
札幌には唯一無二と言いたいくらい強力な焼き鳥チェーンがある。その名も串鳥。薄野の雑居ビル地下でカウンターだけの店から始めて、今では北海道のほぼ全域に展開している。道民御用達といっても過言ではない。その支持の理由は圧倒的な低価格と高品質という外食業のお手本のようなブランドだった。関西を中心とした鳥貴族も同じような形式で繁盛チェーンになったが、札幌では串鳥の基盤を崩すほどの力があるかどうか。少なくとも価格に関しては串鳥が優位だった。
ただし、コロナ以降に相次ぐ値上げがあり、今では「お安い」串鳥は過去形になった。串鳥VS鳥貴族の勝負は意外と混戦状態になっていきそうだ。価格差がなくなれば、店内が明るい串鳥と店内がわざと暗めにしてある鳥貴族のような店構えの勝負になるかもしれないが。

ところが串鳥の独占に勝負を挑んだ進行焼き鳥チェーンがサッポリを中心に急拡大している。売り物は「生つくね」なのだが、この生の意味が分かりずらい。刺身のような「生」ではなく、「生肉」を店内で加工しているというような意味らしい。
そのつくねをベースに、上にかけるタレというかトッピングを変えることで味のバリエーションを出す一風変わった焼き鳥だが、普通の焼き鳥もしっかりメニューにある。
串鳥よりちょっとお高い設定だったが、串鳥の値上げのせいで価格差が縮まった。どうもコロナの間に企業体力をつけたようだ。コロナが終わってもう2年近くが経つが、外食企業各社でアフターコロナの業界変化についていけなかったところはほぼ退場してしまった。その過程で生き残った企業は生存利得を手に入れたようだ。このつくね特化型焼き鳥屋もその勝ち組の一つらしい。

その勝ち組の特徴はスマホを使ったセルフ注文システム母導入だ。自社製のタブレットを使ったオーダーシステムは導入時の投資などを考えると、今では投資が重たすぎる情報機器になっている。スマホ注文決済型が一番お手軽で導入も早いのだが、課題は高齢者対応だろう。スマホを使えない高齢者(70代以上に多い)の問題もあるが、実は画面の字が小さくて読めないとか、注文ボタンが小さすぎてきっちり押せないとか(高齢者には手が震える人も多い)、大袈裟に言えば世代による分断が起きる。
この辺りを無難にこなしているのがサイゼリヤのメニュー番号入力による注文システムだが、若者(40代以下)を主力にしていると、このあたりの気付きが遅いようだ。ネット社会、スマホ社会の暗い落とし穴とも言える。
急成長のチェーンは当然ながら客層も若いし、経営陣も若いからこのような世代分断型の問題の存在自体も気がつかないのかもしれないなあ。暗い店内でスマホの小さい文字と格闘しながらそんなことを考えていた。