街を歩く

神田を歩く 薮とまつやの間

神田の裏路地といえば良いのだろうか。靖国通りにある「まつや」の裏手に「藪」があるのだが、その裏路地には趣のある老舗料理店が散らばっている。若い頃には敷居が高すぎ、歳をとってからは忙しすぎて、なかなか利用することができなかった。ようやく暇を見つけて神田の老舗巡りをしようと思っていたら、コロナのせいでとんでもないことになってしまった。どうやらお店も再開したようなので、月に一度くらいのペースであちこち回ってみようかななどと思っている。その下見を兼ねてぶらぶら歩いてみた。

あんこう料理専門店 

一番行ってみたいのがあんこう鍋の店で、これはぎりぎり看板の字が読み取れる。「いせ源」というお店だ。浅草のドジョウ屋も似たような雰囲気があるが、やはり鍋を食べるとすれば寒い時期が良い。そろそろ鍋の季節なのだ。だが、同じことを誰もが考えるので、当然ながら予約が難しい時期にもなる。昨今の事情を考えると一人鍋にするか、二人にするか。せいぜい3人までとなれば、同行する相手も慎重に考えなければならない。余計なことに気を使う嫌な世の中だなあ。

店頭にかかる看板がなかなか読み取れなかったが、酒の名前なのだと気がついてほっとした。老舗の看板は、ともかく難読で読解力識字率の課題としては偏差値が高すぎる。漢字検定一級クラスではないか。ちなみに昔のことだが任天堂DSの漢字検定ソフトで二級までは合格判定だったから、一級検定漢字は難題だ。

甘味処

読解力の判定テストみたいな看板はまだまだある。この甘味処「竹むら」だって、もともと名前を知っているから読めるので、道を通りかかった時に目に入ったくらいでは達筆すぎてすぐには読めない。風情がある建物だなとはわかるが、一体何を売っているのだろうと相当に悩むだろう。

こちらの店は甘味処で揚げまんじゅうが有名らしく、当然ながらお汁粉などの和風スイーツが楽しめる。お昼時は混雑するので、夕暮れの手前くらいにふらっと入ると良いのかも知れない。甘味処は、基本的に女性に占拠されていることが多く、男一人でお汁粉を食べるというのは、ほとんど恐怖体験に近い。だから行列ができている時など、怖くて近寄れない。そろそろ酒でも飲もうかなという時間帯に、角打ちで一杯やる代わりに汁粉をかき込む、というくらいがせいぜい勇気の限界だ。

そのすぐ近くに、これは入るのに勇気のかけらも必要ない、オヤジ族の聖地みたいな蕎麦屋がある。ルックス的には間違いなく昭和中期そのまま。朝でも昼でも夜でもふらっと入ってささっと空腹を満たす。立ち食いそばもチェーン店全盛の時代だが、いかにも親父さんが一人でやってますよ的な個人店は貴重だ。懐具合にも優しいから、お試しするのにも敷居が低い。というか敷居がないくらいだ。落語にも出てくるが、屋台の蕎麦の値段は16文だったはずだ。それとくらべて6文という値段はずいぶんお安い。一度店主に店名の由来を聞いてみたいものだ。

東京都心、神田の街でこの値段はまさに超絶価格と言いたい。地元埼玉の立ち食いそばより安い。かけそば250円というのはすごいが、食べるとしたらいかげそ天がよい。ちくわ天も捨てがたいが、変化球を狙うのであればソーセージそばが適切だと思う。やはり、明日は神田に行かなければという気になってきた。ついでに神田明神によって、商売繁盛でもお願いしてこようか。

食べ物レポート

回転寿司100円じゃないほう

回転寿司御三家を中心に、回転寿司の勝ち組は100円均一だったはずだ。皿ごとに値段が違う店は、すっかり流行の外側に取り残された感がある。出店数も激減していた。別にコロナの影響ではなく、回転寿司業界で広く受け入れられた業態、つまり勝ち組としてワンプライスが標準となったはずだった。ところが、コロナの嵐の中で、100円均一業態の大手チェーンが、次々と価格の多様化、値上げをして、もはや均一価格とはいえない状態になった。
そうなると、元々から高品質高価格の回転寿司が受け入れられていた北海道や北陸ではもはや勝負にならないのではないかと思う。そして、均一価格がメインを占める関東、東海、関西とつながる人口集中帯でも変動が起きそうだ。100円ではない方の回転寿司が盛り返すような気がしている。

セルフ方式のなめろう 自分で魚をすり潰す

埼玉ローカルのガッテン寿司が、回転寿司としてはちょっと変わった店を出しているが、そこに行ってみて思ったことだ。価格帯は200−600円台と幅広い。100円均一チェーンからすると相当に高く見える。ただ、酒のつまみの種類が多い。酒の種類も多い。駅ビルの中という立地もあるのだろうが、寿司居酒屋を狙っているような感じがする。しかし、注文はタッチパネルだ。開店レーンは回っているし、そこに鮨は乗っている。ただし、基本的にはバイオーダーで、握りたてを提供する立ちの鮨屋感がある。確かに、回転レーンの中で職人が握っているからライブ感は100円均一店とは異なる。

蟹甲羅に入った蟹味噌の焼き物は、100円均一店では味わえない「酒の肴」だった。こういうメニューを導入する時点で、100円皿をさっさと注文して、さっさと帰ってもらう高回転型ビジネスではないということがわかる。のんびり食べて、高額商品を頼んでもらうスタイルを選んだということだ。

季節のメニューではアワビの刺身など、高価格帯の限定商品を導入している。回転寿司で刺身を注文することはほとんどないと思う。スシをたらふく食う客と刺身を楽しむ客は、あきらかに客層が違う。ニーズが違う。刺身の盛り付けだけで判断すると、立ちの鮨屋との違いははっきりしているが、大事なことは回転寿司で高価格帯商品のバラエティーを増やすという挑戦をしていることだ。ちなみに、このアワビ刺しは700円だった。微妙な値付けだと感心した。

お得感を出すのは、3貫盛りの皿で、光物3貫の皿とイカの部位違い3貫の皿を注文してみた。個人的にイカ、タコなどの軟体動物好きなので、イカとゲソの組み合わせが嬉しい。できれば、イカ、タコ、ホタテでセット組をしてもらいた。光物3点セットも救いの女神といいたい組み合わせだった。アジとサバとコハダが食べたいと思っても、合計で3皿6貫というのちょっときつい。回転寿司の定番が2貫付で、店の効率向上策としては理解できるが腹の膨れ具合で言えば厳しいという客が多いはずだ。最近某回転寿司チェーンでは一貫付を期間限定で始めたらしい。回転寿司のマーケティングがネタ競争から、客のニーズを細かく拾うようになった変化の表れだろう。ネタの高級化と価格上昇だけではマーケティング戦略として先がない。

巻ものでは低価格帯も揃えている。今や回転寿司で巻物の主流といえば、ウニとかいくらといった高価格帯ではなく、サラダ巻き、コーン巻きのようなスシの異種、亜種といったものだ。それをスシとして異端だとか邪道だというつもりは全くない。海苔巻きの体裁を取りながら濃い味付けの具材をトッピングとして使うというのは軍艦巻きの鉄則だろう。それが海産物ではなく、マヨネーズ味や肉系に変わったということだ。
そのためか100円均一店ではあまりお目にかからない塩辛巻き、とび子巻きが存在していたのは嬉しかった。この手のトッピングはすでに死に行く運命の食材なのだろうが、おじさん相手の寿司居酒屋を目指す時には、まだまだ使い道があるということだ。
ロードサイド型の店では、このような居酒屋対応が難しいとは思う。しかし、アフターコロナで駅前繁華街が陥没し、回転寿司の大型店舗の出店が続いている。生き残りをかけた駅前バトルでは、こうした客層をちょっと変化させた業態、コンセプトが有効なはずだ。
くら寿司やスシローが、昼夜の提供メニューを変化させ自家性二毛作店に転換するような気がする。ファストフードの覇者、マクドナルドの夜マック戦略を回転寿司チェーンが換骨奪胎できるか。楽しみだなあ。
今日はちょっと真面目な業界話でありました。

街を歩く, 食べ物レポート

神田 薮・・伝統の重み

お江戸の三大藪と言われる老舗蕎麦屋の一つ、神田の藪蕎麦が火事で焼けたのは何年前だったか。神田の藪といえば、大晦日の年越し蕎麦のテレビ中継で有名だった。大晦日には昼から行列ができる。寒空の中で何時間も待って蕎麦を食べるやつの気が知れないなどと若い頃は毒づいていた。だがこの歳になると考えも変わり、実は並ぶ価値があるうまい蕎麦だと思うようになった。ただ、自宅が神田から遠いので、蕎麦を食べた後同じくらい時間をかけて家に戻るのが嫌なだけだ。歩いて行ける場所にあるのであれば、間違い無く並ぶと思う。ちなみに三大藪の残り2軒は浅草と上野にあるはずだ。コロナのせいで飲食店の営業事情が変化しているから、確かめたわけではないが閉店もしていないだろう。

火事で焼けた後に再建された新しい店だが、外観は昔のままのように感じる。周りにあるオフィスビルのようなものに立て替えなかったのは、やはり老舗としての矜持というものなのかと思う。客としていく分には、高層ビルの一階にある店よりも和風の一軒家の方が好ましい。間違いなく風情がある。都心の中の日本家屋は、それだけで存在感がある。
若い人たちであれば多少の圧迫感を感じるかも知れない。それでも、所詮は蕎麦屋だからあまり気を張ることもなく、ふらっと入って、さっと蕎麦を食べ、サラッと帰れば良いのだ。中で待っているのは、日本屈指のうまい蕎麦であることは間違いない。

蕎麦は不良の食べ物だったとは何度も書いてきたが、お江戸のそばのスタンダードは、この盛りの薄さだ。食事で食べるそばになれた人には、全く腹立たしいぼったくりに見える量だ。バーコードのようなという表現が全く正しい。濃いめのつゆにそばの下半分だけつけて啜る。そばを全部つゆにつけるのは野暮だよ、などと教えられたが、それはそばつゆがとてつもなく濃いからだ。半分つけたツユで口の中はちょうと良くなる。ちなみに、三大藪の中では浅草の藪のつゆが一番濃いような気がする。お江戸の蕎麦屋以外でツユ半分つけを真似してはいけない。普通の蕎麦屋のツユはそれほど濃くはないので、ドブンとつけて食べる方がうまいと思う。

蕎麦屋で酒を飲む時に、つまみとして出てくるのは基本的に蕎麦のトッピングだ。天ぷらや鴨がメインアイテムだが、茶碗蒸しや卵焼きがでてくるのも、蕎麦用トッピング材料の流用だ。だから当然のように海苔もつまみになる。ただ、老舗の蕎麦屋で出てくる海苔は、木箱の中に収められていて、その木箱の中では小さな炭が空気を温めている。湿気を防ぐためだそうだ。蕎麦屋の海苔をつまみに飲む時、海苔が湿気っていてはいけない。パリパリ感が命だ。

鴨も店によっては提供される。鴨南蛮は冬のご馳走だが、その鴨を炙ったり焼いたりして食べる。蕎麦屋では天ぷらと並ぶ濃厚つまみだが、こちらでは薄切りにしたハムのようでとてつもなくうまい。街の蕎麦屋ではあまり味わえない。お江戸の老舗蕎麦屋のつまみを肴に飲むのはなかなか幸せなことだ。
いつも厚焼きステーキで赤ワインという飲み方ができるはずもない。懐事情もあるが、胃袋の事情の方が最近は優先だ。時々は蕎麦屋であっさり海苔と熱燗でほろ酔いしたい。すでに神田の老舗蕎麦屋では、一杯やるのも気楽なお値段ではなくなっているが、それでもたまには足を向ける価値がある。
歴史に残る偉人の話は教科書でチラ見をするくらいで良いが、歴史が残した文化の精髄、老舗店の料理は、庶民がポケットマネーで楽しめる歴史遺産だ。気取らず、友人との会話を楽しみながら、蕎麦屋で一杯。それもお江戸の神田で憩う。京都で湯豆腐もいいけれど、神田で遊ぶ方が何倍か楽しいと思う今日この頃であります。

食べ物レポート

フーコットの鮭弁が・・・

埼玉のスーパーの勝ち組、ヤオコーはちょっと高いけれど、ちょっと高級という立ち位置のブランドだ。だから、NB商品の価格競争であれば他のスーパーにはほとんど負ける。1円2円という負け方ではなく、10円20円といった明らかにわかる価格差があるが、そこはヤオコーPBで切り抜ける。生鮮三品もアップグレードした商品で安売り店に対抗している。比較的高齢層に強いのだそうだ。いつの間にか、自宅の周りもすっかりヤオコーに取り囲まれてしまった。
そのヤオコーが食品ディスカウントの実験店として出店したフーコットだが、なんでも安いのは確かだ。ただ、その中にあれっと言いたいような珍しいものが並んでいたりする。自宅周辺のスーパーどころか都内のデパ地下でもお目にかかったことがないシナノパープルという高級ブドウがしれっと売られていたりする。ディスカウント店のはずが、国産鰻蒲焼をびっくりするようなお高い値段で売っている。きっと普通に買うと、買う気が失せるほど高いものなのかも知れないとは思うが。

値札しかついてないシンプルさ

そのフーコットをたまに覗きに行くのはなかなかの楽しみなのだ。ちょっと前にオーケーで有名なカツ重299円を買ってきたが、フーコットでは対抗してどんなカツ重を売っているのか気になりノコノコ出かけてみた。ところが残念なことにカツ重は売っていなかった。たまたま販売する時間帯が行った時と違うのかも知れない。焼肉弁当やカツカレーなどは売っていたが、1番に目だったのが鮭弁当だった。価格は298円とオーケーのカツ重値付けより1円安い。何か因縁がありそうな1円差だななどと笑ってしまった。

ホカ弁屋で定番である海苔弁はちくわ揚げと白身魚フライがメインで、付け合わせにきんぴらごぼうというスタイルが一般的だと思うが、フーコットでは鮭の西京焼きがどーんと乗っている。オマケは卵焼きと漬物というシンプルさだが、この鮭の厚みがすごい。ホカ弁の鮭弁当に入っている焼き鮭は厚さ5mmくらいだから、(測ったわけではなく、体感的なもので、おまけに過去の記憶モード、今度買ってきて確かめてみよう)これは相当に分厚いというべきだ。ただし、ノリはちょっとしょぼいかも知れない。
なんとなく感じるのだが、カツ重で真っ向から勝負するのは避けて、うちは鮭弁で勝負するからな、どうだ参ったか的な感じが漂っている。鮭のボリュームを見ると、魚好きにとってはかなり優勢と判断できる。他のスーパーで弁当売り場を見てきたが、この値段でこの鮭はすごいぞと思った。
フーコットから、一番近いオーケーまではずいぶん離れているが、相当に競争意識があるような感じだ。埼玉東部ではヤオコー・フーコット後継店がオーケーと直接対決する可能性が高いから、その前哨戦を意識しているのかも知れない。

追記:平日ではなく週末にフーコットに行ったらカツ重が売っていた。その話はまた別稿で。

街を歩く

神田みますや 

神田みますやに久しぶりに行った。記憶が正しければ2年ぶりくらいで、前回行ったのはコロナの前の年の秋だった。友人と久しぶりの飲み会で、場所のリクエストがここだった。5時から開店だが、店の前にはいくつかの開店待ち集団がいた。この時期だから良いが、夏や冬は外で待っているのがしんどいなあ、などと思っているうちに5時になり開店、一番乗りだった。しかし、神田の裏通りでよくもこんなに客が来るものだと感心する。

定番のつまみを注文して、ちょいちょいとつまんでいく。食事というより酒のアテという方がシクリくる。老舗の居酒屋というか、東京一古い居酒屋という話も聞くので、店の中の風情は抜群だ。今ではすっかりなくなってしまった入れ込み、小上がりが健在だ。ただ、この畳に直に座る方式がちょっと辛い。せめて掘り炬燵式にしてもらえたらなあ、というのは客としての贅沢な要望だろ。ただ、そうしてしまっては、老舗の様式が変わる。いただけないという客も多いだろう。
味付けが濃いめ、甘めなのもその伝統豊かな居酒屋の現れで、良い意味で味を変えないのが神田で長く続けている店の特徴のような気がする。

お通しの海苔と久しぶりに飲んだ白鷹がピッタリと合っていた。この店でも日本酒の銘柄は日本各地の有名どころが揃っているが、お燗にするにはやはり白鷹が良いと思う。最近では、滅多に見かけない白鷹だから余計にそう思うのかも知れない。白鷹は近所のディスカウント酒屋、スーパーの酒売り場ではお目にかかれない希少ブランドになってしまった。チェーン居酒屋や最近の日本酒専業居酒屋でも、白鷹は置いていない。昔からの付き合いがある店しか売ってもらえないのかも知れない。一時期は幻の酒と言われていた山形の十四代より遭遇率は低い。
素直な味の酒で、これが昔の一流といわれる日本酒だったという理解で良いのだろう。最近の脚光を浴びた蔵元の酒は、どれもうまいし特徴も際立っている。自己主張の強さが最近の銘酒の条件なのだろう。
、量販店で売られている一般酒がある意味特徴がない甘めの酒であり、それが昭和の味だとすれば、平成の酒は蔵ごとに尖った特徴を訴えかける酒ぞろいだとも言える。その昭和と平成の酒にちょっと疲れてしまった時に飲みたいのが、我は流行に関せず、我が道を行くという白鷹だ。だから老舗居酒屋や蕎麦屋でこの酒を発見すると迷いなく注文する。冷で飲むよりもぬる燗が合うような気がしている。

久しぶりのフル営業で店内は賑わっていた。もう少しして落ち着いてきたら、テーブル席の端っこで一人飲みと洒落込むべきか、などと友人たちの話をぼうっと聴きながら思っていた。秋の夜長は白鷹がうまそうだ。

食べ物レポート

オーケーのカットピザ

平日にしか売っていないオーケーのカットピザを買い出しに行った。昼飯にしようという魂胆なので二枚買うことにした。だが、二枚買っても300円以下というリーズナブルを超えたハイパーバリュー価格だ。高い方がソーセージとベーコンのピザで、個人的にはこれが一番アメリカンピザっぽい気がしている。

見た目でわかるが、ソーセージを含めてトッピングに焦げた形跡がない。高い温度で一気に焼き上げたというより、低温で火を通した生地の上にぱらっとトッピングを乗せた感じだ。だから石窯焼きピザのパリパリ感は期待してはいけないのだが、そもそもそんなことを最初から考えてもいない。まあ、このピザは平たく言ってしまえばトマトソースとチーズがかかった調理パンだ。生地自体も甘めでふわっとしたリッチ系だ。ご飯として食べるには、ナポリピザのようなリーン系ピザと比べて、こちらの方が出来が良いとも思う。何より肉系トッピングは、食べた時の満足感がたっぷりだ。

こちらは安い方で、トマトがトッピングになっている。マルゲリータとは、言ったもの勝ち的なネーミングで、トマトソースとチーズとバジルの3点セットであれば、マルゲリータと言い張って良いと思う。カレーパンといっても中のフィリングがキーマカレーであったり、野菜ごろごろカレーだったり、牛すじカレーだったりするようなものだ。
チェリートマトは甘味が強いので、ピザに使うトマトとしては向いていると思う。一般的なトマトのももたろうはピザには全く向いていない。ももたろうはピザソースに使うのも論外だと思っている。あれは日本人向けの生食用トマトで、調理加工に全く適さない。限りなくフルーツ化した野菜だと思って使う方が良い。少なくとも、ピザやパスタのようなイタリアンの素材としては不向きだとおもっている。
「お客さん、すみません。バジルの葉っぱを使うと、とてもこの値段ではお出しできないです」というだろうから、バジルソースを使うというのはお約束みたいなことだ。あっさり系(ピザにあっさりとは変な形容詞だが)を好みであれば、バジルソースはあっているだろう。

ついでに、このお手軽価格のピザと調理パンの代表選手みたいなカレーパンを比べてみた。コンビニやスーパーで売られているカレーパンは比較的お安い。100円+アルファといった価格帯で収まっている。150円を超えることはあまりない。
工場生産ではないスーパーのインストアベーカリーなどでは150円越えもあるが、それは珍しい。そうした市場価格感からすると、ちょっと高めの値付けのように見えるのがこちらのカレーパンだ。ただ、食べてみるとそれなりに納得できる。安いカレーパンにありがちな、中がほとんど空洞で具が少なくて騙された感みたいなことは全くない。ぎっしりと具が詰まっている感じがある。カレーパン発祥と言われる東京の下町までカレーパンを買いに行ったことがあるが、そこも具沢山だった記憶がある。やはりカレーパンの価格は、中の具材の量に比例しているのだろう。100円の空洞パンよりは50円高くても中身がいっぱいの方が良いと思う。

その出来の良いカレーパンとピザを並べてみた。ほぼ同価格だがピザの方が、ビジュアル的には勝っているように見える。カレーパンが茶色一色というハンディがあるのは確かだが、やはりピザの面積の大きさが、ごちそう感というか食欲をそそるというか、見栄えが良い。スーパーの惣菜担当にこの手の視点があるかどうかは知らない。惣菜に見栄え重視の視点が必要とされるかどうかは、企業としての考え方だろう。ただ、ピザの方が消費者視点から見て戦闘力が高く、おそらくカレーパンの改良型よりも値付けが高くできそうなことだ。トッピングのアレンジでバリエーションを増やすのも容易だ。

などとちょっと難しいことを考えながら、家に帰ってガスのグリル台でピザを温めて美味しく食べた。ピザは電子レンジでの再加熱には向いていない。レンジアップすると、ほとんどパンの食感になってしまう。1/4カットは手で持つには大きすぎるので、半分にカットすれば良いのだが、面倒くさくなり箸を使って食べる。箸でピザを食べると、手も汚れないし、こぼれ落ちたトッピングも拾いやすい、食べやすい。おすすめの食べ方なのだが、家の外でそれをやると、かなり変な奴扱いされるので注意が必要だ。ちなみにケンタッキーのチキンも箸を使って食べるのが一番合理的だと思っている。是非お試しください。

食べ物レポート

うちの近くのラーメン屋 2軒

埼玉県西部にあるお茶どころに住んでいる。周辺の市とあわせると人口は50万人くらいになり、そこそこの規模の都市圏といえる。それでも車で5分くらい走ると周りは茶畑と芋畑で、その中にマダラに住宅地が点在する首都圏の典型的地方都市だ。
人口だけ見ると大抵の県庁所在地より大きいのだが、やはり東京のおこぼれ都市というかベッドタウンというか、中途半端な賑やかさがある。おへそが無い町とでもいうべきなのか、繁華街の規模は小さい。そもそも市役所が街の中心部から移転したので、街中に肝になるオフィスがない。普通は県庁所在地であれば、県庁と市役所が並び立っていて、その周りに飲食店、飲み屋などが固まっているのが特徴だ。それが無い。不思議な街というのは、人口に応じた繁華街が存在しないという意味だ。
そして駅前ではなく、畑の真ん中にラーメン屋が立っていて繁盛している。これもまた不思議なものだと思う。この茶畑の中に立つお気に入りのラーメンだが、化学調味料を使わない、いわゆる無化調のラーメン屋だ。そのためなのなか、いつでも駐車場がいっぱいになっている。流石にコロナの間は少し暇そうだったが、久しぶりに平日昼前に行った時はすでに駐車場が満車だった。

狭山市と入間市と所沢市の境界付近にある茶畑の中

この店のイチオシはつけ麺なのだが、中華そばが好みなので10回行くと9回は中華そばになる。今回はひさしぶりということもあり、珍しくつけ麺にした。濃厚系のスープがたっぷりなのが嬉しい。つけ麺推しの店でもスープが少ない店は嫌いだ。スープが冷たくなりやすいし、味も薄まるからだ。つけ麺スープはたっぷりにしてほしい。
この店は食べ終わった後に困るほどスープがたっぷり。良い店だと思う。麺も太めの麺で、量もたっぷり。完食するのが辛いと思うほどの量だが、それでも大盛りにする猛者がいる。どういう胃袋をしているのだろうと、他人事ながら心配になるほどだ。めんまや焼豚角切りはスープの中に沈んでいるので見えないが、これも量はたっぷりだ。
個人的好みで言えば、海苔がおまけ程度なので足りないぞと言いたい。次回は忘れずに海苔トッピングを追加しよう。いつもの通り、実に満足して店を出た。うちの近所ではこの店が一番だと、行くたびに思うのだが、やはりちょっと遠いから行く機会が少なくなってしまった。ラーメンを食べにわざわざ車で移動というのは、ちょっと抵抗感がある程度には都市住人なのだ。

この店に小盛りはないらしい

車の移動が面倒だと感じる時には、感覚的にはもうちょっと距離が近いところで店を探したい。そんな時のお気に入りは「山田太郎」という山田うどんが運営する新業態のラーメン屋だ。ただ、ラーメン屋とは言わずに埼玉タンメンと言っている。埼玉タンメンというのは、おそらく山田うどんという会社の造語で、埼玉人にとっても一般名詞ではない少なくとも個人的には聞いたことがない言葉だ。
だから、これが埼玉タンメンかあ、というしかない。ただ、素直に食べた感想を言えば、長崎ちゃんぽんに限りなく近い。パクリというと語感が悪いので、完コピと言えば良いか(笑)。料理の進化はコピー作業とその改良なので、そのうち埼玉タンメンが爆発的に開花する可能性がある。長崎ちゃんぽんを超えて、歴史的名物になるかもしれない。埼玉県人のソウルフードに進化するまで、暖かい目で見守りたい。
その埼玉独自のラーメン店で、辛味噌タンメンがお気に入りとなった。個人的なラーメンランキングではtop10くらいには入る。ただし、辛味噌と言いながら辛さはマイルド級なので、辛いもの好きであれば物足りないか、追い辛子が必要だろう。もう少し辛さを攻めても良い気がするが。

あまり辛くない、ゆるいからさの辛味噌タンメン

残念ながら、近くの駅前にはラーメンの名店はない。それでも町中華で楽しむことはできる。餃子でビール的な居酒屋利用も可能で、レバニラ炒め定食にビールというオヤジ族はよく見かける。だから、うまいラーメンを食べるときは車で15分みたいなことになるのだが、これも地方都市に住むことの楽しみと面倒くささだと割り切ることにしている。

こうしてみると東京都内、山手線沿線というのは実に便利な場所だったのだなと、あらためて思う。徒歩5分圏内に10軒はうまいラーメン屋があった、恵比寿という街がちょっとだけ懐かしい。一度は、憧れの街ランキングの上位タウンに住んでみたかったなあ。

食べ物レポート

千歳空港のダメージと業態転換

千歳空港の食堂フロアーで、いつも凄まじい行列ができていたラーメン道場のえびそば。その行列がちょっとだけ復活していた。この一年は、並ばずにえびそばが食べられるのでずいぶん利用させてもらったが、ようやく昼前に行列ができるまで復活したようだ。ラーメン道場のダメージは大きかっただろうなと推察する象徴的なシーンだ。それでも各店の混み具合はまばらで、満席近いほど賑わっている店は少ない。

その混雑するえびそはを避けて、好みのラーメン屋に入り醤油ラーメンを注文した。座った時にはガラガラだった店内だが、ラーメンが出てくる5分の間に、ほぼ満席となった。満席といってもコロナ対策仕様なので席の間隔は広く、以前と比べると半分ほどの席数に見える。それでも満席は満席。めでたしめでたしだ。鶏白湯+魚介だしのWスープは本当に美味い。ラーメンで腹を膨らませた後で食堂街を探索してみた。

待ち時間がある時にたびたび利用していたサッポロビール園が業態変更していた。サッポロビール各種が飲めるのは変わらないが、小樽の名店「三幸」にかわっていた。三幸はファミレスの草分けというか、デパートの大食堂的なメニューが魅力の老舗レストランだ。個人的にはキッズ向けのオムライス(亀がモチーフで大人が食べてもうまいと思う)がおすすめだが、肉料理、パスタ料理などうまい洋食がせい揃いでどれを選ぶか迷ってしまう。
従業員の方に尋ねたら、10月1日から業態変更したそうだ。これもコロナの影響なのだね。外国人客減少で、日本人客向けのローカル志向に転換したということだと思う。日本人観光客にとっては小樽の老舗レストランが、かなり「おいしく」感じるのではないだろうか。

そして、これが今回の業態転換で最良の策だと思ったのが、小樽繋がりの若鶏半身揚げ「なると」とのコラボだった。今まで千歳空港で売っていないのが実に不満だった、若鶏半身揚げがっこの店で買えるようになった。個人的に最大の朗報だ。うれしい。
若鶏半身揚げは注文してから待ち時間が30分ほどかかると言われた。となると、これからの千歳空港利用パターンを変えなければならない。空港に着いたら、なによりも優先して、まずこの「三幸」に直行してテイクアウト注文をする。それから食事をするなり、買い物するなりという行動のパターンにしなければならない。千歳空港マストバイアイテムに決定だ。
ただ、問題も一つあり、揚げたての若鶏半身揚げは機内に持ち込むには強烈すぎる匂いがする。若鶏半身揚げをラップなどでぐるぐる巻にして、匂い漏れを防ぐ専用バッグを忘れずに用意しなければならない。それが嫌なら、テイクアウトは諦めて、ここで若鶏半身揚げとビールを楽しむという選択もある。それでもきっとテイクアウトにもう一つ注文してしまうような気もするが・・・。
もちろんこの店に来る時は、腹ペコで来るべきだ。若鶏半身揚げに追加して小樽名物あんかけ焼きそばを食べるのを忘れてはいけない。これまで苦労されてきたお店の方には申し訳ないが、自分にとってはコロナのダメージが良い方向で改善された事になる。千歳空港が楽しみになった。

食べ物レポート

旭川で締めを求めて彷徨

旭川で軽く締めのご飯を食べたいものだとフラフラ歩き回った。この店の名前は聞いたことがあると思ったのが、「二幸本店」だった。が、何の店だったのかが思い出せない。小樽には三幸があったな、などと脳内連想ゲームが進んだのだが。

ショーケースを見ると鮨と天ぷらがメインらしい。失敗したと思った。最初にこの店に気が付いていれば、鮨で一杯やれたかもしれない。
旭川は北海道でも珍しい海に面していない大都市なのだが、実は海産物がうまい。オホーツク海、日本海から札幌に海産物が流れていく途中を横取りするので、札幌よりも質の良いものが手に入るようだ。この話は富良野で聞いた。富良野は旭川のおこぼれが調達できるので、札幌と同じレベルのうまい鮨が食べられるというのが店主の言い分だった。もっともだと思った。

寿司を食いはぐれたことに後悔をちょっとだけしながらもう少し歩いていると、懐かしのラーメン屋の前に出た。すでに閉店しているようで、コロナのせいか、悲しいぞ。それでも夜遅くまで空いているのがラーメン屋だろうとぶつぶつ言ってみたが、よく見ると本日は定休日だった。
我ながら悔しいのだがたびたび思い知らされる運の悪さだ。特に旅先では、行ってみたいと思う店が臨時休業だったという経験は数えきれない。決してコロナのせいで早仕舞いしていたわけではないようだ。食べられないと思うと余計にラーメンが食べたくなり、もう一息歩いてみることにした。

旭川発祥の有名店、今やグローバル展開もしている塩ラーメンの名店を見つけた。この本店に来たのはひょとすると10年ぶりくらいかもなどと思いつつ店内に入ったら、全く中の光景が変わっていた。記憶の中ではコの字型のカウンターの店だったはずだが、今はテーブル席も多いファミレスみたいな店になっていた。

梅干しが真ん中に乗った塩ラーメンを食べると、なんだか妙に懐かしい。札幌にある支店もたびたび訪れてはいるのだが、やはり本店で食べるのが一番うまい・・・はずだろう。ただ、記憶にある本店の味とは微妙に違うような気がした。普通にうまいのだが、記憶の中の味は過剰に美化されているようだ。
店の味は変わらずにいて、自分の舌が変わった可能性が高いなと思う。濃いめの味がだんだん苦手になってきたのかもしれない。スープを飲みながらそんなことを考えていた。外の気温は相当に下がってきていたので、暖かいスープは何よりのご馳走だったが、麺を完食するのがしんどかった。やはり無駄に歳はとりたくないものだと、久しぶりに思ってしまった旭川の夜。でも、次は醤油ラーメンにしようと前向きに考えてもいたのですよ。

食べ物レポート

セコマのBig 2 かもしれない

久しぶりに北海道上陸し、気になっていたセイコーマート、セコマのパンを買ってきた。一つ目はヨーカンパンの新種で、北海道では定番の豆パンの上にヨーカンコーティングをしたものだ。さほど気にしてもいなかったが全国でヨーカンパンは当たり前のものではないらしい。
確かに東京に来てしばらくしてからヨーカンパンを見かけないことに気がついた。豆パンは好物だったので、東京に来て3日目で豆パンが存在しないことに気が付いた。普段食べ慣れたものがなくなると、人はずいぶん悲しい思いをするものだ。豆パンは恋しい気分にはなったが、ヨーカンパンは恋しくはならなかった。そのためにヨーカンパンが存在しないことに気付くのが遅れた。見た目が同じようなチョコレートコーティングのパンはどこにでも売っていたから、錯覚していただけかもしれない。

チョコレートではない、ヨーカンコーティング

豆パンはメロンパンのような丸型のパンの中に、金時豆の甘納豆が入ったパンだ。似たような甘い豆が入ったパンは四国高松で発見したことがある。なぜ高松で?と思ったが、高松のうどん屋では甘い豆の天ぷら・かき揚げが売っていたので、おそらく甘い豆需要が高いせいだろう。北海道でも赤飯は小豆のものと甘納豆のもの2種類が混在する甘い豆文化圏だ。標準的な赤飯は甘納豆のもので、小豆の赤飯は異文化のものだとずっと思い込んでいた。赤飯文化のインプリンティングということだ。だから、いまだに東京で赤飯は食べることが少ない。あれは異文化の食い物だという心理障壁があるのだと思う。
この豆パンは、そういう甘い豆礼賛文化が産んだ北海道的解答であり大歓迎だが、全国的にはほぼ異端の食い物だと思う。普遍性は・・・ない。文化的に許容度が広い東京圏でもこれは受け入れられないだろう。似たような存在にべこもちがある。ルーツは岩手のようだが、北海道では極めて日常的な和菓子だ。これも東京圏には存在しない。(たまに、ファミレスのとんでんで売っている)

セコマの文化的地平線を広げる努力は日々進行している。その発想は豊かで、常識を超える。その異端の開発者から、当然のように生まれてきたのがおにぎりパンなのだろう。おまけに中身はおにぎりの具材ランキング不動のNo.1 「ツナマヨ」というのだから、開発者の本気度がわかるというものだ。
そもそもコラボ先が新十津川町という自治体というのもすごい。ちなみに新十津川町は札幌からほぼ真北に70kmほど離れたコメどころだ。遠い昔、某国営放送で朝ドラの舞台になり、最近では日本一終電車の発車時刻早い駅があることで話題になっていたはずだ。(午前中に終電車が出る)
そのコメどころが米シロップ(それって何と聞きたいが)を提供して、パンに米の味をつけたようだ。食べると確かに米っぽい感じがする。

ご丁寧なことに、おにぎり風に海苔が巻いてある。この海苔がなければただの白パンに成り下がるので、海苔はルックス的に重要だ。ただ、食べてみるとわかるが、おにぎり感を増すため「味」の面でも海苔は良い仕事をしている。

売り場のPOPを盗み撮りしてきたが、確かにパンコーナーの中ではイチオシ扱いだった。ただ、やはり根本的な疑問が残る。なぜ、パンをおにぎり味にしなければいけない?
まあ、ヨーカンをパンにかけるセンスがあれば、パンをおにぎりに変えるというのは、ほんの一息のジャンプかもしれないが。セコマのパンの中ではちょっとお高めのブランド感を漂わせることもあり、次はサロマ漁協とコラボしておにぎりパン・ホタテ味とか日高産鮭を使ったおにぎりパン・鮭味とか、色々とシリーズ化されれば楽しいなあ、と妄想している。セコマで去年は焼きそばパンの代わりに味噌ラーメンパンも売っていたし・・・。

個人的には、この昔懐かし「ポテサラパン」が好物で、価格は税込100円と渋い値付けだ。本当にセコマはわざわざ買い物に行きたくなるコンビニだ。何とか関東圏の出店拡大をしてセブンに成り代わってコンビニ王者になってほしいなあ。