのように思う。現代的な単語を使いながら実のところ文体自体は保守的というか、標準的な書き手が多いような気がしている。ところが、この本の著者はまさしく平成最後の時期に新饒舌体を打ち立てたのではないか。ラノベ全部を読んでいるわけでもなく、似たような語り口の作家がいるのかもしないとは思うが。


ストーリーはよくある転生もので、授業中の高校教室内での爆発によるクラスメートの集団転生、それも人族以外の種族にも(モンスターにも)転生するというあたりが多少ユニークだが、転生先は魔術が通用し、魔物が人族の天敵であるというおきまりのパターン。

この話のユニークさは、主人公が人以外に転生したというあたりなのだがこれは先駆者としてスライム転生ものが大ヒットしているので、二番煎じと言われればそれまで。コミュニケーション障害気味のクモが主人公というあたりは、屈折キャラが主人公になって一人称で喋る(語る)という点で、まあまあ面白い設定かもしれない。

もう一つの特徴として、登場人物への感情移入が難しい。まるで、ト書きを読むような立ち振る舞いとでも言えば良いのか、主人公である蜘蛛のモンスター以外に、それ以外のキャラクターの感情が受けとれない。その結果、主人公である蜘蛛子の成長物語では、それなりの面白みも感じられるのだが、他のキャラの絡んだ話になると、まったく違うストーリーかと言いたいくらい平坦なものになる。

崩壊しつつある世界であり、それを支えようとするものと、崩壊を加速させようとするものの戦いが設定上はあるのだが、そのどちらのサイドのキャラにも、必死さというか、必然的な努力なのだということが感じ取れない。そうなると蜘蛛子の成長ストーリーが止まると、話自体が停滞する。
実際、7巻あたりから急速に話の展開が遅くなり、質的な低下とすら言いたいくらいだ。

ラノベの典型として、巻数が伸びるごとに質的劣化が起きるのは、希薄な設定、あるいは簡素な設定しかなく、人気が出て巻数が伸びると世界展開に耐えきれなくなるせいだ。一般的にシリーズ物で、大長編化している成功作では、だいたいが1話完結式になっている。キャラのサイドストーリーで引っ張るという手法は、週刊少年ジャンプ的ではあるが、あれは刊行ペースが早いからできる荒技であり、1年に2−3冊のペースでは、持たない手法なのだろう。

物語としては、そろそろおしまいが見えてきているようで、伏線を回収しつつ収束させる段階だと思われる。尻切れとんぼにならない程度にはまとまってきていると思うが、夢落ちなどのどんでん返しは期待しないので、兎にも角にも無事最終巻を迎えて欲しい。浅い巻数の段階では全くキャラ立ちしていなかった連中が、なにやら心の葛藤を見せ始めているので、案外最終巻では大化けするのかもしれないと期待しつつ。

ちなみに、この蜘蛛子の話のきっか絵になったスライム転生ものでは、最新刊は物語破綻としか言いようがない「少年ジャンプによくあるキャラ総出演の大乱闘」だった。良くも悪くもラノベが少年ジャンプ直系の子孫であることの良い見本だろう。この話も、大団円とは大乱闘と同じことになるのかという危惧を抱きつつ。

食べ物レポート

9月のお気に入り

牛タンの利久

仙台名物牛タンは、麦飯とテールスープの三点セットが定番だ。そこをちょっとずらして、牛タン単品を頼み、冷酒「浦霞:でちびちびとというのは、かなり楽しい有色のあり方だと思う。牛タンは塩漬けにしてあるので、何も調味料がいらない。適度に固く、適度に油が染み出してくる旨さは、白飯が良い派と酒が良い派に分かれるはずだ。(と我田引水な牛タン理論)口の中にあふれる油を打ち消すためには浅漬けを一口摘む。箸休めのように南蛮漬け(唐辛子の味噌漬け)も楽しむ。うむうむ、仙台で楽しむ牛タンはまた格別。残念ながら東京で牛タンを食べる気にはなかなかならないのだ。

利久 牛タン単品

珈琲文化 三本珈琲

いわゆるセルフサービス式の喫茶店で、うまいコーヒーに巡り合うのは至難といって良い。喫茶店を利用する目的が時間潰しということはよくある。だから、そんなときにこーひーのあじをもとめるの野暮というものだとも思う。だから、といってアイスコーヒーに逃げ出すつもりもない。仙台駅前にある比較的広い店内は、いつも静かで、コーヒーマシンで落とすコーヒーは某大手チェーンと同じ味になるはずだが、なぜか違う味がする。
おそらく上質なコーヒーカップのせいなのだろう。そして、広い空間でひっそりと過ごす時間のせいなのだろう。となりの席までわずか10cmというような異常過密空間で飲むコーヒーがうまく感じるはずがない。美味しいコーヒーは空間とシズあかさから生まれる。

仙台 三本珈琲

岐阜城のグルメ 高山ラーメン

岐阜城 山頂レストランの高山ラーメン

岐阜城はロープーウェイで上るくらいの高い山の上にある。歩いて登る人は、山歩きを趣味にしている人たちで、多分、練習がてらにお城まで登っているのだ。山登りの趣味のない人間には、なかなか理解しがたい。その岐阜城ロープウェイ山頂駅は、定番のお土産やと軽食(ソフトクリームなどの定番)とレストランがある。眼下に長良川が流れるの見ながら食事ができる展望レストランで、夜にはパーティーなどもできるらしい。そのお洒落空間で岐阜で一番有名?な高山ラーメンを食べた。どうも自分の記憶の中にある高山ラーメンとは、いささか違うような気もしたが、それはそれ、観光地でのご愛嬌としてサッと流す。展望台で食べるラーメンは、心持ちが違うのだよね。目の中に入る景色も味の内だなどと言い聞かせながら、美味しく魚介系スープのラーメンいただきました。ただ、高山は岐阜県内とは言え、地勢的に飛騨。岐阜城があるのは美濃。ちょっと無理があるかなあと思いつつ。

もうすぐ冬籠の季節に突入だなあ