街を歩く

高知で焼き鳥

いまだに屋号がわからない。暖簾の端に書いてあるようだが、よく読めない。夜の高地散歩をしたときに気になっていた店に、今回は潜入してみた。予想通り、店内では白髪の渋い対象が鳥を焼いていた。若い衆も元気に働いているので、繁盛店なのだと思う。焼き鳥のメニューは豊富であれこれ試してみたいものもあったが、残念ながら体調が万全ではなかったため、ちょっとだけお試しして今回はおしまいにした。

焼き鳥屋ではセセリと砂肝を頼めばその店の鮮度管理がわかると思っている。匂いのある砂肝が出てきたら、その場で退席することにしている。自分の腹を守るには自分の鼻を信じるしかない。ダメな砂肝を食べるとダメージは三日以上喰らうことになる。
匂いを嗅いで一口も齧らず出てきた店もあるくらい、実は砂肝はかなり危険な食べ物なのだ。焼き鳥屋は火を通すから安全だなどと過信してはいけない。砂肝の管理ができない店主に、衛生観念など期待していけない。
この店は、実に安心できる店だ。予想通りとはいえ、しぶい焼き鳥屋はこうであってくれなくてはなあという、我が期待値を大きく超えてくれる。

個人的に好物としているのは鶏皮の酢の物だが、これも鮮度感良し。川のコリコリ感良し。上等な食べ物だった。酒は地元の普通銘柄を頼んだが、これまた適切なぬる燗が出てきた。どうも最近は機械で感をつける店の大半で、缶の温度が高すぎる。まるですし屋のお茶のような高音の熱燗が出てくるのには閉口する。焼き鳥はぬる燗が良い。酒の味が柔らかくなる気がする。
お江戸ではすっかり撲滅種となった「赤提灯の焼き鳥屋」が河内ではしっかり生きている。葉牡丹の中華で一杯というのも良いが、ぬる燗で焼き鳥をのんびりとという昭和の伝統も捨てがたい。
次回は屋号をしっかり確かめてこなければなあ。

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