綾瀬はるかという女優は演技をしている時は素晴らしく饒舌なのだが、インタビューなどでは驚くほど言葉が少ない。意識してそういう話し方をしているのか、それとも「役」がつくとなりきって別人格になるのではと思うほどだ。だから、彼女はどんな役でもこなせる。シリアスなミステリーでもコメディーでも、教師役でも泥棒役でも全部お任せという、監督にとってはありがたく頼もしい相方になる。
彼女がナレーターを務めるCMなども、まさに別人格な風情がある。
桃井かおりという女優はその逆で、映画の中の話し方も、日で普段の話し方もまるっきり同じだった。この場合は、役の方が本人に擦り寄ってきている。あるいは、監督が期待している「役」の喋り方が彼女のありのままだっただから、彼女を役者として選んだ。そんなふうに思う。
芸達者な綾瀬はるか主演(で良いと思うのだが)の鎌倉を舞台にした美人4人姉妹のお話が「海街diaru」だ。ストーリーはあまりない。4姉妹にそれぞれ絡んでくる男役はいるが、色恋沙汰はあくまでサイドのおまけで、姉妹の暮らし、一年分を四季に応じて淡々と描いている。要するに美人はいつ見ても綺麗だ……………という映画らしい。だから飽きるかというと、そこはやはりプロの映画なので、起承転結を踏まえて緩くお話は進んでいく。
平成の後期に時代の選んだ美人4パーターンが勢揃いという、ファッションショー的な映画だった。まあ、それで良いのだ。映画というのは面白さ抜群の冒険活劇もあれば、腹を抱えるコメディーもあり、そして綺麗なものを見るだけで良いよいとい「美術館」みたいなものもある。
山田洋次監督の撮るファミリー人情ものとはちょっと違うテイストだが、小津安二郎から続く日本映画の王道ファミリー映画だ。(ファミリー向け映画ではない、ファミリー女姿を描く私小説的映画だ)
個人的には鈴役の広瀬すずが初々しくて、この役の後で彼女がどう成長したかを思い出し、ちょっと嬉しくなった。ただ、少女役を演じられるのは本当にちょっとの間だけなのだなあ。
ちなみに、なぜか「海街diary」の録画ディスクは3枚あった。一度録画したものが見つからずに再録したのが2回もあったということのようだ。自分のためっぷりを思い知らされた。断捨離とはこういう自分の愚かさを再認識する行為でもあり、実に悲しい。
断捨離せずに保管しておきたい時には、ディスクを買えば良いのだが。

もちろんアマプラでも鑑賞可能です