食べ物レポート

うどん屋で飲む

和歌山出身のお店らしい

昔の仕事仲間と久しぶりに恵比寿で会うことになった。地元民がよく知っている「たこ公園」の近くの店だという。勝手知ったる恵比寿なので、なにも考えずに出かけてみたが、予想外に店を見つけるのに手こずってしまった。ビルの入り口とGoogleマップの表示が違っていて、おまけにお店の入り口はビルの入り口と関係ない位置だった。
タコのオブジェがある公園のまわりを10分ほどうろうろしてしまった。ようやく辿り着くと、店内は若い方達でいっぱいだった。夜にうどんを食べにくるのがこんなに流行っているのかと感心してしまったほどだ。
自分の中には、うどんとそばの店はなかなか夜の商売が厳しいというイメージがある。だから大体の蕎麦屋は夜になると居酒屋化する。うどん屋は居酒屋んいはなりにくいのか、うどんすきのような「贅沢ごはん」に変身するという思い込みがあったのだが。
どうやら今では、軽く一杯飲んで「現代風トッピングうどん」を食べるというのが定番らしい。うどん屋が居酒屋化したというより、ビストロ化したという感じだろうか。

次は昼に行って素うどんを食べてみたいなあと思わせる一品だった

締めのうどんはすだちうどん、冷たいやつだった。ビジュアルも良いがサッパリ系の柑橘味で青ネギたっぷりなのが、関東圏ではみられない「違ううどん文化」だとわかる。ツルツルいける細麺がお腹に優しい。
太麺も選べるのだが、そちらにすると武蔵野うどんっぽくなるかもしれないので、あえて細麺にした。

料理の選択はお仲間に任せて、出されたものは美味しくいただくというお大尽な飲み方をした。最近は自分であれこれ料理を選ぶのは「一人飲み」の時にすれば良いと思っている。
年代の違う方たちとご一緒するときは、自分の好みではなく、彼らの好みを学ばせてもらうことにしている。そうでもしないと、注文するものは◯十年変わらないワンパターンになってしまう。人生、生きているうちはお勉強だ。

コースの注文だったので、実はうどんに辿り着くまで、あれこれと料理が出てくる。懐石っぽい料理の組み立てだった。なるほど、こうすれば「うどん屋」でも酒が楽しめるのか、と感心した。(今更だが)
恵比寿の街もゆっくりと変化しているのを実感したタコ公園の夜だった。

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西新宿で焼き鳥

昔の仕事のお仲間と7年ぶりで飲むことになった。間にコロナの3年があるとは言え、こちらはすっかりジジイ化が進んでしまった。若かった後輩もオヤジ化していたから、時の経つのは残酷なものだ。
その頃よく使っていた焼き鳥屋に久しぶりに訪れた。空間の使い方が上手い店だと思っていたが、流石にアフターコロナ仕様に改造するにはもう少し時間がいるようだ。居酒屋業界も業績が急回復しているらしく、すでにコロナ前の水準を超えているとの声も聞くが、こんな時こそ店舗設備の対応を考えて欲しいものだ。
コロナ流行拡大直前に店内での喫煙制限がかかったことで、スモークフリーの清浄な空間のように感じるが、実はこのあたりがコロナ時期の客数減少のせいで検証が終わっていない。いささか気になるところだ。

焼き鳥の盛り合わせを頼み、はふはふいいながらたべるのはなかなかの至福体験だった。注文は同行者に任せていたせいで食べた後に気付いたのだが、けっこうな高級地鶏串を食べていたのだ。美味いわけだ。
付け合わせのゆず胡椒ソースも美味かった。やはり美味いものにはそれなりのお値段を払わなければいけない。たまに食べるのだから、そこをケチってはいけないぞ。という典型的なお料理だった。

海苔がかかっているだけで期待値が上がるという海苔フリークなので、焼き鳥(つくね)に海苔が巻いてあったり、細切り海苔がかかっていると興奮してしまう。これも期待を裏切らない、海苔のうまい焼き鳥だった。

手羽先唐揚げは、もはや全国区の食べ物になっているが、やはり名古屋スタイル、それも全国チェーンになった某〇〇ちゃんではなく、名古屋ローカルのタイプが好みなのだ。
そして、どうやら全国へ広がっていった名古屋スタイルの手羽先唐揚げは、その名古屋2大チェーンのどちらとも違う、ユニークな汁だく系が主流になったらしい。最近、あちこちで食べる手羽先から揚げは、みんなどっぷりとつけだれに漬け込んだウェットタイプが多い。
タレをつけた後、フィニッシュで網焼きするということもないようだ。頭のなかを「変質と拡散」みたいな言葉が通り過ぎていくが、それはあっさりと無視することにした。料理は変化を続けて、元とは全く異なる状態になって定着することが多い。


手羽先界の未来は、ルーツである名古屋スタイルから羽ばたかなければいけない。(手羽だけに)などと、いけてないギャグを思いつきながら、手羽先の骨までしゃぶっておりました。

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立ち食いそば名店の支店

お江戸の街には立ち食い蕎麦屋が多い。絶対的な人の数が多いから、大忙しで食事を済ませたい人の数も多い。ハンバーガーなどの洋風ファストフードや牛丼に代表される丼飯も、早く手軽に食事をしたいというニーズに応える業態だ。当然、お江戸にはその手の店がとてつもない密度で広がっている。
全国各地の大都市、中核都市でもファストフードはそれなりに展開はしているが、やはりお手軽飯屋の存在感はお江戸が一番だろう。そのなかで、やはり個人的な嗜好を言えば、お手軽に手早く食事ができるという点で、立ち食い蕎麦屋が最上位にランキングされる。老舗の蕎麦屋よりも利用する回数が多いかもしれない。
その立ち食いそば屋だが、老舗と言われる店はお江戸の東側に多い。江戸城の東側は昔からのビジネス街ということもあるのだろうが、八重洲、日本橋、神田あたりの伝統的な?ビジネス街ほど有名な立ち食いそばが多いような気がする。
逆に比較的新興ビジネス街である西新宿や渋谷あたりでは、名店と言われる店は少なく、いわゆるチェーン店が多いようだ。
その日本橋の老舗立ち食い蕎麦屋が、2年ほど前に西新宿に支店を出した。わざわざ日本橋まで行かなくても、新宿でこの店のそばが食べられるのはありがたいことだ。

寒い時期であればかけそばをたのむところだが(そして、追加別添でかきあげをたのんだりする)、この時期はやはりもりそばだろう。合わせてたのんたのは「岩下の新生姜」天ぷらだ。
昔、各地の天ぷら事情を調べたことがあった。もともと南蛮渡来の揚げ物料理「天ぷら」が全国に広がっていく過程で、それぞれの地方で独自な天ぷらネタが生まれたようだ。
天ぷらの代表といえば「海老天」みたいな感じもするが、地域によってはエビ以外が主力であることも多いようだ。豚肉を揚げた肉天なども、なかなか上手いものだが、やはり天ぷらの系統としては異質な感じもする。お江戸で言えば白身魚の天ぷらがかなりの人気ものだ。歴史的に有名な天ぷらネタといえば、やはり家康が好物だったらしい鯛の天ぷらだろうか。
そして、どうやら大阪南部発祥、大阪南部限定らしいのが紅生姜の天ぷらだった。この紅生姜の天ぷらから派生したのが紅生姜の一口串揚げらしい。デパ地下で紅生姜天を扱っているいるのはどこだろうと、関西一円で調べた時の知識だ。その時の調査では大阪北部には紅生姜店の文化が存在しないらしいとわかった。摂津と河内では食文化が違うということのようだ。
ご当地ネタということでは、全国にそれぞれ異なる「すごいもの」もあるが、それはまた別の機会に。
今回は、おそらく紅生姜天が系列進化したであろう「岩下の新生姜」が素材だった。この生姜の漬物が全国区であるとは思わないので(多分関東ローカル、せいぜい広がっても東日本圏ではないか)、お江戸で増殖しつつある新興勢力という感じがする。
新生姜は紅生姜と異なる味付けの漬物だが、揚げた時の色味が異なる(赤くない)ので天ぷら素材としては面白い。
ちょっと試してみようと注文したが、「まあ、生姜だし、こんな味だよね」という、まったく予想を裏切らない普通に美味しいレベルだった。
蕎麦の仕上がりも良かったし、いつものように感動したのがそばつゆのうまさだった。お江戸の老舗蕎麦屋では実に強烈な味、塩辛いものが多いが、それとはちょっと異なる。都会人が、蕎麦をつゆにたっぷり漬け込んで食べるために作られた「つゆ」だと思う。蕎麦通で意気を気取るひとには、違う評価があるかもしれない。
ただ、今では立ち食い蕎麦を食べる人の中心は、あまり肉体的な仕事をしないオフィスワーカー、サラリーマンが多いので、これくらいの味のバランス(お江戸の老舗蕎麦屋と比べると塩味控えめ)が良さそうだと思う。

実は、今回はお腹の減り具合もあり注文を諦めたのだが、この店のイチオシは「蕎麦」ではなくて「カレー」という意見もあるようだ。そのカレーについては、こう書かれている。「本格的和風インドカレー」と。
これもまた微妙で解釈が難しい日本語だ。本格的という言葉はは、和風にかかっているのかインドにかかっているのか。おそらく「和風インドカレー」が本格化しているはずはないと思うのだが。
説明文を読む限りでは「本格和風」なインドカレーなのかもしれない。ただ、本格和風ってどんなものなの?と思うし、形容詞として使っていいものかという疑問がある。
「本格和風」の後に、あれこれ言葉を繋げてみればわかる。「本格和風」+ハンバーガー、ホットドッグ、ピザなど洋物を並べるとなんとなくありそうな気もしてくる。逆に、「本格和風」+ぎょうざとか、ラーメンとか、うどんとかではしっくりこない。ありそうでなさそうなのが、「本格和風」+チャーハンや、天津飯、焼きそばなどだろうか。
蕎麦を食べながら、そんなことを考えていた。次回は、本格和風インドカレーだ。

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ご近所で冷やし中華と新店

いつもの「満洲」に冷やし中華を食べに行った。前回は、あまりの混雑ぶりに冷やし中華を食べ損ねたので、ちょっと期待して昼のピークをずらした時間に行った。出てきた料理を見て、あれっと思ったのは、あまりに色気がないビジュアルだからだ。冷やし中華の彩りの良さには、味噌ラーメンなどとは比べ物にならない華やかさがあるはずだ。が、これは何だか妙に色褪せてみえる。
おそらく、紅生姜とカラシ、つまり赤と黄色が別皿になっているからだろう。味は期待通りの「普通に美味しい」冷やし中華だったから、全く文句のつけようはない。
色彩、特に赤は大事だなと改めて思う。真ん中にプチトマトの半分に切ったものでも乗っていれば良いのだろうか。そう言えば、昔の冷やし中華にはさくらんぼ(缶詰)が乗っていたような気がする。
ちなみに、満州の冷やし中華は安っぽいハムの細切りではなく、チャーシュー細切りが乗っているので、商品自体のグレードは高いのだよね。
この値上げの時期に、あれこれと開発してくる新商品は、やはり値段も上げるが品位も上げるという方向になるようだ。しかし、個人的には、冷やし中華の載せるのはゆで卵ではなく細切りの卵焼きにして欲しいのだがなあ。

その冷やし中華を食べた帰りに、コロナ前にはたまに行っていた寿司居酒屋の看板が変わっているのに気がついた。駅の反対側にある店が小ぶりなため、いつでも満席になる繁盛店だった。そのため、駅のこちら側に大きめな店を新設したはずだが、どうもコロナの時期と重なり苦戦をしていたのは間違いない。
代替わりをしたのかと、気になって調べてみたら、どうも同じ会社の中で新しいブランドを試すことにして改装をしたらしい。刺身と天ぷらを押し出した「新業態」のようだが、よくよく考えると寿司居酒屋も寿司ともつ鍋を推しにしていたから、ちょっと変わったスタイルという意味では同系列と言えそうだ。
今度、一度試しに行ってみようと思うが、この熱暑の中で天ぷらはちょっと気が重い。少し涼しくなってからにしようか。
コロナからの復調が進んでいることが、自宅近くでも見えてくるのだから、これはやはり世の中が随分と常態に戻ってきた証明なのだな。

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十德でまた一杯

このところ、西新宿で飲む機会があればこの店に来ることが多い。そもそも、飲みにいく回数が減っていることもあり、西新宿比率、そしてこの店の利用頻度が上がっている。
昔は、西新宿で飲むよいえばヨドバシカメラの裏あたりにいくことが多かったのだが、そちらはすっかり足が遠のいてしまった。

夏ということであれば、やはり鱧が食べたい。西日本に行けば、この時期は居酒屋メニューが一斉に鱧に侵食されていたような記憶もあるが、お江戸界隈で「はも」はちょっとめずらしい系統のメニューのような気がする。夏といえば、同じような長い魚でもウナギの方が優勢であるようで、夏こそウナギと言われれば、なるほどそうだなあと感じる。
「はも」は、湯引き、おとしが好物で梅で食べるのは、この上ない喜びだ。(大袈裟だ……………) この時は「はも料理」三点セットでの限定提供メニューだったが、鱧の天ぷらもなかなかうまい。ちょっとだけ贅沢をした気分になる。

前に来た時から気になっていたのが、オムライス風の焼きそばだ。これを酒の肴にして飲むというのはどうかなあと思っていたが、締めのタイミングまで待ちきれずに注文して、冷たい日本酒に合わせてみた。が、これはなかなかのものだ。
中華料理屋でチャーハンをつまみに紹興酒を飲むようなものか。お好み焼きでビールを飲むのだから、焼きそばで日本酒も悪くはあるまい、などと思ってバリバリと食べた。
炭水化物は生魚(タンパク質)よりも胃袋に優しいかもしれない。ただ、炭水化物系は満腹感が出るまでノンストップに食べ続ける食べ物だから、やはり飲み屋では要注意メニューであることに違いはない。
うまいものは体に悪いというか、優しくない。まあ、だからうまいと感じるのだけれど。これは人類の祖先が、まだ雑食性霊長類だった時代から体に刻み込まれた習性なので仕方がない。米や麦は、ある意味で霊長類の一族にとって、麻薬に近い食物なのだと思う。

タコを入れたさつま揚げは珍しい。そもそも論でいえば、鹿児島では魚のすり身を揚げたものをさつま揚げとは呼ばない。そして、食べた限りにおいてだが、鹿児島のすり身の揚げ物は、かなり甘い味付けがしてある。現地で食べると、いかにも郷土料理という感じがする。
お江戸を含めた東日本圏内で売られているさつま揚げは、やはり「元の姿を失った」亡国の食べ物だろうと言う気がする。
現在、白身魚のすり身を混ぜて揚げるようになったのは、確か宮城県が発祥だったはずで、豊富に取れる白身魚(たら)を使った新しい「さつま揚げ」だった。
その魚のすり身の揚げ物をさつま揚げと呼ぶのは、西国出身者の郷愁みたいなものだろうか。確かに戊辰戦争後に定住した西国住民がお江戸の食文化に与えた影響は大きい。(はずだ)

その魚のすり身を揚げたもの(全国あちこちで郷土食として定着している)が、近年新しい具材を加え変形して進化している。今では当たり前のように売られているチーズ入りは歴史が古い。豆腐など植物性タンパク質を混ぜ込み、食感を変えるのも味変の常道だろう。
歯触りを変えるためイカやタコを加えるのも産地によって発生している。海とは全く関わりのないゴボウを巻き込んだ「ゴボウ巻」などというものも存在しているのだから、すり身揚げ物世界は許容度が大きいのだ。そのうちアボカド巻きとかベーコン揚げとかいう、日本と関わりのない食材の組み合わせも続々誕生しそうだ。

話が逸れたが、タコ入りのさつま揚げ?は実に好みの味で、できればスーパーで売って欲しいくらいのものだった。オムレツ焼きそば、新型さつま揚げなどをおかずに、居酒屋で酒抜きで飯を食うのは案外楽しいかもしれない。

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メロンパン 異形の進化への道

見た目はモスラ

メロンパン探しの旅(笑)は続けている。変わりメロンパンを見つけては試食をして、ああでもない、こうでもないとつまらない感想を書いてみるだけだが。
今回はクロワッサンにビスケット生地を被せたものだった。ブリオッシュの生地を使うメロンパンはよく見かける。生地のリッチさで高級感を押し出そうという意図だとわかる。そのブリオッシュよりもさらに濃厚な、つまりバターたっぷりのクロワッサン生地でメロンパンを作れば、それはスーパーリッチになることは間違いないと考えたのだろうか。ただ、甘さのバランスやビスケット生地のハードさ、クロワッサン生地のソフトさのバランスがどうなるかだ、と食べる前から思っていた。

案の定でバランスが悪い。クロワッサンにチョコレートをかけたものはたまに見かける。あれは全体の甘さを強めながら、表面のハードさはあまり変えない。クロワッサンの柔らかい生地によく馴染む。チョコ自体が強い味なので、クロワッサン生地のバターたっぷり感と相性が良いのだろう。
和菓子で言えば、外が甘く中が柔らかいとなると、おはぎがあげられる。人の嗜好というのは、洋の東西を問わずに多様な進化をするらしい。外が柔らかく中が甘いとなれば、和菓子では大福餅のような餅菓子がある。洋菓子で言えば(?)仙台名物萩の月みたいなものだろうか。あれに近しいといえば、アメリカンドーナツの典型、中にカスタードクリームの入ったふわふわのやつがある。

クロワッサンのメロンパンもどきは、どうやらアイデア倒れみたいだ。パイ生地もそうだが、クロワッサンも薄い生地の層を重ねてパリパリ、サクサクの食感を楽しませるものに、ビスケット生地のハードでカリカリという組み合わせがあわないようだ。
見た目はなかなか楽しかったのでちょっと残念だが、生地のバランスを改良していけば三代目くらいになると完熟するのかもしれないと思ったので、この店のメロンパンはしばらく継続審議とさせていただく。

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ガツンと行こうぜ

狸小路にできた、現代風の屋台村というか、横丁というか、英語でレストラン・コンプレックスといえばカッコよさそうな気もするところにある昼飯を食べに行った。ビルの一・二階に小ぶりな店が20軒ほど集合している。狸小路側から見た光景は、ちょっと賑やかめな感じがする。

狸小路の北側道路までビルがつながっているので、一般道路側から見ると普通の飲食ビルにしか見えない。ファサードの作りがあまりうまくいっていない感じがする。ビル改造型屋台村の元祖とも言える恵比寿横丁あたりの「レトロ」な外観と比べると、もう少し工夫があっても良いかなと思うのだが。
弘前にある倉庫を改造した屋台村は天井が高く屋外感があった。八戸の屋台小路も、屋外のぶらぶら歩き感を演出していた。「屋台村」「横丁」は内部の店舗のユニークさもさることながら、全体感の作り込みが誘客要因として大きいような気がするのだが。

その中の一店で入り口に飾ってあった丼のポスターが、某テレビ番組の宣伝と思えるくらいで、店名は隅に小さく書かれている程度。なんと、奥ゆかしい店長だろうと逆に感心してしまった。
国内観光が復調指定いるので、日本人観光客の指名買が多いのだろうなあと想像はつく。北海道人相手にするのであれば、「日テレ」ではなく、「S◯V」と系列局の名前を挙げるだろう。

ただ、ちょっといきな演出があり、地元以外ではほとんど見かけない九州醤油と、一般的な醤油の2種類を提供していた。脂の強い魚には九州醤油を、白身には普通の醤油を使うといいよということだった。
北のハズレに来て九州醤油に出会えるとは思わなかった。こういう小さなテクの積み重ねが、繁盛店、行列店につながる道なのだが、その小技を知っているかどうかが日頃のお勉強だろう。勝ち組には勝つ理由がある、ということを学ばなければいけないのだ。

ちょっと盛って撮って見ました的な

そして、この名物丼を注文した。写真は「見栄え」優先で撮ったもので、実にモリモリに盛っているようにアングルや距離に工夫して撮ってみた。
実際には小丼程度の小ぶりな器だったし、どんぶりの淵まで白飯が詰まっている。魚の盛り上がりは丼の上部からのもので、実は少々食べにくい。一度、丼の上から魚を別皿に取り分けて食べた。
味は想像通りで(当たり前だが(切り身の味がする刺身丼だ)、値段はちょっとお高めという感じなので、ぼったくり商品ではない。観光客が食べるのであれば普通に美味しい、映えがするメニューだろう。
個人的には地元人が食べるにはちょっと難度が高いかもという気がした。同じ値段を出せば、そこそこの鮨屋で「チラシ」を注文できる。酢飯好きなので白飯の丼より、「チラシ」の方に惹かれてしまう。
夜は居酒屋メニューになるので、「映え」商品はランチの売り上げ拡大には貢献しそうだ。夜の締めフェに続き、第二の「ご当地メニュー」に成り上がれるかちょっと楽しみだが………

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一人焼肉を研究してみた

北海道では定番の牛肉 サガリ

100円ショップで売っている300円商品(変な言い方になるが)に、焼肉用(?)の炭火コンロがある。使い終わった捨てるだけのお手軽さだが、燃焼時間は1時間程度と書いてある。実際に火をつけてから着火剤の煙が止まり安定した炭火になるまで15分くらいかかるので、実際に肉を焼こうとすると使用時間は40分程度だった。
それでも炭と網の距離が近いので、焼肉屋で焼く感覚で一気に肉が焼ける。野菜や肉の厚みに気をつければ、それなりにお手軽なバーベキューが楽しめる。使用してみた感想として、おひとり様焼肉であれば全く問題がない。延々と肉を焼き、そのまま食らう。誰かと途中で喋るとか、やけた肉をシェアするとか、余計な動作がない分だけ、「焼いて食う」に集中できるので、30分もあれば満腹になること間違いない。
ステーキ肉のような厚切り肉を焼くのであれば、多少工夫は必要だが、カルビ焼肉やジンギスカンのような薄切り肉を焼く時には、かえってこちらの方が使い勝手が良さそうだ。

一度火がついた後は、まず火加減を確かめるため網の半分ほどを使って焼いてみた。問題なく火が通るようだったので、全面に肉を乗せて焼いた。バーベキュー台を使うときのように、火力の強い部分弱い部分のような調整はできない。全面的に同じ火力なので、肉は手早く乗せる(時間差を作らない)とか、野菜と肉の置き方を考えるといった手順は必要だが、一人で肉だけ焼いて食うという場合は、ほとんどノープランで大丈夫。ただ、やけた肉を取る時にコンロ上部はかなり熱いので、ドングなど耐熱を考えた道具があった方が便利だと思う。

この日の飲み物は、サッポロクラシックと決めていたのだが、ついついセコマPBのトマト酎ハイにしてしまった。酎ハイと言いながら、意外と甘味が強い。トマトの甘みだとしたら、とんでもなく糖度の高いトマトを使用していることになる。それほど高糖度なトマトであるのなら、生で食べてみたいくらいだ。
ちなみに、この日の締め肉は当たり前のようにタレ付きジンギスカンだった。短い北の国で夏の楽しみ「ジンギスカン」は決して忘れない。これは「ハート&ソウル」に刻まれた幼少期からの記憶、チープなご馳走感覚の賜物だ。
ちなみに、今ではラム肉も牛肉並みに高いので、ジンギスカンは決してチープなご馳走ではないことを追記しておく。えへん。

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メロンパン 行脚は続く

北の街で駅前通りにできた新築ビルの地下に、おしゃれなパン屋さんが開店しているのは知っていた。おしゃれな店だから「パン屋」さんとか「ベーカリー」とは言わない。フランス語らしきブーランジェリーというおしゃれな言葉が使われている。
あまりにおしゃれすぎて敷居が高かったのだが、たまたま他に誰もいないタイミングで、こっそり並んでいる商品を見て歩くと、おやまあ的な美しいパンが並んでいた。ここぞと気合を入れて、メロンパンを買ってみることにした。

白い粒々が上面にある、なんとも不思議な形状のメロンパンだった。生地はブリオッシュという高級生地だ。白いつぶつぶは、氷砂糖らしい。食べるとカリカリっと砂糖が口の中でつぶれていく。想像を絶する甘さだ。当たり前だが、砂糖の塊を食べているのだから仕方がない。氷砂糖の食感と柔らかいブリオッシュ生地のアンバランスが職人さんの狙いだろうか。
高級感はあるが、かなり甘いのが難点かもしれない。甘党にはこれくらいのパンチのある甘さが評価されるはずだが。この半分くらいの大きさにしてくれると自分としては良いのだけど、などと思ってしまった。確かに、変わったメロンパンとしては絶妙なものだった。

最近好みのクイニーアマンもついでに買ってみた。表面のキャラメリーゼが重要ポイントだが、これは食感を楽しむ食べ物なので、特にカリカリ感が大切だ。
甘さが控えめなクイニーアマンにはお目にかかったことがないが、これも強烈な甘さを楽しめる一品だった。和菓子と比べると「甘いパン」の甘さは、まさに食として段階が違う別物の強烈さなのだが、最近はこの強烈さがすっかり気に入っている。
まさか、甘さを感じる機能が低下したとも思えないので、やはり歳を取ると子供と同じように単純な味に好みが移るのかとも思う。
微妙な甘さとほろ苦さのバランス、みたいなものは最近どうでも良いのではと思うようになった。
メロンパンは単純な甘さの典型だが、クイニーアマンに代表される最近の流行り物は、やはりもう一段上の「強烈さ」が評価のベースにあるようで、和菓子と抹茶的な危ういバランスを楽しむのとは、違う世界の食べ物なのだろう。甘さの世界では和菓子と洋菓子職人の世界観が違うとしか思えない。
最近は洋菓子方向に思考が移っているのだが、舌が幼児時代に回帰しているということだろうか。もしそうだとすると、これは幸せなことなのか。甘い甘いメロンパンを食べ歩きながら感じる、己の不条理みたいなものだな。
ただ、世界は間違いなく「とても甘いものが好きな」方向に変わっていっているのも確かだ。アメリカ人に日本の菓子は甘すぎる、と言われる時代がやってきそうだ。

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薮半 ファイナル

小樽の蕎麦屋詣も回を重ねて、ついに4回目になった。暑い夏の盛りも、雪で滑る寒い時期もこなしながら、ついに食べてみたいメニューを制覇した。良い店の困ったところは、食べたいメニューが多すぎで、完全制覇するまで何度も足を運ばなければいけないことだ(笑)
とりあえず今回でファイナルだと思ってはいるが、またあれこれ食べにきたくなるのは間違いない。

今回は、北海道産日本酒「国稀」を燗酒にしてもらった。特に何も言わなくても、ちょうど良いぬる燗だった。最近の燗酒は熱めなことが多い。レンジアップのせいだが、よくできている店ほどぬる燗で出してくれる。店のレベルを図る目安には燗酒が重宝する。
今までは冷やでばかり飲んでいたのだが、国稀はぬる燗の方が明らかに美味い。香りが違う。また一つ勉強させてもらった。そば味噌を舐めながらちびりとやるのが、蕎麦屋酒の良いところだ。

抜きシリーズは三品制覇したので、今回はいちばん気にいった「かしわ抜き」にした。汁物で酒を飲むというのは、居酒屋ではなかなかできない。出汁の効いた「ぬき」を酒の肴にするのは、やはり蕎麦屋独特の楽しみ方だろう。天抜きも注文したかったのだが、流石に二品は手強すぎる。

代わりに天ぷらを追加で頼むことにした。定番のエビではなく、小樽名物のイカにしたのだが、これが大正解だった。抹茶塩で食べてくれ、ということだったが、たしかに塩で食べるイカ天は美味い。
ただ、最後の二切れは、誘惑に勝てず「かしわ抜き」に放り込んで食べてしまった。やはり、天ぷらの衣がそばつゆに浸ってぐずぐずになっていくのを食べるのは、背徳的なうまさがある。こういった、セルフアレンジができるのも蕎麦屋酒の良いところだな。

そして、この日のメインイベントは、カレー丼に続く名品「カレーせいろ」だった。ああ、これは美味い。自分の好みぴったり合う。
蕎麦屋のメニューの中で、カレー味は変化球でゲテモノ的な意識があったが、この店に通ううちにその意識はすっかり変わってしまった。
「もり」で締めるのがそばの常道だとして、蕎麦屋の店主は「もり」の品質にこだわるのだろう。それに逆らうつもりもないし、普段食べるのも「もり」がほとんどだ。寒い時期に、ちょっと浮気をしておかめそばを頼むくらいで、蕎麦といえば「もり」そばだと思っている。
ただ、カレー味は超絶技巧な技の発現だと思い知らされた。何気なく食べたカレー丼もそうだが、このカレーせいろのカレーつゆが、蕎麦の食べ方を極限まで広げてくれた気がする。
しかし、カレー南蛮はよく見かけるが、カレーせいろはお江戸の蕎麦屋で見たことがない。気がついていないだけだろうか。埼玉名物の武蔵野うどんでは、ほぼ定番でカレー味があるが、蕎麦屋では見た記憶がない。
これは、お江戸の老舗の蕎麦屋巡りを再開して、カレーせいろ探索をする価値がありそうだ。お江戸で見つからなければ、またこの店に戻ってくれば良い。戻ってくる理由が一つ増えた。めでたし?