食べ物レポート, 旅をする

葉牡丹の話 続く

コロナ仕様で作られたおひとり様用カウンターのスペースはちょっと狭い。肴を一皿と飲み物を置くと、ほぼほぼいっぱいになってしまう。ただ、ひとり飲みであればそれで良い。カウンターに何皿も料理を並べても、冷めてしまったり食べきれなかったりするだけだ。一人飲みの時は、一つ食べたら一つ追加をするくらいの方が正道ではないか。

葉牡丹では熱燗が出る。それもかなり熱い。土佐を代表する二銘柄を順番に注文して味比べをした。飲み比べをすると自分の好みがわかったりするのでなかなか楽しい。結論として、しばらくは土佐鶴派で行こうと思う。
高知の日本酒は比較的重たい味だと思っていたが、最近は少し変わってきたのかもしれない。さすがにすっきりというまでにはなっていないが、それでも飲み口はさらっとしている。コップで飲む日本酒は、猪口で飲むよりうまい気ようながするのは「ダメ人間」の証拠かもしれない。
そして、お銚子とジョッキはどうやら最後まで下げないらしい。飲みすぎたダメおやじの会計トラブル防止のせいだろうか。それとも、何本飲んだかわかるようにして、飲み過ぎ注意を警告するためだろうか。

少し強めに感じる日本酒に合わせるのは、魚よりも肉が良いなと思う時がある。あまりにも外が暑かったせいで、暑さ負け防止に肉を食うかという気になったこともある。餃子という手もあるかと思ったが、素直に好物である「親どりの足」を頼むことにした。
香川県高松(丸亀)では支配的な勢力を誇る骨付鳥の、高知版というかアレンジ版だ。カリッと上がった皮の中には親鳥特有の歯応えある肉が詰まっている。あらかじめ細く切ってくれるのはありがたい。これを丸のまま出されると、歯の強度検査みたいな食べ方になる。某フライドチキンチェーンの若鶏とは究極の反対勢力だが、これがうまい。このうまさがわからないやつは「親鳥」を諦めて「若鶏」にしなさいというしかない。

壁に貼ってあるメニューも本日のおすすめというわけではない。どれも定番ばかりだ。見やすいかというと、そうでもない。これを見るためには、カウンターから反対側を向かなければならない。回れ右をしなければ、首だけ180度回すという苦行をする羽目になる。改めて、この店の売り物は焼き物、串揚げだったと気がついた。

もう少し食べてみたいなとメニューを物色しているうちに思い出した。この店は酢豚とオムライスが超絶的にうまいのだ。さすがにオムライスと両方は頼めないので、泣く泣く酢豚にした。これも量が半分くらいだったら酒の肴にちょうと良いのだが、といつもの愚痴になる。酸味が強めで濃い味の酢豚だ。お江戸の町中華によくあるサラッとした酢豚とはちょっと違う。肉も多い。
一番の違いは、具材にきゅうりが入っていることだ。きゅうり入り酢豚は奈良でも食べた。きゅうりは西日本系の具材なのかもしれない。キクラゲが入っているのもちょっと珍しい。ただ、キクラゲのコリコリ食感とタンパクな味は酢豚向けだと思う。うん、やはりこのうちの酢豚は好みだ。某大手中華チェーンは見習ってほしい。
この店ではまだまだ食べたいものが多いが、一人で来るとこのあたりでもう入らなくなる。いつも同じパターンなので(学習能力が足りないため)一向に前に進めない。次回こそはと反省しながら帰るのも、お決まりのパターンになってしまった。自分の定番居酒屋というのは、どこに行っても反省と後悔しながら帰る、こういう使い方になるのだろうな。

食べ物レポート

高知と言ったらここでしょう

変わりない外見は安心のもとだ

3年ぶりに高知に行った。コロナの前は、年に2−3回通っていたこともある高知だから随分とご無沙汰していたことになる。あちこちで行きつけの居酒屋が閉店に追い込まれているご時世で、まさかこの店も・・・とドキドキしていたが、相変わらずの年季の入った店構えに安心した。

店頭のメニュー看板も、相変わらずの定番メニューが並んでいて、これもひとまず安心というところだ。値段はちょっと上がっているような気もするが、記憶モードなので確かではない。上がっていたとしても全く気にならない「お買い得価格」が並んでいる。
親どり足というのは、高松名物の骨付鳥のアレンジだ。流石に鰹のタタキが一番上にのせられているのは高知人のカツオ好きのためか、旅行者にも名高い「葉牡丹」の県外客向けアピールか。そちらにしても、カツオが別格メニューであることは確かだ。

店内に入るといつものおひとりさま向けカウンターに座りメニューを開いてみる。マイ定番がきちんと書かれていて、もう一安心した。表ではイチオシされているカツオはあえて頼まずに、「ウツボのたたき」をノータイムで注文した。酒よりも早い注文なので、中のおっちゃんも面食らっていたようだ。
ウツボのたたきは、自分の経験上では高知以外で食べたことがない。みたこともない。ウツボのすき焼きもうまいが、やはり叩きの方が数段上だと思っている。薬味はカツオのたたきと同じなので、肉の味の濃い鰹にするか、淡白なウツボにするかという違いはある。肉質に弾力のあるのがウツボだが、カツオとは旨味の質が違う。肉肉しいのがカツオで、ウツボは魚らしいとでもいうべきか。
一切れを噛み締め、口の中に溢れる肉汁(魚汁)を楽しみ、歯ごたえを楽しむ。プルプル感を楽しむ。ウツボだったら一人で一匹食べられそうな気がする。

酒は地酒の冷酒も置いているが、ここは素直に地元の燗酒を頼む。いつも思うことだが、高知の燗酒は超熱燗だ。店の流儀なのかと思ったが、居酒屋ではだいたい熱めの燗のようだ。高知の酒飲みの好みなのかもしれない。
面白いのが猪口にするかコップにするかと聞かれる。これも迷わずにコップにする。熱々の酒を、コップに半分くらい入れて冷ましながらグイっと飲む方が高知らしい気がする。
お銚子の首に札がついているが、ここには酒の名前が書いてある。おそらく御燗番をしている人が、注文の多さで酒の銘柄を間違わないように酒名札をつけているのだろう。気温が下がれば、熱燗の注文がどっと増えるから、それなりの対応が必要なのに違いない。同じ銚子に入った酒は見分ける方法もないだろうし。
銚子の形や色で区別するというやり方もありそうだが、多分そんなことでは対応しきれないくらい一度に10本20本と注文するのだろうな。
知り合いの高知人と飲んだ時の経験から言えば、銚子を1本ずつ頼むことはありそうもない。それは「高知の奇跡」というべき事態だ。
昔はおっちゃんで占拠されていたカウンターも、自分の隣で飲んでいるのはカップルばかり。客層が微妙に変わったかという気もするが、それでも高知人の飲み方は変わっていないようだ。どちらのカップルも男女差なく豪快に酒をおかわりしている。まさに高知の居酒屋に戻ってきた気がした。

食べ物レポート

中華居酒屋 どんく

恵比寿駅から渋谷寄りに居酒屋が集まった一角がある。昔ながらの飲み屋街というか、不思議とチェーン居酒屋がほとんど存在しないのは、大箱が入るだけの新しいビルがないせいだと思う。古くて小さな雑居ビルが多いから、こじんまりした居酒屋や飲み屋が多い。たまにおしゃれな店が開いても、一年もすれば撤退することが多い不思議な街だ。
そんな飲み屋街でもう30年以上続いている店が何軒かあり、その中でも年に何度か立ち寄るのがこの店だ。長崎ちゃんぽんの店という看板がかかっているが、麺専門店ではなく、町中華というよりも中華居酒屋といった方が良さそうだ。
店舗の外観は、時々変わる。店長の思い入れが出ているのかと思うが、手作り感満載でなかなか楽しい。店内は10年に1度くらい改装するが、その度に店内が暗くなる。ここしばらくはさほど変化はしていない。この季節になると、ちょっと変わった冷やし中華が食べられるが、それ以外は年中変わり映えのしない(笑)、定番メニューで勝負の店だ。

炒めメンマ ネギ乗せ

他の中華料理店でメンマを頼むと、ラーメンに乗せるメンマそのものが出てくると思うのだが、この店のメンマは「炒めたメンマ」なので、酒の肴にはよく合う。ただし、日によって味付けが変わる。微妙にではなく大幅に変わる。当たり外れが激しい(と思っている)ので、それを楽しむ度量の大きさが客には必要とされる。
まあ、「どんく素人衆」には難度が高い。超ヘビーユーザーが楽しめる通な逸品だ。味が薄いと思う日は、卓上にあるラー油をドバッとかけて食べる。味変ではなく、最初から味を調整をする。それが、この店の有益なHow toであり、楽しみ方だ。できれば紹興酒と合わせて食べたい。

この店のおすすめメニューは色々あるのだが、どれもこれも他の店では食べられないだろうユニーク系だ。麺系統では、このスタミナラーメンに限る。ただ、これも日によってルックスの違いが激しいし、味の違いはもっと激しい。麺の上に乗っているのはニラ・肉炒めなのだが、かなり濃い味付けなのでスープの中に溶かし込んで食べる。そうするとスープがだんだん濃い味に変わっていく。最初と最後ではスープの濃さが変わる感じがする。
実は、このスタミナ野菜盛りは、麺ではなく定食にもなる。濃い味付けのニラ肉炒めなので、丼飯ともよく合う。腹ペコの時はそっちの方が良いような気もするが、「日によって違う味」を楽しむには、麺とスープの方が良いような気もする。だから、猛暑の夏でも冷やし中華を頼まずに、スタミナ麺を頼んでしまうのはどんく中毒の初期症状だ。これが進むとランチでスタミナ麺を頼み、夜になると居酒屋タイムで冷やし中華を肴に紹興酒を飲むようになる。
そんな馴染みの町中華の店があるのは、人生のささやかな楽しみだと思うのだが。最近では恵比寿がわざわざ出かける街になってしまったのが残念だなあ。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

外食DX考察 サイゼリヤ

サルシッチャを食べようとすると、どこに行けばいい?
高級イタリアンレストランに行っても、所詮イタリアからの冷凍輸入品で保管状態もあやしい

どうやらtwitterで、「サイゼリヤ貧乏人食べ物」説を唱えたおバカさんがいて炎上しているらしい。このサイゼリヤ批判は、なぜか定期的に起こるが、その度にサイゼリヤ弁護人が大量出現して、勘違いしているおバカさん(炎上元)を一気に葬り去るというのがネットの「お約束的」な活動になっているようだ。
サイゼリヤをバカにする思考は、吉野家、マクドナルド、ガストなどの低価格チェーンも同列に批判のまとにする。俺はそんな安物を食べたりしないし、安物には満足していないぞ、エヘンエヘンという、上からマウント的な発言が批判の元なのだが。どうにもやりきれないのは、「俺はお前たちと違う」という見下し思想をネットで公開する浅はかさなのだ。見下したければ勝手にすれば良いのだが、それをわざわざネットで広げる必要もないだろうに。問題になっているのは見下し思想よりも、それを公開する頭の悪い行為なのだと思う。
個人的には、本当に日常的に高いものを食べている「リアル」な人種は、わざわざ低価格品を見下したりしないだろう。そもそも「安い食べ物」を実食していないはずだ。だから、炎上元の大部分は「実際にはそこそこサイゼリヤでも食べているが、それは認めたくないものだ」的な自称アッパー・グループの貧困層なのだろうななどと想像している。
ちなみに、外食産業従事者として言えば、サイゼリヤと同品質のものを提供するためには、販売価格を倍にしなければ利益を出せない企業がほとんどだろう。原材料購入、セントラルキッチン、店内厨房、商品提供用動線、店舗立地など様々な収益構造を支える要素をクリアしなければ、あの値段で利益を出せない。それ位以上に、ダメな店であれば1000軒も出せない。おまけに全国展開するのだから、地方の味の好み、ばらつきなどを超越しなければならない。ローカルチェーンが全国チェーンになれないのは、その地方差を抜き出ることができないせいだ。全国チェーンの作るのは誰でもできる「仕事」ではない。資本力があるからできるという業種でもない。
そもそも、炎上元になっている人たちはサイゼリヤの料理のどこを具体的に難癖をつけているのかと思うのだ。
非常に簡単なことだが、同じ料理をそのままお高い食器に盛り付けされてテーブルに出されたら、一皿2000円でも払ってしまうだろうと思う。サイゼリヤの料理はその程度に完成度は高い。
手作りが料理うまいというのは、プロでなければいつも同じレベルに料理を仕上げるのが難しいという意味だろう。同じ料理を同じように作ることは、技術のない素人には真似できないということだ。
また、家庭料理ではなかなか用意しにくい、ちょっとだけ使う調味料が味の決め手になっている「プロ仕様の味付け、食材調達」もプロとアマチュアの差になる。だから、プロの仕事が大量生産できないかと言われれば「出来る」。手作り=プロの仕事ではない。
それを突破するのがセントラルキッチンという現代技術だし、大量購買による原材料の規格厳守、専用調理機器の使用と長期保管の技術などで、商品のばらつきを防ぐというビジネスモデルが必要だ。
外食業界に置いて、おなじ経営・運営要素を使いながら、倍の値段をとるファミレスの方が多いだけだ。高いもの=うまいものという方程式は無条件に成り立つものではない。
と、プロの目から見て問題指摘を(僭越ながら)させてもらった。まあ、平たく言えば、「プロの食い物屋、なめんなよ」なのだ。

そんなこんなでいささか腹を立てながらサイゼリヤに行ってきた。お目当てはこれまで見逃していた温アスパラのサラダだ。これもお値段300円だが、出てくるものは繁華街の高級レストランであれば、軽く1000円超えする品位だった。(サイゼリヤは単純に食器でずいぶん損をしている気がする)
温めたアスパラの上に、温玉とチーズが乗っている。いわゆる臭みの強いチーズなので、卵と和えると濃厚ソースに変身する。ここがサイゼリヤ的上手さなのだが、味に関して決定的なのは直輸入しているチーズだろう。
スーパーで売っているチーズで真似をしようとしても、それほど簡単にはいかない。とりあえず手近でも手に入るゴルゴンゾーラのような匂いの強いチーズで置き換えることは可能だ。しかし、それを300円で売って儲かるメニューに仕上げろと言われたら、イタリアンの名シェフであっても困惑するはずだ。大きな皿の上にアスパラを2−3本を並べて、その上に申し訳程度のソースがかかったものになるだろう。大量購買なしに美味いものを安く提供することは、基本的にできない。

目玉焼きは乗っていなくても良いのだけれど、やはりルックス重視なのか

あれこれブツブツ考えながら、追加でハンバーグを頼んでみた。これまで知らなかったのだが、ランチセットのハンバーグは合い挽き、単品メニューのハンバーグは牛肉100%なのだという。恥ずかしながら、違いをよくわかっていなかった。
言われてみればランチセットのハンバーグはふわふわ系だったかなあと思うが、かかっているソースがランチ専用の濃い味だったせいか、肉の味までは気が付かなかった。(いつもの通り、普通にうまいと満足していた)
なので、あえてランチセットではなく、単品ハンバーグ、一番何も追加になっていない目玉焼きハンバーグを頼んだ。
頭が理解しているせいもあり、肉質の違い(歯応えがある)はわかった……ような気がする。最初は肉だけで食べたので、肉と油の味も記憶することができた。
個人的にはびっくりドンキーの合い挽きハンバーグが好みだが、サイゼリヤの牛肉100%もうましだった。これも他のステーキレストランで目の前の鉄板で焼かれたりすると、一食2000円取られても満足しそうな気がする。

そんなわけで、いつ行っても大体満足できるコスパレベルの高いサイゼリヤだが、ことDXに関してはお勉強するところがほぼない。コロナの中、注文は口頭ではなく、注文票にメニュー番号を書いて渡すような仕掛けに変わった。直接接触を減らすということだが、ゼロになるわけではない。それよりもすごいと思ったのが、従業員のほとんどが、すでにメニュー番号を記憶していて、番号でメニュー名の復唱をすることだ。人の学習能力の高さを思い知らされた。これだと、タブレット導入を嫌がる経営者の気持ちがわかる。
サイゼリヤはランチ以外時間帯によるメニュー変更がないという運営方針もタブレットが導入されていない要因かもしれない。
会計はクレジットカード・電子マネーが使えるようになったが、マクドナルドのように「なんでもあり」にはなっていない。無人レジも今の所は導入されていないようだ。Wi-Fi導入、電源コンセント設置などの長居対応も見当たらない。いわゆる接客正面部分では、コロナ前と運営方法に大きな違いはない。
ただ、客の方がそれで良いと思っているとしたらどうだろうか。安全安心も含め、運営方法を大きく変更しなくても、顧客満足度が高いとすれば、つまり客離れが起きないとすれば、DXの意味合いが変わる。
元々、サイゼリヤは店内店外の運営方法、経営技術をギリギリまで磨き上げて低価格を実現している稀有な業態だ。そもそもDXなどと騒がれる前から、運営技術は人の手をできるだけかけない方向に進化していた。
サイゼリヤという革新業態には、いまさらDXなど不要だということなのかもしれない。ただ、真似をできる企業は少ないだろうなあ。

街を歩く, 食べ物レポート

高田馬場で焼き鳥うまし

盛り合わせと追加でキモ串など

高田馬場は典型的な学生街だと思っている。地下鉄で一駅先に早稲田大学がある。学生数を考えると超巨大大学と言うべき規模だろう。高田馬場自体には予備校も多く、都内では珍しい日中から若者だらけの街ということになる。
当然、学生相手の安くてボリュームがあってそこそこうまい飯屋・レストランはたくさんあるし、一時期ほどではないが学生目当ての大型居酒屋も多い。その中で、高田馬場界隈屈指の焼き鳥有名店が「とり安」だろう。
店名の通り、リーズナブルというより価格破壊的な焼き鳥を提供する店だ。感覚的な判断だが、串焼きの値段は他の店の半額程度、それ以外の料理が300円程度が中心なので、まさに昭和の値段でやっていますという感じだ。
焼き鳥の味付けはかなり濃いめだが、塩タレどちらでも楽しめる。塩で食べる焼き鳥は基本的に鮮度勝負なので、塩がうまい店は「食」として安心だ。

名物煮込み 一般的なモツ肉が入ったものは、モツ煮という別メニュー

焼き鳥屋に行くと、肉だけ食いまくるイメージがあるが、この店の名物である「煮込み」を箸休めがわりに注文するのが常連的お作法だろう。塩味でだしの効いた透明なスープの中に、大根、にんじん、ごぼうといった根菜がたっぷり。それに手羽先が1−2本入っているシンプルなものだが、焼き鳥の濃い味を中和する煮野菜が嬉しい。

小鉢料理もラインナップが素晴らしいと思っている。昔は鳥ささみのたたきなど生食料理もあったが、最近は食品衛生上の問題で生の鳥はなくなった。その頃の名残が、湯がいた鳥ささみをウニソースで和えたもの。生の鳥が出されていた頃は、人生が変わるくらいうまいものだと思っていたが、今のやり方でもなかなかの逸品だ。
小鉢を散々食べた後で、焼き鳥をしめに頼むのがこの店ではよろしいようだ。冬であれば燗酒、夏であれば升酒を冷酒で頼む。
ちょい飲みするだけなら千円で十分いける。コロナ前は店内の半分以上が学生だった。今回は、学生が見当たらない。学生が賑やかに酒を飲む時代は終わってしまったのだろうか。やはりコロナの後遺症は、あちこちで目立たない形で発生しているようだ。サラリーマングループも、せいぜい1時間で撤退している。4人以上の客も見当たらず、2−3人という少人数で飲むのが定着したようだ。居酒屋業態にとって、これは死活問題だろう。

1日20本限定の西京漬串 焼くだけではない「仕事」をした料理だった。

コロナが落ち着き営業再開となっても、客単価、客席回転数共に戻ってこない。原材料は値上がりし、家賃は変わらず、人手は相変わらず不足気味で時給も上がる一方。それでも値上げをするとたちまち客は店を変えてしまう。
何もいいことがないとぼやく居酒屋経営者の顔が目に浮かぶ。ささやかな応援ではあるが、焼き鳥を食べ一杯やりに通うから、是非是非お店は続けてほしい。おねがいしますと心の中で言いながら帰途に着いた。
Go To 支援の中に、ぜひGo To Eat 追加してあげてください。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

いつものラーメンのルックス

幸楽苑のラーメンは、もう20年以上も愛用している。長年変わらぬ味だから、という老舗ラーメン屋的な理由ではない。逆にチェーン店でありながら、これほど頻繁に味やメニューを変えるところは他にないだろうと確信している。色々な理由をつけて味や値段が頻繁に変わる。そして、その変更が長続きしない。不思議といえば不思議なチェーン理論無視の飲食ブランドだと思うが、それでも愛想もつかさず長い付き合いをしている。
その味変更が大好きチェーンの幸楽苑だが、困ったことがあると復活させるメニューが、この「㐂伝」ラーメンだ。一時期は、別ブランドとして専門店展開も行われていたが、いつの間にか幸楽苑ブランドに一本化されて、しまいにメニューから消されたという曰く付きのものだ。
業績悪化やメニュー全面改定の時に、よく季節限定で登場し、季節を超えて延長されることもあるが、いつの間にかまたいなくなっていることも多い。おそらく社内的に味の点で賛成派と反対派が戦っているのだろうなとか、原価率が他より高いのでコストカット派が強くなると削除されているのだろうなとか、人の会社の中をあれこれ想像して楽しんでいる。
それでも自分の一番好みメニューだ。だから、サイトで「あの伝説のラーメンが復活」と告知されれば、いそいそと食べに行く。
しかし、復活と言いながら味はその度に変わっているのも間違いなさそうだ。その大好物な限定メニューが今回はずいぶんロングラン営業をしていて、そろそろ限定期間が一年近いのではないかと思う。経験的にはそろそろ終売しそうだから、なくなる前に食べ納めしようと出かけてしまった。

ただ、このラーメンは決定的な問題として、ルックスが悪い。味は好きなのだが、見た目が貧相すぎる。上の写真で見て分かる通り、チャーシュー二枚となるとが乗っているが、これはたまたま提供時の状態が良好な例外的な見栄えで、過去の経験値で言うと、2回に1回はチャーシューとなるとがスープの中に埋没している。いわゆる「素ラーメン」状態に見えてしまう。
典型的な『映え』のしない食べ物になっている。茶色一色で色気がない。立体感がない。インスタにアップしたくなるような見栄えではない。(個人的な意見です)
そこで、自分の好物のメンマを追加トッピングで注文した。なかなかの量のメンマが小皿で出てくる。それを惜しげもなく(笑)麺の上に投入すると、アーラ大変身。一気に麺の上の立体感が増して、うまそうに見える。ただ、まだ茶色一色だが。
できれば、これに横浜家系ラーメンで使われる大判海苔を2−3枚乗せられればなと思う。だが、残念ながらこの店には「追加海苔」トッピングがない。海苔は、ペラペラとした薄さの食べ物だが、トッピングとしては色の強烈さと立体感矯正にはとても役だつ。ラーメン屋では必須のトッピングのはずだが、なぜかこの店は頑なに海苔を提供しない。うーん、なんとかならないかなあ、と言うのが長年の要望なのだ。

たかがラーメン、されどラーメン。味も大事だが見た目もね……と言いたい。

食べ物レポート

メニュー変更にぶつぶつ言いたい

増量して値上げだが、キャベツが追加された

餃子の満洲が6月のメニュー改定で、定番から落としてしまった鳥の唐揚げ。マイ定番だっただけに、実に残念だ。その唐揚げの代わりに、サイドメニューから昇格して単品メニュになったのがヨダレドリで、これはこれで旨いのだが、唐揚げロスのダメージは大きい。
調理の手間であったり、コストの高騰であったり、色々と原因は考えられるのだが、満州では数少ない揚げ物だったので、できれば季節メニューでも良いから復活してくれないものだろうか。生姜風味の唐揚げはなかなか他の店にはないユニーク商品だったと思うのだが。

モデルさんの顔はわざとカットしました

ついに吉野家がトッピング牛丼に舵を切ったのかと、個人的には相当驚いたキャンペーンが始まった。これもずいぶんおもいきった方針転換だと思うが、すでに牛丼オンリーで単一メニューのシンプルオペレーションは随分前から放棄していたから、この変化も仕方がない。少なくとも牛丼屋から定食屋になっていくつもりはないようだ。牛丼以外のバリエーションを増やす方向ではなく、牛丼のバリエーションでなんとか凌いでいきたいという悲鳴というか悲願が透けて見える。
最近色々と騒動の多い吉野家だけに、オペレーション主体でテコ入れしたいのだろうと推察したのだが………。

税込価格で一本化すればとても見やすくなるのだと思うが……

それよりも、コロナの最中はすっかり「放棄」していたちょい飲みビジネスを復活させるらしい。それも、昼飲みを受け入れるつもりのようだ。グラスワインならぬグラスビール130円は、その辺りの意気込み?みたいなものの表れに見える。
イートイン減少分をテイクアウトで補ってきた施策も、そろそろうまくいかなくなってきたということだろうか。
ただ、これは繁華街の店舗限定施策のようだ。ちょい飲み対象店舗も限定店舗での実施だったから、元に戻ったという理解で良いだろう。ただ、ファストフードの施策として税込、税別料金の二重表記はいかがなものかという気がする。価格で推していくのであればこの二重表記はとても紛らわしい。
このあたりはブランドのマーケティングセンスというか経営センスの問題なのだろうなあ。ただ、マーケティング関連であれこれ叩かれただけにおとなしくするつもりなのかもしれない。ただ、変化対応に遅れないよう気をつけてということか。

食べ物レポート

とろろそばを食べに行った件

コロナの最中でも外食企業の中には新規業態を試す頑張り屋さんが存在していた。ずっと気になっていたのだが、外出自粛のムードの中で伸び伸びにしていた「新店視察」にでかけてみた。

とろろそばの専門店というので、どんな外見になるのか興味があったが、一見してファストフード的なファサードなので、あれっという感じがした。店頭の垂れ幕を見ても、税抜、税込みの価格が混在する二重表記が気になる。ファストフードの店頭情報は少なければ少ない方が良い。本来的には税込み価格一本で表記することにして、それで価格設定をするべきだと思うのだが。
この価格の二重表記はファミレス的手法だなあなどと思いつつ、店内に入ってみた。

注文するのは、定番メニューらしき「とろろそば」と思っていたが、辛ネギトッピングがあるので、ついつい辛ネギそばを頼んでしまった。
出てきた商品を見て、まずびっくりしたのが、芋が細かい千切りになっていたこと。とろろ蕎麦というから、すりおろした芋が乗っていると思い込んでいた。これにはどんな意図があるのだろうと、あれこれ考えながら食べ始めた。確かに千切りなので蕎麦つゆに溶け込まないから味が一定なのと、芋のシャキシャキ感が楽しめる。これはこれで創意工夫だなと感心した。ただ、個人的にはすりおろした芋のヌルヌル感を期待していたので、そこはちょっと物足りない気もする。
辛ネギは、辛味が強く自己主張がしっかりしたものだった。よくラーメンに乗っているネギを細く切りましたけど文句あるか的な、ネギだけで調理技術なしというものではない。混ぜ込んだ辛ダレがしっかり調理をしている「技アリ」なものだった。ただ、普通のそばに合うかというとちょっと考えてしまう。いわゆる、肉そば系つけ麺であれば、この辛いネギこそのフィット感があると感じた。

店内は、流石にコロナ感染期に開店した店舗ということもあり、通路を含めた広い空間がとられている。駅前の立地にありがちな、席をぎゅうぎゅうに詰めた感じは全くない。盆栽らしき鉢植えがなんともオシャレ感がある。上野あたりの蕎麦屋で見た記憶があるが、盆栽は蕎麦屋には似合う装飾だと思った。これがレンタルの観葉植物だといささか残念感が出るのかもしれない。

テーブル席がなくカウンターだけというのは、なかなか斬新なレイアウトで、都会的なイメージがある。BGMもジャズがかかっているのだから、夜になるとスタンディングバー的な雰囲気が出るのだろうか。アフターコロナでは、昼夜二毛作に進化するのかもしれない。
しかし、店名に「東京」を冠しているのだから、やはり何か思い入れがあるのだろうなと思いつつ、半年くらい経ったらまた変化を見に来てみたいと感じた。なんというか、ひょっとしたらだが、大化けして大チェーンになるのかもという予感が……しなくはない。

食べ物レポート

池袋でコスパな洋食

オリエンタルライスと黒カレーの相盛り

池袋の南のハズレにある大型書店の横の狭い道を入ったところにある洋食屋を見つけたのは5年ほど前だった。たまたま本屋を目指していて通りかかったのだが、店先が明るかったので、ふと中を覗き込んでみたら食堂らしい。なかなか賑わっていたので、今度一度試してみようと思った。それ以来何度も足を運んでいるが、お江戸の洋食屋らしいメニューで、腹ペコモードの時はありがたい。浅草や銀座界隈のちょっと大人な、そしてお値段もお高い洋食屋とは全然違う。街の洋食屋であり、隣に〇〇軒みたいな町中華が並んでありそうな、私鉄駅前徒歩3分みたいな立地にありそうお店だ。
オムライスもうまいのだが、最近は黒カレーと合わせたあいもりを頼むことが多い。フライをセットにすることもできるが、それはちょっとカロリーが高すぎると自粛モードだ。
この店のオリジナルはオリエンタルライスという、ガツンとくるニンニク味の焼肉がのっかテイルライスメニューで、それにカレーを追加する。気分的には、カツカレーに近い。神保町の黒カレーの老舗が閉店したので、黒カレーを食べるには難度が高くなっているのだが、ここに来れば安心の定番メニューがお出迎えしてくれる。

昼時には近隣の会社員が押し寄せる人気店なので、昼のピークをずらしていくようにしているのだが、それでも店内はほぼ満席だ。いつ行っても店頭に自転車が置いてあるのが何やら池袋らしくない。店のちょっと先の交差点を渡れば西武百貨店という超繁華街立地なのだが……。まあ、この辺りが池袋らしいということかもしれない。

コロナの間は行っていなかったので、おそらく2年ぶりくらいになると思うが、相変わらずの「満足度高いランチ」だった。ご飯大盛りのサービスはあるが、できれば小盛り対応も検討してもらえないかなあと思うのは、この店に適合する胃袋を持たなくなったため。ちょっと寂しい。
具沢山の豚汁がセットになっていることもあり、感覚的には2食分食べた気になる。その満腹感は、超がつくほどでお値段と考え合わせると、コスパ最高ということだ。問題は、黒カレーを食べながらオムライスが食べたくなったり、追加でチキン南蛮も注文したくなる「多彩で魅力的なメニュー」なのだ。おそらく週に2–3回来店するヘビーローテーションをしなければ、達成できないのだなあ。
次行くときは、何にしよう。

食べ物レポート

5月のイチオシ

ファサード周辺はラーメン屋とは思えない

所沢の中央部に旧帝国陸軍の航空基地だった場所がある。敗戦後米軍に接収され、今では一部が米軍通信基地としても凝っているが、大部分は返還された。その場所に市役所や警察などの官公庁が移転し、残りが大規模な公園になっている。休日には子供連れの家族や若者が集まりのんびりと過ごしている。図書館があるので本を借りに行くついでに、弁当持参で日向ぼっこに行ったりする。
その公園の端っこにある製麺業者の倉庫に一軒のラーメン屋がある。つい最近まで存在を知らなかった。その製麺業者が【新・所沢名物 醤油焼きそば】の発案者の一人だということをニュースで見た。醤油焼きそば専用蒸し麺を製造していることを知りなんとか手に入れようと思ったのだが、スーパーでは見当たらない。ネットで調べたら、土曜日が工場直売日で販売していることがわかった。そこに出かけてみたら、なんと倉庫はラーメン屋になっていて、ラーメン屋の奥が直売場だった。

4種類のラーメン

どうやら、ラーメン屋は製麺会社の直営店らしい。それも一軒ではなく、所沢を含め数店あるようだ。全く知らなかった。初めてのラーメン屋に行った時は、その店の推しメニューで一番ノーマルなものを頼む。味噌ラーメン屋だったら味噌ラーメン、トッピングも何も特別に書き足されていないノーマルなものということだ。Wチャーシューとか特選ワンタン乗せとかは頼まない。全部乗せなどもってのほかだ。ただし、一度行って美味い店だと思えば、2回目以降は全部乗せも注文するし、バリエーションで販売しているだろう塩ラーメンや辛味噌ラーメンみたいな増加変形版もありだ。
この店でもイチオシらしい ①生姜中華そば は完食済みだ。なので、前回来た時にに迷った ④3種の貝出汁潮そばを注文した。

貝スープのラーメンといえば、埼玉県蓮田にある「はまぐりそば」を食べ感嘆したことがある。以来、貝スープのラーメンは機会があれば食べたいと思っていた。それだけに期待が高かったのだが、まさしく食べたかったものが出てきたという満足感で実に嬉しい。チャーシューと岩のりのトッピングは塩味の出汁によく合う。そそ麺がやや硬めに茹で上がっているのだが、その硬さがスープと良いバランスだった。これがもう少し柔らかめの面になっていたら、ちょっとグデグデ感が出てしまう。博多のラーメンに近い「カタメ」な感じだった。

スーパの旨味がすばらしい。塩味が控えめなせいもあるだろうが、貝の味が複雑で、かつ麺が溶け出して濁ることがなかったせいだろう。ラーメン漫画にはスープまで完食する場面がよくあるが、丼を傾けてスープを飲み干したことなど、この30年近くないことだった。大体はスープを半分くらい残して終了する。
今回は、マンガチックになっているぞと思いつつ、最後までスープを飲んでしまった。決して無理して飲んだつもりはないが、蓮華でスープを飲んでいるうちに、どんぶりから直接飲むかという気になった。
満足度が高いというのは、なかなか貪欲になってしまうものだ。次は ③煮干し中華そばの予定だが、また貝そばを頼んでしまい、いつまでも煮干し中華そばにたどり着けないような気もする。