
子供の頃、メロンパンが好物だった。まだ菓子パンのありえーションが今のようにたくさんあるわけでもなく、ジャムパン・あんぱん・クリームパンくらいしかなかった時代だ。大人になってからメロンパンのレシピーを知り、メロンとは全く無縁の食べ物だと知った時は、愕然としたものだ。メロンパンは基本的に2種の生地と砂糖でできている。どう見ても貧乏人の食べ物でフェイクではないかと今なら思う。ただ、当時は実に高級なパンだと信じていた。まあ、昭和中期の食べ物はみんなそんな具合だった。
オムライスも家では再現されて出てきたことがない、外食するべきご馳走だった。これも大人になりレシピーを知ってからは、自分で作ることが可能な普通の食べ物になった。今では冷凍食品で売られている。技術の進歩によりご馳走が簡便食に転落したようなものだ。
さて、昔のご馳走、今やフェイクフード(笑)であるメロンパンも時代とと主に進化して、どうやらご馳走の地位を取り戻したらしい。フランスパン生地でセミハードな食感を出し、ビスケット生地で作っていたサクサック食感をやめてしまい、代わりに粉糖とクリームで仕上げ流というものだ。おまけにメロン果汁を練り込んでいるという。申請メロンパンだ。これは確かに美味い。そもそもメロンパンとも名乗っていない。お値段なりに高級感がある。
子供の頃であれば誕生日くらいでしか食べられなかったような「ハレの日」の食べ物だろう。本当に今の子供達が羨ましくなる。
ちなみに当時の学校給食のパンは、とてつもなく不味くて毎日食べ残して家に持ち帰っていた。あまりにパンを持って帰ってくるので、親が不審に思い詰問されたことがある。「まずいからだ」というと怒られたが、そのあとで親が実食してみてぼそっと「確かにまずいな」と言った。以来、我が家の食卓ではパンが登場しなくなった。おそらく給食パンのことをあれこれ言えなくなったせいで、全面的にパン食をやめたらしい。
結局、大人になって自分でパンを買うようになるまで、ほとんどパンを食べないでいた。まあ、そんな時代だったのだね。