街を歩く, 食べ物レポート

セコマのパン

随分前だが、自宅周辺のスーパーで羊羹パンを見つけた。それと同じものを札幌駅の土産物販売店で発見して、ようやく納得した。この羊羹パンはかなりロングライフで普通のスーパーで売っている菓子パンとは違うなと感じていたが、土産物用だったのだ。隣に並んでいるどら焼きと同じ扱いで、「生」な食べ物ではなかった。気になっていた小さな疑問が解決するのは嬉しい。

その羊羹パンみたいなちょっと変わったパンを探そうとすると、セコマに行くのが良い。北海道パンライフのライフハック?だ。セコマの商品開発陣は相当に尖った線を攻めてくる戦闘的チームなので、たまには大ヒット商品を送り出してくるが、凡作というか「アレっ」と思う怪作も多い。まあ、そこが楽しみなのだ。今回の新商品の一つは復活商品らしい。「ごまあんぱん」と言われれば、確かに普通のアンパンではない。串団子に使われるごまだれみたいなものだろうか。

あれこれ考えながら食べてみたが、普通に胡麻の味・香りがするあんぱんだった。なぜこれが一度廃番になり、なぜ今回復活したのか、その辺りのドラマがわかればもっと楽しめそうだなあ、などと考えつつあっという間に完食した。確かに胡麻味の餡はうまいと思う。

怪作というべきなのだろう「カレースパ」の調理パンも同時に発売中だった。焼きそばパンの変形ということは見ただけでわかる。ただ、カレースパ自体がマイナーな存在のような気がするので、なんとも形容しがたいというか・・・。
去年発売されていた味噌ラーメンパンが予想以上に旨かった記憶がある。ひょっとしたらこれもイメージとは違う凄さがあるのかと期待してみた。セコマパンの尖り具合が発揮されていると思った。
結果は、やはり「怪作」だと思う。言葉のイメージ通りの味だが、スパイシー感はほぼない。まあ、セコマだし、こんなこともあるよと笑って済ませれば良い。「怪作」は怪作なりの楽しみ方がある。後悔したりしない。

それにしても4月という特殊な時期のせいか、新商品があれこれ登場していた。セコマ得意の山わさび風味のちくわパンは怪作的な新作だろう。ただ、食べてみれば思っていたほど山ワサビの鼻にツーンとくる感じはしない。ちょっと期待はずれかもしれない。
十種の野菜のカレーパンは、どんな野菜が入っているのだろうと思ったが、食べてみるとあまり野菜感が感じられない。ソースの中に野菜が溶け込んでいるのかと好意的に解釈することにした。これは「凡作」というところか。カレーパ好きには物足りない気がする。
クイニーアマンは、「言ったもの勝ち」という典型的な名前だけパターンで、クイニーアマンに似たようなもの、似せて作ったものとして寛容に受け入れるべきだ。ただ、甘いパンとしての仕上がりは抜群に良い。表面のカリカリしたキャラメラーゼが絶妙だ。また書いたいと思わせる仕上がりだった。だから、これは違うネーミングにすればもっと売れそうな気もする。洋菓子好きには逆効果なネーミングだから、その点が惜しい。
どのパンをまた買ってみたいかと言われれば、このクイニーアマンがダントツだ。

なんといえば良いのか、チープシックという言葉がよく似合うのがセコマのパンなのだが、やはり「怪しい新作」を試して、かつそれを許す度量が要求される。セコマファンは心が広くなければ続けられないようだ。
新作のアイスは抜群の出来だったが、その話はまた別の機会に。

街を歩く, 食べ物レポート

札幌駅高架下の名店

札幌駅高架下は細々とした商店が続く裏小路的な空間だ。その西のはずれにあるラーメン屋は、それなりの歴史のある名店だった。ここ最近は伝統的味噌ラーメンが食べたくなると、この店を訪れることが多い。味噌ラーメンといえば三越の向かいにある文具店ビルに店舗を構える「三平」が元祖らしく、そちらの味噌ラーメンも捨てがたいが近くて便利な方に足が向く。
個人的な嗜好であるのは間違いないのだが、豚骨系のコッテリスープは「味噌味」には合わないと思う。昔ながらのあまりコラーゲンの入っていないサラサラ系スープが味噌ラーメンには好ましい気がする。

見た目通りの味噌味のラーメンにホッとする。この店はチャーシューも売りらしいのだが、そこにあまりありがたみは感じない(失礼な客だと反省しつつ)。やはり麺とスープのバランスというか、中太よりやや細めのちぢれ麺がスープによく絡むのが旨さの原点だと思う。これこそが札幌ラーメンだろうと、自己満足的に納得する味だ。

ラーメン屋の品書きとはこうだったはずだと思わせるシンプルさ。味は味噌・醤油・塩の三種。麺の選択なし。茹で加減の選択なし。ただし、この品書きには載っていないがチャーハンがある。品書きの上に貼られた「大人気のチャーハン」と書いてある。どうも、ラーメン屋なのに炒飯の方が人気らしい。隣の客はラーメンと炒飯をセットで注文している。反対隣の客はチャーハンのみだ。
胃袋が二つあればなあ、とたまに思うが、まさにそんな状況で、ラーメンも炒飯も食べたいのだが胃袋の限界は理解している。次回は「チャーハン」にするかと悔し紛れに自己弁護する。でも、次回もまたラーメン頼んでしまうんだろうな。永遠に炒飯とは巡り会えない気がする。うまいラーメン屋特有のエレジーというべきか。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

ファストフードなステーキ 

今回で1000回目になった。ほぼほぼ食べ物の話だけで、飽きずに書き連ねたものだ。原因はコロナの流行で在宅時間が増えたということだと思う。まあ、数が多ければすごいというものでもないし。駄文はいくら書いても駄文だと自覚している。この後はぼちぼちという感じで続けていければ良いのかなというのが1000回目の正直な感想だ。

さて、進化するファストフード界のチャレンジャー代表が松屋だと思っている。成功しているブランドほど保守的であることを考えると、松屋のチャレンジぶりは尊敬に値する。
ただ、そもそも論的に言えば、松屋は最初から異端の牛丼屋だった。牛丼屋というより定食屋だとする方が正しいと感じていた。が、最近の動向を見ると定食屋からスタンド形式のファミリーレストランみたいなものまで進化?したように見える。そして、その進化の波は松屋本体から、姉妹チェーンに飛び火してカオスなファストフードを次々と展開している感がする。その松屋シスターズで一番気になるのがステーキ屋松だ。

吉祥寺の百貨店裏という立地は、ファストフード向け立地とはずいぶんと違う気がする。小ぶりなイタリアンとかフレンチ、あるいは洒落者気味の和食店あたりが似合いそうだ。このステーキ屋松という業態はファストフードとしてはアッパーな価格帯だけに、日常使いができるような客層がいる立地を選んだという見方もできる。
駅前に店を開け、300円の牛丼で客席を1日50回転させるような商売とは正反対な業態を確立する。そのための実験店ということもあるだろう。
面白いのが(コロナ対応だと思うが)入店する前に食券を買うことだ。松屋でも入り口を入れば券売機があるが、あえてそれを店外に設置している。
券売機で食券を買うと、ドアを開けて従業員が出てくる。席を案内するためだと思うのだが、店内のお好きなところにどうぞと言われて、いささか拍子抜けした。
この辺りもアフターコロナで対応が変わるとは思うが、松屋本体でも商品渡し口で食券と引き換えに受け取る方式もある。カウンター越しの対面接触を避けるため、新しい提供様式が試行錯誤されている段階と考えるべきだろう。

席に着くと数分でステーキが出てきた。その速さにびっくりした。肉が焼ける重々という音がしている。肉の上には紙ナプキンのようなものがかけられていて、油飛びを防いでいるようだ。その髪をとると石板の上でステーキ登場となる。石板は相当に熱く、レア状態で出てきた肉をナイフで切って石板に押しつけ好みに合わせて加熱するという仕組みだ。
極端に言えば生肉状態で提供するわけで、注文から提供までの時間が短いのは納得だ。焼き加減も関係ないので従業員が「焼き」の技術を身につけるのも不要だ。この辺はペッパーランチと同じスタイルでファストフード化するための必須技術だろう。

肉は石板に置いただけでなんの調味もしていない。ますます従業員の技量は必要ない。カウンター席の目の前にある多種のソースから好みのものを選んで、肉につけて食べる方式だ。このソースあれこれは、松屋本体で既に実証済みの仕組みだからお家芸に近い。4種類のソースを全部試してみたが、好みはオニオンソースだ。塩、胡椒、ワサビなども置かれている。これで味のバリエーションは確保した、ということだろうか。シャリアピンステーキのように肉の上からソースをかけるタイプには対応しにくいとは思うが、そこは「肉を生でくらう」的に割り切れば良いことだ。
そもそも、この店のコンセプトを考えるとソース上掛けによる単価アップは、あまり期待できそうももない。単価アップを狙うのであれば、肉増量して割引の方がよど補客層的にすっきりしたものになるだろう。

ご飯は少なめを選択

肉が素早く出てきてしまったので、サラダバーに行くのを忘れてしまった。食後に確認に行ったら、最低限の野菜サラダは食べられる状態だった。郊外型ステーキ店の重厚なサラダバーとは異なるが、ファストフード・ステーキ店としては十分だろう。
150gの赤身肉ステーキは、あっという間に胃袋に消えた。自分でも驚くほどの速さだった。これならばハーフポンド、約250gでもよかった。もう少し腹を減らしていたら1ポンドもいけそうな気がする。
この先、この店がどう進化していくのかが楽しみになった。立ち食いステーキのあれこれを学んで改良されたコンセプトだと思うが、やはり二番手の方が色々と改良されている。次回はテイクアウトも試してみよう。もしテイクアウトがあるレベルを超えていれば、アフターコロナの対応進化型ファストフードとみなすことにしよう。その時には新型ファストフードの定義と理論を整理してみたい。

街を歩く, 食べ物レポート

カレーパン探索日誌 札幌

カレーパンは東京発祥の食べ物で、それが津軽海峡を渡って来たのは何時ごろだろうか。少なくとも昭和中期にカレーパンを食べた記憶はない。うろおぼえだが、TBSラジオの深夜放送でカレーパン論争みたいなものがあり、一度食べてみたいと思ったのが最初のカレーパンにまつわる記憶だった(ような気がする)
キン肉マンに登場していた牛丼と同じく、東京にはあって札幌には存在しないものの代表だった(もはや薄ぼんやりとしたもので・・・)
そのカレーパン不毛の地で、どうやら日本一になったカレーパンがあるらしいと知った。これは実食してみなければなるまい。

札幌の中心地から路面電車で10分程度のところにある、まさに町のパン屋でございます、といった雰囲気のお店だった。札幌市内には何軒か支店があるらしい。その店頭に力強く置かれている「日本一宣言」。まあ、確かにすごいことは期待できる。

カレーパンの包装は紙袋だった。これは大事なポイントで、揚げパンの特性だと思うのだが、ビニール袋だと匂い移りがしやすい。スーパーの荷詰め台に置かれているペラペラの袋に入れると致命的だと思う。
袋を開けると小判型で表面は細かいパン粉がついているタイプだった。見た目が奇抜ということではないようだ。
二つに切って中身を覗くと、おやまあという感じ。空洞がやたら大きい。生地は薄めだからフィリングとの相性は悪くなさそうだが。隙間が多いのが気になる。
実食してみると、なんだかカレーの味がしない。というか、味は濃厚なのだが量が少ないせいだろう。生地が薄めなのでバランスをとっているという見方もある。
しかしだ、カレーの味がしてこない。フィリングも食感が感じられるものではなく、カレー味がするソース的なものだった。名前がカレーパンフォンデュだから、チーズフォンデュのようにカレーソースにつけて食べるものをイメージしているのかもしれない。そういう食べ物だと思うことにした。
カレーパン道を極めるのはなかなか大変なのだと思い知った。

街を歩く, 食べ物レポート

カレーパン探索日誌 小麦の奴隷

くどい話で申し訳ないが、まだ小麦の奴隷の話というか考察をする・・・。

プラごみ削減政策のため怪しい法律が施行され、小売店で買い物をするとレジ袋が有料になった。その規制外に当たる紙袋やバイオマス利用袋は無料だが、今のところ有料で従来型レジ袋を提示する店がほとんどだ。「有料袋が必要ですか」と会計のたびに聞かれるのもすっかり聞き飽きたし、いささかモヤモヤする。お前は環境保護に賛成するかと毎回踏み絵を踏まされる会話だ。新しい「気持ちの悪い」商習慣だ。
だから、なにも聞かれずに紙袋に詰められたパンを渡されると、なにやら感動的なシーンになってしまう。当然、紙袋はプラ・レジ袋よりコスト高であり、これまた当然ながらパンの価格にも反映されているはずだが、「有料」袋を買いますかと念を押され、見識を試される不快感を考えると、このやり方(無料で紙袋)が実に嬉しい。
もともと日本の文化的に、過剰包装を喜ぶ意識があるのは確かで、そこを社会的に変革し簡易包装に切り替えるのは賛成だ。ただ、そのやり方が「店頭での口頭認証」というセンスのない手法であるのが苛立たしく、それを「官」のいうままに、なんの工夫もしない「小売」側にも腹が立つ。
せめて、入口で「袋はありません」宣言をするとか、袋が必要な人は「最初に袋を買ってください」と入場時に強制するとか、なんとかならないものか。
某スーパーではレジ横に大きな表示で、「袋が必要ならここで買え、一枚3円」(表現はもうちょっと優しい)としてある。会計時にレジでは袋に関する会話がない。これでいいのだと思うのだが・・・。対面販売の店では、この袋会話が買い物の最後の気分を台無しにする。

長い前置きになってしまったが、話はカレーパンの話になる。ただし、くどいがまだ袋の話だ。パン屋でパンを買うと薄手のプラスチック袋にパンを放り込む店が多い。パンの種類によっては、トッピングがジャムやクリームであったり、脂分が多かったりするので、個別に袋に入れるのは構わない。ただ、このプラ袋がいけない。スーパーのレジの脇にある荷詰台に置いてあるペラペラのアレだ。
安いペラペラを問題にしているのではなく、パンにプラ臭が移るが嫌なのだ。高い値段のパンを売っている店はこのことに気がついていて、紙袋や匂い移りのしないプラ袋を使う。確かに袋に金をかけてもね・・・という、コスト意識があるだろう。ただ、食品を売っていて、品質劣化(匂い移り)がわかっているのに対策を取らないということが許せない。パン屋の質とは、パン自体ではなく包装・袋との合体で決まるのだと思っている。
ようやく「このカレーパン」の話にたどり着いた。紙袋に個包装されて、その袋もデザインが施された自己主張が見える。これだけで、このパン屋の評価が上がるというものだ。

袋からカレーパンを取り出すと、「おー」と歓声が出てくる(大袈裟か)イガイガというかゴツゴツというか、とにかく目立つ外観だった。大多数のカレーパンは茶色の楕円形物体で見栄えのする食べ物ではないが、このルックスであれば、カレーパン特有の「茶色問題」が解決できている。

ただ、中身を見てみると、うーんちょっと残念感がある。内部の空洞が大きい。上部生地が厚くて底が薄くてバランスが悪そうだ。食べてみると、やはり空洞と生地バランスが気にはなる。ただ、表面のぼこぼこしている部分の食感がたのしい。
カレーの中身は、ちょっとスパイス多めだった。食べているうちにスパイスの効き目でうっすら汗が出る感じだが、辛すぎることはない。見た目、カレーの味、パン生地それぞれのバランスは良くできている気がする。色々と計算され尽くした完成形なのだろうと予想がつく。これはまた買いたくなるだろう。

ザックザクカレーパンというのだね。アートなカレパン」でありました。

食べ物レポート

タレが売りの弁当って・・・

「例のタレ」という謎物体がついている

ミニストップの弁当が、時々すごいことをしてくれる。駅弁風弁当は、全国の有名駅弁のコピーだが、100%パクっているわけでもなく、駅弁のように冷めてもおいしい弁当というコンセプトが存在している(らしい)。
それ以外にも超大盛りだったり、おかず一品の豪速球だったりするのだが、そのヒット作の改良版が、このチャーシュー弁当(改)だ。ただし、どこにも(改)とか「進化型」とか書いていない。
確か、チャーシュー弁当はこれが三代目のはずだ。ヒット商品を磨き上げて進化させるというのは食べ物商売の正しい戦略だが、コンビニエンスストアの弁当で、この「改良計画」に対応するものは稀だろう。だいたいの新作弁当は一過性の使い捨てにされる。改良版が出て、もっと美味しくなりましたと言われても、「本当に?」と疑ってかかるのが今の消費者であり、その消費者の疑問は概ね正しい。改良点が開発担当者の自分勝手な言い分で、食べてみても違いがわからない商品が多すぎるのも事実だ。

タレかける前

さて、このチャーシュー弁当(改)だが、前回販売と異なる点は、(地味だが)弁当箱が浅い丼型から平たい箱に変わっている。これは重要なポイントだ。今回の最大の改良は「例のタレ」と称するミシュラン星付きレストランとのコラボで開発された、おいしいタレかけご飯を目指したとのこと。
そうであれば、丼型の容器では底にタレが溜まってしまう。平型の箱にしたのは、底部のタレが均等にご飯に染みていくことを狙っていたものだと推測した。底のご飯が汁だくにならないようにということだろう。(当たっているかどうかはわからない)
タレかけご飯を楽しむのだから、おかずは添え物程度で良い。ここに汁気のない卵焼きを選んだのは、箸休めの甘いものという点と、ご飯にタレ以外の汁気がつかないようにという繊細な選択なのかもしれない。
個人的には牛丼のように紅生姜をつけて欲しかったが、色気は卵焼きの黄色だけ。あとは真茶色のルックスなので、その辺りは第4弾での改善ポイントか。

タレの容量は多めでチャーシューの上にたっぷりとかけても十分な量だった。このタレ付きチャーシューを裏返し、ご飯を挟み込みバクリと大口を開けて食べる。確かにうまい。それも、レンジアップしただけの白飯がうまいと感じる。肉を食べたというより、米を食べた満足感の方が強い。例えていえば、焼肉屋でカルビを白飯てかき込むようなものだ。
どうやらミニストップのタレ弁当は、新しい領域を生み出したような気がする。おかずの豪華さではなく、米をうまく食うという工夫だ。このシリーズ、続きを楽しみにしたい。

食べ物レポート

カレーパン探索日誌 ドンク

バターチキンカレー・パン 見た目が上品だ

ドンクといえば、自分の中では高級パンの代名詞だった時期がある。個人経営のおいしいパン屋があることを知る前は、デパートの中にあるインストアベーカリーこそ高級パン屋だと思っていた。フランスパンを売っているというのが、高級店の意味だった頃だ。今ではすっかり当たり前でスーパーでもメーカー品のフランスパンが買える時代だから、当時のフランスパンの高級振りが理解できる人はもはや高齢者しかいなくなっただろう。
パン屋で焼きたてのフランスパンを買い、無造作に放り込まれた紙袋を抱えて歩くとプチプチと音がする。そんな映画のシーンを見た後、プチプチ音を聴きたくて、並んで焼きたてのバゲットを買ったことがある。バゲットという名すら知らなかった、昔々のお話だ。
そのドンクで(自分の中では神格化されているパン屋で)、まさかのカレーパンを発見した。その驚きと落胆みたいな複雑な心境は、ちょっと説明するのが難しい。なぜにカレーパンなどという庶民的な世界に突入してしまったのだというガッカリ感と、老舗ブランドの名にかけてどれだけすごいカレーパンを作ってくれたのだろうという期待感と。

カレーの味が濃いめなので量は少ないが生地に負けない

形は扁平小判型、フィリングはバターチキンという、カレーの中では高級優秀種と見なされるものを使っている。カレーの中身をあれこれいじくり回すのは、カレーパン高級化の基本的戦略で、「和牛」「三元豚」などうまい肉型で勝負するか、「海軍カレー」「欧風カレー」などカレーの作り方などで差別化するか。
そこをちょっと横にそれて、バターチキンカレーというのが「ドンクらしさ」かもしれない。揚げパンではなく焼きパンなのもチープ感、庶民感を避ける狙いがあるのかもしれない。などなど勝手にドンク擁護の理屈をつけてみた。
カット断面を見るとわかるが、やはりカレーの上に狭い空洞ができている。個人的な評価基準では、この空洞が大きいカレーパンは残念認定となる。揚げタイプでは、空洞が断面の半分以上になるものもある。
空洞が大きいと食べた時に「スカ」感がある。かぶりつき噛み締めると、空洞の分が一気に潰れてしまうので、歯ごたえがないからだ。だからこの程度の空洞は、ギリギリだけど許容範囲としておこうと思う。
ただ、よろしくないのは底面の生地が薄いところと厚いところの差があることだ。これは、噛んで身見るとわかるが、厚い生地のところはカレーの味が少なくなる。逆に生地の薄い部分はカレーが濃厚になる。この違いを楽しむか? というと、それはない。
バターチキンは、ソースとして優秀だった。マイルドなカレーという感じがするが、味はしっかりと強い。安いカレーパンでよくある「インチキっぽい」味はかけらもない。安いカレーパンは特売安売りのレトルトカレーみたいな味がする。要するに深みが足りない。このバターチキンはレベルの高さが感じられる。
でも、ドンクでカレーパンを買いたいか、と言われるとちょっと微妙な気がする。全くの個人的な思い込みなのだが、ドンクだしなあ、やめてくれないかなあ、的な気分が強い。メゾンカイザーではカレーパンが売っていない。(見たことがないだけかもしれないが)やはり、バゲットの横にカレーパンは似合わないと思うのだけれど。

食べ物レポート

自分史上最強サイゼリヤ

またまたサイゼリヤの卵の話なのだが、この煉獄の卵というメニューを再現しようとあれこれ試してみた。結論は、家庭で調理するのはかなり面倒くさい。おまけに後始末も普通のフライパン料理より格段に多い。そして、卵料理のクセに(馬鹿にしているわけではないが)必要な素材、調味料が多すぎる。オリーブオイルとニンニク、赤唐辛子くらいは我慢しよう。トマトソースはトマト缶(カット)で作るとして、一缶使い切るにはこの皿のサイズで3−4回はかかる。トマトソースはみじん切りにした玉ねぎを炒め、トマト缶を開け、同量程度のコンソメの素を水溶きしたものと合わせて煮込む。乾燥バジルとオレガノ(ごく少量)で香りを調整する。隠し味を仕込みたければ、クミンも良い。塩味をアンチョビーでつけるか、ベーコン細切れにするかも重要なポイントだ。それをオーブンに入れて加熱し、ソースに火が通ったくらいで卵2個を割り入れ。半熟になるまで再加熱する。その間にバゲット薄切りをトーストして・・・・。
なんだ、この面倒は。たかが卵2個食べるだけなのにと真剣に悩むレベルだ。どう考えてもサイゼリヤで300円払って食べる方が簡単だ。自家製煉獄の卵作成、実証実験はしていないが、手順を書き出して検証しただけで十分すぎるくらい面倒だ。
そもそも、この手のオーブン料理は庫内にソースが飛び跳ね焦げ付くという、後始末が致命的に面倒臭いものだ。究極の家政婦さんでもいない限り、素人が手を出してはいけない。(・・・と思いますよ)

最近のサイゼリヤで一番コスパが高いのがこの目玉焼きハンバーグとチョリソのセットではないかと思っている。個人的な嗜好であるが、サイゼリヤのガルムソースがとても好きで、ホットソースやドレッシングと同じように、別売りにしてほしい。煉獄の卵を楽しみながら、追加でこのハンバーグ&チョリソーで我がランチは大変充実したものになる。五百円ランチも良いけれど、ちょっと贅沢に好きなものを好きなだけ主義者には、この組み合わせがお薦めであります。1000円札一枚でお釣りが来ます。

街を歩く, 食べ物レポート

究極のカレーパン あります

ちょっといけてるポスターですねえ

最近カレーパンに凝っている。自宅近くの駅は東口と西口に分かれていて、そのどちらにもベーカリーというか手作りパン屋がある。どちらもなかなか凝った商品が多く、あれこれと変わったパンを楽しんでいる。
同じ駅の構内にもパン屋があるが、そこは工場からパンが配送されている。これはどうも食指が動かない。また、西口にある商業ビルには大手ベーカリーチェーン店が、店内焼きたてパンを売っている。ここはたまにお世話になる。
それ以外にも駅から徒歩3分程度の住宅地に、40年近く営業している老舗ベーカリーもあるので、パン屋の大激戦区だ。おいしいパンを手に入れるには恵まれた環境に住んでいる。
その激戦区で新興勢力「ブーランジェリー」を名乗る店が、店頭に「究極のカレーパン」なる挑戦的な看板を上げているのに気がついた。確かに、この店のカレーパンは美味いと思う。好みでもあるし文句をつける気はない。ただ、周りのパン屋はどう思っているのだろう。と多少は気になり、ついでにカレーパン探しをしてみることにた。

2019年の優秀賞

ここの店のパンはどれもおいしい。そして、周りのパン屋と比べて2割ほど高い。高級パン屋というより、最近はやりのブーランジェリーというやつだろう。店内は照明も落とし気味でおしゃれだ。メロンパンが山積みにされていたりしない。小ぶりのパンが少量ずつ、ちまちまと並べられている。フードデザイナーとでも呼ぶべきかもしれない。その中でカレーパンだけが包装紙に包まれている。

袋の中身は丸型の揚げパンで、ちょっと濃いめの色になっていた。揚げたてを売っていたので、少し時間を置いて冷ましてから食べることにした。熱々はおいしいが、味が熱でよくわからなくなるのを見越してだ。

断面を見るとほとんど空洞がない。生地の底部が少し厚くなっているが上面は明らかに薄い。生地といいうより皮に近い薄さだ。カレーの味は濃厚で、具沢山だから、カレーを楽しむ食べ物というべきだろう。
肉まんと小籠包の差みたいなもので、中身の具を楽しむには、パン生地が薄い方が良い。特に、揚げパンにする場合は、揚げ油の吸収量が味に大きく影響するので、薄めの皮を早く揚げるというのが望ましい。おそらくこの辺りが「究極」の要因だと思う。
間違いなく高いレベルのカレーパンの一つだと理解はするのだが、「究極」とはなんなのだという疑問も残る。包装紙に書かれている「カリ、トロ、モチ」の3点セットのことだとしたら、確かに達成できているなあ。ただ、カレーパンの評価定義みたいなものに、この3点セットが当てはまっているのかはよくわからない。
庶民としては高くてうまい芸術的カレーパンを楽しむだけで良いのかもしれない。とりあえず、この究極のカレーパンを標準として、あちこちのカレーパン食べ比べをしてみようと思った次第。

食べ物レポート

低温調理という技術

コース料理が肉づくしだと、少量ずつ出されても、途中でかなりの満腹感になる。コースの最初から最後までの重量を足しあげても、普通のステーキには届かないような気もするが、やはり「肉」に圧倒される年齢になったというのもあるのだろう。
中盤ですでに満腹中枢が危険信号を発していた。それでもタンとフィレの2点盛りは魅力的で・・・。肉自体はシンプルな仕上げで、ハーブとソースでさっぱりと食べる。真ん中にあるのは玉ねぎの付け合わせだが、これもトロッとシャキの中間点にあり、歯触りと甘味を楽しむ良いアクセントだった。
ただ、サーロインの後だけに、「肉」のパンチ力がある。というか、ありすぎる。これが、コースの中で一番「ニクニクしい」一皿だった。
和食ではあまり使われることのないハーブだが、肉料理にはハーブがよく合う。このあたりの「肉肉」しさと味付けのバランスは、やはりプロの技なのだ。感服するしかない。

次の品が、牛肉の部位違いを塩や醤油麹で食べ比べしましょうというご提案だが、実はこの皿を最初の方で出してほしかったなあというのが正直な感想だ。この時点で、お肉はもう十分でございますという弱気モードになっていた。
シンプルな調味料で肉を楽しむのは、舌も腹も元気なコースの最初でお願いしたい。逆に後半であれば濃い味付けの方が、平らげやすいかなあ、などとちょっと個人的な不満だ。
ただ、舌は正直で、この肉はうまいぞ! と伝えてくる。ハムやチャーシューの硬さは全くない。ナイフはいらない柔らかさだが、噛みきれないわけでもない。肉の味がそのまんま出てくると言う感じがする。塩で食べたのが一番好みだったが、ソースとしては醤油麹も良いバランスだった。

締めに出てきたのが、肉もりもりのTKG。肉ビビンパだとのことだが、これはやはり卵かけご飯だよ。それも暴力的な肉パンチが効いたご飯だ。肉にはご飯が一番合うと思い知らされたが、この時点で一膳のご飯を完食するのが危ういほど満腹になっていた。低温調理の肉はジューシーで柔らかく、丼飯にはよく合うのだと再確認した。しかし、これが最後に出るというのは、ほとんど反則技だろう。

最後に、デザートとして、季節柄なのか桜のアイスクリームとほうじ茶が出てきた。もう立ち上がるのも嫌なくらい満腹なはずなのに、冷たいアイスクリームだと入ってしまう。
計算が尽くされた肉コースだった。肉食女子にはピッタリ、肉食男子にはちょっと物足りないかもしれない。ただガツン系肉食男子は焼いて食う焼肉屋に行けば良いのだ。一番ダメなのは非・肉食系高齢男子なのだなと、ちょっと悲しくなった。一皿ずつは少量なので減らしようがない。となると皿数を削ってもらうしかないのだが、それだとバラエティが・・・みたいな困った客になってしまう。もう少し若いときにきたかったなあ、という「おいしい」のに「おしい」お店でありました。