街を歩く, 食べ物レポート

洋食屋 万歳

すごい大盛りで、とてもシンプルな外見

最近はオムライスを食べることが多い。たまたまで歩いた場所で、たまたま洋食屋を見つけるからなのだが、どこに行ってもオムライスはうまい食べ物だと思っていた。ただ、比較的続けてオムライスを食していると、まだ食べた記憶に残っているせいで味の違いがわかる。ケチャップライスの微妙な味付けの差が大きい要素だが、意外と卵の暑さというか焼き加減にも左右される。フワトロ・デミグラソースという平成以降主流のオムライスは食さないのでよくわからないが、昭和レトロなケチャップオムライスにはそれなりの言い分がある。
ちなみに、この店のオムライスは薄味だった。個人的にはもう少しチキン多め、味付け濃いめが好みなのだ。ただし、卵の上にかかるケチャップは大盛りなので満足感がある。飯の盛りもたっぷりで、普通盛りなのに大盛り的サイズになっている。完食するのがきついレベルだった。

メニューは洋食系の定番がてんこ盛りに並んでいる。もしもう少しお腹に余裕があったらハンバーグは食べたかった。みんちカツと書いてあるものは、おそらくメンチカツなのだろうが、それはぜひ食べてみたかった。しかし一番心残りなのはスコッチエッグだ。これがメニューにある店は、それだけで3回通う価値があると思っている。ビフカツも西国では当たり前だが、お江戸界隈ではあまり目にしない名品だ。
実に魅力的な店だが、また訪れる機会はあるのだろうか。旅先の食堂は一期一会だからなあ。

ほぼ女性客で占められる盛りの良い洋食屋という存在は、やはり街のお宝だろうなと思う。世の男性が好むボリューム重視な定食屋と対極をなす「おしゃれだけど腹一杯になる」洋食屋とは、地域の文化度合いを示すものだ。
しかし、なぜお江戸ではこのコンセプトの店がないのだろうか。浅草で人気の洋食屋は、これに近いところもあるが値段と量が全然違う。ファミレスの普及が何かの要因だった可能性はある。もう少し、西国の洋食屋を調査してみなければと食い意地優先で考えております。

街を歩く, 食べ物レポート

町角の風景とオムライス

所要があり恵比寿に行った。昼飯を食べようとアチコチ歩いて回ったが、あいにく昼のピークにあたっていて、お目当ての店はどこも満員だった。30分ほど経てばガラッと空くのは分かっていたが、何せ気温が高すぎる。結局、待つのも諦め、空いている店を探すのも放棄して、新宿に逃げ出すことにした。
その時にたまたま見かけた看板がこれだ。飲めばわかる最強炭酸とは、確かにその通りだ。飲まなければ、最強であるかどうかもわからないが。なんとも意味不明な引き文句でもあるし、少し中身をきちんと読んでみようと足を止めて看板をしっかり隅から隅まで見た。(暑いのに……………)
いくつか気がついたが、一番の衝撃というか困惑というか、おやまあこれは困ったなと思ったのが、ハイボールに使うウイスキーが今や最低ランクになっているということだ。
確か十年くらい前から始まったハイボールブームは、「角」推しだった。最近ではすっかり見かけなくなったが、綺麗なお姉さんが「いかが?」と蠱惑的に勧めてくるCMがブームのきっかけだったように記憶している。そして、その上級バージョンが「山崎」だった。
それが今では(価格は安いとは言え)、トリス級が定番になっている。ハイボールブームのおかげで、たっぷりあった(余剰在庫化していた)ウイスキー原種がすっかりなくなってしまったという話は聞いたことがある。
確かに原種不足で竹鶴のブレンドが変わったとか、山崎がほとんど出荷されず、裏ルートで売られているとかいないとか、ちらほらとその手の噂は聞いているが。最早、角ハイボールも普及品扱いではなくなったのか。なんだかショックだなあ。

ショックによろめきながら新宿まで行って、よく行く洋食屋でオムライスを食べることにした。ついでにハイボールもい一杯注文しようかと思ったのだが。
ここでも吃驚体験が待っていた。なんと午後1時近いのに満席ですわれないのだった。外国人観光客もいた。コロナの間は、ランチタイムでも客が5人しかいない………みたいな悲惨な状況の時もあった。それが、なんと席待ちになるまで復活した。めでたしと喜ぶべきだろう。
昼でこの混雑ぶりだとすると、夜は予約なしでは入れないのかもしれない。街を歩く人を見ても、2ー3割は外国人観光客みたいだし、ひょっとするとこの「オムライス」が世界的に有名になるのかもしれない。今のうちに食べておかないと、この先は1時間待ちの行列が……………と心配するような事態になるかも。でも、それは嫌だなあ。
自分の大事な場所は繁盛はしてほしいが、あまり有名になってほしくないという、矛盾した気持ちがあるので。
でも、客が入らず店が潰れてしまうのはもっと困る。しばらくせっせと通うことにしようと思いました。

街を歩く

歌舞伎町手前でオムライス

時々無性に食べたくなる食べ物がいくつかあるが、洋食系の食べ物が多い。麺類は和洋中に関わらずほぼルーティンでローテーションを組んでいる。その隙間に、オムライスかカツカレーが入ってくる。オムライスはどこの店のものでも良いとはいかない。今日食べたいのは、レストラン〇〇の普通のオムライス、みたいな決め方になる。
和風料理では、この手の〇〇が食べたいということがあまりない。どこそこのうなぎが食べたいとか、にぎり鮨が食べたいはというこだわり感覚はない。そばは常食なので店のこだわりすらない。だからオムライスへの愛は偏執的であるという自覚はある。
そのやたらこだわるオムライスの筆頭は、こちらの店だ。店内は昔ながらの食堂というか往時のデパート大食堂の雰囲気に近い。日本のどこかに未だデパート大食堂が存在するかは疑問だが、ありし日の姿で営業している岩手県花巻市の大食堂は、いつ行っても盛況だ。すでに花巻市の観光資源の一つだと思う。それと同じ匂いがするのが、新宿の老舗レストランだ。お値段は手頃で、カツ丼とステーキと焼き魚定食が同居する店といえばわかりやすいと思う。

この真ん中にたっぷりとケチャップがかかったオムライスが食べたい。ケチャップではなくデミグラソースがかかっているのは、オムライスとして邪道というか亜流と断定している。(個人的な感想です)
また、ケチャプの量はケチらずたっぷりにしてほしい。添え物のパセリは食べないことが多いのでいつも勿体無いとは思うのだが、赤・黄・緑の配色を考えるとビジュアル的には重要な役割がある。卵は厚焼きのフワトロではいけない。薄くてきっちり焼き上がったものが良い。それを大きめのスプーンでむしゃむしゃ食べると、生きている幸せを感じる。オムライス万歳だ。

その食堂が入っているビルの前から歌舞伎町方向を見ると、見上げる高さの高層ビルが完成していた。左に見える煉瓦色のビルが西武Pepeで26階建てだったはずだ。手前にあるビルは10階建てくらいだから、その後ろにそそり立つ新高層ビルの高さが凄まじいことは理解できる。ビルのサイトを見ると歌舞伎町東急タワー 47階建て、とのことだ。ゴジラヘッドのある東宝ビルを見下ろす高さがある。歌舞伎町の中心からはちょっと外れているが、旧コマ劇場前の広場に面している。歌舞伎町の新ランドマークであることに間違いはない。
ゲーム好きな人であればわかるが、「龍が如く」シリーズに登場する新宿ミレニアムタワーはまさにこんな感じだった。そのうち、このビルの屋上で一大バトルシーン、ゲンコツで殴り合うシーンが登場するかもしれない。最新の新宿を知るためには、このビルの中へ視察に行ってみなければなあ。気分は桐生さんモードで、白いジャケットを着て行こう。

旅をする

オムライス 再び 秩父の大好物

寒くなると秩父に行きたくなるのは不思議な秩父引力みたいなものがあるからか。おそらくあの異様な姿の武甲山が、冬に見ると綺麗だということなのだろう。昔は秩父盆地が陸の孤島だったような時代、細い山道を越えて秩父霊場巡りをした人たちもこれを見たのかという、ちょっとした感慨だ。
だから秩父に行ったら秩父の酒を飲む。「武甲山」を飲みたいのだが、メジャーは「秩父錦」のようだ。

そして、パリー食堂で、サイドにサラダとフルーツ満載のオムライスを食べる。日本酒とオムライスが合うのかなどとは考えてはいけない。そもそも、パリー食堂自体が、昭和初期どころか大正レトロに近い風情の店なので、養殖に日本酒という組み合わせは全く当然だという気配がする。

ケチャップ味のチキンライスに薄焼きの卵焼き、真ん中にたっぷりかかったケチャップ。これぞ王道。スプーンでひとすくいチキンライスを口の中に放り込み、そのあとは秩父錦をグビリ。マリアージュアなどという野暮なことは言わず、昭和原初的食と酒の調和を楽しもうではないか。
オムライスを食べきってら、おもむろにバナナとメロンの甘さでしめる。満足の極み。隣のお客さんが食べているラーメンが、これまたうまそうで、次回はラーメンにしようといつも思うのだが、結局オムライスになる。魔的魅力のパリー食堂オムライス。

食べ物レポート

オムライスレポート 日本全国あちこちで

昔々、まだ日本のどこにもファミレスなんてものが存在しなかった頃、ご馳走といえば町の食堂で食べるオムライスだった。カツ丼とざるそばとラーメンが注文できるなんでもありの食堂で、オムライスはキラキラ輝くご馳走だった。だから、どうかで食事をという時にメニューにオムライスを見つけると、無条件で、反射的にオムライスを注文してしまう。今日はエビフライにするぞと意気込んで入った店でも、オムライスがあればへなへなと決心は鈍り、お腹の空き具合を見ながら、まずオムライスをちゅうもして、恐る恐る、あるいは渋々とエビフライを注文するかどうか迷う羽目になる。それくらい、オムライスは魅力的だ。

美しいオムライス、メンチを追加

最近めっきり減ってしまった町の洋食屋だが、池袋のジュンク堂の裏手にひっそりとあるキッチンABC。ここのオムライスはすっきり細身だ。中野チキンライスもあっさり目で、おまけにチキンも少なめなので、まるでケチャップライスだが、やはりオムライスはいつ食べてもうまい。なぜか味噌汁がついてくるが、それよりおメンチカツとか単品一個で追加できるの嬉しい。本当はこの日もミックスフライにするか生姜焼きにするか迷っていたのに、メニューのオムライスを発見して注文を変更、悔しまぎれにメンチを追加したので、オムライスのセットだったわけではない。

池袋東口の南外れ、ジュンク堂の隣

洋食屋の佇まいってのはこういう感じだろう、明るい店頭で、自転車が店の前に置いてあって。サラリーマンや工事のおっちゃん達や学生が入り乱れてご飯食べてる感じが良いなあ。人形町のキラクもコンない感じだったけど、おねガンはレストラン並みだからちょっと厳しいような記憶がある。ここはまさに大衆価格だ。

高知 葉牡丹のオムライス

高知の居酒屋の名店、葉牡丹はなぜか飯ものが充実している。締めにオムライス食べる親父はいるのかなと思っていたが、自分で締めをオムライスにしてしまった。実はこの葉牡丹、どうも若いと金に使っていた親父が、家族を連れてあるいは孫を連れて食事に来るらしい。だから、オムライスとか中華飯とか、飲み屋の締めにふさわしくない豪速球の飯メニューがあるのだろう。ここのオムライスはチキン大目、バターの香りがする本格派だが、何より福神漬けがついているのが正統町の食堂感があって良いなあと思う。オムライスにドミグラソースなんて、ちゃんちゃらおかしいと思えばおっちゃんの証拠だとは思うが、何は無くとも真っ赤なケチャップだ。それ以外はオムライスとは言いたくない。(ちなみに卵もペラペラの卵焼きがよくで、ふわっとトロッとした半熟のオムレツ風は勘弁してくれだ)

秩父 パリー食堂のオムライス

秩父に今でも生き残るパリー食堂は、町の食堂界ではティラノサウルス・レックスに匹敵する生き残りの長老だろう。店の中は暗いし、店番のおじちゃんはなんだか動作も遅く、思わず大丈夫かなと心配になる。ところが、どうやらその動作ののんびりしたおっちゃんがフライパンを振っているらしく、フライパンの威勢の良い音が聞こえてきてびっくり、出てきたオムライスを見てまたびっくり。なんだか、昔の贅沢なオムライスってのはこういうやつだったのではないかとか、秩父の町の人たちは随分金回りが良かったんだなとか、色々考えさせられた。何と言ってもサラダについてくる、メロンとバナナ。こいつは随分贅沢だ、オムライスにサラダがワンプレートで乗ってくるのも洒落ている。そして、そのゴージャスなオムライス感をばちっと叩き潰すのが、コップに入ったスプーン。そうイエア、昔はナプキンにスプーンを包むなんて洒落たことはしていなかった。みんなコップの中にスプーンやフォークを突っ込んでいたのどうしてだろう。

おたる水族館 オムライス

最後は、愛してやまないおたる水族館のオムライス。これは亀の形なのだよね。尻尾がエビフライ、ドミグラソースを海に見立てている、お子様ランチ風雨のオムライス。ただ、この水族館併設レストランは、小樽でも老舗の洋食屋が運営しているので、実は腕は確かなものだ。蕎麦屋ラーメンも一緒に売っているから、明らかに町の食堂の末裔といえる。これも正統オムライス一族の入れてあげなければ。チキンライスは甘めの味付けだし、ドミグラソースで食べるので養殖感たっぷり。洋食好きの人はこれだけ食べるためにおたる水族館に行く価値はあるかも。

オムライスを求めて旅をすることはないが、旅先でオムライスを食べることは多い