食べ物レポート

お気に入りの味噌ラーメン

北の街には行列のできる有名ラーメン店は多い。ただ、観光客が訪れにくいようなところに本店がある店の方がうまいような気がする。それでも、札幌市郊外で実力をつけた店が都心部に出店すると、たちまち行列店になる。地元客に加えて観光客が行列に参戦するからだ。特に市内中心部の店になると、その行列の中にインバウンド客が混じり始める。
この店も昼のピークを外して行ったのだが、20分待ちになった。中には10人ほどの待席も用意されているが、それではピーク時には足りない。そして店内にいる客の半分ほどが日本語を話さない客だった。もはやラーメンは国際観光食らしい。

焦がし味噌ラーメンというのがこの店の売り物なのだが、おそらくこの界隈で一番濃厚な味付けだろう。豚骨スープの味噌味はスープに負けるので上手にできないという話があった。今では笑い話になるような「伝説」だが、要するに作り手側の手抜きだったというわけだ。濃厚スープに負けないように大量に味噌を使う、そして味噌味に負けないバランスのスープをブレンドする。その手間を惜しんでいただけだろう。原材料をけちり技術を磨かないとは、料理人としてどこか間違っていると思うのだが、それがちょっと前までのラーメン屋の常識だった。
現在の人気店では考えられないことだが、原価を高くして客の満足度を上げるのが、ラーメン店には邪道であると考えれれていた節がある。
濃厚なスープと2種のチャーシュー、太めのメンマというのが現代人気ラーメン店の標準仕様のようだが、この店もそれに従っている。あとはおかしなことにスープ少なめというのも最近の流行りのようだ。丼の大きさとスープのバランスが悪いように思えるのだが、穿った見方をすると出来上がったラーメンを運ぶときに、スープがこぼれないようわざと大きめのどんぶりにしているのかもしれない。美観より運用を選んだのだろうか。

ラーメンに白飯は魅力的だが腹が膨れすぎる せめてご飯の量が1/3だったらなあ

一番シンプルなこがし味噌ラーメンを注文したが、それ以外のバリエーションも豊富で、何度か通って見る気にさせる素敵なラーメン屋なのだが、一つだけ課題がある。ランチタイムは小ライス無料というサービスがあるのだが、個人的にはこれだと量が多すぎる。
ライスはいらないと伝えたつもりだが、なぜか提供されてしまった。もう、ラーメンライスが嬉しい歳ではないのだが、久しぶりにラーメンをおかずに白飯を食べる羽目になった。初めの一口二口は良かったが、あとは苦しい。ささやかなお願いとして、無料ライスは希望者が自己申告する仕掛けに変えてもらえないかなあ。
あるいは一口ご飯サービスとか……………

食べ物レポート

はじめてのラーメン居酒屋

島原で夕食難民になった。地方都市では平日、火曜とか水曜に飲食店が休みになることが多いようで、この日の島原では営業している店が少なく、どの店も満員だった。いよいよコンビニで弁当でも買うかと思った時、線路の向こうに明るく輝く店を見つけた。
店の前に来て思わず笑ってしまった。ラーメン・居酒屋とはありそうで、なかった業態な気がする。町中華を居酒屋使いすることはたまにあったが、この店ははっきり自分で居酒屋と宣言している。いさぎよい。

店の入り口横にもしっかり書いてある。確かに昼と夜で営業スタイルを変える二毛作店舗はよく見かける。お江戸の蕎麦屋なども昼は食事屋、夜は居酒屋というところが多い。が、蕎麦居酒屋と名乗っているのを見たことはない。大阪の天満にうどん居酒屋があったことは記憶しているが、今でも営業指定いるのだろうか。香川県で讃岐うどんの店は、夜だけ居酒屋になっていることもあるらしい。
だから、ある意味で「ラーメン」居酒屋は新鮮に思える。ひょっとして素晴らしい業態ではないかと期待感が高まってしまった。

店内はほぼ満席状態だった。大人数のグループが二組ほど宴会をしている。大盛況だ。その中に、子供を連れた家族客が普通に食事をしているのが、なんとも場違いに見えてくる。そちら家族客の方がラーメン屋としては普通だとは思うが。
メニューを見ると、町中華系の定番が並んでいるが、一番びっくりしたのは地魚の刺身があることで、なるほど、これは居酒屋だなと改めて感心した。ただ、ラーメン屋で刺身を食べるのはちょっと抵抗がある。
九州ではよく見かける甘酢の鶏皮を注文したら、なんとびっくりするボリュームで登場した。お江戸の居酒屋もこれを見習って欲しいものだ。お江戸スタイルを想像して注文したのだが、これだけで腹が膨れそうな勢いだった。

その後、つまみを追加した後に「ラーメン」を注文した。いわゆる九州系とんこつラーメンだった。よく考えれば、ここは長崎県なので豚骨ラーメンではなく、ちゃんぽん文化圏ではないかという疑問が浮かぶ。
出てきたラーメンを見ると、博多ラーメンに近い。食べてみれば、見た目とは若干異なり博多ラーメンよりあっさり系の豚骨スープだった。福岡県、佐賀県、長崎県の北部九州は食文化的には近しいのだろう。ただラーメンということで言えば、隣県である天草諸島を挟んだ熊本県とはちょっと違うような気もする。地続きと海の向こうの違いかもしれない。

お江戸でラーメン居酒屋、成立しそうな気もするのだけど、なぜか見当たらない。不思議だ。

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九州のローカル名物 長崎編 2

昔々、フライドチキン屋で新商品開発のアイデア出しチームにいたことがある。その頃に検討課題に上がっていたのが、長崎の角煮バーガーだった。諸所の理由で開発は見送りになったが、そのときに学んだことは今でも覚えている。
豚の角煮はうまいのでバーガーの具材にするのは良いアイデアだと思ったのだが、コストの壁が高すぎた。ごろっとした肉を煮込むと、実は元の重量から随分と目減りしてしまう。豚肉の中の脂分や水分が流れ出すからだ。チャーシューを自作したことがある人はよくわかると思うが、ごろっとした塊肉を焼いていくとみるみると縮んでしまう。感覚的には半分くらいに縮む。角煮も同じことで、元の肉から比べると随分と歩留まりが悪い。当然、バーガーのパティーのような値段にはならない。
ただ、これは鶏肉でも牛肉でも同じことで、チキンバーガーなどを作るときも同じ縮み現象は起こる。それを回避する方法はあるのだが、そのやり方に関して一応各社とも企業秘密となっているはずだ。一般人が知ると買う気が失せるようなやり口でもあるのだが。

だから、角煮バーガーの本場である長崎でも角煮バーガーのお高い。正直な商売というか、おいしい角煮を挟み込もうとすると、販売価格を上げるしかない。お高いバーガーを売るためなのか、バーガー用のバンズではなく中華料理の花巻のようなもので挟んでいる。これもほんのり甘くてうまい。よく調和が取れた商品だと思う。


ハンバーガー大手の看板商品と比べると、値段は高いが大きさはかなり小さい。実食するとその小ぶりさというか軽さがよくわかる。まあ、見た目より中身で勝負という類の商品なのだ。
この角煮バーガー、気になって商品サイトを調べてみた。なんと、バーガーではなく「角煮まんじゅう」だった。ずっと角煮バーガーと思い込んでいた。店頭でも「まんじゅう」と書いて売っているはずだが、脳内で「まんじゅう」を「バーガー」と自動翻訳していたらしい。思い込みは恐ろしいと反省した。
しかし、食べたらうまいのは間違いので、高くても良いからどこかのファストフード店で販売してくれないかなあ。

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四海樓 再訪

弾丸旅で長崎ちゃんぽんの本場、四海樓に行ってきた。目的はシンプルで「ちゃんぽん」を食べるのみだ。確かこの店がちゃんぽん発祥日だったはずだ。
テレビ番組で見ただけだから定かではないが、長崎ちゃんぽんの本場である長崎市で一番有名なちゃんぽん店はリンガーハットだとのこと。長崎市内に店舗数が多いため、利用率が高いそうだ。これにはなんとなくモヤモヤしたものを感じてしまうが、名物料理の実際とは案外こんなものかもしれない。札幌ラーメンで一番有名なのはチェーン店の〇〇という話は聞かないが……………。

記憶の中にあったはずの、四海樓ちゃんぽんの味はすでに脳内から消え失せていた。忘却のかなただ。だから眼前に登場したちゃんぽんを見て懐かしさを感じることはなかった。ああ、こんな感じだったのか、というのが素直な感想だった。
食べてみた。思っていたより(記憶の中より)塩味が控えめで優しいスープだった。ただ、これがちょっと物足りないと感じる。
麺の量は多めでたっぷり感があるが、どんぶりがちょっと小ぶりかなという感じがする。これと(つまり元祖長崎ちゃんぽん)一番ポピュラーなリンガーハットちゃんぽんの味がどうにも一致しない。
確かにリンガーハットのちゃんぽんは好きなのでよく食べる。一番たくさん食べたちゃんぽんだから、舌がそちらに引きずられているのかもしれない。本物?は優しい味のちゃんぽんだなというのが、最終的な感想だった。

ちゃんぽんがくるまで一品食べようと注文したのが、最近ちょっとこだわっているエビチリだった。これは明らかに失敗で、一皿の盛りが多すぎた。二口み口食べたところで、いったん食べるのをやめた。これを食べ切るとちゃんぽんを入れる腹の余裕がなくなりそうだった。
大ぶりのエビとあまり辛くないチリソースは満足のいくものだったので、ちゃんぽんを食べ切った後で完食した。腹が膨れすぎてちょっと後悔した。食べ過ぎだ。
中華料理屋に一人で行くとこういう悲しい結果になる。いつも失敗して、いつも反省するのだが、いつまでも同じ間違いを繰り返す。全国の中華料理店の皆さま、一人向けにハーフサイズで注文できるようにしてください。
ちなみに王将はジャストサイズというなで小盛りを提供しています。「ありがとう」。

街を歩く, 食べ物レポート

天ぷらに満足した博多の夜

福岡に来たのはひさしぶりだが、前回来た時には時間がなくて訪れることができなかった「天ぷら」屋に立ち寄ることにした。この店は10年以上昔から、知人に紹介されて何度も来ている。天ぷらはうまい、間違い無い店だ。そして価格がお手頃という事もあり、いつでも長い行列ができる人気店だ。
この店を見る来ると、外食企業に働いている人間は、必ずと言っていい方ど模倣店を作りたくなる。知っているだけで3社がこの店のデッド・コピーに挑戦し、これまた皆さん失敗している。簡単に真似ができそうだが、実は真似をして成功するのが難しい「コンセプト」だ。外食関係者には罠というか、禁断の魔力があると言っても良い。

基本的に天ぷらの組み合わせが違う「定食」を注文する。ただ、この天ぷらの組み合わせがジグソーパズル的難しさがあり、初心者は選ぶのに時間がかかる。名前を見て、天ぷらの中身が想像できるのはとり天かエビくらいだろう。

席に着くと、まず最初に濃いめの天つゆと塩辛が出てくる。実は、この塩辛こそこの店の看板商品だと思うのだが、天ぷらが出てくるまでチビチビと塩辛を食べるのが楽しみだ。この塩辛は、塩味がとても薄い。うっすらと柑橘系の香りがする。塩辛というよりイカの漬物、浅漬けといったふうだ。さっぱり味の塩辛というのも珍しい。これだけで丼飯が食えそうだ。

天ぷらは揚げたてのものが、一つ二つとバットに並べられる。食べると火傷をしそうな熱々だ。魚と野菜が順番に出てくる。

それぞれの定食は6−7種の天ぷらが出てくるので、完食するころにはすっかり満腹になる。体調を万全にしていかなければ、店内に立ち込める油の匂いに負けそうになるのが注意点だ。ご飯は大小サイズを選ぶことができる。昼時であれば1時間待ちは覚悟しなければいけないが、3時過ぎだと行列がなくなるので、遅い昼飯、あるいは早い夕食として午後遅くに行くのがおすすめだ。

なぜか客の1/3くらいが外国人だった。福岡の名店がインバウンド・ジャックされているのは微妙な違和感というか複雑な心境になる。が、何より迷惑だったのは隣の席に座ったカップルで天ぷらを食べながら大声でずっと知人の噂話、痴話話をしている。明らかに外国人よりタチの悪いのは日本人だなと、天ぷらとは全く関係ないことに感心してしまった。

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田中鮮魚店にて 鰹を喰らう

お盆過ぎから10月上旬まで、中土佐町久礼はシンコで賑わう。この超鮮度重視の魚を求めて、高知県中、いや高知県外からも朝早くから人が押し寄せてくる。朝9時、魚屋の開店前から行列ができ始める。暑いのに、ご苦労なことだと思う。

その昔ながらの市場の奥まったところに、田中鮮魚店があり、これまたうまい鰹を求める人が群がっている。魚屋と言いながら、鰹の他に数種の刺身が並べてあるだけで、普通の魚屋でならぶような大衆魚は一切見当たらない。自家製の干物はあるから多少は魚屋っぽくはあるが、基本的には鰹専門店と言って良い。

朝仕入れた新鮮な魚の切り身が並ぶ。鰹も朝のせりで仕入れたものが午前中にはたたきに加工され並んでいる。その日の獲れたて魚でラインナップは変わるが、この時期の好みで言えば飛び魚がある。ウツボのたたきもうまいし、タイミングが良ければシイラもある。

それを魚屋の向かいにある食堂で食べることができる。ご飯と味噌汁のセット券を買い、魚は好きなものを選び刺身におろしてもらう。昼時には席待ちの行列もできるが15分も待てば入れる。

本日はカツオと飛び魚、そしてメジカの生節だった。カツオは大将にお任せという乱暴な注文の仕方だ。この見た目四人前はあるかという大量の刺身を女性スタッフと二人で完食した。満腹感もさることながら、鰹を食い切ったという達成感が凄い。ちなみに、鰹大好きの高知人でも鰹のたたきは一人前3−4切れらしい。
うまい鰹を食べさせる店は高知県内のあちこちにあると思うが、達成感を感じるほどの良品にであうのはなかなか難しい。高知市内から高速道を使えば1時間程度。JR土讃線で特急を使えば、1時間弱。高知観光するのであれば、このカツオの町久礼までわざわざ鰹を食べに行くというのありだと思う。ちなみに、水曜は定休なので平日に行くのであれば、営業日時を確認した方が無難。季節によってはカツオが上がらない日もあるしね。

以上、宣伝でした(笑)

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チキン4個で1,500円とは……………

ハニーメープルというが、ハニーもメープルもどれくらい入っているか知っているだけに……………

仕事柄、ビスケットのことを説明しなくてはいけなくなり、久しぶりに現物を調達してきた。流石に、ビスケットを一つだけくれと注文するのは、長い間関わってきた会社だけにちょっと心が咎める。そこで、オリジナルチキンとサイドアイテムのセットを注文した。
長い間関わっていたブランドだから、値段の見当はついている。と思っていたのが間違いだった。
チキン4個とサイドアイテム2個のセット、これは平成の30年余りの間は、ずっと1000円程度だった。オリジナルチキン2個とサイド1個(ポテトかサラダかビスケット)は500円のはずだ。
何も考えずに会計したら、1500円もした。ちょっと前であればチキンが8-9個買えた値段だ。今浦島とはこういうことを言うのかと、チキンが入った袋をもらい呆然とした。現金で会計していたら、「値段間違っていない?」と聞き直していたかもしれない。


それでも、初めてアルバイトをした頃のことを思い出せばまだこの値段でもマシだ。チキン屋で初めてアルバイトしたとき、一時間働いても2ピース買えなかった。今では一時間働けば時給は1000円を超えるから、チキン3ピースは買える。4ピースは……………無理だ。 

などと考えていたら随分と落ち込んでしまった。チキンが想定以上に値上がりしていたせいなのか、ウン十年前にアルバイトを始めた頃の時給を思い出したせいか、はたまたチキン屋で仕事をしていた時のブラックな記憶がフラッシュバックしたせいなのか。
当分チキンは食べないことにしよう。あまりにもダークな気分に巻き込まれすぎる。ジジイは予想以上にストレスに弱い生き物なのだ。うまさを求めるよりも、不要な精神的ダメージを避けなければいけない。チキン如きでメンタルケアを放棄してたまるかあ!

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ひさしぶりの味噌ラーメン 

定番の「何も乗せていない」プレーンな味噌ラーメン これがお気に入りだ

埼玉県中央部、東松山で見つけたラーメン屋の支店が地元で開いたのはコロナの2年目だった。なかなか勇気のある開店だなと思ったが、その後は順調に客足が伸びたようで、最近は昼に行くと行列ができていたりする人気ぶりだ。
まだ9月の暑い時期だったが、ふと思い出して味噌ラーメンを食べに行った。確かにこの店の味噌ラーメンは濃厚でコッテリとした味がする。ただ人気の源は味付けだけではなく、大ぶりのどんぶりに入ったたっぷりスープだろう。どうも最近の小洒落たラーメン屋ではどんぶりを小さくしてスープも少なめというメニュー作りが多い。
スープが少ないと食べている途中で麺とスープの絡みが悪くなる。個人的には嫌悪するタイプのラーメンだ。出てきたラーメン丼が小ぶりだと、二度といかないことが多い。店外にいるときにどんぶりの大きさがわかれば決して入店しないのになあ。

ラーメンを待つ間にメニューをぼーっとみていたら、なんとこの店でも今年は冷麺をやっていたのかと驚いた。どうやら全く気がついていなかったが、ラーメンの業界的に夏は冷やし中華オンリーではなくなっていたらしい。夏こそ冷麺という、新ムーブメントなのか。おやまあ……………だな。

五穀みそってなんなのだろう?

ラーメン店をチェーン化するのはなかなか難しいのだが、この店は順調に店舗数を増やしているようだ。地元埼玉発のラーメンチェーンが頑張っているのは嬉しい。地元であればこそ、店が増えると食べに行きやすい。新しいラーメン屋に挑戦するのも良いが、やはり馴染みのブランドで馴染みの商品を食べるという「セーフチョイス」は捨て難い。
ぎょうざの満洲につづく埼玉を代表するブランドラーメン店になって欲しいものだ。

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関西シウマイ

黄色い?

横浜崎陽軒が関西の駅弁屋とコラボして、関西シウマイ弁当を発売したことはネットニュースで知っていた。なぜ横浜から関西に進出したのか理由はわからない。少なくとも関西ではメジャーな中華饅頭、ホーライに対抗しようという考えではないだろう。ホーライの店舗数を考えると、関西圏でホーライの肉シュウマイがスタンダードと見做されてる可能性はある。そこに食い込むつもりなのかな。
阪神百貨店の地下で発見した関西シウマイ売り場はなかなか大きい。都内にある百貨店の崎陽軒は、幅mくらいの狭いカウンターが多い。新宿伊勢丹にある店が大型店だとは思うが、それでも間口は4m程度だ。この関西シウマイの店は、その倍以上の大きさがある。
並べてあるシウマイをみてあれっと思った。包装紙が黄色なのだ。横浜で買うシウマイは鮮やかな赤が包装に使われている。黄色はシウマイ弁当の色だ。隣に並べてある関西シウマイ弁当は赤い包装紙だった。横浜と大阪で、赤と黄が変わっているというのが面白い。

シウマイの中身を見れば、これは横浜バージョンと全く同じように見える。しかし、このシウマイは一体どこで作っているのだろうかと不思議になる。あれこれ考えながら食べてみたら、味が違う。横浜崎陽軒のシウマイは好物なのでもう何十年も食べつつけているから、味を間違うことはないと思う。感覚的なものだが、関西版は肉の味が薄い。崎陽軒シウマイの隠れだしであるホタテが使われていないのではないか。関西流アレンジを試してみて、東西食文化には深い谷間がある。断絶しているのだなとわかる。

箱の裏側にある製造情報を見ていたら、なんと大阪の何処かにあると思っていた工場が、実は阪神百貨店の中にあるらしい。それはそれですごいことなのだろうが、その百貨店内工場で作りきれるほどしか売れていない訳だ。そうであるなら横浜版のシウマイも作って、二種類並べて売ればいいのに。個人的には横浜版がうまいと思うのだがなあ。

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居酒屋 いろは

これでイロハと読む

土佐国、漁師町久礼にある一軒の居酒屋に最近はよく通う。友人の家から徒歩1分という便利さもあるが、こちらの店主が作る料理がなかなかうまい。漁師町だが魚にやたらとこだわっているわけでもなく、創作料理というか、料理の腕前で勝負という感じの店だ。

高知名物といえばカツオだが、その鰹の太巻きが「土佐巻き」と呼ばれ、高知に行ったら必ず食べるべきローカルフードだ。鰹の鉄火巻きといえばわかりやすいが、中にニンニクの薄切りが入っている。土佐流の鰹の食べ方はニンニク薄切りを薬味にするので、巻物としてはかなりパンチのあるものになる。これがうまい、好物だ。
鰹のタタキを食べすぎると(贅沢な話だが)、違う食べ方をしたくなる。その時に、土佐巻きは最高だ。この店の良いところはハーフサイズで注文できる。土佐巻きを一人で一本食べると酒が飲めなくなるくらい満腹になるが、ハーフであれば肴としてちょうど良い。

もう一つの高知名物「ナスのたたき」は、揚げなすをたっぷりの野菜と酢醤油、ポン酢で和えたものだ。これも高知以外では見ることがない。目立たないが野菜料理としての完成度は高い。高知の隠れ名物だが、一般的には家庭料理らしく、作り方、レシピーも千差万別というか、我が家のカレー的なバリエーションがあるようだ。という蘊蓄を聞かされながら、揚げ出しナスを食べていた。
どうも店主はナスのたたきに思い入れがないようだ。他の居酒屋でもあまり見ることはないので、客に出すほどの料理ではないということなのかもしれない。うまいんだけどなあ。