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弘前で駅弁

弘前駅の改札を出たところにあるお弁当売り場が素晴らしい。以前に見た時は駅弁がずらっと並んていたが、今は駅弁以外にも色々と商品が増えていた。弘前名物というより、もうちょっと広域で販売されているような「津軽弁」という青森各地の駅弁が賑やかに並んでいる。新青森駅の駅弁販売店ともまた違う郷土愛あふれる弁当だ。弁当の裏側ではリンゴが売られていた。見たこともない品種があり、さすがリンゴ王国だけのことはあると感心した。

その弁当売り場の横に津軽応援弁当というものがあり、これは駅弁というよりローカル客向けの、普通のお弁当だった。これもなかなか捨てがたい魅力あふれるお弁当だ。輪ゴムで蓋が止められているところなど、手作り感が溢れている。駅弁と合わせて買おうかと随分迷ってしまった。流石に弁当2食を食べる根性がなく諦めたが。

弁当の隣でお惣菜も販売中だった。どれもこれもうまそうだが、青森郷土料理の貝焼き味噌まで売られているのはびっくりだった。イガメンチは、この辺りでは絶対定番的なお惣菜だろう。ただ、この後に駅近くの市場に行ってイガメンチをゲットする予定だったので、ここでは何も買わなかった。もし、弘前泊まりで旅をするのであれば、この売り場であれこれ買い込み、つまみに弁当に夜食になどあれこれ使い道はありそうだ。ここで惣菜を買い込んでホテルでのんびり一人酒などというのもありだなと思った。もちろん、そういう時のために、いつもの旅行鞄の中には箸とナイフは常備している。

ちなみに、弘前駅のすぐそばにはコンビニもあるので、軽食や弁当の調達には困ることはない。だが、このラインナップを見ると気分はすっかり鉄道旅モードになる。最近では車内での飲食は自粛ムードもあるが、一人で黙食であれば問題はないだろう。新幹線の車内アナウンスでは、多人数での飲食はやめてとは言っていたが、あれは宴会モードでうるさいジジイババアのせいだと思っている。もっとも、若いグループだと飲食なしでも賑やかなこともあるので、飲食の有無に関わらず「お静かに」というべきではないか。

帰り際に立ち寄った改札脇のキオスク(いまはNew Daysか)でも何やら魅力的なビッグおにぎりとビッグ稲荷寿司が売っていた。ゲンコツより大きいおにぎりは、とても魅力的だった。腹ペコ状態でこれをむしゃむしゃ食うことを想像すると、思わずごくんと唾を飲み込んでしまう。弘前駅は美味しいものの宝庫だった。

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新幹線駅で楽しむ青森

東北北海道新幹線を新青森で降りると、いきなりお出迎えされるのが武者絵の数々で、これを見るたびに青森に来たなと思う。今回は直接駅の外には出ず、在来線に乗り換えるため連絡通路沿いで見つけたものだ。

極彩色というべきだろうか、赤と墨のコントラストが特徴だと思う。青森出身の版画家棟方志功の作品に見る極太の描線は、この武者絵の時代から繋がれているものだろうか。棟方美術館に行って作品をじっくり見ると、意外と繊細な線で描かれた作品もあり、巨匠の懐の深さというか技法の多彩さに驚かされた記憶がある。

武者絵という二次元芸術が、立体化してねぶたになると、また違う美が生まれる。これこそ日本の誇る芸術であり美術品だと思っているのだが、それが「無料」で、通路を歩く途中で見られるのだからありがたい。ただ、残念なのはこの立体芸術は長くk保存されることにはなっていないらしい。ねぶた祭りで山車に載せられている巨大像も、どうやら一年程度で消滅するようだ。
確かにあれを全部保存しようとすれば、毎年体育館を一つずつ立てなければならないだろう。長期保管となれば表面のメンテナンスだけでも気が遠くなるほどの手間がかかりそうだ。だから、その年その年で新しいものを楽しむしかない。コロナの間はすっかりご無沙汰していた青森で、最初のお出迎えに感動してしまった。

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思い出のハワイ

カイルアビーチ

ハワイ、オアフ島に一年くらい住んでいたことがある。仕事をしながらハワイ暮らしとは羨ましいと知人には言われた。最初の2ヶ月ほどで飽きてしまった島暮らしだが、後半の半年はすっかりロコ生活にもなれ、南の島の暮らしが好きになっていた。だから、冬になるとハワイ暮らしのことを思い出す。懐かしくなる。
当時はネットもない時代だったので、日本との情報は隔絶されていた。日本語の活字に飢えて、ハワイの日本語新聞を購読していた。ワイキキに行けば、カード会社のオフィスにある日本人観光客向けフロアでは日本語の新聞や雑誌が読めた。休みの日にはよく利用させてもらった。
今であれば、ネットで日本にいるのと同じ情報が手に入るから、なんの問題もなさそうだ。本は電子書籍で、ゲームやビデオもダウンロードで済ませる。この環境だったら、2−3年は行きっぱなしでも良いと思う。

そんな懐かしのハワイ暮らしで、とてもお世話になっていたハワイ製ドリンクがこの2種類だった。ちょっと前、偶然にディスカウントスーパーで見つけた。便利な世の中になったと思う。ハワイ旅行に行ったときには、よく手土産で買ってきたものだが、今では日本国内で、それも埼玉県の片隅で手に入るのだ。
グアバは現地ではスーパーの食品売り場でたまに見かけた。パッションフルーツはどこかのレストランで食べた記憶がある。ハワイといえば、パイナップルよりグアバの印象が強い。
このドリンクは現地ではいくらで売られているのだろう。当時は1本50セントくらいだった。今回は埼玉県で160円(税込)で買ったので、現地だと1ドルくらいだろうか。調達先ができたので、これからは自宅でハワイ気分になれる。

5年前にハワイに行った時の写真を引っ張り出してきた。ハワイ州のことをAloha States というようだ。アローハな国ということだろう。Alohaの発音はカタカナで書くと、アッ、ローハァみたいな感じだが、こんにちは、さようなら、久しぶりみたいな、歓待の挨拶がごちゃ混ぜになった感じで使われる。だから、どこにでも、何にでも、Alohaの文字がある。
ワイキキの賑やかさと離れたところに、南の島暮らしがあるのだが、コロナが終わったらハワイの友達にAloha!を言いに会いに行こう。お土産は、彼らの大好きな草加せんべいだ。

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羽田空港のメルセデス・カフェ

虎ノ門にあった港屋が突然閉店してから何年たっただろう。その後、都内某所に支店が開いたとネットニュースで見たが、ついつい行きそびれていた。たまに港屋インスパイア系のラー油蕎麦屋でお茶を濁していた。その港屋が最近、羽田空港に開店したというニュースを見て、これは是非行かなければと思いつつ3ヶ月ほど経ってしまった。ようやく空の旅ができるようになり、いつもより1時間ほど早く羽田空港に向かった。

羽田空港の全日空側の地下から搭乗口に上がるエスカレーターの奥にある、メルセデスベンツのPRスペースの一角に港屋ラウンジがある。どう見てもカフェだ。洒落た空間だ。エスプレッソとかなんちゃらラテが似合う店だ。確かに港屋も立ち食いそばながらエレガントな空間だったが、さすがにここまでカフェぶりにはしていなかったような気がする。

店頭に出されたメニューを見ると、一番上にあるのが「冷たい肉そば」だった。これを見て初めて蕎麦屋だとわかる。蕎麦以外にはカツカレーもある。ドリンクはコーヒ−100円、生ビール500円というこれまた微妙な値段で、どうやらここはカフェではないぞという気がしてくる。しかし、港屋の蕎麦は普通の蕎麦ではなくラー油蕎麦で・・・みたいな説明が一切ない。港屋のそばとは何であるかを理解している客以外を無視しているとも思える。ただ、初めて食べる港屋のそばに感激する人は多いと思うのであまり心配はない。

入り口のカウンターで注文すると呼び出し器を手渡され、席で待つセルフ方式だった。客席はコロナ対策がされていて席間の間隔も広いゆったりモードだ。しかし、どう見てもこの空間はスタバ的なカフェなのになあ。などと考えながら100円のコーヒーを飲みつつ待つこと数分で呼び出された。

久しぶりの肉そばだった。記憶にあった味を思い出しながら、もぐもぐと食べ始める。ラー油蕎麦は麺が太めで硬いのが特徴だから、するっとではなくモグモグになる。それでも、思っていたより麺が細かった。記憶とはかなりいい加減なものだから、太いと思い込んでいただけかもしれない。ラー油入りのツユももっとしょっぱいような記憶だったのだが、甘さが思いのほか強いという印象がした。どうやらインスパイア系の味に記憶が改竄されてしまったらしい。
この甘めのツユがやはりうまい。またツユの量がたっぷりあるのが嬉しい。つけ麺も含めてツユの量が少ない店が多いので、このタップリ感にありがたみが出る。卵も生卵ではなく温泉卵だった。これはやはり最近の衛生事情の影響だろうか。
ちょっと多いかなと思っていた蕎麦をたちまち完食した。やはり肉そばはうまい。羽田空港の絶対定番はこれに決まった。羽田空港は、搭乗時間に十分余裕を持って、ラー油蕎麦を食べに来る場所になる。早朝便以外は、早ランチ、遅ランチ、ティータイム、全時間帯、ラー油蕎麦を食べることにしよう。

人生長く生きているといいことはたまにあるものだ、などと長寿を願う蕎麦を食べながら感動しておりました。

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蕎麦 あれこれ

松本で朝飯は蕎麦にしようと決めていて、8時過ぎに勢いこんで向かったのは松本駅1階にある手打ちそば屋だった。しかし、なんという運のなさだろう。この日に限って厨房メンテナンスのため開店時間は未定とのこと。5分ほど店内を覗いたりうじうじとしていたが、結局諦めて他の店を探すことにした。その後、買い物のため11時ころに戻ってきたら、もはや行列ができていた。あーあ、残念。食べてないから、余計に思い込んでしまうのは、きっとこの店の蕎麦はとても美味いのだろうなということ。

素朴なうまさ 出汁のバランスがとれたつゆが良い

そこから歩いてほんの1分ほどにある、座って食べる立ち食い蕎麦屋があり、駅弁製造の会社が運営している。店内には駅弁のチラシも置いていた。トッピングに駅弁に使われている山賊焼(松本あたりの名物鳥唐揚げ)があるということだったが、自動販売機のボタンには「山賊焼売り切れ」と札が貼ってあった。これが不運のパート2だった。山賊焼は諦め、山菜蕎麦にした。これは蕎麦とつゆのバランスが良い。山菜もたっぷり乗っていて、ネギはセルフで盛り放題だった。満足しながらそばを半分食べたところで、なんと山賊焼到着とのこと。駅弁で製造したものが配送されてくるらしい。悔しいので山賊焼のみテイクアウトした。自宅に戻り食べてから後悔した。一個ではなくもっと買ってくればよかった。ちなみに、山賊焼ハーフサイズ120円(税込)なので、10個くらい買うべきだった。

松本に初めてきたのは、乗鞍岳の中腹にあるキャンプ場に行った帰りで、その時に入った蕎麦屋が今も健在だった。その後も、時々この店には立ち寄っているが、いつも安定したうまさだ。初めて入った時は子供連れだったのだが、従業員の方が子供のそばアレルギーを気にしてくれたのが忘れられない。

人づてに教えてもらった、うまい蕎麦屋の一軒が、中町通にある。売り切れ終いなので、この店に来る時はいつも開店前に並んでいた。週末であればなかなか入れないらしい。店頭の張り紙が痛々しいが、今食べられるのはざるだけになっているようだ。寒い季節になれば、かけそばに天ぷら別添で熱燗という不良な蕎麦の楽しみ方もあるのだが、当分お預けになるようだ。それにしても微妙に英語表記が混じるのは、この店がインバウンド客に占拠されていた名残なのかななどと思った。ひょっとすると松本には外国人居留者が多いのかもしれないが。

縄手通りの神社の境内の中に蕎麦屋ができていた。というか、これは移設してきたのだろう。神社の建物の一角に入り込んでいるのでわからなかった。この店は、松本にある多くの蕎麦屋の中で、一番の高級店かもしれない。日常遣いで食べられる値段ではなく、やはり松本城観光にきた人たちとか、昼の社用接待みたいな感じだろうか。神田の薮、浅草の並木藪、室町砂場といったお江戸の高級店と同価格帯だからやはりここ一番のイベントでもなければ、ちょっと敷居が高いかも。味は間違いない、高レベル店だと思う。

駅前、中町通り周辺だけでこれだけ蕎麦の名店がある松本だが、例年10月中旬に行われる蕎麦祭り目当てに遊びに来ていた。去年は中止で、今年も中止。来年はぜひ開催してほしいなあ。

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グッとくる店 松本駅前で

松本の人は出身地を長野県と言わないという話を聞いたことがある。県名を言わず松本と答えるか、どうしても県名を聞かれる(松本が長野にあることを知らない人でしょう)と、苦し紛れに信州というという嘘か本当かわからないが面白いエピソードだと思った。
日本地図を広げると北海道と東北は別格として、長野県と岐阜県の大きさが目立つ。日本の山岳部に広がる海なし県で、県の中でお天気が変わるほどの広さだ。岐阜県は元々が美濃、飛騨、木曽と三つの国だった。ところが長野県、つまり信濃の国は、北信、南信、東信、中信と大まかに4つに分かれていたが、まとめて信州と呼ばれていたようだ。中核となる都市圏の人口から見れば長野市と松本市が2トップで、有名どころでは諏訪と軽井沢、それに飯田が南部地域の中核といった感じだろうか。
その松本と長野の2トップのプライドのせいか、FM局は松本にある。あるテレビ局も松本に本社があった。(現在は移転して長野市)
PARCOのあるなしで争うのは福岡と熊本の関係に似ていて微笑ましい。そして江戸時代から続く教育都市でもあるから、町の中が何やら文化っぽいというか、おしゃれなまちづくり、店づくりがめだつ街だ。

駅前の繁華街というか飲み屋街を歩くと洒落たファサードの店が多い。昼より夜の方が見栄えがするという点もオシャレ都市として加点対象だと思う。このハイボールの店は、東京で麻布十番あたりにあると人気店になりそうだ。オープンドアの季節は、特に良さげに見える。今はコロナ対応なのでしょうねえ。

小ぶりな店だが満員だったイタリアン居酒屋。ここはぜひ入ってみたいが、今の時期よりもう少し寒くなった季節の方が楽しめそうだ。3色提灯が素敵でセンスが良い。このご時世で満席だったので、おそらく予約をしないと入れない人気店だと思う。信州野菜とジビエ料理みたいなものが期待できるかなあ。

そのイタリアン居酒屋の真向かいにあった、お蔵改造しました的な古風な店構えの居酒屋では、日本酒のラインナップが自慢らしい。確かに白壁のライトアップは夜になるとひときわ目立つ。壁自体が発光看板みたいなものだから、誘引効果抜群だろう。大きな提灯が、この店でも誘蛾灯のように客を引き寄せる。

駅前繁華街をちょいと裏側に入ったあたりで出会った「鳥きん」駅前店。ということは他にも支店があるのだろうか。大手町店とか縄手店とかありそうな雰囲気だ。看板に乗っている山清は、松本の北にある酒蔵のようで、日本酒が飲めるラーメン屋ということなんだろう。それもちょっとそそられる。多分昭和の中頃からずっと変わらずに営業しているだろうなと思ってしまう店構え。最近はすっかり見かけなくなったラーメンと書かれた赤い暖簾が麗しい。ここは間違いなく締めの一軒の絶対定番だろう。

松本駅前で一番突き抜けていたのが、なんとジンギスカン屋で何故か北海道出身者がやっていると訴えている。ほぼ絶叫系だ。看板をよくみると、正確にはジンギスカン屋ではなくジンホル屋だから、松本オンリーな店かもしれない。
世間ではあまり知られていないような気がするが、長野県のスーパーでは普通に長野製ジンギスカン肉が売っている。長野県は北海道と変わらぬジンギスカン愛好者の住む場所らしいのだ。おまけに困ったことにジンギスカン発祥の地は長野だという人が多い。同じ話は岩手県遠野でも聞いたことがある。敗戦後、大陸からの引揚者が全国で同時多発的にジンギスカン創始者になったような気配もあるが、札幌では冷凍肉を焼いてタレにつけ食べる焼肉スタイル。長野ではタレ付きの肉を焼いて食べるタレ焼きスタイルなので、ちょっと違うやり方だ。おそらく、この店では北海道式と長野式がマリアージュしていることだろう。ここもちょっと入ってみたい、というかガツンと肉が食いたくなる。

松本の街はコンパクトだが魅力にあふれるお店がいっぱいだった。

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まるも 続き

久しぶりに訪れた丸もだが、開店してすぐの9時過ぎに行ったせいか、店頭には何も出ていなかった。帰り際に振り返ってみれば、入り口周辺に黒板やら、掲示板やらが色々と出現していた。以前に訪れた時には見かけた記憶がないので、おそらくコロナ対応で積極的にアピールすることにしたのだと推測した・・・。

モーニングセットがあることすら知らなかったが、これまでも訪れていたのは午前中だったはずで、それにもかかわらずお目にかかっていないとすれば、超人気で売り切れていたということなのだろう。トーストで朝食という習慣がないこともある。一般的にモーニングセットに関心が薄いせいだ。それでも、コーヒーを頼むとトーストとゆで卵がつくことがあるくらいは常識として知っているが。マルモにもモーニングがあったのかあ、とちょっと感動した。

マルモの名物がハニートーストであると知ったのは、このメニュー案内をみた後で、ネットで確認した。相当な人気商品らしい。コーヒーを楽しむに特化していたから、メニューをまともにみていなかったことも原因だ。メニュー表をマジマジとみてわかったことは、懐かしのクリームソーダとか、今はどこで飲めるのと言いたいくらいの喫茶メニュー絶滅種、レモンスカッシュが存在していたことだ。ウィンナコーヒーは、スタバなどのバリスタ系コーヒー店で飲めるものなのだろうか。ラテの上にホイップクリームというのはありそうだが。

写真で写っているよりも店内は暗い。本を読むには明かりが足りないと思う。ただ、コーヒーを飲んで静かに時間を過ごすのには居心地が良い空間だ。昔は喫茶店とはタバコの煙とコーヒーの香りが入り混じった大人の空間というイメージがあったが、このご時世ではタバコの煙が消え去り、コーヒーの香りが鮮烈になった。BGMにかかるクラシック音楽以外には、会話すらほとんど聞こえない静寂。大人のちょっとした贅沢、そんなことを思っていた。都内でこんな場所はどれだけ残っているのだろう。

地元所沢では、茜屋珈琲店がいまだに健在なのでありがたいと思っております。

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ゴールデン酒場 本店らしいぞ

つなぐ横丁で焼き鳥を平らげた後、街をフラフラしていたら、あの気になる店「ゴールデン酒場」に巡り合った。キンキラキンに輝く看板を眺めていれば、馬刺しの文字があるではないか。おまけに店頭のれんは「肴」「呑」「飯」と、積極的にこちらの胃袋を責めてくる。上手な店作りだなと感心した。
そして、馬刺しに飢えていて街を彷徨っていただけに、ほぼノータイムで暖簾をくぐった。店内は完全開放型で、入り口から開けっ広げというか、ほぼ外で飲んでいる雰囲気だった。浅草の浅草寺西側、町外れにある商店街の飲み屋がこんな感じで、路上にはみ出る客までいるアウトドア飲み屋だった。松本も負けてはいないらしい。ただ、冬はこのスタイルは無理だろう。

まだ熱燗が恋しい気温ではないが、ここはあえて松本の地酒を熱燗で注文した。ちょっと甘めで、懐かし系の日本酒だった。昭和の酒は大手メーカーも地元の酒造所も、みんなこんな感じの甘めの酒だった。焼き鳥によく合うのはこの手の日本酒だと、当時は思っていたが、今はちょっと違う感じがしている。好みとして甘すぎるからだが、平成時代に日本酒の作りが劇的に進化したため、そこから取り残されたように元二級酒を売っている蔵の酒はどこか懐かしい。二級酒探しは酒造りが盛んな場所を旅をするときの楽しみの一つだ。

馬刺しは、今やスーパーでも売っているくらいポピュラーな食べ物になったが、ほんの20年ほど前までは、わざわざ名産地まで食べに行く代物だった。福岡で熊本から直送だから美味いですよ、と言われて食べた馬刺しは確かにうまかった。血の味がする野性味と濃厚な脂が熊本馬刺しの第一印象で、それを九州特有の甘い醤油で食べる。これは焼酎によく合うぞと思った。
その後しばらくして、信州馬刺しを食べたとき、油よりも旨みを感じるというか、血の味、鉄の味に甘さが混じり込んだようなかんじだった。生姜醤油で食べるとさっぱりして、これは濃口の日本酒が良さそうだと思った。
久しぶりに信州馬刺しを食べたが、やはり旨味が引き立つさっぱり系だった。生姜で食べるのが定番だが、ここはちょっと変化球でニンニクスライスで食べてみたいななどと思ってしまった。高知のカツオの食べ方だが、ねっとりとしたカツオと鉄分の味が馬刺しに重なったせいだ。
常連となって通い続ければ、そんな面倒な注文も受けてくれそうだが、初見では失礼だろう。レモンスライスは、馬刺しに絞りかけるのではなく、馬刺し最後の一切れを楽しんだ後、まとめて口の中に放り込んで酸味でお口直しとした。
もう一つか二つ、つまみを注文したいと思ったのだが、カウンター席は外気オープンで喫煙可能席だった。両サイドに愛煙家が席につき、少々耐え難い環境となり早めに退散した。11月くらいまでは寒さをあまり感じないで楽しく飲めそうだなあ。でも、夏は暑いし蚊がよってきそうだななどと考えながらお店を出た。

名店でした。

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つなぐ横丁の猥雑な感じ

つなぐ横丁の中は小ぶりな店がぎっしりと詰め込まれた、昭和レトロ的空間で、昭和時代の居酒屋を知っている人間からすると、「あーこれこれ、こんな店、よくあったよね」という感想になる。

業種がなんでもありなので、台湾の夜市的なバラバラさというかカオスな感じもするのが楽しい。丸い椅子とパイプ足のテーブルなどもはや死物だと思っていたが。

メニュー板を見るだけでも楽しいが、出てくる酒もなんでもあり。ワインにカクテル、泡盛に日本酒、まさにカオスだ。そう言えば一時期大ヒットだった肉寿司も最近は見かけなくなったと思っていたが、この店ではしっかり現役だ。

平成生まれにとってはこの猥雑感が新鮮なのだろう。昭和生まれにとっては、時代に奪って変わられ消滅していった業態が、ゾンビのように復活した感じもする。アサヒ生ビールは、当時キリンのラガーに対抗するべくキラーコンテンツとして投入され人気があったビールだ。今では生ボールが当たり前で、スーパードライがアサヒの代名詞なのとは、隔世の感がある。最近、アサヒの生ビール缶が発売即売り切れになったとニュースで見た。アサヒ生を懐かしむ世代が買い占めたのか、それともレトロ感に引かれた若者に人気が出たのか。その辺の動向を知りたい気がする。

焼き鳥屋のつくねには2大流派があり、この写真のようにバー状のものをつくねと呼ぶ流派と、丸い団子が3個刺さっている「串団子」ならぬ肉団子を捏と呼ぶ派が業界を分けている。焼き鳥屋でこのつくねの形状の話をすると、どちらの流派でもうちが本物と説教された経験があるので、これは業界のタブーであると思っている。
個人的には団子派なのだが、業界主流はこのバー式つくねのようだ。火通りというか焼き方を考えると、このバー状の方が合理的な形であるように思うが。バー状つくねには卵の黄身を合わせて食べることも多い。団子型つくねの場合、卵の黄身はついてこないようだ。

横丁内の店を見て歩いて発見した「商標登録 ゴールデン酒場」の看板にひきつけられた。一般名詞「ゴールデン」+「酒場」で商標登録できるのかというビジネス的な疑問だった。まあ、語感としてはそそられる。ゴールデンと言いながら、チープシックな感じというか、あまり高級感が感じられないのが良い。
「ゴールデン酒場ねえ、ふふふ」となんだかウキウキしてくるのが不思議だ。新宿とか渋谷に昔あったよねえ、という感じがするし、池袋なら今でもありそうだ。やはり「ゴールデン」という言葉は昭和オヤジの反応率が高いのだな。

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松本の夜歩き そぞろ歩き

松本駅前を日暮どきにぶらぶらしてみた。写真の通りに、松本駅には高層駅ビルがない。JRの駅前開発の主力が新幹線駅であることは間違いない。だから在来線の駅にはあまり力が入らないのだろうな、ということは理解できる。
北陸新幹線が開通したこともあり、在来線しか通っていない地方中核都市はもはや数少ない。南北に眺めてみても、県庁所在位置は概ね新幹線が通っている。新幹線が通らない県庁所在地を思い浮かべると、関東近郊では山梨県甲府、日本海側で福井県福井、鳥取県鳥取、島根県松江、関西方面で奈良、和歌山、三重県津。四国は4県ともアウトで、九州が長崎(これはもうすぐ通る)、大分と宮崎。
こうして並べてみれば、確かにどの駅も高層駅ビルとは無縁なようだ。奈良だけは駅横にビルが立っていたが、それ以外の都市ではは3−4階立てが多いような気がする。ただし、旅をするものから見れば、これくらいの大きさの方、低層ビルくらいが駅らしい。

地方中核都市では、駅前と旧市街に二つの繁華街があることが多い。松本もそれに近い。駅前の飲み屋街には全国展開をするチェーン店が多い。お城の裏手?に当たる一角には古い居酒屋や「女性の接待が伴う飲料主体」の店がある。旧市街は地元民が中心で、駅前繁華街はビジネスホテルも多く、観光客と出張サラリーマンが中心になるのかもしれない。しかし、夕方だというのに人通りが少なすぎる気もした。まあ、ご時世というもので、旅をする人が少ないよりも、飲酒という行為が社会的に歓迎されていないだけなのかもしれない。

駅前すぐの一等地にあったハイボールバーは、かなりオシャレ感が高い。ドアも開け放たれ開放感がある。まだ、夕方は暖かい時期なので、こういう場所で飲むのは良いなあと思うのだが。

そこから100mは慣れれば、なんと魚居酒屋があった。この山国松本で、なぜ魚?と突っ込みたくなるが、それはあくまで観光客、ビジター目線の考え方だろう。松本市民だって魚は好物だろうし、この物流網が整った現代日本では、日本海側の漁港からであれば、2時間もかからず新鮮な魚の配送は可能で、朝に水揚げされた魚が夕方には提供可能、つまり港町で食べるのと松本で食べるタイミングに差があるわけではない。そんな具合に納得はできる。ただ、松本で刺身で乾杯という気分にはならないのも確かだ。だから地元客専用のお店だろう。

似たような話が記憶にある。昔々、沖縄に出張して仕事先の方と会食をした。その場所が鮨屋で、いったいどんな沖縄の魚が食べられるのだろうと期待していたら、「うちの魚は全部築地から空輸している」と職人さんに威張られて、気が遠くなった。たしかに沖縄の人にとっては、築地から空輸した魚といえば高級品という意味になっているはずだ。それを理解できないことはないのだが。あの大きい青い熱帯魚みたいなやつの刺身食べてみたかったのだよね。

ビルとビルの間にできていた小路に、下がっている赤提灯が飲む気をそそる。入り口の前に止めてある自転車が、町の飲み屋という感じがする。こんな街で暮らしてみたいと思わせる、風情のある光景なのでありました。