
恵比寿での所用が終わり、昼飯の時間になった。昔よく行っていた食堂の何軒かを思い出していたが、ふと思い立ち味噌ラーメン専門店に行くことにした。この店はコロナの最中に見つけた比較的新しい店だが、もともとこの場所には長く通っていた居酒屋があった。ビルの奥まった場所で、通りからは見つけにくい隠れ家的な場所だった。その店の看板が変わっていたことに気が付かなければ、おそらく訪れることもなかったような気がする。

味噌ラーメンの専門店が増えているなと思ったのは-8年前だっただろうか。千葉初の濃厚味噌ラーメンが急拡大しているのを視察に行って気がついたことだ。以来、コロナの時期を挟んで入るが、味噌ラーメンの新店が目につく。創作料理風のラーメン店が増えているなか、濃厚味噌ラーメン系の店は「がつん」と来る味を売りにしているので、好んで試しに行っている。ただ、濃厚ガツン系だけあった麺・スープともに量が充実しまくっているのが、ちょっと困ったところだ。もう少し全体的に量が少なめでも良いのにというのは極めて個人的な感想だ。

前回食べたときは普通の味噌ラーメンにしていた。所見の店はいつでもシンプルにその店の定番的なものを選ぶことにしている。その定番が気に入れば、変化形である「味変わり」を試してみる。なので、今回は変化形の「辛い味噌」にしてみた。つけ麺やまぜそばにするのはまた次回ということになる。
辛い味噌は辛さを選べる。普通レベルの辛さにしてみたが、もう1段階辛くても行けそうだ。半分くらい食べたところで、額から汗が出てきた。それでも舌が痺れるからさではないから、発汗作用の多いアレンジなのだろう。辛さは個人差がとても激しい味覚なので(厳密には味覚ではなく触覚らしい)、どの店に行っても普通を試してみる。その上で、自分の好みとの調整を図らなければ、好みの辛い食べ物にはならない。たまに行くタイ料理屋などでは、店が言うところの普通レベルの設定がかなり高いことが多く信長になる。だが、ラーメン店の辛さであれば、こんなもんで行けるかと過信して自爆することが多い。特に最近開いた店の辛さレベルは、全体的に高めになっているので(時代の辛さの許容度というか中庸度がどんどん辛い方にシフトしている)、普通レベルでもかなり冒険的になっている気がする。
この店の辛さ普通レベルは、ありがたいことに本当に普通だった。味噌味の濃厚スープと相まって体温上昇する感じがする。太めの麺もスープの味に負けない強さがある。ひき肉ともやし炒めは味噌ラーメントッピングの古典的な役者たちだが、これもシャキシャキ・コリコリと食感を広げている。実に味噌ラーメンらしい、と表現するべきなんだろう。
ラーメン一杯1000円時代の定番といったところか。ただ、恵比寿は今でもラーメン店の開店が続くオーバーストア・エリアなので、次にこの店に行くのはいつになることやら。