食べ物レポート, 旅をする

佐渡の鮨は回っているか

新潟でおすすめの鮨屋はと尋ねたら、この店を勧められた。佐渡の魚を食べさせる回転寿司屋だった。人気店なので、1時間待ちも当たり前らしい。ということで、夜のピーク前に出かけたが、すでにカウンターには3組いて、ボックス席もほぼ埋まっているようだった。注文はタッチパネルだが、その中に佐渡沖の魚コーナーがある。なるほど、確かに佐渡の鮨屋らしい。
日本酒はカップ酒での提供で、よくみると佐渡の酒蔵限定のようだ。とりあえず一番名前の知れたブランドを注文してみた。記憶にあるより遥かにうまい気がするのは、店内に漂ううまそうオーラのせいだろうか。

鮨の前に何かつまみにと思ったら、刺身盛り合わせというのがある。一人前でも注文できるので、それを頼んで見たのだが、なんともコスパの良い一皿が登場した。居酒屋でもこの値段では無理だろうという低価格だった。

「自家製」の言葉に惹かれて追加で頼んだイカの塩辛は、塩味控えめで胃パン的に売られている製品特有の「塩辛い」感じがしない。イカの味を感じる逸品だった。これだけでも買って帰りたい。
福岡で有名な行列のできる天ぷら屋も、自家製塩辛を販売していた。天ぷら定食はネタの組み合わせで何種類かバリエーションがある。券売機で食券を買うスタイルの店だが、その券売機の一番目立つところに、「塩辛」のボタンがある。かなりの客がテイクアウト用に買うのだろう。店内では卓上に塩辛が置いてあり、天ぷらと共に楽しめるようになっている。ご飯の上にたっぷり塩辛を乗せて食べる客が多い。あの塩辛は記憶に残るうまいさだが、それに負けずこちらもうまい。塩辛の名品だった。

一通り酒を楽しんだ後、一気に握りタイムに突入する。まずは絶対定番であるイカからの発進だ。普通にうまい、という一段上のうまさだった。イカの甘さ、ねっとりとした歯触りは文句なしだ。

鯖も締め具合がちょうど良い。シメサバは鮨屋によっては酢がきつすぎることがある。大手チェーン回転寿司の店では美味いシメサバに会うことは全く期待していない。この店の鯖は「うまし」だった。

地元ネタということで佐渡沖の魚をいくつか堪能した。好物の鮑は当然だが、予想外の美味さに感動したのがアジだった。好みによっては、ノドグロやブリを注文する人も多いだろう。佐渡沖の魚を楽しむだけでも来た甲斐があった。

二杯目には初見の佐渡の酒を頼んだ。これもまた特徴のある酒だったが、魚にはよく合うような気がする。小一時間の滞在で、会計を終え店の外に出たら長蛇の列ができていた。
観光客も多い場所だろうが、どうも地元民、特に若い世代の方に支持されているようだ。確かに、このレベルが回転寿司で食べられるのであれば、居酒屋に行くよりよほどよさそうだ。新潟に住み人たちは幸せだなと、かなり本気で羨ましくなってしまった。良い店でした。

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新潟五大ラーメンで失敗した話

新潟にはラーメンの5大流派があるそうだ。いわく

  • 新潟あっさりラーメン
  • 燕三条背脂醤油ラーメン
  • 長岡生姜醤油ラーメン
  • 新潟濃厚味噌ラーメン
  • 三条カレーラーメン

詳しくか 観光協会のサイトで https://niigata-kankou.or.jp/feature/5big_ramen/top

魚介出汁のラーメン チャーシューが売り物のようだった

今回は長岡生姜醤油ラーメンにトライした。満足するうまさだったので、できればもう一つくらい名物ラーメンに挑戦してみたいものだと思った。が、事前調査もしていないので行き当たりばったりで、お城見学に行った帰りに見つけたラーメン屋に入ってみた。
新潟五大ラーメンではないようだが、新潟県でチェーン展開しているブランドだった。売り物は辛味噌ラーメンだった。
というのは、食べた後で調べてわかったことで、店に入って単純に新潟あっさり系ラーメンだと思い込んで、醤油ラーメンを頼んだ。チャーシューが売り物の店なので、チャーシューメンを頼めばよかったと食べた後になって後悔した。
醤油ラーメンは、不通に美味しく食べたのだが、おそらくイチオシの辛味噌ラーメンを食べるべきだったのだろうし、さらに考えれば、チャーシュー辛味噌ラーメンにすればもっと良かったのだ。
美味いラーメンは食べたのだが、あれこれ心残りが多い。もう一度新潟に行った時には……………とも考えたが、その時は、他の五大流派を試してみたい。特にカレーラーメンは次回の宿題にするべきだろうし。
サイトで調べてみたら、このブランドは関東一円にも出店しているので、比較的近場にある支店に行って辛味噌チャーシューメンを試してみようと決めた。

やはり下調べはしないと、あれこれ失敗してしまう。準備8割という言葉は、まさに至言でありますよ。「たかがラーメン」を食べる時にも当てはまる、というか、「たかが」ではなく「されどラーメン」と考えるべきなので、下調べは入念にしましょう。
ついでに、この辛味噌ラーメンは「新潟濃厚味噌ラーメン」の一族なのかもしらべてみなければなあ。

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いかの墨 居酒屋ではない居酒屋

新潟のナイトライフで外してはいけない名店がある。(らしい) 新潟に住む家族によれば、なかなか予約の取れない名店とのこと。居酒屋というにはレベルが高い、お手軽な割烹といった感じの店で美味しい晩御飯を食べることになった。
調べてみると新潟では複数店を展開している外食企業だった。店の名前に魚の一文字が入っているが、店名は別々なのでちょっとチェーン店とは異なる。去年の夏に行ったのは駅の反対側だった。今回は、新潟駅北側の一角にあるビルの中の店だった。

ファサードと入り口の作り込みが上手い。これから出てくる料理に期待が高まるというものだ。一般的に、居酒屋はファサードの作りに手を抜きすぎる。意固地な経営者がレストランや居酒屋は味が勝負、味で勝負などとと思い込んでいるせいだ。
客の目線に立ってみれば簡単に理解できることだが、味だけで店を選ぶのはごく限られた変人だけだ。一般的には味と雰囲気と接客のバランスで、また来る店にするかどうかを決める。今風に言えば、トーラルバランスと映える料理とコスパによる統合された判断だ。「味」は、必要条件であるが、十分条件ではない。
故に、入口の見かけはもっとも重要な顧客との接点、First Impresion の勝負点だ。この店は、入り口に入る前ですでに合格している。

料理も同じで、見栄え8割くらいに思っていてちょうど良い。とくに、料理の質を感じさせる「器」が重要だ。この店では席に案内されると卓上に大きな土鍋が置いてある。
これはお通しの魚を蒸すもので、最初にザルに盛った魚のあれこれを従業員が持ってきて見せられる。その中から一人一品を選び、土鍋の中で蒸しあげる。10分ほど待つと蒸し上がるようだ。
この日選んだのは、こぶりなふぐの干物で塩加減がちょうど良い塩梅だった。この蒸したフグを肴に、ちびちびと新潟の地酒を飲んでいた。店内は冷房がよく効いて爽やかなので、ぬる燗にしてもらう。
隣のおっさんたちの蛮声さえなければ完璧になるくらい良い店なのになあ。コロナの後、あれほど静かだった居酒屋が、また元の大音量絶叫空間に戻ったのは残念で仕方がない。ただ、どこの居酒屋でも店内の光景を見ている限り、若い方たちはそれなりに静かなのだ。絶叫系オヤジ、オバンはだいたい四十代後半から五十代に多い。学習効果が足りないのか、学ぶ気がないのか。「羞恥心」とか「たしなみ」という言葉を学ばないまま、歳をとってしまったのだな。きっと。
おそらく現代日本では、その人生で一番恥を知らない年代なのだろう。

キジハタ(たしか中央)という魚は初見だった

刺身の盛り合わせにのどぐろを追加したものがこれで、新潟の地魚を組み立てたもののようだ。面白いなと思ったのが、佐渡島沖の魚が珍重されているらしい。佐渡島沖と言っても南側の海は新潟との間の海だから、どこまでが新潟沖でどこからが佐渡沖か、クイズみたいなものだろう。おそらく珍重されるのは、佐渡島北方海域、つまり大陸との中間点あたりが、佐渡島沖扱いになるのだろうと思った。ただ、付きせぬ疑問だが、そこで獲れる魚はどんな種類なのだろうか。
皿の上を見る限り少なくとも太平洋で採れた魚は並んでいないようなので、ちょっと嬉しい。ただ、日本海に紛れ込むマグロを一本釣りした、みたいな伝説的マグロであれば歓迎するが。

今ではすっかり漁獲高が減ったらしいイカだが、日本海側の各所ではまだそこそこ採れているようで、この日は地元イカの天ぷらを注文した。イカはいつ食べてもうまいなと(個人的な嗜好が入るが)、バリバリと頬張る。天つゆではなく塩で食べるとうまいとも言われた。確かに、天ぷらは塩で食べるとうまいネタは多い。
その塩についても何やら蘊蓄を聞かされたのだが、隣のおっさんの蛮声に遮られよく聞き取れなかった。残念。ただ、塩て食べた天ぷらはあっさりとして、大変美味いものだった。(特にゲソ)

後になって気がついたが、ビル全部が一軒のお店?みたいだ

新潟駅北側にある飲屋街は、新幹線駅によくある新興繁華街のはずだが、新潟の伝統的繁華街である古町界隈を超えた賑わいのようだ。新潟市は政令都市とはいえ、いささか小ぶりな町だが、駅前とバスセンターと古町という三つの繁華街が併存している。
この町で住む人たちには当たり前なのだろうが、あちこちの地方中核都市を見てきた経験からすると、街におへそがないちょっと不思議な都市だ。
この暑い時期をずらして、もう少しのんびりと街歩きをしてみたいとは思う街だ。ちなみに、新潟は「あぶさん」の出身地だということを思い出した。新潟市内のどこかにあぶさんの銅像でもないのだろうか。個人的にはあぶさんの話が水島野球漫画の最高作品だと思っているのだけれど。

追記:気になって調べてみたら、なんと古町のアーケードに銅像があるらしい。古町には夜に行ったので気が付かないまま帰ってしまったようだ。実に、また残念。

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新潟の謎 イタリアン

新潟ローカルのファストフードチェーンで、新潟県民だけが食べている食べ物がある(多分だが)。ずいぶん昔にその話を聞きつけて、わざわざ食べに行ったこともある。不思議な食べ物だと思ったが、あえて新潟人には感想を尋ねなかった。ローカルフードの批判は、喧騒の種にしかならないからだ。それくらい微妙な食べ物だった。

おそらく、新潟県以外では見つけられないと思う「ローカル焼きそば」の専門店だ。バーガーでもサンドイッチでもない。丼でも寿司でもない。焼きそばだ。そして、そのバリエーションは焼きそばの上にかかったソースにより作られている。店内のメニューポスターを見ても、焼きそばで全面が占められている。

そして、そのオリジナルというか元祖というものが、こちらの「イタリアン」だ。焼きそばの上に、スパゲッティに乗るようなミートソースが載っている。食べてみるとわかるが、間違いなくミートソースだ。そして、その下にあるのはソース味の焼きそばなのだ。麺は平麺で中太だから、パスタで言えばフィットチーネ的な雰囲気が(多少ながら)醸し出されている。が、味も食感も明らかに焼きそばだ。
このミートソースと薄味の焼きそばのバランスが、これまた微妙すぎて、なぜミートソースなのかという疑問が湧いてくる。
ソースのラインナップを見ると、カレー味もあればカルボナーラ風もあるので、やはりパスタの横展開考えても良いのだろうか。店内の雰囲気だが焼きそば屋感は全くない。焼きそばの代わりにバーガーとポテトが出てきて全く違和感がない。店内では女子高生が複数グループくつろいでいるので、やはりファストフードな雰囲気なのだ。

とりあえず久しぶりの試食体験の感想はかなりアレな感じだた。レア物を食べた時の、表現の難しさというべきか。その一切を飲み込みつつ、表に出てみたら驚くべきポスターを発見してしまった。
ソフトクリームのテイクアウトではないか。テイクアウトしたソフトクリームの生存時間は一体どれくらいあるのだろう。5分は持たない気がする。そうすると事前に製造したものを冷凍しておくのだろうか。おまけに、イチオシと思しき商品は何と8段もある背高ではないか。これはどこかでみたことがあるような気がして、撮り溜めた写真をひっくり返してみたら、岩手県花巻のマルカンビル大食堂で食べた「箸で食べるソフトクリーム」に似ている。新潟と花巻、どちらも老舗の店なので、並行進化というものだろう。
今さら店内に戻って注文するわけにもいかないと諦めたが、ますます新潟のファストフードに対する謎と疑惑は深まってしまったのだ。新潟、恐るべし。そして、新潟市民がちょっと羨ましい。

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新潟平野で駅前のイオン

城巡りの後、西新発田駅前のイオンでバスを降りた。以前に秋田から新潟に移動する各駅停車の旅をしている時に、このイオンショッピングモールが気になっていたからだ。
駅から見ると普通の郊外型ショッピングモールだが、とにかく「駅前」にある。地図で見ても駅併設型に見える。最近はイオンの主流になった感がある立地だ。
埼玉の巨艦店である越谷レイクタウン店に似た立地だと思うが、越谷店は周りに新興住宅地を配置しながらの住宅地立地だ。この店はどんな感じになるのか興味があった。

答えは意外と簡単に出てしまった。イオンの前にある駅は無人駅だった。乗降客数は決して多くないということだろう。イオンに着くまで乗ってきたコミュニティーバスの経路沿いには新築の住宅地が広がっていたので、新発田市では西新発田駅周辺が現在進行形で開発されている新興住宅地ということらしい。
しかし、駅前立地というのには無理がありそうだ。無人駅の前は、決して繁華街には当たらないだろう。

駅の向こうにには、見える限り、つまり山の端まで田んぼが続く。周りは全部田んぼだった。さすが米どころ新潟という風景だ。全国のあちこちにあるイオンショッピングモールの周りは、まさにこういう光景なのでようやく納得した。やはり、当初のコンセプト、インターチェンジ近くで狐と狸が出没する場所に店を出すのだというイオンの出店原則は守られているらしい。
たまたまこの場所には、駅があったということなのだ。駅があるから出店したのではないと思う。

イオンのモールがあることは忘れて、ホームから新潟方面を見ると、ここが新潟市の衛星都市、郊外住宅地に当たるとは全く思えない。ただ、イオンモールの中は夏の暑さを逃れて涼みにくる人で溢れていた。
今の日本では典型的な姿なのかもしれない。古き良き時代の駅前商店街はシャッター街として寂れてしまい、ショッピングモールの中が人工的な商店街になっている。ただ、モールの中には駅前で商売を営んでいた店はほとんど見当たらないようだけれど。
モールの中で一番混んでいたのがサイゼリヤだった。妙に印象的だが、日本全国で同じ光景が見られる。サイゼリヤは国民の支持を得ていると言い切って良さそうだ。地元のレストランでは勝てないという、リアルな世界を見せつけられた感じがする。

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新発田城に行ったついでに

8月も下旬になれば多少は涼しくなるだろうと旅に出たのだが、とてつもない悪運に見込まれたらしく、毎日移動するたびに移動先が日本一暑い場所になっていた。最終目的地の新発田城は午前中に見て回ろうと思ったのだが、昼前にも関わらず気温はその日の最高温度に達していた。新発田城を見た後で、コミュニティーバスで駅まで戻ることにしたていたのだが、多少待ち時間があり、日差しを遮るものがないバス停でバス待ちをしていると倒れてしまいそうだった。
そのバス停の前に、自衛隊の広報資料館があるので、待ち時間の間に見学をすることにした。館内はとてつもなく涼しく、まさに生き返るありがたさだった。

資料館の中には、新発田城の解説もあるが、主な展示物は明治以降に設置された帝国陸軍のもので、その時代にはこの建物が兵舎だったようだ。帝国陸軍は新発田城の本丸から後ろの部分を駐屯地として利用した。そのため城は、大手門付近(城廓の前部分)だけ残されているが、現在ではその先が自衛隊の施設となっている。本丸跡地は壁で仕切られているのが悲しい。
この兵舎跡はその城の後ろ半分にある。自衛隊敷地内にあるため、城からはぐるっと堀沿いを回ってこなければならない。(現在は陸上自衛隊第12旅団第30普通科連隊が駐屯しているため、一般人の立ち入り、通り抜けは難しい)

資料館の展示物は、なかなか興味深い。明治時代の軍服、そしておそらく鹵獲兵器である洋式短銃のコレクションなどがある。ひょっとすると帝国陸軍将校からの供出物なのかもしれない。ただ、手入れをしていないせいか(あるいはすでに銃口を埋めるなどの不使用化がされているためか)見た目が相当悪い。そこが残念だ。
また、展示に関しては現役自衛隊の設備として、どうだろうかと思われる表現も散見する。言葉狩りの対象になりそうな、危ない用語だらけだった。良くも悪くも、帝国陸軍の跡という感じが滲み出ている。戦後の民主日本を基盤とした自衛隊の広報施設としては、他にある施設と比べると微妙な差異がある。これまであちこちで見てきた自衛隊の広報施設とは、ずいぶんテイストが異なる。
同じ陸上自衛隊の広報施設でも練馬第1師団近くにある「りっくんランド」と比べると、これが同じ組織なのかと思うくらい見せ方が異なっている。ただし、バスの時間待ちでたまたま入っただけなのに、ずいぶんお勉強になった。ちなみに海上自衛隊の広報施設では、佐世保にある博物館的な資料館が、これに似た雰囲気だった。やはり自衛隊(防衛省)にも、それなりの思惑があるのかもしれない。家族向けの大規模広報施設とマニア向けの小規模な施設みたいな区分だろうか。軍オタであれば、諸規模施設の方がワクワクするだろう。
この資料館は、もう一度しっかり時間をとって見に来たい施設だと思った。ちなみに、案内してくれた自衛官の方はとても親切だった。

徳川時代を無事凌ぎ切った新発田城も、戊辰戦争の動乱で明治政府に接収され帝国陸軍駐屯地となってしまい、お城の姿を変えてしまった。その後は自衛隊の駐屯地になり、城の前面しか残っていないが、一度も戦乱に巻き込まれていないと思えば、城の使命を全うしたと言える「幸せ」な城なのかもしれない。
大手門前に「城の完全復旧」を目指す幟が立っていた。明治の怨念が、まだ残っているのだろうか。しかし、自衛隊駐屯地の移設には、ずいぶんと金がかかりそうだが。

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新発田城 あれこれ

大手門は実に立派だった

日本100名城巡りも半分近くを終えた。東日本で残る城はあと一つ。これだけ城巡りをすると城の見どころもわかってきた。最近ではお城のあれこれを解説してくれるテレビ番組もあり、ひょっとすると城巡りはブームなのではと思うが、経験的には時期によって視察者ゼロということもよくある。
天守閣が現存するかどうかで、城の人気は違うような気もするが、全国各地にある天守閣のほとんどは近年に再建されたもので、いわばフェイクなのだ。鉄筋コンクリート製の見た目だけ昔風な建造物になっているものも多い。特に東国の城は戊辰戦争後にひどいことになったので、建築当時からの建造物が残る新発田城は東国の城として貴重なものだ。

ただ、新発田城も天守閣というか本丸は残っていない。昔の広大な敷地の半分以上が、帝国陸軍の敷地になったせいだ。大手門をくぐるとそのすぐ先には塀があり、塀の向こうが自衛隊の駐屯地になっている。帝国陸軍時代は第2師団隷下、第16連隊が拠点としていた。現在は栃木県に本拠地を置く陸上自衛隊第12旅団第30普通科連隊の拠点になっている。
ただ、大手門から手前の広い堀は現存しているし、堀の隅に置かれた櫓は当時のままだそうだ。

大手門から堀に沿って石垣の上を歩くと櫓まではすぐの距離だ。昔は、この石垣の上を守備兵が走り回ったのかと思うと、ちょっとワクワクする。櫓の中は入ることができる。木造建築の内部は、戦闘のための空間だったと感じさせる簡素さだった。

新発田城は、全くの平坦な場所に築かれている。広い堀を城の周りに巡らせた典型的な平城だ。よくもこんな防衛のしにくい場所に城を建てたものだと感心する。戦国期が終わった直後に建てられたので、戦略地防衛拠点というより、支配者の威風を見せつける示威効果を狙ったものだったのか。
今ではすっかり周りを住宅地(と自衛隊)に囲まれ平和そのものな場所だ。この城を建てたお殿様も、今の平和には満足してくれることだろう。
しかし、この日、新発田市は日本で一番暑い場所の一つだった。城巡りにとっては最悪の状況で(城の中を歩き回ると暑さのために眩暈がするほどだ)、運が悪いと思うしかない。夏の城巡りはハードすぎるなあ。

食べ物レポート

会津で和菓子を楽しむ 

会津若松市七日町通りにある和菓子の店で、手土産にしようとあれこれ探してみた。なんとも美しいフォルムの和菓子が並んでいたのだが、福島といえばゆべしだと思い(郡山の名産に有名なくるみゆべしがあるので)、2種詰め合わせのセットを買った。

サンプルを見ていたら自分でも食べたくなり、2種類のゆべしを買ってしまった。一つずつバラ売りしているのがありがたい。くるみゆべしは、表面に雪が降ったようにみえる。甘さは控えめで、実に心地よい。このグニュッとした歯応えが、幸福感を呼ぶのだなあ。

もうひとつのゆべしは、ごまがまぶしたものだった。ゆべしとしては珍しいと思う。そもそも、ゆべし自体は全国であれこれバリエーションというか、拡散した広がりがあるようで、また菓子店により様々な中身、外見の変化もあるようだ。あくまで記憶モードだが。

ごまが表面にまぶしてあるので、食べると食感がなかなか変わっている。ゴマを噛むプチプチした感じと、ゆべしの持つ弾力と歯応えが合わさると、なんとも絶妙な「かみ心地を楽しむ」菓子になっている。こちらも甘さは控えめだが、今の時代はそれが良いのだと思う。

シアトルコーヒーのチェーン店で出される、強烈な甘さの飲み物が一般的になって以来、その反動なのかはよくわからないが、甘さ控えめの菓子、特に和菓子が増えているような気がする。「甘味」にも時代による流行りがあるのだろう。
伝統的な和菓子も、もともと甘さは控えめなものが多いとは思うが、最近の創作系和菓子は特に甘さと香りと食感のバランスに気を配っているものが多い感じを受ける。食の世界は、流行り物に影響を受け玉突きのような変化と進化が連続して起こっていくものだ。日本人の甘味感覚が変容する引き金になったと思う米国発のドリンクと、和菓子の関係は誰か研究してくれないだろうか。面白いテーマだと思うのだがなあ。

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青春18きっぷ 改定のお願い

各駅停車の旅は新幹線の車窓から見えないものをみつける楽しみがある

新潟駅で発見した、今年の青春18きっぷのポスターだ。高知県の駅だった。青春18きっぷのポスターは、珠玉の名作と言いたいものが数多くある。このポスターに惹かれて旅に出る若者も多いだろう。
ただ、この各駅停車の旅を何度か経験するとわかることだが、すでに「青春」とは限りなく遠い方達が、大量に発生している。(自分も含めてだが)
各駅停車の列車で、できるだけ長距離を移動しようとすると、実は使用可能な列車が実に限定される。1日のうちに、ワンチャンスしかないという路線も多い。そのワンチャンスを探すため全国時刻表をめくるのが、これまた各駅停車の旅を楽しむ方法だとも思うのだが。
東京や大阪のような大都市から、どこまで遠くに行けるかなどは、毎年の旅雑誌恒例の企画だ。だからなのか、その長距離移動を実践しようとする「乗り鉄」も多い。そして、今や「乗り鉄」の高齢化が著しく進んでいる気がする。
今回の福島・新潟回遊ルートでも、18きっぷ利用者と思われる同乗者(大きいリュックに一眼レフカメラを持っているのが特徴)をざっと確認してみたが、高齢者8に対して若者2くらいの割合だった。
JR各社もこの状況は理解しているだろう。ローカル線の中でも車両編成が1両という超ローカル路線では、この18きっぷ旅行者が地域の常連客(通学に使う高校生など)の座席を奪う形になる。これはなんとも心苦しいものがある。
そこで、青春18きっぷの代わりに、「老齢65切符」を発売し、青春18きっぷの有効期間以外で販売すれば良いと思うのだが。時間帯も限定すると良いかもしれない。
JR大人の休日のような、高齢者向け割引サービスはあるのだが、やはり各駅停車乗り放題という魅力はなかなかのものだ。「老齢切符」は複数人数の使用は認めないとか、買う時に年齢確認をするとか、あれこれ条件整備は必要だと思う。ただでさえモラルの低い高齢者が不正利用する可能性は高い。当然、18きっぷのような簡便さにはならないだろう。
ただ、利用期間も春、秋の行楽期間を避けて、かつ学生の長期休暇も除外期間にすることで、閑散期の需要拡大につながるのではないだろうか。
こんなことを考えたのも、18きっぷ利用の高齢者が、あまりに乗車マナーが悪いことに気がついたからだ。このまま放置すると、高齢者によるマナー汚染が進むか、あるいは若年層からの高齢者排斥運動が起こりそうな気がする。歳を取っても人は賢くならないという現実を見せつけられる。

JR各社の企画担当者は、ぜひ現場のヒアリングをした上で「老齢切符」導入を検討してほしいものだ。

食べ物レポート, 旅をする

青島食堂の生姜ラーメン

10年以上前にテレビの旅番組で知った長岡の有名ラーメン屋にようやく行くことができた。新潟にはたびたび行っていたが、長岡に立ち寄ることは極めて稀で、たまたま長岡に行っても所要を済ませると新幹線に乗って戻ってしまう旅程ばかりだった。JR長岡駅から一駅の場所にあるこのラーメン屋は、長い間の憧れの地だった。
小出から長岡に移動する途中で下車して、ついに憧れのラーメン店に出会った。昼前に着いたが、すでに行列ができていた。
ちなみに、この日の長岡は日本一暑い場所だった。行列に並ぶのも命懸けの気温なので…………

カウンターだけの店内は、熱気がこもっていた。おまけにたまたま座った場所がカウンターの端で、なんとエアコンの冷気が当たらないという運の悪さだった。とりあえず注文した生ビールで一気に体を冷やす作戦だったが、これはあまり効果がなかった。残念。
お通しはチャーシューの切れ端で、これはなかなか有難い。これだけで何杯かビールが楽しめる気がする。実にうまいものだったが、ビールを飲んで涼んでいるうちにラーメンが到着した。

今回は珍しくチャーシューメンを注文した。丼の上に薄切りの自家製チャーシューがたっぷり乗っている。普段は最後に食べることにしているチャーシューを最初に食べてしまった。お通しに出てきた端切チャーシューのせいだ。あらためて、うましだった。
長岡の名物ラーメンは、魚介だしの生姜醤油ラーメンだった。思っていたより生姜は控えめな感じだった。スープもおとなしめなので、さらっといける。バランスの良いラーメンだ。海苔とめんまが良いアクセントになっている。
コンビニも見当たらないローカル駅前で、このラーメン店を目指してきた人の行列ができるというのも納得の味だった。次回訪れる機会があるかどうかは無妙なところだが、できればもう少し涼しい時期の方が、このうまさを楽しめそうな気がする。
その時は好物のめんまと海苔を追加しよう。