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食べ物レポート

ランチパックの話

札幌に行った時に発見した「台湾まぜそば」のランチパックの偽物(?)がことの始まりで、色々とランチパックに興味が湧いてきた。
(偽モンと思ったのは、あくまでも個人の主観であります)

いろいろ調べて見たら池袋にランチパックの専門店があるというので、のこのこ出掛けた見たら、あらビックリの品揃え。
棚の上から下まで全部ランチパックだった。40ー50種はあるのだろうか。全国でオリジナルランチパックが製造されているから、こんな種類になるのだろう。

まあ、ディスプレイは別の話として、上段3段くらいは全国のご当地ランチパックと、最近の売れ筋トップ5みたいな並べ方になっていた。
自宅近くのスーパーでは見たこともないようなものがごっそりと並んでいた。

面白そうなので何種類か買ってきたが、イチオシは「サバマヨ」。
全粒粉使用でちょっと茶色がかったパンに、DHA入りをしっかり謳った健康志向の一品、ただしカロリーは高めだが、「やる気アップ」のコピーがすごい。個人的にはサバマヨはありだなと思う。是非定番化してほしい。味もよいしね。

もう一つのオススメ、多分季節限定だと思うが、「ラグビーワールドカップ」協賛らしい、トリプルガッツ。いや、このネーミングはすごい。
おまけに中身が、ハムカツ2枚とメンチカツというガッツあふれるコンビネーション。当然のように健康色増強ラインではなく、ガツンとスタミナ系なので、カロリー表記はない。

製造所記号が違うので、山崎パンのどこか違う工場で開発されて、地域限定で製造されている物だから、これでいいのだと思うが、それにしてもすごいな。同じパン屋で売っていることはないから、いや同じ地域ですら併売されることはないのだろうから、誰も怪し見はしない。夏に仙台で見た「幸楽苑の餃子」コラボとか、「牛タン」とか、実にローカル色豊かな商品ラインナップがあるので、しばらく定点観測的に追いかけてみようかと思う今日この頃であります。

書評・映像評

ライドンキング 強い統治者願望のファンタジー

こんな大統領に日本を面倒みてもらいたい?

Ride-on Kingなのかな? 表紙 by Amazon

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動物にまたがり、ライドオンしたいというのが趣味の某国大統領という設定はなかなか良い。

大体において、転生物の主人公は「誰でもない市井の無名人」が、訳のわからない状況で強制的に転生させられて、自分の中にある「何でもないと思っていたスキル」を活用し、困難を切り抜けるというものだ。
そのセオリーを大幅に突き抜けて、小国とはいえ革命の闘士上がりの大統領、統率力あり、カリスマ的魅力あり、戦闘能力高し、というブッチギリの能力を発揮し、悪の帝国を挫くみたいな話になっている。ただし、動機は「乗ったことのない動物に乗りたい」だから、ご褒美はドラゴン騎乗だったり、熊にまたがりお馬の稽古的なことになる。もともとのスキルレベルが高いので、周りが簡単に同調するし、人民を愛する大統領の性格が「水戸黄門的正義漢」キャラを素直に体現する。
この正義の味方的キャラは、結構手垢がついているので造形が難しいのだが(いわゆる、クサイキャラになりがち)、この大統領にはその無理がない。当然、悪い者たちをちぎっては投げ、グシャグシャに叩き潰し、最後にありがたいお説教を宣うことも可能だ。

周りの世界は魔法あり、魔物有りのファンタジー世界だが大統領の周辺はガチのバトルモード。いや、この突き抜け方が良いのだろうね。3巻目になり、だいたい周辺キャラも出揃い、世界の説明も終わり、この後は大統領が「困った人民や民衆」を救うべく、悪い王様たちをやっつけるというストーリーになると思うが、それはそれで楽しみだ。

この先でライドオンできそうな魔物といえば、飛行形態では当然ながら竜の一族、海棲類では鯨、イルカなども良いが、イカとかタコもありだろう(クラーケンに乗って水中爆走)。4足歩行動物では狼とか、象も待っている。変わり種では蛇もありそうだ。そして最後は悪の機械帝国から汎用人型機動兵器、巨大ロボットを奪取してライドオン操縦で決まりだろう。

この先も楽しませてくれるに違いない。

食べ物レポート

家庭料理 まさき 札幌のお気に入り

札幌で何軒かある好みの店で、一人飲みするならこの店が良い。一般的にはおばんざいの店と言われている家庭料理がふんだんに並ぶ。今では、お袋の味なとと言われる家庭料理は消滅しかかっているが、手のかかった季節料理が堪能できる店だ。

秋の食材と言われれば「きのこ」だが、北海道特有のキノコに「らくよう」がある。滑りがありちょっと癖の強いなめこのようなきのこだ。子供の頃に山に入ってこのきのこを探したことがある。当時はうまいとも思わなかったが、独特の旨味とコクがあり、自然のキノコという味がする。これを湯がいて大根おろしと和えたもの。うまし。大人の味だ。野性味というか野の香りというか、どちらにしてもスーパーでは売っていないきのこなので貴重だ。

とうきびのかき揚げ、北海道の人はとうもろこしとは言わず、「とうきび」という。昔のとうきびは甘味が弱く、粒も硬い品種だった。最近の甘くて柔らかい(要は未成熟なのだが)コーンとは別種のようなものだ。あれを天ぷらにしてもうまくはないだろうと想像はつく。ポップコーンのように弾けるのではないか。とうきびの天ぷらは、最近のコーンだからこそできる料理なのだね。甘さが強いので、塩でいただくのが宜しいようだが、それでもどっぷりと天つゆにつけたいのは親父の証明みたいなものだ。とうきびといえば夏の食べ物というイメージがあるが、天ぷらにするには晩成種のコーンがよろしいようだ。

北海シマエビという高級品種がある。根室の近くで取れる北海道特有のエビで、漁期が限られていることもあり希少でお高い。冷凍物で20−30匹入った箱詰め物で5千円は軽く超える。塩茹でにすると甘味と、うまみが増して実に旨し。なのだが、札幌でも滅多にお目にかかることはない。ましてや北海道外では存在すら知られていないだろう。
北海道名物で色々と名前は有名だが、実際にが食べられないものは数多くある。その中の筆頭がこの「北海シマエビ」。それに続くとすれば「たちかま」・・・タラの白子の蒲鉾、「キンキの飯寿司」、「カジカ鍋」、そして「松前の岩海苔」。
機会があれば是非お試しを。

お通しもこんな感じでおしゃれでございます「まさき」。
ひとり飲みにはおすすめです。

食べ物レポート

イタリアンの日本的進化とは

丸の内のビル地下にあるビストロで食べた牡蠣のアヒージョ。牡蠣の殻に入ったまま出されてきてびっくり。値段もそこそこするのだが、何より牡蠣の貝殻というビジュアルが印象的だ。普通に食べる酢牡蠣と違うのは、油でぐつぐつ煮たっているということ。
そもそもアヒージョはオイルでグツグツでやるものらしい。だから、魚が合うのかといわれれば、なんとなく疑問ものこるが、牡蠣にぶつけるかよという驚き。新鮮だ。

かきのアヒージョ

某イタリアンシェフから聞いた話だが、カルパッチョとは肉の料理なのだが、日本では刺身のような生魚で出されることが多い。逆に肉を使ったカルパッチョは見かけない。イタリアンの日本的翻案というところで、カツオやマグロのカルパッチョはうまい。洋風刺身という風情がある思うが、この牡蠣のアヒージョも日本的進化というところか。ただし、アヒージョはスペイン料理だったと思うが。

キャベツのアンチョビー炒め

キャベツのアンチョビー炒めは、貧乏人の酒の肴としては秀逸だ。必要なものはオリーブオイルとニンニクとアンチョビーの缶詰に大量のキャベツ。これはうまい。世の中には無限キャベツなる料理もあるが、あれよりもこちらが若干ながら料理っぽい。
このアンチョビーをイカの塩辛で置き換えても、かなりうまい。発酵塩漬け食品であれば、多分なんでも旨くなる。

これの親戚筋が飛騨の漬物ステーキだと思うが、あちらは古漬けのみの豪速球。

旅をする

掛川城 街道を抑える拠点

掛川という街には全く馴染みがないが、地図を見れば戦国時代の東西の要衝だったのだろうということはわかる。

大手門とは表の玄関

今川、武田、松平(徳川)が凌ぎを削った陣取り合戦の中心地になる。今の静岡と浜松の間で東西対決、甲府方面から南下勢力という場所だ。
立派な大手門があるが、実はここから本丸まではなぜか民家が連なっている。昔の縄張りは無視されたのだが、おそらく明治期に政府に虐められたのだろう。あちこちに残る復元されたお城でも大手門は立派なものが多い。お城の玄関口であり正面でもあり、それなりに風格が必要というものだ。

門の上の窓からは狙撃手が狙っていた?

大手門から200−300mほど歩くと、お城、天守閣の下にたどり着く。石垣がしっかりしている。

石積が設計の精緻さを表す

そこから階段を上がって丘の頂に天守閣、実に戦国的築城だ。当時の天守閣からの光景はさぞかし見晴らしよく、お殿様の気分を高めたのではないか。

天守閣は居城ではない?

天守閣自体は小ぶりなもので、居城として使われたというよりも戦時の篭城拠点ということだろう。この辺りは浜松城も同じだ。ただ、駿河国を東西に行き来しようとすると、この掛川周辺が要地であり、いくつかの川とともに防衛、侵攻ともに戦略拠点であったと思う。

やはり防衛拠点だろう

切り立った崖が印象的な掛川城だが、この崖下にお殿様の居住と執務の場があったようだ。

こちらからは攻めるのも無理

そのお屋敷に展示されている鉄砲と槍なのだが、当時の男性平均身長は150cmくらいだったはずで、身長の三倍近くある槍を持って行軍するだけで大変だったのだなと思い知る。これがただの木の棒だとしても相当に重いはずだ。鉄砲は10kg近いようだし。これで1日平均40kmちかく徒歩移動したのだと・・・。

槍の長さは5mを超える

鉄砲もこうして近くで見ると、ほぼ銃身でできている、それにわずかに持ち手というか握り手がついているだけという簡易な構造。当時の日本は世界最大の鉄砲保有国だったそうだから、戦国時代の軍備費はさぞがし莫大だったのだろうなどと想像してみた。

鉄砲も持ち手がない重量物。狙いをつけ保持するだけで一大事だ

この鉄砲、現在の量産技術があったとしても一丁5万円くらいはするだろうし、当時だったら、その十倍くらいはしたのではないか。
鉄砲部隊100人として、正面装備の鉄砲で5000万円、その他付帯設備として弾や火薬を揃えると(多分おまけに整備用の職工も付随したはずで)、一編成で人件費除いて1億円くらいか。

いやはや戦国武将は予算のやりくり大変だったろうなあ。

旅をする

ノリタケの森

名古屋駅から歩いても行ける場所にノリタケの工場があった。そこが今は公園のようになっているという話を聞いて訪れることにした。

駐車場は公園の裏側に当たるようで、ナビをみながらやっとの思いでだどりついた。そこからぶらぶらと歩きながら、旧工場施設のあった方向へ向かう。煉瓦造りの工場と思しき建物がある。

その左右にある緑の円筒が立っている場所こそが、旧ノリタケ工場であったらしい。緑の円筒は焼き物窯の煙突のあととのこと。

正面から左右に煙突跡が立ち並ぶ姿は、まるで現代美術のオブジェのようだ。そして、その後ろに見え隠れするマンション群が、まあ、光景をぶち壊しているのも都会派オブジェと見れば良いのかもしれない。

このノリタケスクエアといわれる工場跡地は、きれいな都市型公園として造成されている。芝生の向こうに見える名古屋駅そばの高層ビルが、これもまた奇妙なアンバランス美に見える。

旧工場群は、今となれば実に美しいレンガ積みの建物で、名古屋っぽくないと言えば地元の人に叱られそうだが、明治時代の華やかさみたいなものは良いね。

煉瓦の建物の向かいに池があり、その向こうには現代の高層ビル。都会の中のシュールさだが、実はこういう場所は名古屋だけではない。東京の何箇所か、一般人の入れないところにも(皇居は除いて)、こんな場所はあるんだよね。一度グーグルアースで検討してみることをお勧めする。

実際に足を踏み入れてみると、昔の金持ちのスケールが違うこと、よくわかるよ。

食べ物レポート

神田みますや・・・ は大混雑

この店は雑誌で東京の名居酒屋特集などがあると、必ずといって良いくらい登場する。確かに名店だとは思う。入り口の横の座敷のような倉庫には日本酒が段ボールに入ったまま無造作に積み上げられているが、それが皆名高い銘酒ばかり。老舗居酒屋の意地というか凄みはこんなところにある。客層は幅広く、若者カップルから中高年まで。居酒屋らしく誰もが大声で喋るので、店内の騒音状態は相当のものだ。
それが良い人だけがくる店だろう。

老舗らしく日本酒徳利は名入れがしてある。猪口は目玉付きで、この辺りも日本酒好きにはたまらない。とある居酒屋で白鷹の温燗を飲んで以来、白鷹ファンなのだが、東京ではなかなかお目にかかれない。だから、この店では迷わず燗酒にする。貴重な白鷹提供店なのだ。

料理は名物が多いが、牛の煮込みというか牛丼の頭を注文して、これを独り占めする。同席した友人は冷奴と煮物を一品注文したが、それには全く手を出さず。こういう飲み方に納得してくれる友人はありがたい。どうも最近はなんでもシェアするのが礼儀っぽくなっているので、居酒屋でシェアしたいと思う品があれば二つ注文して、一皿ずつ食べることにしている。別にプライドがあるわけではないが、人の皿には手を出したくないと思うことが多い。
シェアするなら高知の皿鉢料理くらいのボリュームにしてくれよと言いたい。
牛肉の煮込みは本当に好みだ。これだけで何本でも酒が飲める。牛丼屋の牛皿とはどこが違うのだろうなどと思いながら、一皿完食してお腹が膨れてしまった。名物をもう一つと思いながら断念。次回に来る口実にして、退散することにした。
東京の居酒屋は長居をしてはいけないと思うので、これくらいでちょうど良い。

などとかっこつけて出てきたが、飲み足りない。すかさず靖国通りまで出て、チェーン焼き鳥屋に入ってしまった。ここではホッピーをぐびぐびと飲むのが良い。チェーン居酒屋で日本酒レベルを追求しても意味がない。結局みますや の二倍以上の時間を、ガラガラの店内でほぼホッピーしか注文しないで過ごしたのだから、酒飲みというのはどうしようもないものなのだ。

食べ物レポート

札幌で昼と夜と

昼のオススメ


札幌では鮨屋に行って鮨は食べない、と東京で言うと笑われるが、札幌で鮨を食べにいくなら回転寿司というのが常識だと思う。回転寿司のレベルが高いから、腹いっぱい食べるのであれば回転寿司という図式になる。全国制覇をしている回転寿司チェーン御三家も札幌では影が薄い、というか二線級扱いで混み方もそこそこ。

札幌駅にある「はなまる」は回転寿司屋の立ち鮨業態で、普通にカウンターでお好みで握って貰えば良いだのが、ランチがボリュームがあり大人気。不思議と外人観光客が少ない、店内にあるメニューも日本語のみという感じ。そのランチに長い行列ができる。並ぶのは嫌だが、ランチのセットにつくあら汁が楽しみで、昼時はピークを外してランチを頼むことが多い。写真の汁はホタテの稚貝の味噌汁。これは北海道や青森などの帆立の産地でないと食べられないだろう。冬になってくると、いちばんの楽しみがカジカ汁。ただし、これも売り切れごめんであり、開店から必ず準備されていて注文して出てくるわけでもないので、全く運任せだ。単品で注文しようにも、本日終売ということが多いので、しょうがないと諦めることしばしだ。

はなまるのランチ

はなまるのランチ

夜のおすすめ


ススキノ近くの南三条通に開店から50年以上経っているらしき居酒屋、昔の炉端焼きの名残を引く、魚を炭で炙って食わせる店「たかさごや」がある。食い物はなかなかうまい。酒の燗の付け具合が良い。イカの生干を焼いてもらってちびちび熱燗を飲むのが似合う、八代亜紀的風情がある。ただし、残念なことに愛想というものがかけらもない。店主に文句を言いたいくらい、ここ数年の接客レベルは低すぎる。だから、会話は必要最低限しかしない。まあ、向こうも話しかけてこないので、そういう店なのだと思えば良いとは思うが。
ホッケの開きは全国チェーンが広めた居酒屋大衆魚だが、北海道ではホッケは高級品にもなる。羅臼産しまホッケといえば、びっくりするようなお値段を取られたりするが、これまで食べてきたホッケとはなんだったのかと思わせるくらいの上ものがある。そんな上物開きを焼いてもらうと値段が2000円近くになる。まさに時価ということもある高級ぶりだ。
この店のお勧めは、そんなお高いホッケと地元の豆腐屋から仕入れている冷奴。

札幌 たかさごやで

観光ガイドには決して乗っていない名品というのは、名店にあるとは限らないというお話でありました。

書評・映像評

一路 泣かせの次郎は健在だった

浅田次郎という作家は、デビュー当時のヤバい人たちとの仲を書き記したシリーズでは、軽妙でおかしみのあるニヤッと笑いたくなる話を書いていた。それからしばらくして、いわゆる歴史大作を書き始めてからは、重たいシリアスで輻輳した世界を描いては権力と個人の不条理を嘆いていた印象がある。その歴史大作を描くあたりから、泣かせの二郎としての本領を発揮していた。清朝末期の宦官の話や幕末新撰組の一隊士の話などで、泣かせの二郎は開花したと思っている。
泣かせの最高潮は「鉄道員」であり、そこからなぜか泣かせの次郎は笑かしの次郎に戻ってしまった。

表紙 by Amazon

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そんな笑かしの次郎が、幕末の参勤交代の騒動を描いたこの作品では、基本的に殿様と行列の先頭を務める先輩武者が笑いを取る中心となり、お家転覆を狙う悪者一味を、なりたての行列責任者がなんとか悪事を阻止しよう努力する正義の味方役となる。ずいぶん力の足りない正義の味方だ。
ところが、笑かしの次郎は悪党一味を徹底的に悪者に仕立て上げようとはせず、首謀者が悪行をためらうようになってしまうというだらしない悪党ぶりを晒す。この辺りこそが、軽み、おかしみ満載であり、ニヤッとしたりクスッとしたり、ともかく軽いお話として筋が続いていく。ところが、笑いを取るはずのバカ殿様が、意外と質実剛健的な良い殿様であることが判明するあたりで、幕末の武家政権の揺るぎや弛みを暴くことになる。笑かしの次郎が、瞬間的に消え、亡国を予想しながらそれを自分の手で正そうとはせず、将軍家と共に滅んでいくので良いという賢主、賢臣ぶりを見せる殿様に、微かに泣かせの次郎が垣間見える。

しかし、それもシーンとしては軽い。情けない主人公たちが参勤交代を終え、確かに成長したあたりで話はハッピーエンドで終わるが、この数年後には戊辰戦争が引き起こされ、主人公たちの故郷であり領地である西美濃、関ヶ原の近くは西軍の蹂躙に会うはずだ。ハッピーエンドの先には会津の、新撰組の悲劇と同じ、幕府軍対反乱軍(この時点で官軍とは詐欺的呼称でしかない)の内乱しか待っていないのだ。
それを語らずに終わるところが、泣かせの二郎 Part2 の優しさなのではないか。

ちなみに領主、領国を調べてみたが、どうやら騙しの次郎に引っ掛かったらしく、架空のもののようだ。

食べ物レポート

居酒屋とちょい飲みと

居酒屋はチェーン店が大苦戦をしているが、若者が酒を飲まなくなったことが原因だと言われている。確かに、昔のように気がつけば終電というような深酒をすることは減ったと思う。首都圏では東日本震災以降、確かに電車が止まることへの恐怖からか、夜からの時間シフトが起こっているの現実だろう。
ただ外的要因だけではないと思う。居酒屋のメニュー開発が足りないというのも現実だ。そもそも居酒屋とは凝った料理を出す業態ではない。手軽にチャチャっと飲んで食べてが基本のコンセプトだから、ガツンと肉が食いたいとか、野菜たっぷりでヘルシーなどという概念からは程遠い業態だった。しかし、それをよしとする客層は今や50代以降しかいないだろう。
とりあえずノンガーボだ、糖質フリーだ、高タンパク低脂肪だなどと、メニューの良し悪しではなく、素材の(それも物性的な)機能を求める時代に、見合ったメニューを開発していない。少しは回転寿司チェーンの貪欲さを見習うべきだろう。今や、回転寿司では主力メニューがラーメンやうどんになり、寿司のシャリにカレーをかけたものがヒットする時代だ。回転レーンで回っているのはデザートが一番多いし、人気のネタは魚ではなくコーンだったり、カルビだったりする。

養老乃瀧でサーロインステーキ

さて、おそらく日本でいちばん古い居酒屋チェーン「養老乃瀧」は、経営者が変わった以降、相次いで低価格業態の一軒目酒場を急展開しつつ、従来型店舗のメニューを大胆にいじくり回している。その典型が鉄板サーロインステーキだろう。ただし、ステーキと言うには厚みが足りない肉、ステーキソースも照り焼き系の甘めという、本格ステーキと言うよりは厚目の焼肉といった方が良いと思うが、これが酒(決してワインではない)とよく合う。サワーやホッピー、ハイボールなどの炭酸割りもの系の酒とは相性が良いだろう。こうしたメニュ開発が大事だ。要は大人のファミリーレストラン的な要素を強めることで、居酒屋はメニューコンセプトを変えるべきなのだと思う。

日高屋で三種盛り

一方、ラーメン屋のちょい飲みの成功例として「日高屋」がある。もともと街の中華料理屋を居酒屋がわりに使う層はいたのだから、そこを正面突破すると言うのは正しい発想だ。昼に混み合うラーメン店や蕎麦屋も夜にはガラガラという例が多い。蕎麦屋が店主入魂の和食コースみたいな方へ進化するのはよく見る例だが、お手軽居酒屋を目指す方が確率は高そうだ。ラーメン屋では間違いなく、ビールと餃子とラーメンで1000円みたいなお手軽さがいちばん受け入れやすいだろう。今では、王将もその方向に向かっている。ストイックに昼でも夜でもラーメンというのは流行らない、というかビジネス的に柔軟性が足りないというものだ。
日高屋でおつまみ3点盛りとホッピーを頼むと1000円でお釣りが来る。ちょい飲み需要とはそういうものだ。
そういえば最近、日高屋でラーメン食べたことないな。

串鳥 新生姜の豚肉巻き

ちょい飲みを居酒屋サイドで実現したのが、「串鳥」で、メニューのバラエティーが立派だ。焼き鳥以外にも、モツまで手を広げ、串焼きやというのが正しい。焼き鳥屋の代表格、全国を席巻する鳥貴族だが、いまだに札幌に出現していないのは串鳥対策ができていないからだろう。鳥貴族はメニューを絞り込み店内加工率を上げている。串鳥は店内加工を排除してメニュー幅を広げている。まったく方向性の違う二つのチェーンだが、共通しているのはどちらも安い、ちょい飲み志向のコンセプトということだ。そこそこ飲んで食べて2000円でお釣りが来る。串鳥は仙台、そして東京一部にまで広げているが、首都圏出店を本格的に拡大すればあちこちで鳥貴族vs串鳥の戦争が見られそうだが。

男山直営 金富士でガツ

そして居酒屋本業でもちょい飲み対応の店は人気で、6時を過ぎると入れないのが当たり前の札幌ススキノの酒蔵直営店金富士。ススキノには札幌の酒造メーカーの盟主「千歳鶴」の直営店もあるが、そちらはちょっとお高い路線で居酒屋というより割烹的な店だ。料理もいわゆる海鮮を中心とした和食で接待づかいもできる。一方、金富士は串焼き、それももつ焼きを中心に実にお安い。確かにこれこそ1000円でベロベロ、千ベロの元祖みたいな店だ。安くても客数が多いので、串焼きの鮮度もよろしい。ガツのぐにゃぐにゃした串を噛みしめながら、熱燗徳利で男山をちびちびと飲むのは、これからの季節にはありがたい。


八代亜紀の世界だなあ。