街を歩く

つくねと老舗と

単純だけに店の技術でうまさが際立つ 「つくね」

鳥のつくねは団子か、棒状なのか、正解はあるのだろうか。よく行く新宿の高級焼き鳥屋では棒状のつくねが出てくる。卵の黄身をつけて食べる、いわゆる焼き鳥というよりも鳥料理だ。ところが、これまたよく行く高田馬場のリーズナブル焼き鳥屋でも同じスタイル、棒状のつくねに卵の黄身で提供される。どうも、値段の高い安いで変わる訳ではないようだ。
新宿三丁目の焼き鳥屋では、この店と同じだんご三兄弟的な丸々とした鶏団子が登場する。まったく謎だ。大阪の梅田で有名焼き鳥屋に行った時に食べたつくねは、棒状黄身付きだったから東西食文化の違いでもなさそうだ。
鳥つくねの元祖という店がどこかにあるのかは知らないが、屋台の焼き鳥が進化して焼き鳥屋として店を構えるようになった過程で、アップグレードしたものなのかなと推測している。原型つくねは団子で、進化高級化したものが棒状つくねと想像している。そういえば、秋田の名焼き鳥屋でも棒状だったなあ。
まあ、どちらのスタイルも好物ではあるから、焼き鳥屋に入ると絶対注文する二品は、砂肝とつくねのペアになる。鳥に限らない焼き鳥屋(串焼き屋)で、もつ焼きなども出してくれる店だと、これにカシラやタンを追加する。ささみ焼きに梅やわさびを乗せたものも好みだが、こうなると焼き鳥というより鳥の創作料理に近くなるのだが、それはそれで楽しい。
つくねは単純に塩で食べるほうがうまいような気がする。そういえば最近は焼き鳥屋でタレを頼んだ記憶がない。どうしてだろう。

西新宿というか新宿駅西口を出て右側の一角、小田急ハルク北側にある飲み屋街は、この3年間で随分と代替わりをした。見慣れない店が増えた。その中で、古色蒼然というか泰然自若というか、名門の風格を感じさせる老舗焼き鳥屋は、昔の通りしっかり営業していた。それどころか夜の9時過ぎても、入店客がひっきりなしに訪れ、満席のため入店を断られていた。ちょっと前までは考えられないことだ。
老舗の力とはこういうところで発揮されるのだなとは思ったのだが、東京都の飲食業向け暴政に耐えこの3年間を生き延びてくれたことに感謝するしかない。

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