食べ物レポート

焼かない焼肉屋というお店

知人に連れられて西新宿の外れにある会員制レストランに行った。ネットで行き方を調べながら向かったのだが、店が見つからない。看板も出ていない上に、お店が2階にあったせいだが、だから会員制なのかと妙に納得した。
スポーツバーのような大型モニターがあったのが不思議だったが、コース料理の説明というかプレゼンテーションを、これを使ってやっていた。ふーん、時代は変わるもんだなと、これも微妙な気分になった。
この店の売りは、「低温料理の肉料理」だ。ちなみに低温調理はすでに家庭にも入り込んでいて、家庭用調理機器も家電販売店で買える。低温調理とは、基本的にプラスチックバッグに入れて脱気した食材を、低温(60−80度)程度で湯煎する料理法で、真空調理とも呼ばれている。業務用ではスチームコンベクションオーブンを使い、庫内温度を60−80度、湿度100%で食材の水分蒸発を防ぎながら長時間加熱する。狙いは、高温による素材の変性(タンパク質が固まる、脱水して硬くなる)を防ぐことにある。
柔らかく、そして肉汁が残った仕上がりの肉になるのが最大のポイントだろう。

最初に出てきたのは、コンソメスープで中に入っている肉が柔らかい。確かに、コンソメスープは見た目とは全く異なり、作るのにとても手間がかかる。一見、インスタントラーメンのスープのように見えるが、シェフの腕前と時間的コストがかかるので、どこのレストランでもそれなりの高額商品となっている。低温調理の肉を具材にしたコンソメを作るのは、確かに理論的だ。お味は、とてもうまいというしかない。これは自分で試してみたいものだ。

低温調理した内臓肉などを合わせたサラダ。ドレッシングがさっぱり系だったせいか、思いのほか軽めに仕上がっている。良質のハムよりも塩分が少ないから、サラダ向けの肉だと感じる。温玉を混ぜてとろみを増すというのも良いアイデアだ。和風で行くのであれば、ごま油とポン酢、イタリアン的に行くのであればチーズ控えめのバジルソースが合いそうだ。肉は塊で料理して小分けにすれば良いので、好きな肉を選んでアレンジできそうだ。豚ならフィレ、牛ならランプなど脂身少なめの部位が良さそうだ。

中盤の「華」として出てきたのが、和牛のサーロインを使った代物で、野菜と蕗味噌を、この肉で巻き込んで一口で食べろと言われた。言われた通り肉を巻いてみると、小ぶりのいなり寿司くらいになり、一口では難しいのではと思いつつ、無理やり口に放り込んだ。
当然ながら、噛むのすら難しい量なので、窒息しないように注意しながら少しずつ噛み砕くというか噛みちぎっていく。確かに、味噌の味が口の中で肉と絡むのでうまい。肉には火が通っているというより、脂身がとろけている程度なので(低温調理だから当たり前だが)、牛脂がじわっと口いっぱいに広がる感じだった。
レアのステーキのように、「今、俺は肉を食っている」感はしない。あえて言えば、肉肉しい味のクリームが溶けていくとでもいう不思議な感覚だった。
ただ、低温調理をしても、タンパク質の熱変性温度以下で加熱殺菌するのは難しいはずだから、この料理を家庭で再現するのは危険かもしれないなあ、などと妙なプロ意識で考え込んでしまった。やはり、安全安心にはプロの腕前が必要だ。

低温調理の肉尽しは、あまりに美味しいので次回に続く。

食べ物レポート

カレーパン探索日誌 木村屋

普通のカレーパン 普通に美味しい

銀座に行った時にあんぱんを買おうと木村屋に入った。日本一高そうな場所で売っているあんぱんだが、うまさは土地の値段ではなく老舗の技術なのだよ、などと呟きながら行列に並んだのだが。
そこで初めて、アンパン以外にカレーパンも売っていることを知った。ちょっとした衝撃だった。アンパンのバリエーションが多いことは知っていたが、カレーパンまで手を広げているとは・・・。その日はアンパンを買いすぎたので諦めたが、ようやくカレーパンチャレンジを達成した。ただし、銀座の本店ではなく新宿の百貨店に入っているお店での調達だ。
本店では有名シェフコラボ・カレーパンが売っていたが、どうやら本店限定の企画らしく、新宿では売っていない。それは仕方がないとして、まずは「普通の」カレーパンを買い込んだ。食べてみれば、普通に美味しい。カレーパンとしては値段がお高めのような気もするが、そこは「木村屋ブランド」という物だろう。
カレーは甘くもなく辛すぎでもなく、中庸な辛さだった。その辺りも、妙に味が尖っていない老舗ブランドの安心感のような物だろうか。形も小判型でパンの中に大きな空洞もなし。パン生地がやたら厚いということもなし。生地とカレーのバランスが良い。うましだった。

そして、なぜかカレーパンと別のケースに陳列してあった「かつカレーパン」は、まい泉とのコラボだ。パンの中にはカレーと共にカツ(らしき物)が入っていた。
口に入れた食感からすると、確かにトンカツが入っているのはわかる。ただ、カレーとトンカツとパンのバランスが微妙な感じだった。
メンチカツやコロッケを挟んだコッペパンはなかなかうまい物だから、それがカツカレーに変わったと思えば良いのだろうが、おそらくカレーの量が足りないのだと思う。
カツにカレー味のソースをかけたコッペパンであればバランスは取れそうだが、カレーパンとして考えると、具材(カツ)の量とカレーのバランスがカツ寄りになってしまっている。そのせいで、カレーパンではなく、カツパンみたいな感じがしてしまう。
たっぷりとカツを入れるとこのアンバランスになってしまうのだろう。かと言って、カレーに合わせてカツを小さくすれば、カツカレーパンとは言いににくい。美味しいものを作るのは難しい物なのだと、改めて実感した。
サンドイッチ専門店でもカレー味はなかなか見かけない。カレー味は、味が当たり前すぎて調整が難しいのと、カレー味・スパイスの風味が飛びやすく劣化しやすいせいだと思う。だから、老舗パン屋の新カレーパン挑戦は素晴らしいことなのだが、それでも「名品」に至るには、なかなか時間がかかるようだ。

街を歩く, 食べ物レポート

立食いそばの老舗と名店 #1

立ち食いそばというのは、日本的ファストフードであり、B級グルメどころかC級グルメだよなと思いつつ、サラリーマン時代は実にあちこちでお世話になった。お気に入りの店の蕎麦であっても、決してうまいとは言えないのだが、何度も何度も行ってしまう妙な魅力がある物だった。
ここ2年ほど、コロナによる社会変動で立ち食い蕎麦はずいぶん閉店してしまったようだ。外出が減ったこともあり、どこかに行ったついでに立ち食い蕎麦を食べるという機会もなくなってしまった。
これでは日本から立ち食い蕎麦屋が消えてしまうという、個人的な危機感もあり、最近は外出先で立ち食い蕎麦屋を見つけると、応援と称して蕎麦を食べることにしている。おやつ代わりに蕎麦を食うというのは、ちょっと健康面を考えると「いけない」行為のような気もするが・・・。

かめやの天ぷらそば 中庸だが好みの味だ

西新宿のJR山手線沿いに広がる「思い出横丁」は、焼き鳥や中華料理や居酒屋が密集している怪しい地帯だが、その中に座る「立ち食い蕎麦」がある。どうやら立ち食い蕎麦愛好家には有名な店らしい。カウンターだけの店だがスタンド式の椅子席なので、立ち食いではない。ただし、カウンターは屋外に露出しているので、背中は風にさらされている。冬は寒いし、夏は暑い。個人的には、夏にこの店を使う気にはならない。裏路地にありジトっとした熱気がこもる場所だ。熱い蕎麦を食べるなど、なんの罰ゲームだと言いたくなる。気温が下がった秋から春にかけての限定利用だ。
蕎麦は結構まめに茹でているので、ほぼ茹でたてに近い。つゆは甘すぎず、辛すぎず「普通」レベルだ。かき揚げも店内調理のようで、ぼてっと厚みがあるタイプだ。カリカリ感はない。ちょっとふやけている感じがするが、立ち食い蕎麦のかき揚げはサクサクさを楽しむというより、蕎麦つゆに漬け込みつゆを吸ってふやけてきたものを楽しむ物だと思っている。だから、ふわふわかき揚げには何の問題mのない。
ああ、これが立ち食い蕎麦の楽しみだな、などと思いながらずるずと蕎麦を啜っていたら、隣に来たお兄ちゃんが「天そば、ネギマシ」なる注文をしていた。
「ネギマシ?」と疑問に思い、横目で隣の注文を見ていたら「ネギが山盛り」になって出てきた。つまり、ラーメン屋のネギラーメンみたいな物で、今のご時世ではネギも追加トッピングになるらしい。
自分の中の立ち食いそば世界では、ネギはカウンターの容器に山盛り入っていて、勝手に好きな量を自分で乗せていくイメージだった。丸亀製麺などもネギとりはセルフスタイルだが、西新宿では追加のネギが有料になると思い知らされた。
まあ、立ち食いそばのスタイルに標準なんかあるはずもないし、どの店も自分のやり方でやっていることに文句はない。ただ、追加トッピングに「ねぎ 〇〇円」と書くことだけはお願いしたい。ちなみに、追加かき揚げは100円で、ネギ増しは30円みたいだった。(未確認)
次はネギ増し増しで頼んでみようかな。

食べ物レポート

じゅうじゅう焼は前菜か?

新宿三丁目駅の近く、末広亭の隣にある洋食屋がお引っ越しをしていたのに気がついたのは先月だった。この界隈は比較的頻繁に訪れていたが、コロナの2年間はほとんど足を踏み入れていなかったせいもある。
ただ、それ以前もこの店の前は何度も歩いていたので、一体いつ引っ越してきてリニューアル開店していたのか、一度お店の方に聞いてみなければと思う。
街の洋食屋というのは、もはや天然記念物に指定した方が良いほど減少している。貴重動物と同じレベルで、みんなで保護しないと無くなってしまう絶滅危惧種と思っている。それだけに、またこの店を使えるのは、ただただ嬉しい限りだ。

以前は一階の店だったが、引っ越した先は地下になっていた。そこに文句をつける気はない。旧店舗の時と客席数は同じくらいだが、昔は二階がパーティーなどで使われていたはずだから、だいぶ小ぶりな店になったようだ。それでも、使うのは自分一人か、せいぜい知人と二人でという感じだから、全く困ることはない。

久しぶりにきたので、まずはビールを注文してみようとメニューを見たら、瓶ビールがあった。最近、ビールといえば生で中ジョッキが標準仕様みたいだが、洋食屋で頼むとすれば、何と言っても瓶ビールだろうと思う。
そして、瓶ビールといえばこの「キリンラガー」だ。復刻版といえば良いのか、一時期スーパードライと一番搾りにやられてしまい、どんどん消滅しかかっていた。ビール界の帝王が、過去の栄光には及ばないが、また復活してきたようだ。老舗の洋食屋では、どこに行ってもラガーが出てくるのが、何だか嬉しい。
勘繰っていえば、洋食屋をよく使う層がすっかり高齢化して、昔懐かし「キリンラガー」に戻ってきているということなのかもしれない。ちょっと小洒落た居酒屋では「ビールはどちらにしますか」などと、数種類から選べるようになっているが、老舗洋食屋は選択肢なし、キリン一択で良いのだろう。
ちなみに、昔の上司にビールはキリンだけという困った愛社精神を発揮する方がいて、宴会でスーパードライが並んでいると、店の従業員にキリンを買いに行かせるという、今であればカスハラな人がいた。そんな昭和な価値観も、今では消滅したことだろう、めでたしめでたし。などと、麒麟麦酒を見るたびに思い出す。

この店の名物じゅうじゅう焼きが好物なのだが、これは写真の通りの料理で、大量のキャベツを少量の焼き肉と合わせて食べる「野菜料理」だ。鉄板が熱いので、一緒に添えられてくる「酸っぱい醤油系ソース」をキャベツの上からダボダボとかける。すると、鉄板でソースが焼けて蒸発する。その熱気でキャベツが熱々になるという仕掛けだ。
肉はあくまで添え物で、キャベツが主役という、洋食・ステーキ屋らしからぬ料理だが、これが美味い。おまけに値段はハンバーグより高い。肉たっぷりで出てくる生姜焼きと同じくらいなので、じゅうじゅう焼きという名前に肉料理を想像した客はがっかりするかもしれない。
この店は洋食屋なので、当然ながらオムライスもあるしナポリタンもある。その絶対定番を押しのけて注文したくなる「じゅうじゅう焼き」は、やはり熱々の「前菜」ということなのだろう。でも、じじゅうじゅう焼き定食もあるから、ご飯のおかずなのか・・・。お気に入りの洋食屋のちょっとした謎だ。

街を歩く, 食べ物レポート

サイゼ食べる うまいものとそうでもないもの

ちょっと名前と違う食べ物のような気がする

埼玉県で禁酒が解除になった日、サイゼリヤに行ってみた。これまでおとなしくしていた昼飲みジジババが大量出動するのではと、タウンウォッチングの一環だったのだが。期待は外れて、昼時の店内は高校生に占拠されていた。間違いなく店内客の平均年齢は20歳未満だったと思う。年度末で終業式の日だったのだろう。制服の異なる男女高校生が群れを成してランチを食べているのだから、ジジババは入る隙間がない。これはこれでサイゼらしい光景だなとは思った。
そのサイゼの500円ランチが変更になったので、新メニュー、ナポリタンを注文してみた。うーん、とうなってしまった。サイゼの調理法はフライパンを振る方式ではないはずなので、ソースを多めにしなければ麺が乾燥気味になる。要は汁だくでないと、サイゼのパスタはよろしくないのだ。
だが、このナポリタンは「つゆなし」に近い。当然、口の中の唾液が全部持っていかれるタイプの料理になり、あまり好みではなく、おまけにソースの味がしない。ただし、びっくりするほどソーセージの量が多い。似たような傾向の料理で言えば、肉多めの焼きビーフンみたいなものか。時々、サイゼがやらかしてくれる、「明らかにこれは狙いとメニュー名」が違うという料理だった。

これぞ絶品

逆に、前回のメニュー改定から登場した「煉獄の卵」は、サイゼ的には狙い通りというか、安くて美味い個性派料理、何度食べても飽きが来ないという要素をしっかりと押さえている。
ニンニクオリーブオイル味に濃いめのトマトソースで卵を焼いただけのシンプル料理だが、家庭でこれを真似しようとしてもなかなか面倒だ。少なくともガーリックオイルを仕立てるだけで、家中がイタリアンな香りで充満する。他の料理を作ろうとすると致命的で強烈な匂いが邪魔になる。
家庭で本格的にイタリアンを作ろうとするときの、最大課題がこのたちこめるニンニク臭だ。だから、イタリアンは外で食べるに限るのだが、その外で食べるべき典型的な料理が、このガーリックトマトソースをオーブンで熱々に焼いたものだろう。
お高いイタリアンレストランで注文するには、簡便すぎる料理に見えるが、サイゼリヤであればなんの躊躇いもない。何度食べても美味いと思うし、完成度も高い。辛いソースをかけて味変も楽しめる。ただ、なぜか不思議なことに、サイゼでは自分が気に入った料理はかなりの高確率で廃盤になる。この卵料理が長生きするよう祈っている。

街を歩く, 食べ物レポート

わざわざ行く恵比寿の老舗名店

恵比寿で長いこと働いていた。サラリーマン人生の半分以上は恵比寿で過ごしていたことになる。睡眠時間を除けば、この町で過ごした時間が人生の最大パートと言ってもよさそうだ。だから、街の隅々までとは言わないが、相当ディープな店にも行ったことがあると自負しているのだが、この名居酒屋だけは一度も入ったことがない。
というか、いつ行っても満員で入れなかったということだ。年単位ではなく10年単位の挑戦を退けてくれる「大・名店」だ。最近は開店早々、夕方早くから行くこともできるので、ひょっとしたら宿願が叶うかもと、恵比寿に所用で行ったついでに営業時間を確認しようと覗きに行ったのだが。

やはり色々と影響はあるようで、営業は続いているようだが、早く行かないと休業になってしまうかもと心配になってきた。これは、自粛規制解除と共に開店一番乗りを果たさなければならないと、改めて決心した。一人のみであれば、なんとか入れるだろう。是非一度行ってみなければ。

そして、もう一軒の老舗。恵比寿の古参中華料理店としてはお気に入りの店だ。ここのちゃんぽんがたまに無性に食べたくなる。ただ、長崎ちゃんぽんと言いながら、食べてみるとなんだかちょっと違う独創的な食べ物に思える。本場長崎でも何軒かちゃんぽんを試してみたが、そのどれとも違う。ボリュームたっぷり、飲んだ後の締めには重すぎる「豪速球飯」だ。朝飯抜いた腹ペコ状態での昼飯であれば、誰もが満足という感じだろうか。
この店も20年ほど前から中華料理屋というより、中華料理を出す居酒屋に変身を遂げている。毎晩、夕方から明らかに宴会状態なので、経験者でないと店に入りにくいかもしれない。これはもう一軒の老舗居酒屋と同じだ。しかし、この店は常連級に使っているので、何を臆すこともない。胸を張って宴会モードを楽しんできた。
この店のチキンカツは超がつくほど巨大なので、唐揚げ+紹興酒という変わった居酒屋モードが楽しめる。すり身という名の揚げ物もうまい(これも長崎名物らしいのだが、よくわからないままだ)

その中華居酒屋で、延々と食べ続けている「スタミナ麺」が好物だ。醤油豚骨的スープにニラと豚肉の炒めたものが載っている。ご飯に乗せればスタミナ飯、皿に取り分けてあればスタミナ定食と、同じも料理が三つのタイプで出現する。
自分の好みでは、この麺にニラ炒めがのったスタイルがよい。ただし、残念なことにこのニラ炒めの量が作り手やその日の気分でずいぶん変動する。山盛りの日もあれば、あれ今日は少ないかも・・・という日もある。そのブレを楽しむ「度量」が要求される、大人の麺だ。
ちなみに、スープの味も毎回微妙に違う。ハズレの日は塩味がほとんどしない。大当たりの日は水をがぶ飲みしながら食べるしょっぱいスープ料理になる。それでも、このスタミナ麺はマイ恵比寿ラーメン・ランキングでは筆頭格だ。
長く続く店には、それなりに訳のある名品が存在する。そろそろ、中華居酒屋の時間に一杯やりに行かなければなあ。

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洋食屋で一人飲み

ほぼ理想型のオムライス

JR新宿駅から歌舞伎町に向かう途中にある、靖国通り沿いの雑居ビルのレストランというか洋食屋が最近の贔屓の店だ。洋食屋と言いながら、刺身盛り合わせや天ぷらも注文できる、昔のデパートの大食堂的なところが気に入っている。もちろん、良い洋食屋としての絶対的な条件である「おいしいオムライス」の存在が決め手であるのは間違いない。
私的おいしいオムライスの条件とは
1 卵焼きが薄焼きで、決してフワトロの厚いオムレツではない
2 ソースは真っ赤なケチャップで、決してデミグラソースなどではない
3 中身はケチャップ味のチキンライスで、バターで炒めていない
この三か条は譲れない。要するに昭和中期の松の食堂、貧乏洋食的な風情があるか、その正統的な生き残りでなければいけないという、極めて個人的な決め事だ。最近の美味しいと言われるオムライスの条件には全く当てはならない。

ただし、オムライスはしめに食べるものなので、まずはランチ定食の中から、やはりチープ系グルメであるハムカツ定食を頼んだ。この後に、オムライスを食べることを考え、ご飯は極小盛りでお願いする。その茶碗半分にも満たないご飯にソースをかけて、ご飯を酒のつまみに変えてしまう。ハムカツにもじゃぶじゃぶとソースをかけて衣がぐだぐだに柔らかくなるくらいにする。付け合わせのマカロニサラダやキャベツにも、ソースをかける。
洋食といえば、醤油ではなくソースをたっぷりかけて食べるものだ。漬物の小皿と味噌汁も酒の肴に大変身(意識の上ではということだが)して、オムライスの前の一杯の準備を整える。

暑い夏であれば、キンキンに冷えた生ビールという選択もあるが、まだまだ気温が低い時は小瓶の黒ビールか、冷酒の一瓶を選ぶことにする。洋食屋で一人飲みをしていると、まるで昭和の文豪のような気分になってくるから不思議だ。どうにも昭和の文豪のグルメ・エッセイを読みすぎたせいだと思う。「銀座のレンガ亭でオムライス」みたいな話が強く記憶に残っていて、文豪の通った銀座の名店にも何度か行った。だた、自分の身の丈に合わせると新宿の洋食店が似合うような気がしている。
次にこの店に行った時は、ピザとサラミでスタートして、オムライスで締めてみようか。まさに昭和な洋食屋の使い方、飲み方のような気がする。お腹に余裕があれば、(できれば)イカ天を追加したいものだが。

食べ物レポート

回転寿司のマーケティング分析 その2

邪道の極地 塩辛軍艦

回転寿司では「軟体動物」しか食べないのが基本姿勢だ、と威張るほどのことでもないが、赤身に白身、光り物みたいな定番寿司ネタにはほとんど興味を惹かれない。せいぜいシメサバによろめくくらいだ。特に最近は、外食の規制状況に文句があることもあり(ほとんど八つ当たりみたいなものだが)、回転寿司で邪道を極めるつもりで、あれこれ「変な」注文をしている。
今回はスタートを塩辛軍艦にしてみた。ところが、酒のつまみとしてはこれが最強であることに気がついてしまった。握り鮨で酒を飲む、つまり米と魚を合わせたものが酒の肴になるはずなので、塩辛と海苔の組み合わせが「美味くないはずがない」という屁理屈を捏ねて頼んでみただけだった。
しかし、世の中なにがおこるかわからない。この塩辛軍艦は熱燗に最強のつまみだった。これ以降、回転寿司でのベスト・アペタイザーとして「塩辛軍艦」およびその親族を認定することにしよう。
実は、ひっそりと思っていることだが、回転寿司屋で軍艦巻きバリエーションこそ食材原価を落とす切り札のような気がする。最近ではラーメンなどの麺類の原価低減効果も大きいようだが。やはりファミリー向けとして定番コーン軍艦を筆頭に、ハンバーグ軍艦やカルビ軍艦など、今や魚より肉が食いたいという層を惹きつけるフラッグシップメニューになっている。これが、ヤングファミリーを引き入れる原動力であり、同時に原価率低減に寄与している。今や、回転レーンで回っているのは、ジュースやデザートと、この手のファミリー向け新興軍艦巻きばかりだ。
その軍艦巻きバリエーション作戦でも、変化球というか、地平線ギリギリのメニューで登場しているのが塩辛軍艦だろう。ジジイしか食わない「特殊メニュー」だと思うし、大手チェーンでは無視されている日陰者だ。

続いての注文品は、前々から好物だった「茶碗蒸し」だが、これを第二のアペタイザーとして認定した。実はチェーン居酒屋で茶碗蒸しを頼むと、価格と全く合わない低給品が出されることにうんざりして、茶碗蒸しを頼むのは控えていた。
それなりのお値段のする高級店であれば、茶碗蒸しは料理人の腕前が光る名品だから、余計にチェーン居酒屋の茶碗蒸しの手抜きっぷりが鼻につく。ファミレスでも茶碗蒸しの質は誉められたものではない。まして、回転寿司だし、二百円だし、みたいな変な思い込みがあった。
だが、なんと回転寿司大手三社を含め、回転寿司業界の茶碗蒸しは、どうやらかなり高水準に進化したようだった。きっかけはクラ寿司のランチセットの茶碗蒸しだった。おまけでついてくる茶碗蒸しだからな、と最初は小馬鹿にしていたが、びっくりするほどレベルが高い。感服した。
そのまま、片っ端から各チェーン店で茶碗蒸しを食べまくったが、1番のお気に入りは「がってん寿司」の茶碗蒸しとなった。結局、寿司以外のものの品位を上げて買い上げ点数を増やすというのが、回転寿司業界ではマストのバリュー戦略だろう。一皿五百円の本鮪とか鮑とかの高級皿路線は、支持層が限定されるので効き目が弱いはずだ。

まるでプリンのようなルックスだが、出汁がしっかりと効いている。しっとりとした味わいとなめらかさが他社のものと比べて一段上という感じがする。思わずおかわりしたくなる。できればどんぶりサイズの「超特盛」みたいなものを開発してくれないだろうか。どうも最近の回転寿司屋は、寿司以外のものの進化が凄すぎる。ファミレスでもこのレベルのものをサイドアイテムにしてくれないだろうか。サイゼリヤだとやってくれそうな気もするが。イタリアン茶碗蒸し、食べてみたい気がする。ハンバーグと茶碗蒸しのセットができたら、週に2回は通いそうだ。ということで回転寿司のマーケティング戦略をまとめてみると、
1)軍艦巻きバリエーションで客層拡大と原価低減を狙う
2)サイドアイテムの高品位化で買い上げ点数アップ、客単価増を狙う
に集約される。これは他の外食企業にも通用する戦略だと思う。

ゲソタンポンは甘だれつき、イカ三種盛りにもゲソ入り

そして締めの寿司は「イカづくし」。特に、この店はイカゲソが提供されている。うまい、うまいとついおかわりをしてしまう。今回も寿司ネタは、ほぼイカ限定だった。ガッテン寿司さん、外道な注文ばかりで、すみませんでした。でも、美味しかったです。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

回転寿司のマーケティング分析

スシローがキャンペーンで「東北」ネタメニューをやっていたので、ノコノコと出かけてしまった。スシローアプリでキャンペーンメニューを確認して、開始日も確認して、と入念な準備をした。そして、ネタ切れという悲惨な目に遭わないように開店10分後を目指して出かけた。ところが、開店10分でカウンター席は満席で、待ち時間が発生するという人気ぶり。いやあ、驚いてしまった。
そして、まずはお目当てのホヤ塩辛軍艦を注文した。期待通りというにはちょっと「ホヤ臭さ」が薄い。ただ、ホヤフリークでない限りは、これくらいの「薄さ」の方が受け入れやすいだろう。仙台で食べるホヤは鮮度が素晴らしく匂いもしないが、首都圏まで輸送されてきたホヤは、一種独特の匂いがする。この問題が解決できればホヤファンも増えるだろうにとも思うのだが。

続いて貝の二種盛り。まあ、無難なまとめかたという感じ何する。貝好きにはちょっと物足りないかもしれない。ネタがもう少し大きければなあ、という感想だった。ただ、回転寿司で貝をしっかり食べさせてくれるのはスシロー限定に近いような気もする。ネタとしての貝類が難しいせいだろうか。

そして本日のメインイベントは、夏に続いてリリースの「うに」だった。ただし、これはチリ産ウニを塩漬けにしたものらしい。ただ、なまのウニもうまいが、つけたウニも別のうまさがある。個人的には塩漬けウニが大好物なので、これは実に嬉しい。鮮度管理のことを考えると、こちらのほうが味のバランスが良いという気もする。
回転寿司でしっかりとしたウニが食べられる時代になったかと、思わず嘆息する。店数が増え買付規模が上がったことや、競合他社との競り合いが厳しいせいだろうが、大手三社のネタの質は年々進化しているように思う。競争は大事だ。

ただ、今回のお目当ては、新ネタの寿司を食べに来ることではなかった。お持ち帰りロッカーの見学が目的だった。これはネットで注文したテイクアウト商品(決済済み)を、店員と話すことなく持って帰る仕組みだ。スマホ注文時に発行される解除番号でドアが開く。テイクアウト商品の販売は、この手の「非接触型引渡」が主流になるのだろうと予測できる。
この手の設備に十分投資できる企業体力が業界での生き残りの条件になる。つまり、テイクアウトを販売の主力に置こうとすると、膨大な設備投資が要求される「パワーマーケティング」の時代になる。知恵と工夫で生存しようとする戦略を、木っ端微塵に打ち砕く「数こそ正義」という戦略だ。
これが、どの業態でも寡占状態の最終決着をつける、最後の戦略になる。回転寿司業界は、そろそろファイナルステージに入ったようだ。それは中小企業受難の時代となり、生き残るのがますます厳しさを増すことを意味する。

**誤字修正などをして、再アップしました

食べ物レポート

自家製唐辛子のその後

猫の額ほどの庭で栽培していた唐辛子の最後に収穫したものを、室内で時間をかけて乾燥させてみた。写真だと違いが分かりづらいが、右側上部の唐辛子は色が薄い。ここの部分は緑の唐辛子、つまり完熟前の唐辛子を干したものだ。
左側の深い赤の唐辛子は完熟してから採ったもので、世で言うところの鷹の爪状態に仕上がっている。微妙な違いがあるのだが、辛さはどうなっているのか、試してみようと思ったが、自分の舌では辛さの違いが判定できそうもないと諦めた。
この鷹の爪状態の赤唐辛子は料理に使おうと思っていたのだが、ふと思い立ち塩漬けゆずと麹と合わせて熟成させてみることにした。
青唐辛子と醤油、麹で作る三升漬けのようなものにならないかと試しで漬け込んでみたのだが、一向に発酵が進まない。おそらくゆずの酸味が邪魔をしているのだろう。半年ほど放置して様子を見ることにした。結局、今現在でも発行している様子がなく、どうしたものかと思い悩んでいる。蓋を開けるのが怖い気もするので、夏まで放置しよう。

漬け込むために唐辛子を細切れにした。その時出てきた種は春になったらプランターに蒔いてみよう。唐辛子もすでにF1化されているかもしれないが、物は試しだ。ついでに比較のために市販のタネも買ってきて植えてみようと思っている。今年は唐辛子の大量栽培だ。