食べ物レポート

甘いものランキング

撮り溜めた写真をひっくり返して見ていたら、唐突に思い浮かんだ「自分だけのスイーツランキング」を作ってみようというアイデア。あれこれ思い浮かぶものもたくさんあるが、独断的偏見で1位から3位を選んでみた。根拠は「自分好み」に尽きるので、人様の参考にはあまりなそうもないが……。

第3位は伊勢の名物「赤福」で、和菓子では銀座空也のもなかを押し退けて、堂々の入賞。吉祥寺小笹のもなかも捨て難いし、佐賀の小城羊羹もおしい。しかし、この赤福の餡子が見せるフォルムの美しさは、和菓子の極地だと思う。名古屋、京都あたりでは流通の関係もあり、駅のキオスクでも買えてしまうお手軽さもポイント高い。あえて和菓子の番外に押すとすれば北海道の「わかさ芋」も、どこでも買えるお手軽さがあり4位くらいかも。

第2位は熊本のリキュールマロン。洋酒をドバッと使った、酒飲みのための菓子だ。洋酒漬けと言えばサヴァラン的なものを思い出すかもしれないが、それをはるかに超えている。どぶ漬けという表現があっている。これをつまみに酒を飲むと、まさに「背徳的」で「悪さの二乗」という感覚が強い。午後のお茶の時間に食べるものではない。深夜の食べ物だ。熊本に行くのであれば、土産物はこれと、球磨焼酎の二択で決まりだろう。球磨焼酎は「やまほたる」一択。

そして、第一位は文句なしの六花亭「クレームブリュレ」。上面のキャラメリーゼした部分が溶けてしまっているのは仕方がない。巷に売っている高級プリンを押し退け、これぞマイプリンベストと言える。プリン特有のゼラチン的食感が全くない。プリンの表現につかわれる「滑らかな舌触り」とは、これのためにある言葉だと言いたいくらいだ。そして、この品質でありながら160円という、コンビニプリンよりもお手軽な値段。素晴らしいの一言に尽きる。
六花亭のお店にいって冷蔵ショーケースの中に在庫があれば絶対買ってしまう。ただ、夕方に行くと売り切れている確率は相当に高いので、確実に入手するためには午前中に買いに行くのがベストだ。
振り返って思うと、この三品を年がら年中、ヘビーローテションで食べている気もする………。

食べ物レポート

北海道のローカルフード?

けっこう甘いが中に餡は入っていない

べこもちという食べ物がある。北海道では、端午の節句の時期に柏餅ではなく「べこ餅」を食べる習慣がある。全道での習慣かどうかはわからない。函館あたりの北海道南部(道南)は、北海道独自の文化圏というより津軽文化圏なので、ひょっとするとリガ雨かもしれない。
べこ餅は黒白で葉っぱ型の甘い餅菓子だ。米粉で作られた練り物だと思う。黒い部分は黒糖で色がついているらしい。元々は岩手県のものだと思うが、すでに北海道ではルーツ意識が消え去っていて、北海道独自の食べ物的扱いになっている。自分もいいわ手でべこもちを発見した時は、なぜ北海道の食べ物が岩手にもたらされているのだと疑問に思った。冷静に考えれば、明治中期に岩手からの移住者が持ち込んだ食文化であるはずだ。東北全般ではなく北東北の一部?で愛されている伝統色のようだ。
東京で見かけることはほぼない。なぜかファミレス「とんでん」で、レジの横に売っていることがあるくらいだ。似たような和菓子は「すあま」だが、べこもちの方がねっとりとした感触が強い。
いろいろと言われはあるのだろうが、すでに「べこ餅」は北海道の伝統色の一部になっている。柏餅を駆逐しているのも事実だろう。甘納豆入りの赤飯と同じくらい、「北海道民あるある」なのだ。ちなみに20代中盤になるまで味噌味の柏餅も食べたことがなかった。あれは埼玉特有の食べ物なのかどうか、お江戸生まれの住民に確かめなければと、いつも節句の時期に柏餅を見ると思い出す。

もう一つ、北海道のローカルフードになるかもしれないしろものが「豚パン」だ。これはチェーンパン店で発見して、腰が抜けそうなほど驚いた。POPに豚パンと書いているので、なんと盛大に誤植をしたものだと笑っていた。豚まんと豚パンだから、漢字入力の変換ミスをそのまま気が付かずに……………と思い込んでしまった。
笑いながら豚パンを買ってきて、家で食べようとしたら、やはり饅頭のルックスで尚更笑ってしまった。
一口食べて、ようやく気がついた。これは…パンだ。なんというか、やられた感がひどく、一気に脱力してしまった。なぜ、饅頭のコピーをパンでやるのかあ。饅頭で良いではないかと。

見た目は、蒸す前の肉まん 表面はふわふわ

中身の餡は、まさに豚まんだった。冷めても美味いという意味では、こちらの方が出来が良いかもしれない。開発者に脱帽というしかない。北海道ローカルパンとして、ぜひ有名になってほしい。
北海道ローカルとしては先輩格にあたる「ちくわパン」は、最近首都圏のあちこちのパン屋でゲリラ的に発生している。コピー品だと思うが、それをとやかくいうつもりはない。逆に発見するたびに、ニンマリとしてしまう。そのうち、ちくわパンの発展改良型が都内某所で生まれ、知らないうちに世田谷名物とか目黒の新名物などと言われるようになり、週末のテレビ番組で紹介されそうな予感がする。
そうすると、北海道のちくわパンファンから、ルーツは札幌というクレームでSNSが大炎上しそうだ。
それを見た全国のパン屋が「これはコピーです」などと言って、奇形的進化を遂げたちくわパンが全国で大量発生して、その混乱を収めるべく「日本ちくわパン協会」が設置され。札幌の「どんぐり」が元祖と認定されるる。などという妄想を酒も飲まずにいるから楽しんでしまいました。

食べ物レポート

もつ焼きと焼き鳥

これはもつ焼きか? タン、軟骨、かしら、砂肝 どれも見た目は似ている

どうも「もつ焼き」と「焼き鳥」の区別がよくわからないまま歳をとってしまった。生まれた場所では、もつ焼き屋というものが存在していなかったせいだろう。焼き鳥屋で、鶏肉以外の肉、内臓肉も一緒になって販売されていることが多かったからだ。少なくとも鶏肉と豚肉は共存していたし、豚の内臓肉を含め色々な部位がメニューにあった。
それでもお江戸に出てくるまで食べたことのなかった部位がカシラ(頭の肉)と軟骨(喉笛あたり)。それ以外の多種多様な内臓肉はホルモン屋にはあったような記憶もあるが、串に刺さってはいなかった。
お江戸で初めてもつ焼き屋に入った時に、ねぎまを注文したら「うちはもつ焼き屋だから」と強く叱られたのがトラウマになり、しばらくもつ焼き屋にはいかなかった。
地元の居酒屋のメニューには、串焼きと焼き鳥が別ページになっていて、一緒に注文できる。こういうスタイルだと安心できるのに。

つくねに砂肝に豚肉生姜巻き 焼き鳥北海道スタイルだ

地元に帰れば、ナンバーワン焼き鳥チェーンに行って、あれこれと串に刺さった肉を注文するが、肉の種類がなんであれ、全て「焼き鳥」と呼称する。串焼きなどという気取った言い方はしない。豚肉だろうが、鶏肉だろうが、内臓肉だろうが、全部「焼き鳥」だ。タレと塩も1種類ずつ聞かれるが、面倒くさいので全て塩と言い切る。たまに、つくねはタレがよかったななどと後悔することもあるが、焼き鳥の注文は勢いが大事だ。
ちなみに、おそらく札幌で12を争う老舗、福鳥では一皿4本単位で注文するのが決まりだ。だから、一人飲みに行くと二品注文するとほぼギブアップ状態になる。異本ずつ注文させろとわがままを言うつもりはないが、せめて鮨並みに2本単位にしてもらえないか。ただ、焼き鳥屋の親父は頑固で偏屈ものが多いから、そういうお願いをするのも怖い。もつ焼き屋と焼き鳥屋の共通点は、店主が「頑固オヤジ」だということだろうか。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

山田太郎の進化

昨年夏に開いた山田うどんの新規業態、埼玉タンメン山田太郎を時々観察に行く。地元ということもあるが、埼玉タンメンなる造語までした新業態がどう進化していくのか楽しみにしているからだ。2号店は川島(関越インター近く)に開いたので、そちらもそのうち見学に行こうと思っている。新業態の2号店は、1号店の修正がなされた増加試作的な形になることが多いので、1・2号の比較はためになる。少なくとも仮面ライダー1号2号程度の差はあるはずだ。

今回の気づきとして一番の変化は、メニューブックとスマホ注文を併用していたのが、タッチパネル注文に代わっていたことだ。開店時から非接触型のコロナ対応店舗だったが、どうやらスマホオーダーが不人気だったようだ。麺を主力とする業態だけに、中高年男性が多い印象があるが、その客層が問題の原因だと思う。何度か来店して観察していたが、いまだに携帯電話を使っている男性客が多いこと。そして、スマホを持っていても口頭で注文する面倒くさがりが多すぎるようだ。
タブレット式注文はその解決策だと理解できるが、やはり学びはあるようで「紙」メニューがテーブツの上に置かれている。ブック型ではなくペライチというのが、対応客層が誰かを連想させる。一覧できる一枚メニーはファストフードでも多用されているが、メニューが多くなると目移りがして選びにくい。その辺りもレイアウトで工夫しているのがわかる。(元ファストフード従業員としては、もう少し工夫の余地がありそうな気もするが…)
この紙とタブレットの併用策は客層に合わせた柔軟な対応と考えられるが、印刷物の用意は時間もかかるし、単店ではコストがバカにならない。できればタブレットに一本化したいだろうが。まだ試行錯誤中ということか。
また、タブレットはあきらかに一覧性が悪い。いくつかあるメニューからどれかを選ぶとなると、一覧性の悪さは「使い勝手が悪い」と客の不興を呼ぶ恐れがある。この店のように中高年男性が主客層になる場合は客離れの原因にもなりかねない。

すでにコロナが収束しつつあり(感染者数の減少より社会的認識として)、アフターコロナの外食ビジネスがどういう運営方法に落着するのかが目先の課題だろう。外食各社の思惑で「百花繚乱」状態から、どのやり方が定着してくるか。業界標準が定まるには、もう少し時間がかかるようだ。
埼玉タンメンは山田うどんの系譜につながる、テーブルサービスのファスト提供というユニークな業態なので、進化の行方が楽しみでしょうがない。

今回の新商品はトマト味のタンメンだった。トマトスープのラーメンは先行業態があるが、そこのトマトラーメンとは全然違う。埼玉タンメンのスープをベースとしてトマト味に仕上げたものだが、全体的に印象のぼんやりとした味になっている。イタリアンを意識したのか、あるいは先行形態のトマトラーメンを狙ったのか、粉チーズをかけて食べる仕上がりになっている。当然、チーズの旨味成分と塩が加わって完成形になるという、合体方式の麺料理らしい。ただ、それであればチーズが別提供、後掛けではなく提供時から合わせたものを出すべきだろう。
チーズなしで食べるとスープの味が薄く、麺料理として完成していない気がする。ちなみに、薄味が気になって卓上にある醤油とニンニクを追加してみた。予想通りスープの塩味が足りていないのが醤油で補われると旨味を感じる。ニンニクが入いると「イタリアンなトマト味」に変化した。味変を楽しむという意味では、面白いベースだと思ったが、それが狙いでもないだろう。
まあ、色々な試行錯誤の中から「ヒットメニュー」も出てくるのだろうし、あれこれ新しい味を楽しませてほしい。
次に行った時には何が起こっているだろうか。実に楽しみだが、進化速度をもっと早めても良いような気がする。アフターコロナの生存戦略の一つは「変わり身の速さ」だと思うのだが。

食べ物レポート

いつものランチ サイゼリヤで

煉獄の卵 うまし!

ひと月ぶりくらいでサイゼリヤに行こうと思ったのは、ここ最近のマイ定番卵料理が食べたくなったからだ。商品名は煉獄の卵。トマトソースとオリーブオイルで味付けされた卵2個のオーブン料理だ。これを食べながらいつも思うことだが、イタリアには天国の卵とか地獄の卵という料理はあるのだろうかというささやかな疑問だ。
あの料理の天才、イタリア人だから、きっとあるんだろうなあとは想像しているが・・・。サイゼリヤで是非実現してほしい。イタリア卵料理トリオ「天国と煉獄と地獄」を季節限定で良いから当場させてくれないものだろうか。

普段は、単品ハンバーグかハンバーグとチョリソーのセットを頼むのだが、今回はランチ限定のスパイシートマトソースのハンバーグを注文した。このソースもできれば定番メニューに加えて欲しい。ランチのハンバーグはレギューラーのものより小さめな気がするのでフルサイズで食べたい。(測ったわけではないので感覚的なもの)
サイゼリアのハンバーグは単品で食べるのがうまい。最近はなぜか醤油も置いてあるので、醤油をつけて食べるという野蛮な食べ方もできる。ただ、ソースアレンジで食べるのも捨てがたい。ランチ限定のオニオンソース、トマトソースは是非選べるソースとして定番にしてもらいたい。
このスパイシートマトソースには、ホットソースをハンバーグの半分にたっぷり追いがけする。イメージとしては右半分が普通の辛さ、左半分が辛さ強化パートという感じになる。そして、右端と左端から真ん中に向けて攻めていく。マイ・ハンバーグ攻略法だ。これを定番ハンバーグでやってみたい。右半分はトマト、左がオニオンソースという感じだろう。
最近のサイゼリヤの「自分でアレンジしてね」路線を、レストランとして手抜きだろうと最初は馬鹿にしていたのだが、今では悔い改めた。あれこれ自分でアレンジするのは、なかなか楽しい。おそらくサイゼリヤの価格のせいでもあるようだ。たとえアレンジに失敗しても諦めがつく値段だ。最悪、同じものを注文し直してもさほどのダメージは受けない。
だから、サイゼリヤはどんどんソースなり調味料なりを増やしてもらいたいなと願っております。そうしてくれたら、もっとランチに行くのだがなあ。

街を歩く, 食べ物レポート

いつものランチ 新宿アルタ裏

ポークソテーとコロッケのランチ

新宿アルタ裏にある雑居ビルに、お気に入りの洋食屋と居酒屋がある。ランチは洋食屋、夜の飲みは居酒屋でと使い分けている。ビルの5階というちょっと不便な立地で、おまけに一階はゲーセンなのでエレベーターに行くまでに相当賑やかな空間を突っ切らなければならない。
それでも新宿では貴重な洋食屋で、オムライスを食べたい時は、ほぼこの店一択になる。洋食屋と言いながら、在りし日のデパートの大食堂的なメニューなので、焼き魚定食もあればステーキもあるという賑やかさが嬉しい。
いつもであればオムライスを頼むところだったはずが、たまたま隣の席についた若い女性客がオムライスを注文して、その注文を聞いた従業員がそのまま自分の注文を取りに来てしまった。「じゃあ、こちらもオムライス」と定食屋のノリで注文すればよかったのだが、なぜか若い女性とメニューがかぶるのは・・・などと躊躇ってしまった。普段はあまり頼まないポークソテーを頼むことにした。コロッケをセットにしたのは気まぐれだ。ランチのセットなのでライスにスープがついてくる。お値段もリーズナブルだった。
注文したものを食べて予想外だったのは、コロッケが手作りらしいカレー味だったことだ。ランチにセットでついてくるコロッケだから、業務用冷凍品に決まっていると決めつけていた。その先入観が見事に裏切られた。
これが出るのであれば、コロッケ定食を頼んでも良いかもと思ったほどだ。付け合わせについているマカロニサラダも好みなので、次はコロッケとマカロニサラダをどちらも単品で頼んでみようと思ったほどだ。
ポークソテーはデミグラスソースで仕上げている本格的なものだ。洋食屋のポークソテー、チキンソテーはどの店もソースに工夫を凝らしているので、その店の味が楽しみなメニューだが、こちらはオーソドックスな味付けで十分に満足した。
ただ、これもランチセットではなく、単品で注文すればよかったなと後悔した。単品だと、肉が二枚になる。セットでは一枚だけなので、食べ終わるとなぜか中途半端なところでお預けを食らったような寂しさが残ってしまう。どうもオムライスから浮気をしたバチが当たったようだ。それでも新宿の真ん中にあるレストランで食べるランチは満足度が高い。

靖国通りを挟んで歌舞伎町を見る

今ではすっかり定着した、おひとり様用カウンターは靖国通りに面した窓際なので、目の前は歌舞伎町のさまざまなビルが見える。ちょっと前までは外国人観光客で溢れていたドンキ前も、今ではすっかりおとなしくなっている。
そのドンキの先に高層ビルがニョキニョキと生えてきて、今では竣工寸前だ。コロナですっかり静かになったてしまった歌舞伎町も、密かに新陳代謝が進んでいるようだ。ゴジラ・ヘッドのホテルビルと並んで、新宿ツインタワーなどと呼ばれるのではと思いつつ、洋食ランチを楽しんだのでありました。

街を歩く, 食べ物レポート

いただきもの 高知県おもてなし課(元)

高知県で農産物を仕入れたことから、ご縁が続いている高知県観光振興部観光政策課おもてなし室から送られてきたお茶とコーヒーのサンプルが4種類。見た目はおしゃれでシックなものだった。
以前はおもてなし課だったが、おもてなし室に降格?されてしまったのがちょっとさみしい。「おもてなし課」は映画化もされていた高知ブランドの一つだけになあ、と残念に思う。
それはさておき、お茶はブレンド茶で、ハーブティーの親戚みたいなものだった。あまり知られていないようだが高知県はお茶の大産地で、静岡にも輸出?され静岡ブレンドのキーパーツになっていると聞いたことがある。
できれば、静岡で加工用に使われるのではなく、高知ブランドで売りたいのだと、高知県山間の町で農業に関わる人に聞いたことだ。
来年の某国営放送朝番組で高知県が扱われるそうだ。その牧野先生に関連してのお茶なのだろう。個人的には(普段はあまりお茶を飲まないのだが)、なかなかシャレオツな気分になる素敵なものだと思う。何しろパッケージが相当にシックだ。伊勢丹三越のハロッズの横においても負けない気がする。
一緒に送られてきたコーヒーは、高知となんのゆかりがあるのかはよくわからないが、パッケージの裏にある「コーヒーの淹れ方」を読むと、高知人的センスが読み取れる。曰く、コーヒー粉末にお湯を注ぎ10−20秒蒸す間は、遠く高知の風景などを思い起こすと良い、とすすめている。
高知の街をぶらぶら歩くと、あちこちに気の利いたセリフが書かれた看板や広告を見つける。センスの良い街だと思う。そんな高知気質みたいなのが、コーヒーのパッケージにも現れているようだ。
日曜市の猥雑な賑わいや、ひろめ市場の昼飲み天国状態を見るにつけ、この町はラテンな人たちが住んでいるのだなあと思っていた。優れもののデザインが溢れていることも考え合わせると、高知は日本で一番イタリアンな場所なのかもしれない。それも南部のとびっきり明るい街、ナポリに似ているような気がする。
ナポリであったマリオみたいなおっさんを高知のカツオ名人たちに合わせてみたいな、などと高知ブレンドコーヒーを飲みながら考えておりました。

食べ物レポート

赤い牛丼

なか卯の和風牛丼

ネットで紅生姜を山盛りにした牛丼を見て、アーッとショックを受けた。赤いビジュアルもなかなか劇的だったが、ショックを受けたのはそこではない。こんなに紅生姜使っても良いんだという、なんとも脱力する気づきだった。
牛丼を食べる時の楽しみは、牛肉の味というより、紅生姜と絡まって生まれる酸っぱさ、塩味のハーモニーだと思っている。牛丼非存在圏であった北海道で育ち、お江戸に出てきて初めて食べた牛丼の衝撃のせいだ。牛丼特有の油臭さというか牛臭さを生姜で紛らわせて食べるという食体験は、子供のうちに済ませておくべきだ。大人になってから学ぶ「異文化」は、なかなかしんどいものがある。
牛丼初体験時にうけた異様さの比較対象としては適切ではないかもしれないが、台湾で食べた臭豆腐を食べた時に近いものがある。現地の人は旨そうに食べているが、どうも自分は馴染めないという異邦人感覚だ。
そんな初期牛丼体験から、いつの間にか週3牛丼フリークになったのは、紅生姜による味変が可能だったからだと思っている。
ただ、本音ではもっと大量に紅生姜を乗せたいのに、建前として「これは付け合わせだからとって良い適量というものがある」だろうなと、遠慮しつつ紅生姜を乗せていた。
おまけにテイクアウトでついてくる紅生姜小袋をみると、これが一回分の適量というものだろうかと悲しんでいた。個人的には、あの小袋入り紅生姜は牛丼一杯に対して3−4個ほど使いたいと思っていた。それでも、「紅生姜追加でお願いします」という勇気がなかった。一袋分の生姜で泣く泣く我慢していた。
が、ネット記事の牛丼を見ると、どうやら紅生姜は使い放題のようだ。これまで耐えてきた日々は全く無駄だったということだ。汁だくブームの時に気がつくべきだった。これぞ、宗教的な回心に近い気づきだった。食の神様が降りてきたような気がする。
そこで、夢の紅生姜牛丼を実現してみた。自分でかけたいだけ紅生姜をかけてみた。ビジュアル的には全く別物の料理になっている。恐る恐る食べた。これは法悦だった。これまで食べてきた牛丼の時間を全て返して欲しいと思った。残りの人生で、あと何杯牛丼を食べるかはわからないが、少なくとも「赤い牛丼」しか食べないだろうということは確信している。
もっと早く知っていればなあ、と後悔することが年々増えてきているが、この赤い牛丼事案は、その中でも最大の衝撃だと思う。我が人生、数多の曇りありだ。やはりラオウにはなれない。

街を歩く, 食べ物レポート

喫茶店とカフェ

北海道庁近くに相当昔からあり、たまに使っている喫茶店がこの店だ。ビルの地下にあり昼でも薄暗い、昔ながらの喫茶店スタイルだ。この店のナポリタンが好きでたまに来ていたのだが、コロナの間は休業していることが多く、久しぶりに店先を覗きに来たら、なんだか賑やかな看板が出ていた。
知らないうちにずいぶんデザート推しの店になっている。自分の記憶では、「純喫茶」というのは飲み物しか出さない、フードなしの店だったと思うのだが、どうやら今では違うものになっているらしい。
別にそこに文句があるわけではない。美味いナポリタンを食べた後、チョコパフェを食べるというのは財布に余裕ができた大人の特権だ。ソーダフロートを飲んだ後、渋くコーヒーで締めるというのもやはり大人の特権だ。まして、追加でプリンを頼めばプチ王様気分になれる。喫茶店はそういう使い方ができるのが嬉しい、オヤジ好みのコンセプトではないか。
などと看板の前で妄想してしまった。確かに、純喫茶はオヤジの楽園になりつつある。アフターコロナ時代の良い落とし物かもしれない。

その古い大人の楽園から徒歩5分もかからないところに、今の大人のおしゃれスポットがある。北海道庁正門前に広がる広場を眺めながら、優雅にお茶ならぬ「おアイス」を楽しめるカフェだ。全国的にはこのブランドの飲食スペースは減少しているはずだが、札幌では実にゆったりとした空間がある、そして昼でも夜でも比較的混み合っていない理想のカフェ的存在だ。

ミント味のチョコレートがブームの後に定着して嬉しい

そのおしゃれな場所で街行く人を眺めながら、洋風かき氷(としか形容しがたいのだが、要はフラペチーノもどき)ミントチョコ味を楽しんだ。普段はあまり甘いものを飲み食いする習慣はない。だから時々無性にソフトクリームとかフラペチーノやキャラメルマキアート的な「甘甘甘」な物が欲しくなる。
ラムレーズン味かミント味があれば尚更良い。昼に飲む酒が背徳的な旨さだとしたら、オヤジが一人で楽しむ「甘い呑みもの」は悪魔的な旨さだろう。
ただ、それを若い女性に囲まれて楽しむ余裕がオヤジ族にはない。だから、札幌のこのカフェは貴重だ。一年に一度か2度しか使わないダメ客だが、是非この場所でこの店を営業続けてください。東京には、こういう「オヤジに優しい」空間が存在していないのです。

街を歩く, 食べ物レポート

東京五十番で酢豚

札幌中心部 南3条通り沿いにある町中華

「札幌町中華の本」というムックが発売されている。ネット記事で見つけてAmazonで買ったが、ふと気になって都内の書店で探しても見つからなかった。令和の時代はこういう買い物の仕方になるのだと思った。本屋でぶらぶらと書棚の間を遊び回り、気になった本を手に取りペラペラパージをめくる。そんな本を買い方、楽しみ方は、既に過去のものらしい。ネットリテラシーが低いと、おちおち読書も楽しめない困った時代だ。
その札幌町中華紹介本の中には見当たらないが個人的お気に入りが「五十番」だ。学生時代からお世話になっていた旧店が、ビルの建て替えで閉店した。残念に思っていた。それが、ある日突然転居して営業再開といううれしいことになっていた。以前の店よりちょっと広くなったような気がする。メニューは普通の中華料理屋にあるメニューは揃っているという感じで、特別尖ったものはない。当たり前の中華といえばその通りだ。

この店で注文するのは決まって酢豚だ。マイ定番と言って良い。この酢豚も気を衒ったところは全くない。生姜味の豚肉唐揚げに玉ねぎとピーマンで仕上がっている。きくらげやパイナップルやきゅうりといった変化球は一切入っていない。最近食べたマンゴー入り酢豚(中国人シェフの店)などという令和進化系とは全く異なる。
期待通りのものを期待通りの味で食べさせてくれるのは、町中華の必須条件だろうと思うし、そこがブレないことが町中華の信頼度につながる。八角や茴香といった中華系スパイスが強くないことも大事だ。あとは、街中華でシャンツァイ(パクチー)にお目にかかることはない。あくまで日本人向けの中華料理だからだろう。
札幌にはザンギで有名な愛すべき町中華もあるが、普通においしいという安定性と信頼性で、この店を愛用している。
飛び抜けて美味いとか、珍しいものを食べたいというのであればホテルの中華料理屋に行く手はある。ただ、札幌のホテル中華は意外と保守的なので斬新な何かを求めるのであれば、お江戸あたりまで出向いた方が良いと思う。(マンゴーの酢豚みたいなやつだ)
ただ、東京往復の交通費を考えれば、この店で20回くらい美味しいものを食べられるので、その方がより良い人生の過ごし方ではと愚考いたします。