駅弁

駅弁味の陣 買い出しに行った

このサイトから応募した。投票は弁当付属のQRコードから

ネットニュースで知ったJR東日本のイベントだが、これまでうまいなあと感じていた駅弁のほとんどが、この「駅弁味の陣」というイベントで優勝していた。優勝すると大将軍に認定されるようだ。大将軍好みなのだから自分の舌もそれなりなものだと笑ってしまった。本当は旅に出て、車窓を越しの風景を眺めながら食べるのが駅弁の楽しみだが、今年は事情が事情だけに、「おうちで駅弁」というなんとも情けないことになる。
それでも、あちこちの駅で駅弁販売会をするというので、近くの国分寺会場まで出かけてみた。まだ見ぬ駅弁が買えるかなと期待していたのだが、ほとんどが実食済みのもので、販売されている駅弁は、ほぼ関東圏のみだった。できれば東北の弁当を手に入れたかったのだが・・・。

包装紙がなんともゆるい

それでも、今回の獲物は今年の新作らしく山梨の弁当で「ワインのめし」と、ちょっと買う気をそそる。この包装紙のイラストがなんともヘタウマ系というか、駅弁の中身を想像するのが難しい。武田信玄と思しきおっさんは弁当のおかずにはならないから、その周りにいる怪しげな魚や牛、鳥が素材なのだろう。信玄おっさんの前席にいる「ほうとう」風な鍋は何を意味しているのか、などと考え出したら、あまりにシュールな気分で・・・。

蓋を開ければ、それなりにバラエティに富んだ九品があり、添付解説書を読むとメニューはフレンチ仕立てらしい。見た目は和風っぽいが、ワインに合わせたフレンチ弁当ということなのだろう。右下にある白いものが、ほうとうのグラタンだった。左上の白いやつはチーズケーキレーズンパンで、この九品の中に米飯は存在しない。とても手の込んだ駅弁だけに、お値段もお高めだった。
駅弁とは思えない内容で、デパ地下でフレンチ惣菜のオードブルを買ったと錯覚するほどだ。俺様はな、駅弁ではないんだぞ、ワインのつまみなのだぞ、と自己主張する極めて稀有な駅弁だと思う。
これと比べれば横川の釜飯など実に和風だ。簡素系駅弁の代表である牛肉どまんなかと比べればゴージャスというか華やかさがある。横浜のシウマイ弁当が造作的には近しいような気がするが、それでもシウマイ弁当は白飯がしっかり主張している正統的な弁当だ。この「ワインのめし」は、めしと言いながら「めし」を拒んでいる革命的な駅弁なのではないだろうか・・・などと思いながら、ワインと一緒にいただきました。やはり、「めし」というよりワインのつまみだったなあ。

食べ物レポート

蕎麦屋で行こう憩う逝こう?

もうすでに半世紀近く(おおげさだなあ)愛用している蕎麦屋で、昼のピークすぎに一人で蕎麦を肴にお銚子を一本だけあける。気分はお江戸の悪い兄ちゃんになりきり、蕎麦つゆにネギを入れてちびりちびりとつまみにする。まずはネギ酒、そして次に蕎麦を一本だけつまみ、これを酒に浸してつまむ。そのままチョコの中の酒を飲み干す。お江戸の兄ちゃんはなんともいじましい飲み方をしていたようだ。そうして、蕎麦を一本ずつ摘んでいるといい加減乾いてくる。それに酒をちょっとふりかけて食べたりしたそうだ。あくまで人伝に聞いたことで、本当にそんな不良あんちゃんを見たことはない。おそらく戦前、ひょっとすると明治大正の時代の話なのかもしれない。お江戸の下町には町内に必ず風呂屋と蕎麦屋と寄席があったそうだ。蕎麦屋は居酒屋であり食事の場ではなかったとも聞いた。

この店で出てくる蕎麦はお江戸のつまみになる蕎麦とは違い、腹一杯になる食事蕎麦だ。だから、一本ずつ摘んでいるといつまで立っても食べ終わらない。お江戸のバーコードのような薄盛り蕎麦はつまみにちょうど良いのだろうけれど。だから、そばが来る前に軽くつまみを注文する。今回は鶏皮のポン酢和え。さっぱりとしたポン酢味に甘めの日本酒がよく合う。銚子が大方開く頃に、蕎麦を頼む。そして、2、3本そばをつまみにしたら、あとは一気に蕎麦を啜る。

締めには蕎麦湯を何回かに分けて飲む。最初は蕎麦湯少なめでそばつゆ濃いめ。半分ほど飲むと、蕎麦湯を継ぎ足し、それを繰り返すと最後はほとんど蕎麦湯だけになる。蕎麦湯は蕎麦屋によってどろっと濃厚なものだったり、ちょっと目には白いお湯に見えるほどサラッとしたものもある。この店は中間程度。とろみがある白いお湯という感じだろうか。寒い季節になっても不思議と蕎麦屋では温かい蕎麦を頼むことがない。北海道では店内の室温が夏より冬の方が高いせいもあるだろう。東京では冬になるともりそばではなくおかめ蕎麦を頼むようになる。東京の冬は体感的に寒いからだ
我ながら不思議な感覚だが、雪まつりを見に行った帰りもざる蕎麦を食べていた記憶があるから、体感温度と室内温度は季節以上に重要な蕎麦要素だ。
今年の冬は、蕎麦屋でいっぱいの日常が続くことを願いつつ、平日の昼下がりに神田の老舗で小田巻でもたべながら熱燗といきたいものだな。そんな暮らしの中でイケるといいね。

ガジェット

100円ショップで道具作り

コロナ対策なのか、屋外でバーベキュー、キャンプなどが大流行しているそうだ。昔々、年に30回もキャンプしていたオールドタイマーとしては、何やらムズムズしてくる。一度処分したキャンプ道具をソロキャンプを前提にぼちぼちと買い集めたりする。やはりキャンプの醍醐味は道具集めだ。(笑)
キャンプの楽しみといえば、泊まりに行く場所を選ぶ計画段階が一番楽しい。その次が道具集めだ。実際にキャンプ場に行って焚き木に火をつけてしまえば、そのキャンプはほぼ終了。昔は料理作りも面白がっていたが、今ではパック詰のご飯と缶詰かレトルトカレーがあればそれだけで良い気もする。あとはマシュマロか。夜の焚き火で焼きマシュマロというのは、かなり盛り上がる行事だしなあ。

そんなキャンプ道具で捨てずに取っておいたものがスキットルだった。スキットルは金属製のものが普通だが、気に入っていたのは耐衝撃性がある皮の入れ物に入ったガラス瓶だった。ガラス瓶自体も金属枠で守られていて、ずいぶん乱暴に使ったにもかかわらず壊れることもなかった。そのスキットルがどこかに行ってしまって見つからない。間違って捨てられてしまった可能性もある。
仕方がないと諦め新しいものを購入しようと思ったら、チタン製が予想外に高く迷ってしまった。中国製のステンレスは安いが、品質に問題がありそうな気もする。amazonのレビューを読むと何やら恐ろしいことが書いてあったりする。ふと思いついたのが、ウイスキーのポケット瓶を買ってきて、100円ショップでカバーを探してみると良いのでは・・・。そこで買ってきたのは350mlペットボトル用の保冷袋、それを2種類だ。

まずソフトウレタンの保冷袋を被せる。横幅の寸法はぴったりだが縦方向はちょっと長い。下まで押し込むと瓶がすっぽり中に入り込む。

それを二枚目の保冷袋に入れる。こちらは中にアルミコーティングがされているが、保冷機能より衝撃耐性の方が重要だ。これもウレタン袋入り瓶をいれてジッパーを占めると隙間なくピッタリになる。

どちらの保冷袋も瓶を下まで押し込めるとすっぽり埋まってしまう。おそらく持ち運びの時は、すっぽりモードが良いだろう。飲むときは瓶の栓をひっぱりだして、そのまま放置する。袋がぴったり密着しているので瓶が下に潜り込むこともない。今回はニッカのポケット瓶で試したが、トリスでも大丈夫だと思う。他にももっと高級ウイスキーのポケット瓶、たとえば角サンとか、オールドのポケット瓶も使えるかもしれないが、容器として考えると安いウイスキーの方が形状、使い勝手が良い。それに、スキットルとして使うのだから一度飲んでしまえば、次は中身に好みの酒を入れ換えれば良いので高いウイスキーに拘らな区ても良いだろう。
何度か使用すれば蓋の締めが甘くなる可能性もあるが、そのときはまたポケット瓶を新しく買えばすむ。ヒップポケットに押し込むには少し分厚くなりすぎるが、カラビナでぶら下げるという手もある。夏場であれば瓶ごと冷やしておくと、まさしく保冷袋の機能が発揮される。
投下資金200円の安価セットなので、ウイスキー、日本酒、焼酎など酒の種類に合わせて何種類も作成・対応できる。そのときには外側の袋を異なるものにすれば見分けも簡単につく。
自作というほどのものではないが、100円ショップ各店で売っている保冷袋はデザインや色が違っているので、その組み合わせを楽しむこともできる。チープシックなオヤジの趣味とでもいうことでしょうか。

街を歩く

町中華で一杯 解禁翌日のススキノ周辺

店内は客席の間隔も広く、のんびりできる昼夜対応店

ビルの建て替えで移転した札幌の町中華は、値段が昭和のまま止まっているようなところがあり、これでやっていけるのかなと心配になるくらいだ。味も値段以上で、ごく普通の中華料理をごく普通の美味さで提供するという、町中華の鏡のようなお店だ。こういう店には、昼のピークを避けちょっと遅めのランチ時に軽くいっぱいやるのが良いと思っている。
ちなみにこの店の近くには古くから続く有名中華料理店もある。その店も例の後遠く一時期は外国人観光客に占拠されてしまった感があったが、今ではちょうど良い混み具合になった。ただし、週末は場外馬券を買いに来る競馬ファンに占拠されることで有名で、この日も店外に人が溢れていた。そのためか、近くにあるこの店にもランチタイムが終わっても客が途切れることなく入ってきた。おこぼれ効果なのかとも思ったが、遅いランチに来た客のほとんどが子供連れのファミリーだったので、やはり味と価格の評価が高いということのようだ。
しかし、ネットで馬券が買える時代に場外馬券場に人が集まるというのは、競馬ファンの中に「群れ集う」習性があるのだろうか。赤ペンと予想専門誌を手放さないので競馬ファンはどの店に行ってもすぐにわかる。だからこそ類は友を呼ぶということなのかもしれない。

いつもは酢豚とビールがちょい飲みの定番だが、禁酒法の完全解禁日だったので、イカと豚肉のXO醬炒めという、この店で一番の高級品を頼んでみた。酒も紹興酒をグラスで頼んだ。しみじみうまいなあと思った。ささやかな大衆的楽しみというか普段の日常のひと時というか、変な規制がないのはありがたいことだとしみじみ思った。
禁酒解禁日翌日の週末だから、もっと酔っ払いが街に溢れているかとかまえていたが、この店でもビールを頼む人がたまにいたくらいで、酔っ払いのどんちゃん騒ぎなどかけらもない。街中にも高齢者の姿は少ないので、まだ色々と普通の生活には戻っていないのかもしれないなと感じた。それでも夫婦と思しき高齢者カップルの姿もちらほら見かけたから、業種によって回復度合いは違うだろうが、年が明けたくらいには元に戻るのか。居酒屋などの酒中心業態が回復するのは一番最後なのかもしれない。とりあえず、町中華が元気になって欲しいものだ。

食べ物レポート

濃厚な美味さの北海道スイーツ

昔、まだ会社で働いていた頃、お菓子の研究に北海道出張を申請したら、上司にバカにされた。なぜ北海道だと聞かれて、答える気にもならず適当な言い訳をした。どうやら洋菓子といえばおフランスという短絡的思考回路らしく、フランスで修行したパティシエは東京にしかいないと思い込んでいた節がある。日本の洋菓子の集積地として確かに東京は大きい市場だが、洋菓子は明治以降の開港地から広まったため、全国の港町など名人が多くいた。
そして、洋菓子の原材料である牛乳、バター、生クリーム、砂糖などは北海道が主産地で、当然ながら北海道には良い原材料をふんだんに使った菓子製造の拠点が出来上がっている。特に十勝は小豆と砂糖が揃っているので和菓子の拠点にもなっている。というようなことを外食産業で働いている人間にわざわざ説明しなければわからないのかと思うと、あまりに面倒くさく、とてつもなく馬鹿らしくなり、内心では自分で勉強しなさいよと思いながら適当に誤魔化した。会社組織で知識の共有は必要だが、それも人間関係によるのだ。

その十勝帯広から生まれた六花亭の隠れた名品が、このクレームブリュレだと思う。お値段160円だが、価格が3倍でも支払うべき傑作スイーツだ。買ってから時間が経ってしまい、トップに乗っているキャラメラーゼしたカリカリの砂糖が溶けてしまったので見栄えが減じている。お店で販売しているものは、表面がガラス状に輝いていて美しい。クレームブリュレは、乱暴な言い方をすれば濃厚味の生クリームプリンだ。東京の洋菓子店でもほとんど見かけないのは、原材料費が高くなりすぎること、つまり牛乳がわりにタップリと生クリームを使うのがうまさの秘訣だからだろう。おまけに、表面で焼き上げてキャラメラーゼした砂糖のパリパリとした食感が、旨さの秘訣になるが、時間がったつと溶けてしまうという致命的な欠点があるからだ。テイクアウト向きの商品ではないし、時間経過に弱いという特性のせいだ。その難物スイーツ、クレームブリュレがプリンと同じ価格で売られている。六花亭はマルセイバターサンドというキラーコンテンツを持つ製菓屋さんだが、和洋合わせた広いラインナップで北海道スイーツメーカーのトップ集団に入っている。

残念なことに買ってきて半日もしないうちに表面がこういう状態になってしまう。おいしくいただく賞味期間は、買ってから1時間くらいではないか。それでも、砂糖が溶けた状態であれ中の味は変わりがない。濃厚で、ねっとりとした舌触りさえあるプリンのようなもの、としか言いようがないがプリンとは旨味が違う。そもそも都内の大半の菓子屋でプリンと言って売られているものは、全てとは言わないが大部分が水羊羹的というか寒天っぽいというか、ゼラチンの使い方が下手すぎる。
プリンでそのレベルなのだから、クレーム・ド・ブリュレなど、そもそも販売しないのも無理はない。北海道といえば海産物とラーメンの話しか出てこないのだが、実は菓子は相当レベルが高いので、北海道旅行を考える方は是非スイーツツアーを検討して欲しいものだ。

個人的にはこの六花亭を筆頭に、柳月の三方六、千秋庵の山親父、ロイズの生チョコ各種あたりが初心者コースで、上級者になると札幌のロマン亭、ショコラティエマサール、ステラマリス、パイクイーンなどをめぐって欲しい。旭川の壺屋、帯広のクランベリーもわざわざ行く価値のあるお店だ。日本全国、地域ごとに有名な菓子店は存在する。東京でもカタカナ書きの有名店は数多くある。ただ、地元の食材、国産の食材を使うという点でいけば北海道に対抗できる場所はないだろうと思うので、是非お試しいただきたい。決して地元愛に溢れた発言ではないので、そこはご理解賜りたい。(エヘンエヘン)

ちなみに全国47都道府県全制覇している過剰旅行者としては、沖縄のジミーズのホールケーキ、広島のバッケン・モーツアルトのザッハトルテ、太宰府の梅ヶ枝餅、小樽の館ブランシェのショートケーキなど愛してやまない名店は全国あちこちにありますよ。

食べ物レポート, 旅をする

羽田空港のメルセデス・カフェ

虎ノ門にあった港屋が突然閉店してから何年たっただろう。その後、都内某所に支店が開いたとネットニュースで見たが、ついつい行きそびれていた。たまに港屋インスパイア系のラー油蕎麦屋でお茶を濁していた。その港屋が最近、羽田空港に開店したというニュースを見て、これは是非行かなければと思いつつ3ヶ月ほど経ってしまった。ようやく空の旅ができるようになり、いつもより1時間ほど早く羽田空港に向かった。

羽田空港の全日空側の地下から搭乗口に上がるエスカレーターの奥にある、メルセデスベンツのPRスペースの一角に港屋ラウンジがある。どう見てもカフェだ。洒落た空間だ。エスプレッソとかなんちゃらラテが似合う店だ。確かに港屋も立ち食いそばながらエレガントな空間だったが、さすがにここまでカフェぶりにはしていなかったような気がする。

店頭に出されたメニューを見ると、一番上にあるのが「冷たい肉そば」だった。これを見て初めて蕎麦屋だとわかる。蕎麦以外にはカツカレーもある。ドリンクはコーヒ−100円、生ビール500円というこれまた微妙な値段で、どうやらここはカフェではないぞという気がしてくる。しかし、港屋の蕎麦は普通の蕎麦ではなくラー油蕎麦で・・・みたいな説明が一切ない。港屋のそばとは何であるかを理解している客以外を無視しているとも思える。ただ、初めて食べる港屋のそばに感激する人は多いと思うのであまり心配はない。

入り口のカウンターで注文すると呼び出し器を手渡され、席で待つセルフ方式だった。客席はコロナ対策がされていて席間の間隔も広いゆったりモードだ。しかし、どう見てもこの空間はスタバ的なカフェなのになあ。などと考えながら100円のコーヒーを飲みつつ待つこと数分で呼び出された。

久しぶりの肉そばだった。記憶にあった味を思い出しながら、もぐもぐと食べ始める。ラー油蕎麦は麺が太めで硬いのが特徴だから、するっとではなくモグモグになる。それでも、思っていたより麺が細かった。記憶とはかなりいい加減なものだから、太いと思い込んでいただけかもしれない。ラー油入りのツユももっとしょっぱいような記憶だったのだが、甘さが思いのほか強いという印象がした。どうやらインスパイア系の味に記憶が改竄されてしまったらしい。
この甘めのツユがやはりうまい。またツユの量がたっぷりあるのが嬉しい。つけ麺も含めてツユの量が少ない店が多いので、このタップリ感にありがたみが出る。卵も生卵ではなく温泉卵だった。これはやはり最近の衛生事情の影響だろうか。
ちょっと多いかなと思っていた蕎麦をたちまち完食した。やはり肉そばはうまい。羽田空港の絶対定番はこれに決まった。羽田空港は、搭乗時間に十分余裕を持って、ラー油蕎麦を食べに来る場所になる。早朝便以外は、早ランチ、遅ランチ、ティータイム、全時間帯、ラー油蕎麦を食べることにしよう。

人生長く生きているといいことはたまにあるものだ、などと長寿を願う蕎麦を食べながら感動しておりました。

食べ物レポート

晩秋の北海道名物 漬物用品

もうすっかり廃れた習慣だと思っていた自家製の漬物が、まだまだ現役なのだと思い知らされたスーパーの漬物原料売り場だ。北海道特有の漬物素材として、この身欠ニシンがある。全国的にはほとんど知られていないと思われる「ニシン漬け」の主材料だ。そもそも魚屋に行っても身欠ニシンを見つけることは難しいほど、すっかりレア商品になっている。
漬物製作にに先立ち、この身欠きニシンを水につけこみ水分を含ませる。この作業を北海道弁で「ウルカス」というのだが、このウルカスを日本国共通語で説明しようとすると、実に難度が高い。なんらかの物体や食材や道具を水に長い間つけておき、その表面が軟化したり水分を吸収してふやけたり、あるいは表面の脂分が分離してきたりという状態に変化させることを「ウルカス」という。だからコメを水につけておくとウルカスだが、キャベツをそのまま水につけてもウルカスとは言わない。キャベツを千切りにして、塩水につけて味をつけるような行為だと、キャベツを塩水でウルカスといえる。豆腐を作ろうとして大豆を一晩水につけておくとすれば、これは大豆をウルカスといえる。説明するのが面倒くさい。
同じような日本語翻訳が難しい言葉に「いずい」があるが、これはまた後日の話題にしよう。ちなみにウルカスは北海道限定ではなく、東北地方の一部で使われているらしいので、語源はそちらだろう。
そのウルカした身欠ニシンを適当に小さく切り、キャベツ、にんじん、大根などの野菜と米麹で漬け込むのがニシン漬けだ。東北津軽地方と北海道南部はほぼ同郷といって良い文化圏だが、なぜか津軽地方には北海道的なニシン漬けが見当たらなかった。身欠きニシンだけを麹でつけたニシン漬けは発見したので、おそらく津軽の野菜なしニシン漬けが北海道南部日本海側に渡って野菜入りに変化したのではないかと推測している。冬になると野菜と魚の流通が止まる北海道内陸部では、身欠きニシンを使った越冬料理が色々とあるので、ニシン漬けは内陸部で変化生成したものかもしれない。

身欠きニシンの上に大量に積まれている米糠は沢庵漬けの主原料だ。ちょっと前までは、物干し台に紐で縛った大根の束をつるして、大根を干す光景が当たり前に見られた。最近は気にもしていなかったが、おそらく大根を干す家庭はほとんどなくなっているだろう。晩秋の風物詩的光景だったので、ちょっと残念な気もする。

そして、この山積みにされた米麹は漬物の発酵材として使われる。ニシン漬けにも使うが、それ以外に白菜や大根の漬物でも使われる、北海道獣漬物文化では必須アイテムとなっている。消費量も莫大で、白菜1キロに対し〇〇g的な計量ではなく、手で一掴みとか二掴みとかの原始的な計量法になる。ずいぶん昔のことだが秋の終わりには毎年のように漬物を漬ける手伝いをさせられた。薄ぼんやりとした記憶なので、どんな作業をしたのかは覚えていない。何かを運べとか、あれを持ってこいとかいった使い走りばかりだったのだろう。面白いはずもない。記憶が薄いのはそのつまらなさのせいだったのか。最近では、漬物をつけるのは60代70代のじいさんばあさん世代だけだろうから、もはや子供が漬物漬けを手伝う事もないだろう。子供にとっては幸せな時代になったということだ。

食べ物レポート

厚切りチャーシュー弁当の話

コンビニ弁当の改変の激しさはまさに群雄割拠というか戦国時代というか、一年前に発売された弁当はだいたい消滅する運命にあるようだ。ホカ弁界ののり弁や唐揚げ弁当のような絶対定番は存在しないのだろう。その時々の旬の食材を使った季節弁当は、コンビニ弁当ベヒーユーザーには貴重な変化なのだとは思うが、コンビニ〇〇〇〇の絶対定番みたいなものは記憶にない。思い出せる定番弁当に近い最古のものはセブンイレブンのイカフライおかか弁当だけで、それも今は販売されていないようだ。
ところが、このチャーシュー弁当はコンビニ弁当にもかかわらず改良された二代目で、何やら長生きして定番になりそうな気配がある。チャーシューを使った名物料理といえば、愛媛県今治の焼豚卵飯だが、この弁当はそれにインスパイアされたものだろうか。インスパイアと書けばカッコ良いが、要は改良コピーということで、料理の進化はこの改良コピーの連続で元々の料理とは全く異なっていくものだ。オリジナルと改良コピーのせめぎ合いが料理の進化になる。なのでコピー=パクリという悪者認識はない。コピーから生まれる新しさこそがおいしい料理の基本だと思っている。
特に、完成度の高いうまいものは、コピーするのでさえ大変なものだ。個人的な経験で言えば、福岡にあるパスタの名店の看板メニューをコピーしようと1年間も悪戦苦闘した記憶がある。結局、コピーすらできなかった。できたのは似て非なる劣化コピーだけだった。

ご飯の上に乗っている厚めのチャーシュー四枚プラスゆで卵の半分と紅生姜。すっきりとしている。駅弁の名作、山形の牛肉どまんなかも、こうしたシンプルなルックスだが、うまいものは変化球ではなく豪速球でよいう典型だ。このチャーシュー弁当も、それに倣った豪速球系だった。
弁当と銘打っているが、実はこの弁当箱は丼のように中央部分が窪んでいるので、白飯がチャーシューの下にびっしりと敷き詰められているわけではない。浅目のどんぶりのような格好になっている。そこがチャーシューの肉感とご飯のバランスを支えている工夫だろう。甘めのタレとチャーシューとご飯を一気に頬張ると、肉肉しい幸せが味わえる。
北海道の豚丼も丼の上にはみ出す豚肉が食い気をそそるが、このチャーシュー弁当もその辺りのルックス、見栄えの計算がなされているようだ。

一般の飲食店がテイクアウトに手を広げざるを得ず、この先しばらくは弁当を中心としたテイクアウト市場が活気を示すのだろうから、弁当大手のコンビニとしても工夫をこらして対抗するしかない。しばらくコンビニ弁当が面白そうだ。

食べ物レポート

スシロー10月の仕組み

イカパーツ分け三貫盛りと魚系三貫盛りは値段が違う

回転寿司大手の攻め合いが面白く、なんだかんだ言って回転寿司に週一で足を運んでいる。10月のスシローは、高級ネタのウニ攻めから、ボリューム志向の3貫盛りに作戦変更したようだ。ただ、これも価格帯を調整した100円皿と150円皿という、単価アップ策も含まれているので、なかなか戦術的には綺麗なものだ。100円均一時代はネタのアイデア勝負みたいなところだったが、今ではネタニュース、価格訴求、サイドアイテム強化など複層化したプロモーションを構成する。メディア戦略と合わせて、いまやジャパニーズ・ファストフードのマーケティング・リーダーだ。ファミレスもこの点は見習った方が良いのに。

好物のイカの三点盛りはなかなか嬉しい。ただし、普段は寿司ネタにはならない耳の部分が登場して、イカフリークにはじわりと効き目があるネタ選択だが、ルックス的にはどうだろうという見え方だった。それでも、これはおかわり注文してしまったので、できればこのまま定番化してほしいくらいのものだ。テーブルに置かれている甘だれが炙りイカによくあった。

いつものシメサバではなく、鯖の押し寿司にしてみたら、これはなんとも微妙な一貫100円ということになる。高級品と言えなくもない厚切りの鯖だから、この値段も仕方がないかと思いつつ、小ぶりなシャリ玉とは異なり、厚めの圧縮された鮨飯がガツンと腹にくる。やはり回転寿司には押し寿司はボリュームがありすぎなのだろうな、となかなか一口で飲み込めない分量に往生した。

回転寿司の締めにはいつもタコ、貝の軟体動物系を注文する。おまけにほとんど魚ネタを頼まない。立ちの鮨屋では主力のはずの白身魚にもほとんど手を出さない。白身魚が嫌いというわけではないが、好きなネタを好き勝手に食べる回転寿司では、白身魚に行く手前で腹がいっぱいになってしまうだけの話だ。鮨マニアが聞いたら怒りだしそうな食べ方ができるのが、回転寿司の良いところだと思う。
ずいぶん昔に聞いた、シュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガーさん)の鮨の食べ方、アワビとウニを20貫ずつ食べて、それでおしまい、すぐに帰るというのが、鮨の食べ方の理想だと思っております。

街を歩く

ピザを買いに行ったらカツ丼になった

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知人からオーケーのピザが良いらしい、テレビで特集をやっていたという話を聞いた。それは正しい情報だと思う。たまにはテレビ番組もまともなことを言っているらしい。などと思いながら、休日のオーケーにピザを買いに行った。味のバリエーションは、正統ピザと日本式宅配ピザのいいとこ取りなので、アメリカ人やイタリア人が見たら天を仰ぐことは間違いないが、日本人にとってはもはやこれこそがピザというラインナップだ。もし自分がピザ屋を開けるとしたら、このメニューのまんまで開店しても人気店になれそうだな、と思うくらいよくできている。その上、価格帯が500円前後で二枚買い、三枚買いが余裕でできる。ただし、買った後の持ち帰りを考えると、ホールピザは意外と持ち歩きにくい。かつ、現在のレジ袋有料化を受けてピザ専用のレジ袋を購入しないとマイバッグでの持ち帰りはなかなか面倒だ。そこがピザ・ホール買いの弱点になる。
ちなみにオーケーで販売しているピザは8種類ある。

  • チェリートマトのマルゲリータピザ
  • スモークチーズ入りシーフードピザ
  • ブルーチーズの4種チーズピザ
  • トマトのボロネーゼピザ
  • 明太子ポテトピザ
  • ずっしりジャーマンポテトピザ
  • 2種のソーセージとベーコンのピザ
  • 照り焼チキンピザ

そんな時に便利なのが、1/4にカットして売っているカットピザだ。ホールで買うとバラエティーがねとか、ちょっと量が多すぎるんだよな、という客には便利なサービスだ。1/4カットを4枚、それぞれ別の味で買えば「4種のピザ」にもできる。と思っていたら、なんと休日は販売しないとのこと。残念・・・だ。確かにカットするには手間がかかるしなあ、と納得はしたのだが、ホールを買って帰るつもりもなかったのでピザは諦めた。

かわりに、カットピザ約二枚分のお値段で買える、オーケー名物カツ重を試してみることにした。この値段は間違いなくコンビニ弁当キラーだと思う。おまけにカツ重・ハーフサイズも売っていた。凄すぎるぞ、オーケー。でももっと頑張って欲しい。応援するぞ。

蓋を開けて中身を見ると、四角い卵とじが目が入った。なんとなく製造工程が想像できる。カツ丼を作るときに、丸い浅鍋でカツの卵とじを仕上げるという絵柄が記憶にある。テレビの料理番組で見たものだ。目の前でカツ丼を作ってくれる店でも丸い鍋を使っていた。ホームセンターに行っても、丸い浅鍋に垂直に柄がついた専用鍋が売られている。
しかし、このオーケーカツ重を見ると、卵焼き用の四角い鍋の方が家庭調理としては向いているのではないかという気がした。そもそも丼のような深みのある容器では、上から具を乗せたときにつゆが丼の下に溜まり、丼の上と下で味が違うというのが気に入らない。
このカツ重を見ていてカツ丼も丼ではなく平皿にご飯を平に盛り付け、その上に具を乗せれば良いのだと気がついた。要するにカツカレーのようにカツ丼を盛りつければ良いということか・・・。
今更気がついてもカツ丼人生やり直すには遅すぎるような気もするが、これからのカツ丼(自家製)は、間違いなく変わるな。と、オーケーのお買い得カツ重で学んだ。オーケーさん、ありがとう。

追記:後日カットピザを買いに行ったが、開店1時間で売り切れていた。どうやらテレビの影響らしい。2時間おきに新しく焼かれたものが出てくるので、その時間に合わせて買いに行くしかないなとは思うが、テレビの影響力とはまだまだすごいものだとあたらめて認識した。でもカツ重はしっかり山積みされていたから、ピザ担当者の健闘を祈ろう。