食べ物レポート

博多駅近くで居酒屋探訪

博多駅近くの居酒屋で福岡らしい物を食べようとあれこれ迷った末、注文したのがゴマ鯖だ。ただ、このゴマ鯖は想定したものとだいぶルックスが違う。ルックスが違うどころか味も違う。どうもゴマ鯖には伝統的な?統一スタイルみたいなものは存在しないようで、その店が「これがゴマ鯖」といったらそうなのだ。あの店とは違うとブー垂れるのは禁句に違いない。鯖に胡麻がかかっていればゴマ鯖なのだろう。

ゴマ鯖にはからぶってしまった感があり、そこで次は超ど真ん中の一球を攻めることにした。頼んだのは明太子だ。これはうまい。博多には明太子メーカーが数知れず存在し、それぞれが独自、秘伝の味付けをしているという。人によってお好みのブランドがり、どうも明太子のブランド話は福岡であまりしない方が良さそうだ、随分と昔に学んだ。
今回の明太子は塩味は強め、辛めの味付けで酒のお供として絶好なものだった。ヒーハー言いながら焼酎ロックを飲んでみた。よく会うなあ。酢もつも好物で、あのグニュグニュとした食感がたまらない。

居酒屋名物といば煮込みだろうと言いたくなるが、どうもこの店では異なるらしい。やみつき豚バラ焼きなど、なんだそれといってしまう「初見」の魅力メニュー揃いだった。すごいな、博多。

店名からしてそそる名前だが、立ち飲みと言いながらほとんどが椅子席という親切さで、これは是非とも裏を返しに行かねばなるまい、と決めたのであります。

食べ物レポート

ファミマのパン

ファミマのパン改革が始まって1年以上経つと思う。新聞記事で読んだのだが、ファミマのマーケティングに、マクドナルドV字回復を達成したマーケティングの親分が就任したとのことだった。それ以来、ファミマで何が起きるのかずっと関心があり定点観測を続けている。

そのファミマ商品改革の最初がパンコーナーの整備だったと記憶している。コンビニ各社はパンの大半をPB化しているので、大手三社の比較も面白いかなと思っていた。ファミマの改良第一号はメロンパンだった。生地に柔らかさとバター感が増えたようだった。大手パンメーカーのメロンパンが持つ、ボソボソした生地とは違っているような気がした。単に気のせいかもしれないが。それでも、変わった感は感じられた。
第二号はカレーパンだった。試し買いをして実食してみたが、確かにうまくなった気がする。
コンビニではよくあるパターンだが、商品改良したと言って値上げする。このカレーパンはそうではなかった。中身、つまりフィリングを変えたのは当たり前だが、生地も改良したようだった。揚げパン特有の油っぽさが減ったような気がする。(個人的な感想だ)
ビフォー・アフターで比較できたわけでもないので、あくまで感覚的なものだ。そしてまたちょっと時間があいて登場した第三弾はクリームパンだった。これは明らかに違いがわかる。クリームの出来が違うのだ。例えて言えばスーパーで売っているプリンとケーキ屋(古い言い方だな)のプリンくらいの差がある。明らかに滑らか度が違う。それ以上にクリーム感が強くなった。定番の菓子パンをよく丁寧に改造したものだ。

同じ時期に、(これまたコンビニ業界では当たり前のことだが)PBパンの見直しが他の大手二社でも行われたようだが、どうもこれはファミマの一人勝ちに思える。ローソンはちょっと変わったパンをいじくりまわしたようだ。食物繊維添加のパンが変わったみたいだ。(宣伝していないので分かりにくい)
菓子パンをいじくり回す代わりに弁当の増量キャンペーンで成功したように見える。同じ販促手段を使わないというのは、競合者へのプライドなのか?
そしてもう一社は、菓子パン類の単純値上げという暴挙というか傲慢な手段に出てきた。これはびっくりしたが、10年以上前にスイーツ戦争でファミマに完敗したのがトラウマになっているようだ。
試食をしてみる気にもならない高額ラインナップになったセブンのパンは買って試すまでもない。間違いなくコスパの悪さで失望するだけだ。スムージーでファミマに喧嘩を売ってはいるが、この128円のクリームパンと同等の商品は作れないのだろう。無理やりプレミアムクリームパンなどを作ったら値付けが200円を超えるのは目に見えている。


ファミマ、今回の新作はクッキー菓子とのコラボだった。これが実にレベルが高い。お値段は少々高めだが、他社PB製品と比べて明らかにお買い得だ。食べてみてあらためて思ったのだが、これは脅威のレベルの高さだ。パンと言いながらデザート、ケーキに近い。できれば定番にして欲しいものだと思ったが、どうやら販売予定数をあっという間に達成したらしく二週間もしないうちに手に入らなくなった。

ファミマの商品開発は他のカテゴリーでも急ピッチで進んでいる。商品の磨き上げと価格性能比の向上という王道改革でトップに迫っていく戦略らしい。コンビニ王者陥落という奇跡の大逆転が起きるのかもしれない。
ガリバーキリンと言われたビール業界No.1がアサヒに屈服したことを思えば、コンビニ激変が起こらないとは言えないだろう。そのスタートがメロンパンだったとすれば、良い物語だ。

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高知のランチ

高知の繁華街の中に面白いTシャツを売っている店がある。高知に初めてきた頃からあるので、随分と歴史のある店だ。そのTシャツを眺めに行くのが、密かな楽しみなのだが。最近でいちばんのお気に入りはこれだ。買って自分で着る勇気はない(笑)誰かの誕生日にプレゼントするのであれば喜ばれるだろうか。いや、きっと箪笥の中にしまいこまれておしまいになりそうだ……………
そんな街歩きの楽しみのあと、いつもの居酒屋に昼飯を食べに行った。これは、初体験だ。

若鳥のももを焼いたものだが、名前は若足もも焼きとなっている。夜のメニューにこれがあったかどうかは記憶にないが、炙った鳥もも肉は確かに美味い。ご飯と味噌汁に沢庵二切れという The 日本の定食という風情がある。これは肉を食いワシワシと米を放り込んで、次に味噌汁をぐびっというエンドレスサイクルを始めるしかない。完食するまでものの5分とかからないのは若い人だけで、今の自分であればもう少し時間がかかる。が、食べ切ってみれば、ランチの定食はこうでなければいけないという満足感がある。

昼に来る高知の居酒屋はなんとなく違和感があるのだが、実は店内に入ると定食を食べているサラリーマンが半分、昼からがっちり飲み始めているジジイ軍団(ちょっとだけ参戦している高齢マダムもいる)が半分なので、定食屋の雰囲気は限りなく薄い(笑)

しかし、この値段はすごいな。お江戸と比べて2割は安い。場所によっては半額くらいになるかもしれない。葉牡丹弁当というのはすごく気になる。でも次回は、絶対にオムライスだな。

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ローカル・パン 地元でゲット

自宅近くのスーパーでたまに行われる全国ご当地パンの大会で、ローカルなパンがお手軽に買えることがある。大会と言っても主にシュチュ状するのは東北の物が多い。秋田青森といったローカルパン王国からの出展はありがたいが、名古屋以西のものが出てくることはない。
今回発見したのは秋田のコーヒーパンで、これは初見だった。生地もクリームもコーヒー味と強く主張しているが、生地の方はあまりコーヒーっぽくはない。昔懐かしの「コーヒー牛乳」、今では商品表示の法規制で「〇〇牛乳」と書けなくなりコーヒー飲料になってしまっているアレと同じような漢字だ。
こと、食品名称に関してはまさに魔女狩りのような状態になっているのを、普段から苦々しく思っているのだが、あのヒステリックにも見える叫び方をする某消費者団体とは一体なんなのだろうか。正義の味方のつもりだと思うが………そのせいでできた消費者庁も、なんだか変な屋上にオクを重ねる官庁だし。

今回の一押しはこれで、いやいや青森の大文豪をパン袋の表面に使うのはどうでしょうとおもう。おまけに「人間失格」と言う食べ物、困ったネーミングではないか。食べる方が失格なのか、売る方が失格なのか、あれこれ思うそうしてしまう。このタイトルを選んだのは、きっと社長さんだろう。太宰作品にはネガティブなタイトルが多いが、それにしてもこれは最上級なネガティブさだ。味は、普通に美味いのだから、決して失格ではない。

と思っていたら、その隣に人間への信頼を取り戻すタイトルがあった。おそらく、この人を信ずることを訴える物語と人間失格が合わさって一つの作品(パン)になるのだろう。なかなか芸が細かい。青森県のパン屋さんには絶対定番であるイギリストーストパンがある。アレのコーヒー味も美味かったなあと思い出し、ホームページを見に行ったら、なんとこの太宰作品シリーズはパンではなく洋菓子だった。ふーん、と言う気分になった。なんか、すごいなあ。

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うな重なのり弁

弁当の研究をし始めてスーパーであれこれ物色している。基本的にコンビニやスーパーで売っている弁当は上蓋が透明で中の具材が目で確認できる。ある意味わかりやすい。が、その分ありがたみが薄いというか、即物的というか、風情が足りない。だから、価格対比を強く意識してしまう。
持ち帰り弁当屋もいつの間にか容器がコンビニ型というか、上蓋が透明になってしまい、これまたいつの間にか弁当にかける包装紙も無くなった。コスト低減はわかるが、風情がなくなりなんだかなあという気分がする。

最近、スーパーの弁当売り場で中身が見えない弁当が復活しているのは、そんな風情を出すためだと思っていたが、どうやらもっと経済的で合理的な意味があるようだ。
中身が見えない弁当容器として一番最初に思い浮かぶのは吉野家の牛丼テイクアウトだ。ただ、あれは最初から中身が予想できるというか、想像通りなので中が見える必要はなかった。最近では吉野家のメニューも、あれこれと変化した牛丼や牛丼もどきが増えたので、中身が見える容器になる日も近いだろう。

その丼ものテイクアウトの延長線上に、蓋で中が見えない弁当がある。つまり平たい丼とでも言うべき、白飯の上におかずを乗せた単品型弁当だ。
牛丼は丼で提供される。その形状に近いの牛丼テイクアウトの容器だ。ただ、他の丼飯も牛丼と同じ丼型容器を使っている。が、鰻重のように米が平らにうすく盛られる浅く広い容器で提供されるとしたらどうなるか。
焼肉弁当や生姜焼き弁当では鰻重の変形が簡単にできそうだ。あるいは古典的な「のり弁」をトッピング増量タイプに変化させるかだろう。販売価格を上げるためにトッピングモリモリにするためには、丼型容器より鰻重型容器の方が良さそうだ。容器は深さがあるもの変えればなお良い。あるいは、米のメガ盛りなどでも深さのある容器が使える。
中身が見えない分は包装紙で説明をすることにして、おかずを変えても容器は一種類を使い回すと効率が良い。白身魚のフライをチキン南蛮に変えるようなバリエーション変化だ。と言うような思惑があれこれ見て取れる。コロナの時期に生まれた、本日の日替わり弁当でこの手法が使われ始めたようだ。その実物を実食してみた。

揚げ物中心なおかずもりもり はらぺこさん対応だ

確かにオーバーな盛り付けで立派に見える。ただ、これはニューヨークのフードトラックで販売されて一躍有名になったチキンオーバーライスの流れを汲んでいるのではないか。のり弁の進化系と言うより、洋風丼の換骨奪胎の気配がプンプンする。
その辺りはもう少し追求してみたいのだが、米飯給食で育った児童たちがすでに30-40代になっている今の日本では、パンよりも米が人気者になっていると思う。1970年代に始まった日本の外食産業は基本的に洋物メニューで成長してきた。洋風が主導して和風がひっそり混じるという感じだった。だから、現在70代になる団塊世代はパン文化にすっかり洗脳されている。ところが、今の中堅世代は、パンにありがたみを感じない。たくさんある主食の中の少数派的なとらえ方だろう。
だから、その米飯大好き世代(親と子を合わせて)狙いに行くとすると、洋風丼がヒーローになりそうな気がする。弁当の研究を始めた理由だ。
ちなみに、こののり弁だが、容器をよく見るとうなぎのイラストが描いてある。本来は鰻重の容器だったらしい。とすると、去年の夏に使い残した土用の丑の日対策鰻重の売れ残り容器流用疑惑もある。うーん。これは根が深いそ。

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厚切りの刺身がハードすぎる

鳥取島根を根城に展開している居酒屋チェーンがあり、その鳥取駅前にある支店にふらりと立ち寄ってみた。なんともにぎにぎしい店頭だが、元気な居酒屋はこんなかんじなのだ。
入り口前に教室で授業に使うようなホワイトボードが置いてある。そこには本日のおすすめがびっしりと書いてある。なぜにホワイトボード?と思ったが、夜になれば黒板は見ずらい。よく考えられている。

店内は相当賑やかだった。居酒屋で特有な従業員の掛け声、これが結構すごい。おまけに客の中には子供連れのグループもあり、子どもの声、親の声、おまけについてきた爺さん婆さんの声が入り乱れている。これを賑やかだというか、喧騒と捉えるか。
まあ、お通夜のように静かな居酒屋も気持ちが悪いので、これはこれでよしとしよう。
カウンター席であれば一人で静かに酒が飲める。と思っていたら、さすがに人気店であっという間にカウンターも満席になってしまった。カウンター席で大声を出す客はいないのが救いだ。
メニューを眺めていると、やはり見たことのないものが並んでいる。遠くに来たのだなという感じがする。サワラのたたきは珍しい。サワラは関西以西の食べ物だと思うのだが、瀬戸内海一帯から日本海北部まで食されている。昔はサワラが獲れるのは新潟あたりまでだったのが、今では秋田の北部まで広がっているようだし、この前に聞いたニュースでは函館沖でも釣れるらしい。
サワラが北上すればするほど、西国の食文化が広がる。人の移動だけではなく気候変動も食の進化を促す時代だ、やれやれ。ちなみにここ数年、北海道でもえりも岬沖で酒が取れなくなり、その代わりのようにブリが大漁らしい。北海道の人はあまり鰤を食べる習慣がないので、下魚扱いのようだ。

名物の刺し盛りを一人前にして頼んだ。普通は三人前くらいのギョッとするほど盛りの良い刺身盛り合わせが人気の店だそうだ。一人前の一皿を見て、その身の厚さに驚いた。お江戸のペラペラ系刺身を見慣れている身からすると、この厚みはぶつ切り級に見える。すごいぞと喜んで食べ始めた。すぐに、厚切りの欠点がわかってしまった。歯応えのある新鮮な刺身を分厚く切ったものは味が強く感じる。一切れ目はすごく良い、が二切れ、三切れと食べ進めると急速に満腹感が押し寄せてくる。
身の量というより、魚の味の濃さに圧倒される。生の魚はもうご馳走様という感覚になる。よく考えれば、この刺し盛り一皿(一人前)は、ステーキに匹敵するくらいの肉量なのだ。自分の体力(食の限界量)も減っているから、食べ始めの早い時期に体が正直に反応するらしい。普段はイカだのタコだのという軽量級で低カロリーの刺身を好んで食べているせいで、この豪速球なカンパチやらサワラやらというサカナサカナしたラインアップに、強烈な一撃をくらったということになる。

もう少しあれこれ頼んでみようと思っていたが、この日は刺身だけで早々とギブアップになってしまった。鳥取の刺し盛り、破壊力抜群でした。
それよりなにより、箸袋の一言が……………好きだなあ。また行きたくなる名店でありました。

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探索 島根の酒とは

居酒屋探訪をする旅番組をよく見る。一人飲みが気に入るようになったきっかけだが、最近ではどうも番組内容がワンパターンなので食傷気味にもなってきた。あれは、コロナの外出強制自粛時期だから楽しかったのだろうか。自分が旅をできなかったための代償機制だったようだ。今では実際にあちこち行けるようになったから、テレビ画面で見ているだけより、カウンターに座って飲み食いする方が良いのは当たり前………ということになる。
そのソロ酒の店を選ぶ嗅覚というか眼力というか、これは場数を踏まなければ身につかない。初見の店で、店構えだけで雰囲気の良し悪しを判断するのだから当然だが、入ってから「良い店を選んだ」と自分を褒められることは稀だ。勝率は5割に届かない。2回に一度はハズレを引くというのが実感で、良い店に当たるのは5回に1回くらい。あとは、「普通の居酒屋」で、可もなく不可もなしという結果になっている。
それでも、この店は良さそうだなと思うことが多い。店頭の行燈を見てなんとなく期待感が湧いてきた。

入り口は実に賑やかだが、人気店らしく入り口を潜ったときにはカウンター席が二席だけ空いている繁盛ぶりだった。店頭に立つ女優さんが宣伝しているので、てっきりこの方は島根県出身だと思ったのだが、調べてみるとどうも島根には全く関係ないようで、おまけによくよく見ると推しているのは宮崎県の焼酎だった。店主がこの女優さんのファンなのか、それとも焼酎の営業担当者がとてつもない圧をかけて押しつけだのかもしれない。今回は島根の地酒を飲む気なので、焼酎は関係ないのだが。でも、ちょっと気になる。

イカはいつ食べてもうまい

日本海沿岸ではイカがおすすめメニューになっていることが多い。そういえば函館のイカもこの季節だったような記憶がある。イカはいつ食べても美味いので大歓迎だ。ただ、すでにイカは高級魚扱いなので値段を見るとびっくりする。そこが悲しい。

変わったご当地メニューでもないかと探してみたら、穴子の串揚げというのがあったので注文したら、出てきたのが実に名前の通りの代物だった。味も、全く完全に「アナゴ」味だった。意外だったのは、穴子が天ぷらよりもフライに向いている魚だということだ。ひょっとするとうなぎもフライにすると絶妙かもしれない。しかし、この二串だけというのはちょっと寂しい。串揚げはやはり5本くらい出してほしいものだなあ。

フライト的ねーずは禁断の相性だったはずだが

店長の推しメニューの中で全く島根との関わりに見当がつかないものがあり、恐る恐る頼んでみたのがこれ。たこのフライをマヨネーズソースであえたもの、何ともすごいルックスだ。「タコからネギマヨあえ」という。見た目は文字通りそのまんまだ。
実食した感想として一言、「たべたらうまい」だった。見た目とは裏腹だ。どうも最近、日本中の居酒屋で増殖している「チーズ系ソース」と「アレンジ・タルラルソース」については一度本格的に調査(笑)してみよう。
平成から進化し続けてきたニューフェースだが、これが令和の時代に爆発的な展開をしそうな予感がする。高カロリー排他主義者は、令和の時代に少数民族化してきている感じがする。どうも強烈なダイエット志向も滅びゆく時代のようだし、健康志向と濃厚味嗜好を並立させる時代でもある。令和は昭和・平成が産んだ「いろいろな食べ物があるので、食べすぎる必要がない世代」ではないか。あくまで仮説だが、コロナの強制外出自粛措置と関係があるようにも思う。
濃厚味のタコフライを食べながら、味の嗜好変化について分析的な思索をした、島根の有意義な夜であります。

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出雲そば

松江駅で出雲大社風アレンジの猫に出迎えられる。このご当地キャラも業界内では相当有名になっているとは思うのだが、最近のアニメキャラ風イケメン、美少女なキャラが新興勢力として全国各地で増殖中だから、そろそろリニューアルか二代目が出現しそうだなと感じる。
ロングライフキャラとしては、やはりサンリオブランドの猫少女くらいに頑張って欲しいモノだが。などと考えつつ、駅内にある蕎麦屋を目指した。

改築前の松江駅にあった蕎麦屋(確かあったはず)を使った記憶はない。遠い昔に松江城の近くのどこかで蕎麦屋に入ったが、薄ぼんやりとしかおぼてていない。今回は事前に予習をしてきたので、正しい出雲そばの食べ方はわかっている。頼むのは冷たい割子そば、一点張りで決めてきた。
おまけにトッピングだの天ぷらだのは一切注文しないストロングスタイルにする。蕎麦自体を楽しむのだと、ずいぶん気合を入れてきた。

3段に重ねられた蕎麦に、薬味を少しずつ入れてい食べる。一段食べたあと、残った蕎麦つゆと薬味を二段目に注ぎ、足りなければつゆを足す。これを三段目にも繰り返す。出雲そばの食べ方だそうだ。そばは腰がありつるっと喉を通っていく。うまいなあ。
全国あちこちの名物蕎麦を食べる機会があったが、個人的な好みで言えばこの出雲で食べる割子蕎麦と出石そばが気に入っている。
岩手のわんこそばは一度だけ挑戦した。あれはあれで楽しいが、いささか気忙しい。目標にしていた50杯に到達してギブアップしたが、蕎麦を食べた満足感より目標枚数を食べ切ったことで達成感を覚えるという変則的な蕎麦ライフだった。
信州そばでは山の中にある一軒家蕎麦屋をたまに使っていた。セイロ蕎麦を注文すると2回に分けて出してくれる。そばが伸びないようにという配慮だ。これが素晴らしい店なのだが、酢当然ながら週末であれば2時間待ちもある混雑ぶりだった。
蕎麦屋はラーメン屋と比べて敷居が高い高級店も多いが、そこは店を選んで使えば良いと思う。カツ丼がセットで出てくる大衆店も、蕎麦切りを楽しみながらノリをつまみにゆったり酒を飲む店も、どちらも楽しい。

食べ終わったら、他の出雲そばの店をもう1軒、2軒いってみたくなった。うまいそばの吸引力はなかなか強力なのだ。

その後、列車移動の待ち時間を使って駅ナカで2軒目の店に入った。そこも出雲そば推しだったが、流石に居酒屋でそば連チャンはきつい。なので、大山ドリの鉄板焼きなるモノを注文した。昼からこんなに肉を食べて良いかと思うほどのボリュームだが、意外とあっさり腹の中に収まってしまった。確かにうまい鳥は、シンプルな料理ほどうまい。塩胡椒で焼いただけという鳥が、あっさりした蕎麦の後にはよくあっていた。
大山は鳥取名物だと思っていたが、地図を見れば島根鳥取の境目あたりにあるから、大山ドリを松江で楽しむのは当たり前なのだ。うまい蕎麦とうまい鳥、良い街だなあ。

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島根のパン その文化性は

島根県、鳥取県、どちらも人口が少ない県の代表メンバーだ。首都圏からはかなり遠いせいもあり、両県の知名度は決して高いとは言えないようだ。ちなみに人口は、鳥取県55万人、島根県67万人で都道府県別人口の最下位とその次に当たる。
ただ、人口が少ない県の特徴としてあげられることだが、県庁所在地が県の人口の半数を占めるほど集中化しているので、実は県庁所在地だけはそこそこににぎやかになっている。それなりに若い世代も多いので、駅前もは現代風の繁華街になっていることが多い。松江は歴史的な背景もあり駅前と、松江城付近の繁華街と合わせて二箇所はかなりの賑わいがある。駅前付近には全国展開するチェーン店が揃っている。


そんな地方中核都市で最近は駅前が意外と再開発されているのだ。地方都市は自動車移動がメインの交通手段で、バス・鉄道などの公共交通機関を利用するのは旅行者か交通弱者(高校生や高齢者)くらいしかいない。
古い街並みが残り駐車場が確保できないことで、自動車移動の客が駅前からはなれてしまい、商店街はすっかり寂れているというのが昭和後期から平成にかけての常識だった。それがどうやらじわじわ変化しているらしい。
例えば岡山では新幹線駅の脇にあった工場跡地を再開発し、超大型のイオンショッピングモールができた。この規模は従来のアーケード型商店街であれば全店をのみこむほどの大きさで、地方都市の商店街が丸ごと引っ越したような規模だ。
ところが、駐車場の整備ができると駅前だろうが郊外のバイパス沿いの立地だろうが客からすれば関係ないということで、平日昼間でも大変賑わっている。最近のイオンは大型店の出店ペースが落ちてきたこともあるが、どうも駅の近くに新店を開けることが多い。田んぼや畑の真ん中に、ドカンと聳えるイオンモールという平成の風景も変わってくようだ。
昭和の後半以降、駅周辺が寂れ切った後で、従来の店舗や雑居ビルなどが撤退した空き地が膨大に出現して、そこが駐車鵜や大型ビルの一大供給地となったのが原因だろう。駅前立地も地価が下がれば、車対応の商業施設に変身してしまう。立地戦略を見直す要因になる。時代が一周して駅前が「地代の安い土地」に成り下がったせいだ。

そんな地方都市の典型のような松江だが、実はずいぶん昔から駅近くに大きなイオンが出店していた。駅からはギリギリ徒歩圏だが、大多数の客は当然ながら車利用だ。ただしフードコードだけは高校生で占拠されている。彼らの移動手段はバスと自転車だから、駅前徒歩立地のモールは集まりやすいのだろう。
そのイオンで発見した大きなPOPに吸い寄せられた。どう考えても、このイオンの利用者は地元民であり、駅前とはいえ観光客は少ないだろうと思う。にもかかわらず「島根の味自慢」と書いてあるのだが、いったい誰に向かって主張したいのか?
ただ、旅行者である自分には確かに響いた言葉だった。このバラパンの存在は、全く知らなかった。バラパンという名前で思い浮かんだのはサバランだった。酒浸しの洋菓子で実は好物だ。言葉遊びでのようだが、語感が似ているからという理由で、商品名をサバランに似せてバラパンなのかと思ったのだが。(言語センスに問題ありだなあ)

なそのバラパンだが、んと山積みになっていた。観光客向けの量ではない。地元民が大量購入する類のものと考えても多すぎるくらいだ。他のスーパーマーケットでも、これほどの単一品種大量陳列は見たことがない。迷うことなく、ひとつ試しに買ってみることにした。旅先でローカルパンを試すのが大好きなので、このバラパンも味違いを含めて買い求めた。

こちらがオリジナルバラパンだ。包装の袋もシンプルで、なんの商品説明もない。島根県民だったら知らない奴などいないよね的にストロングスタイルだった。これと似た感じは岩手の福田パンだろうか。メーカーとしては、少なくとも他県民に知らしめる必要性は全く感じていないらしい。微かに見えるイラストでバラの一輪が散らばっているだけ。

味違いのバラパンも並んでいた。この包装はちょっとだけ親切だ。コーヒー味だということはわかる。ただし、生地がコーヒー味なのか中身がコーヒー味なのかはわからない。やはり島根県民であれば知らんとは言わせんぞ的な圧を感じる。

袋から取り出してようやくバラパンの意味が理解できた。形状がバラを模しているのだ。パンの中は白いクリームで、よもやこれがバラフレーバーかと思ったが、そんなことはなかった。甘さ控えめの昔懐かしバタークリームという奴だ。どうやって食べるのか分からず、とりあえず端からむしって食べてみた。段々と薔薇の花が小さくなっていく。子供が好きそうな食べ方だ。半分くらいに小さくなって、一気に上からガブリとかじってみた。まあ、食べ方は自由だろう。

翌日にコーヒー味を食べてみた。これは中のクリームが薄いコーヒー味だった。これもうまいものだが、オリジナルの白いやつの方がおやつには向いている気がする。

パンのネーミングは、それぞれに地域で展開するパンメーカーの特色が出る。全国ブランドであるヤマザキやフジパンの場合は、商品名が「なんちゃって系な造語」か、身も蓋もない中身そのまま説明しました的なものが多い。チョコメロンパンとか生クリームメロンパンみたいな感じだ。
だから、この「バラパン」という商品名にはうっすらとした色気というか文化が感じられる。言葉使いへのこだわりとでも言うべきだろうか。
滋賀県長浜のサラダパンのように、ルックスと中身の違いがギャップ萌えする人気パンもあるが、サラダパンとは名前がありふれすぎなのが残念だ。北海道や静岡、高知でひっそりと販売されているヨーカンパンは、これまた即物的すぎる名前だなと思うが、あんぱんやジャムパンと同レベルと思えば、それはそれで仕方がない。
だから、このバラパンという商品名は、ローカルパン業界の中で頭一つ飛び抜けた文化性を持っていると力説したい(笑)味ではなく見た目からつけられた名前は、一段とレベルが高いと思う。これに匹敵するのは九州のローカルパンであるリョーユーパン「マンハッタン」くらいしかない。すごいな島根。

あれこれ気になって、製造元を調べてみた。ご興味がある方へはこちらにリンクを貼ってます ↓↓↓

  https://barapan.co.jp/lineup.html

食べ物レポート

因幡国のすなば

テレビのニュースで見たことのある「すなば珈琲」に初めて行くことができた。スタバと語感が似ていることでニュースネタになっていたのだが、いざ鳥取に来てみるとすでに何箇所も支店が出ている。地域の有名店ではないか。
お江戸ではもはやすっかり消滅業手認定されている喫茶店だが、それに置き換わる形で拡大しているのが、スタバやドトールといったセルフサービス式の新型カフェだ。いまや代替し他業態の方が栄えている。盛者必滅という平家物語みたいな世界なのだ。
ところが、地方都市ではまだしっかり喫茶店が文化拠点として残っているところが多い。青森県弘前市は喫茶店の街だと自己アピールしている。尾張名古屋でも喫茶店は前全開バリバリだ。人口が少ない高知でも市内にはかなりの密度で喫茶店が健在だ。高知の味噌汁付きモーニングというのはなかなか楽しい。(残念ながらお値段は牛丼より高かったりするが)

さて、鳥取のすなば珈琲だが、これは非常に水準の高い喫茶店だ。喫茶店とカフェの違いは何かと言われると、ちょっと説明が微妙になる。個人的な定義を言うと、パフェがメニューにあれば喫茶店、ラテとかフラペチーノしかないのはカフェだ。なんちゃらマキアートのような限界突破した甘いドリンクもカフェの特徴で、ミックスジュースやミルクセーキのような懐かし系甘いドリンクは喫茶店のものだ。

そう言う意味で言えば、すなば珈琲は喫茶店というよりカフェだ。ただし、本格的な食事が食べられるという意味では、カフェではなく古典的喫茶店なので、どうも喫茶店とカフェの中間形態らしい。名古屋圏発祥のコメ◯珈琲や元ファミレス経営者が展開する首都圏郊外の高◯町珈琲にコンセプトは近い。アッパーな珈琲店は、サンダルばきで行ってはいけないような気がするのが特徴だ。すなばコーヒーはお気楽に入れるが、Tシャツ・短パン・サンダル(男性バージョンです、女性バージョンは分かりません、ジェンダーを意識しない場合は……………各自のご想像にお任せします)はちょっと恥ずかしいという感じだろうか。
店内は明るく落ち着いた雰囲気だが、QRコードでの注文もできるしデジタル対応もしっかりと進んでいた。(ここが喫茶店らしくない……………)

何よりコーヒの味が濃いめというのが良い。シアトル系コーヒーも味は濃いが、あれはどうも日本人向けのブレンドとは違う(単にノスタルジーだけで判断している)気がする。酸味が薄く苦味濃厚な、フレンチロースト系深煎り豆をたっぷりと使った珈琲が好みなので、極めて個人的見解であります。

好きな本を読みながら、グビリと飲むコーヒーは大きめのカップにたっぷりと入っているのが良い。マグカップではなくコーヒーカップだとなお良い。おかわりサービス(有料でも可)はぜひお願いしたい。できればお茶請けのように小さめのクッキーが一枚ついているともっと良い。
コーヒーに柿の種は合わないと思うが、なぜか名古屋圏ではおまけに豆菓子がついてくる。あれはあれでありがたいが、できればクッキーにしてほしい。
などなど、我が理想の喫茶店については細々としたお願い事項がたくさんあるので、この全条件を満たす店は存在しない。いや、かつては存在したが今では消滅してしまった。

美味しいコーヒーを飲み終わったら、カップの底からラクダが出てきた。ソーサーにあったラクダと同じ紋様だった。こんなところがちょっと気になるオシャレポイントだろう。すなばコーヒーが首都圏進出することを切に願っております。
鳥取県知事が、もし鳥取県立コーヒー文化供給公社を作ってくれたら、喜んで奉職いたします。