
岩手県花巻市に元百貨店だったビルがある。その中に「大食堂」が生き残って営業しているのだが、名物はオムライスとソフトクリームで、わざわざそれを食べにくる観光客が多い。自分もその一人で三度ほどこの大食堂に行ったことがある。
エレベーターを降りたろ頃にガラスのサンプルケースがあり、そこで選んだメニューを食券売り場で買い求める。
席に着くとウエイトレス(もはや死語だなあ)が食券を撮りにきて、版権をテーブルに残していく。誠に由緒正しい、デパートの大食堂システムだ。
個人的にはこの大食堂システムを復活させたいと思っていたので研究を合わせて何度か訪れたのだが、さすがに花巻は遠い。おまけにこの元百貨店ビルは駅から遠い。バスも利用できるが、基本的にはタクシーかバスになる。
某「孤独……………」の一人飯番組でもこのレストランが登場したが、確かに中高年のおっさん、一人旅風な客が多いので、お江戸界隈でこのコンセプトはいけると思うのだがなあ。
そんなことを考えているうちに、あのコロナが襲来してきて日本外食業界は3年の冬眠に入る。3年も経てば人の意識も随分と変わってしまい、「昭和・平成」の食文化が壊滅状態になった。
「令和」の時代にこの大食堂コンセプトが成立するか、ずうっと考えているのだが、どうやら時代の波は様変わりしたようで、これは難しいかもしれないなと思うようになった。
要因はいくつかあるが、最大は対象人口の急減、そして外食産業における多国籍従業員化にある。次の時代の主力コンセプトは現在進行形で変化しつつあるはずだが、どうやら先が見えてきた。
すでにデパートの大食堂は絶滅危惧種であり(デパート自体が消滅しているのだから)、その最後の牙城である、この「大食堂」だけはナンとか生き延びてほしいものだが。
MLBの大スターがこの街出身なので、彼がなんとかしてくれないものだろうか、などと他人任せなことを思っている次第。