
出張で飛行機を使うことが多かった。年間30回以上乗っていたこともある。乗り降りの便利さをとり通路側席に座ることにしていたが、最近ちょっと心境の変化が起きて窓際席に座ることが増えた。
コロナ以降に起きた搭乗順番の変更が原因だ。以前は、後部席から全部席へ順番に案内されていた。ところが、現在は窓側、中間席、通路側の順で登場する。この違いで起こる問題は、席上にある荷物入れに手荷物を収納する時に、通路側席にすわると順番が後になるため、入れる場所がなくなっていることが多いことだ。何度か、自分の席から離れた場所に荷物を入れる羽目になり、これは面倒だと窓側席を取るようになった。
そのおまけで、窓の外の景色が見えるようになった。これまでは景色などどうでも良いと思っていたのだが、意外と楽しい。特に、羽田から西行きの便は陸上を飛ぶことが多く、眼下に広がる景色と脳内の日本地図を比べて、「おー、あれは〇〇川だな」とか、「いよいよ、紀州海峡が見えてきた」とか、思いの外楽しみがいがあるのだ。北行きではその楽しみは少ない。特に太平洋上を飛ぶ時は、進行方向右側席では海しか見えない。
今回は午後遅い便だったが、冬至の頃であり苫小牧上空で夕焼け空になった。ふと気がついて下を見ると、おやまあ、これはずいぶんゴージャスな景色ではないか。日中であれば殺風景な都市景観しか見えないが、夕方であれば一面の星ならぬ灯りが広がる。日没に合わせた上空飛行は、なかなかタイミングが難しいだろう。

千歳空港に降りればすでに日暮れ、そこから都心部まで移動して初めて気がついたが、一面の雪景色ではないか。空港からJRで移動する途中も市街地と畑が入り混じっているのだから、日中であれば雪に気がつくはずだが、車窓の外は夜の民だったので気が付かなかった。おまけにJRの駅から地下歩道を歩いていたため、地上に出るまで雪があるとは思っていなかった。
確かに季節はクリスマス直前。雪があっても不思議ではないのだが。なんだか突然の雪に動転してしまった。
たった二時間で別世界に来てしまった気分になる。確か先月の今頃は、半袖Tシャツでトロピカルな夜を楽しんでいたなと笑ってしまった。空と地上で良い写真が撮れた。