食べ物レポート, 旅をする

お好み焼き 三原流

三原での待ち時間の間、昼飯を食べようと駅前の街を歩いていた。平日昼のせいか、ほとんどの店が営業していない。駅前の飲屋街は夜にならないと活気づかないようだった。仕方がなく、ネットでランチ営業店を検索してみたらお好み焼きの店が見つかった。行列ができる人気店らしい。この日は20分ほど待たされたが、店内に入ると予約の電話が次々とかかってきていた。
三原は広島県の街なので、広島スタイルのお好み焼きだと思っていたら、どうも「麺抜き」が三原流のようで、広島風お好み焼き、つまりうどんか中華そばが入っているものはモダン焼きとして区別されている。
周りの注文を聞くと、モダン焼きとお好み焼きは半々くらいだった。待ち席がカウンターの鉄板の前で、目の前で次々とお好み焼きが焼かれていく。それを見物しながらの待ち時間は、待たされているのが全く気にならない。
水溶きの粉を鉄板の上に乗せて焼くのはクレープみたいなものだ。そこにキャベツを乗せ麺や具材を乗せる。火が通ったところで、鉄板に卵を割り薄く伸ばした上に、焼けた粉と蕎麦と具材を裏返しにして乗せる。なかなかリズム感を感じる見た目が美しい調理作業だ。

出来上がったお好み焼き、イカ入りのモダン焼きをヘラを使って食べる。炭水化物の塊だが、実に美味しく食べられるのは、ソースの濃い味付けのおかげだ。ただ、中に入っているそばにはほとんど味がないので、濃いめのソースが良いバランスになる。
大阪式お好み焼き、つまり麺抜きのお好み焼きも、それはそれで美味いので広島式、大阪式のどちらがお好み焼きとして本物かというつもりはない。
家庭で作るお好み焼きは火力が弱いせいが、仕上がりが水っぽくベタついてしまうので、お好み焼きは専門店で食べる方がはるかに美味い。麺入りになればなおのことだ。
三原流の麺なしお好み焼きも食べてみたかったが、2枚食べるほどお腹に余裕はなかった。

三原駅から瀬戸内の島につながる連絡船が出入りする港まで、歩いて行っても5分程度だった。その港に続く道が飲屋街になっているのは、ある意味必然だという気もする。島から酒を飲みに来る人が多いのだろう。そのためなのか、宴会場的な居酒屋より二次会向けスナックが多い感じがする。
ただ、雑居ビルもあちこちが空き家になっているのが目立つ。コロナのせいか、人口の変化のせいかはわからないが、瀬戸内の島から人が集まってくる「夜の社交場」としての役割はだいぶ減っているように見える。
三原の隣には広島県第二の都市、福山があるのでそちらにいく人も多いのかもしれない。しまなみ海道を使えば、福山と大きな島は陸続きだしなあ、などと思い裏通を歩き回ったが、人とすれ違うことはなく、猫すら見かけなかった。なんだか不思議な街だなあ。

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カルネという食べ物

新大阪駅でポスターを見かけて、なんというか不思議な食べ物に見えた。サンドイッチだが、バンズを使っているようだ。ハンバーガーに似ているが、どうも具材は随分と薄いように見える。試しに一個買ってみようかと思ったが、そのまま通り過ぎてしまった。

帰りの新幹線の待ち時間に、構内の土産物を見て回っていたら現物を発見したのでとりあえず買ってみた。京都のパン屋が作っているらしいのだが、カルネとは一体どういう意味なのかはわからない。仕方がないのでホームページで確かめてみたら、色々と詳しく書かれていた。名前はフランス語、商品の原型はドイツで見たもの、それをアレンジして今では「京都市民の国民食」らしい。
確かに、京都でパン屋巡りをしたことはないので店名が記憶にないが、ホームページで確認したお店の数からすると京都では知名度No.1的なブランドだろう。

ペッパー味も置いてあったのでついでに買ってきた。両方を食べ比べてみたが、これは京都人だけ、つまり食べ慣れている人間だけが理解できる味の差のような気もする。サンドイッチとしては、具材を楽しむ設計ではなくパン生地を味わうもののようだ。個人的にはちょっと寂しい感がするのだが、京都市民が愛してやまないものらしいので、京の味覚がわからない田舎者ということだろう。名物にうまいものなしという言葉もあるが、京都の味は高尚すぎるのだろう。パンを楽しむサンドイッチとは恐れ入った。


新大阪の駅で買った土産物は、栗味と芋味の生八つ橋だったのだが、その土産物屋ではオリジナルの生八つ橋が置いていなかった。いわゆる味変シリーズばかりになっていて、京都の伝統と現代の革新みたいなギャップを感じていた。伝統にあぐらをかくことなく革新は良いのだが、オリジナルを忘却してはいけない気もする。このカルネは同じ味を守り続けている上にペッパー味を加えたということだろう。
京都名物を新大阪の駅で売ること自体、京都商人の才覚というか販売力はすごいものだと思う。ただ、それをいえば伊勢名物赤福も新大阪の駅内コンビニで棚に山積みされているので、伊勢商人の方が上手らしい。西国商人恐るべしということかもしれない。
東京駅で埼玉や千葉の名物を売っているかと考えると記憶にない。浅草名物の和菓子の工場が埼玉にあるのは知っているが、あれは東京名物だ。そもそも埼玉名物とか千葉名物と言われても、商品名がすっと出てこない。横浜名物の崎陽軒「シウマイ弁当」が東京駅でも売っているので、神奈川は別格なのか。神奈川商人とは聞いたことがないけれど……………

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高価格回転寿司の仕組み

まるで居酒屋のように大量の日本酒がならぶメニューがあるが、ここは歴とした回転寿司屋だ。埼玉県で回転寿司といえば、基本的に道路沿いにある郊外型店舗が主流で、一時間も車で走ると道路沿いに5-6軒は見かける。回転寿司高密度地帯だ。すっかり数を減らしたファミレスより多い感じもする。
その回転寿司が駅ビルの中に出ると、ファミリー層が少ないせいなのか、夜のサラリーマン需要みたいなものを狙っているのか、海鮮居酒屋風になっている。コロナの間は昼に来るだけだったが、そろそろ夜の営業も見学してみよう出かけてきた。午後6時で満席だった。盛況なのだが、今では当たり前の光景になっている「寿司が回らない回転寿司」だった。

とりあえずメニューを開き(開くとは比喩的表現で、実際にはタッチパネルをポチッと押す)、酒を選ぶことにした。そこにはやかん酒という風変わりな熱燗が載っている。やかん酒にもプレーンなものと味付きがあり、今回は味付きの昆布酒にした。昆布酒の味は、昆布茶の日本酒割みたいなもので、酒としてはなんとも微妙だ。おまけに名前も、なんだか微妙だ。
もう一つおまけにヤカンに入った酒を固形燃料で温める仕組みだから、飲んでいる途中でも加熱が続き、ちょっと油断すると熱燗どころか、飲めないほどの熱々になってしまう。最初の一杯であれば良いが、飲みが進んでからは温度管理ができない危険な酒だ。、熱燗飲んで、口の中を火傷するのは結構間抜けなきがする。

一緒に頼んだ海鮮炙りのつまみはカニ甲羅だった。カニのほぐし身と蟹味噌が甲羅の中でぐつぐつと……………を期待したが、こちらは火力不足のまま生煮え状態で火が消えてしまった。
経験的には、居酒屋の固形燃料を使ったコンロは途中で火が消えてしまうことが多い。これは、固形燃料が保管中に劣化して燃焼時間のばらつきが出るためだと思う。この点は燃料メーカーのせいというより店舗での保管が悪いようだ。

メニューにイカの唐揚げがあると、大体無条件で注文してしまう。ほとんど条件反射的な悪癖だという自覚はあるが、うまいもんは美味い。ただ、チェーン居酒屋で頼む唐揚げは大量生産品が出てくることもあり油断できない。
回転寿司屋であれば大丈夫かと思ったが、よく考えれば回転寿司屋でイカを丸のまま仕入れてそれを捌いて、という手順でイカを使うだろうか。そのさばき工程なしで、丸いイカの胴体部分の唐揚げを作ることはできないはずだ……………などとちょっと疑惑を持ってしまった。
結果的には、食べてみても普通に美味いと思ったが、ゲソがちょっと硬めなので疑惑の完全解明にはならなかったなあ。今回は居酒屋メニュー中心にあれこれ頼んでみたので、寿司はほとんどおまけだ。

本日のお目当ては、塩辛の軍艦だった。この塩辛軍艦巻きはどこの回転寿司屋でもおいてありそうなものだが、意外と見かけることは少ない。経験的に回転寿司屋によって巻物や軍艦のラインナップは相当に異なる。
軍艦巻きのネタに関してチェーンとして何か特別な思い入れがあるのかと言いたいくらいのばらつき加減だ。
塩辛軍艦はなくてもチャンジャ軍艦があったりする。ハンバーグ軍艦と焼肉軍艦は店によってあったりなかったりする。最近では、焼肉に変わり炙りカルビなどという進化系肉乗せ軍艦も生まれている。どこでもあるのがサラダ軍艦だが、これは名前が同じだけで上に乗っているマヨサラは店ごと(ブランドごと)にほぼ別物だ。
あれこれ事件が起きて、回転寿司も変化が続いているようだから、もう少し継続して観察してみようか。高級回転寿司は一人飲みに向いた居酒屋化しているのは確かだった。

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天王寺の飯屋 極上でした

天王寺に泊まった夜、散歩をしていて発見した定食屋に入ろうとしたらすでに閉店時間間近だったので、翌日に出直すことにした。ランチタイムだが開店時間は遅い。普通は11時くらいに店が開くだろうが、この店はなんと12時をすぎてからの開店だった。
昼のピークを外して午後1時過ぎに出向いたが、すでにというか、まだというか、満席だった。人気店なのだ。隣のラーメン屋はさほどの混み具合でもないようだったから、ランチ難民の街ということではなく、やはりこの店が人気なのだろう。

カレーライス 生卵入り は、大阪風だろうなあ あとは、きつね丼かあ

まずはオムライスを注文する。時間がかかるが良いかと聞かれたので、問題ないと答えた。この店に入る前からオムライスにすることは決めていた。やきめしにも心引かれる。いつのも迷い方だが、この日はもう一つ迷うことがあった。典型的な町中華料理屋のように見えるが、ラーメンはない。そこがちょっと不思議だ。ラーメンがあったら食べてみたい気はあるのだ。多少無理しても……………
と思っていたら、中華そばと書いてあった。うーん、この書き方は騙し討ちみたいなものだ。きつねうどん、たぬき蕎麦の後ろに中華そばと書かれてあると、蕎麦の一種だと勘違いしてしまった。これは多分、いや間違いなくラーメンのことだ。しかし、周りの席を見渡してみても誰一人中華そばを食べていない。半分の客がオムライスを食べている、あるいは待っている。これは、一旦思考停止にしよう。

美味しいオムライスだったが、特に大阪風ということはないようだ いつでも食べたい「うまし」だ

そして、メニューにはしっかりと「たぬきそば」があった。朝、駅蕎麦で確かめたのだが、どうやら大阪ではたぬき蕎麦の定義がお江戸と違うらしい。駅蕎麦だけが特殊ということではなく、一般食堂でもたぬきそばは存在している。
麺の上に油揚げが乗っていると、うどんであればきつねうどん、蕎麦であればたぬき蕎麦と呼ぶらしい。お江戸風にかけそばの上に揚げ玉(天かす)が乗っている「たぬき蕎麦」はメニュー上存在しないようなのだ。これはやはりたぬきそばも追加注文して実態調査をするべきではないか………

メニューは全く乗っていないサイドメニューは、背中の後ろにあるガラスケースの中にたっぷり入っていた。セルフサービス式でおかずが10種類ほど選べるようだ。
チラリと覗いてみると卵焼き、ほうれん草のおひたし、焼きししゃも、コロッケなどなど魅力的なラインナップで、ついついあれもこれもと食べたくなる。ご飯に味噌汁のセットを注文して、おかずはガラスケースから持っていくという客もちらほらいる。ええい、どうすると迷っているうちにオムライスが到着してしまった。
これまた見事な街の定食屋スタイルのオムライスで、まさにコンプリート版という感じがする。実食しても満足感は変わらない。優れものだった。

帰り際に「おおきに」といわれた。大阪で実際にこの言葉を聞くのは極めて稀な気がする。「ありがとう」と尻上のイントネーションで言われる大阪スタイルも最近は減ってきた気がする。全国チェーン店の接客マニュアルに書いてあるのは東京弁だが、研修が動画になっているせいか、発音すら東京弁に似てきているのだろう。それが実感としてわかる。
テレビ番組では、大阪イントネーションを強調するインタビューばかり映して異国感を醸し出したいようだが、街の中の会話を聞けば随分とマイルドな発音になっているのがわかる。
天王寺という場所は、また大阪の下町感覚が残っているのかなとおもった。ただ、地理感覚でどこが大阪の下町なのかはよくわからないが、おそらく大阪市南側がそうだろう。つまり難波から天王寺あたりは「ど」がつくほどの下町なんだろうな。確か、じゃリン子ちえはこの辺りで暮らしていたのではなかったか。

オムライスに感動しながら、大阪文化論に浸る、天王寺の昼下りでありました。

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たぬきそばの衝撃

最近めっきり姿を消した商売が、駅近くにある立ち食い蕎麦だろう。ハンバーガー以上な性能を誇る、ジャパニーズ・ファストフードの筆頭だが、コロナの間は通勤サラリーマンの激減で廃業に追い込まれた店も多い。
コロナ後にサラリーマンが戻ってきて、おまけに同業者がそこそこ廃業してしまったせいか、生き残り組の混み具合は凄まじい。前日見た時は、午後2時、午後5時、どちらも券売機の前に行列ができていてカウンターは満席(?)だった。
そこで朝早く来てみれば大丈夫かと午前7時前に来たのだが、すでに満席でカウンターのあき待ちになった。

とりあえず券売機でかき揚げ蕎麦を買い、蕎麦が出てくるのを待っている間にメニュー表を眺めていた。何か大阪特有のメニューがないかなと思ったのだが、並んでいるものはサイドアイテムを含めお江戸と似たようなものばかり。やはり並行進化というか、立ち食いという業種でそれほどユニークなものは出てこないのか。などと思っていて、気がついたことがある。
きつねそばがない。たぬきそばが変だ。

買い上げ蕎麦だが、なぜかネギダクな気がする

うっすらとした記憶で、大阪では油揚げが乗ったうどんはきつねうどん、油揚げが乗った蕎麦はたぬきそばというのだったような……… 記憶はあまり定かではない。それでは油揚げではなく、揚げ玉(天かす)が乗った蕎麦を探してみたが、そんなものは存在していないらしい。
そもそも、麺の選択が、「うどん」「蕎麦」までは理解できるが、その後に続く「黄麺」とはなんだ? 語感からすると中華麺のような気がする。和風出汁の蕎麦つゆでラーメンを作る文化は日本のあちこちにあるのは知っているが、浪速のターミナル駅蕎麦でそれが存在とは。
さりげないが、ある意味とてつもないカルチャーショックを受けた。大阪南部、下町地区はもう少し探訪してみる価値がありそうだ。次回は、黄麺に揚げ玉をのせられるか聞いてみようか。

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自由に使える 自由軒

晩飯にはB級なグルメが良いと思いネットであれこれ定食屋を検索して発見した一軒がこの店だった。表に立つと、実に味があるルックスで、おお、これはタリを引いたと思った。暖簾にかかる「おでん」が、実に期待を持たせてくれる。

引き戸を開けて店内に入ると、すかさず「お帰りなさい」と言われた。これはちょっと嬉しい。長く通っていた恵比寿にある居酒屋でも、入店の一声が「お帰りなさい」だったが、それを遠く離れた西国の街で聞くとは。

カウンターに座ると、目の前にはおでんの鍋が見えている。壁の品書きを見回すが、おでんの具材は何も書かれていないので、現物を見て注文するようだ。豆腐とちくわ、そして巾着を注文した。ただ、おかみさんによると巾着とは言わないらしいが、よく聞き取れない。餅入りなんとかと言っていた。
構わずに、食べてからの楽しみとそれを頼んだ。おでんの上には甘い味噌がたっぷりとかけられて出てきた。味噌おでんは東北、青森でも定番だが、この赤味噌系のルックスは初めて見た。味噌田楽はこんな見栄えだったか。
出汁が染み込んだおでんは美味いものだが、濃いめの甘味噌もそれを引き立てる。巾着だと思っていた油揚げの中身は餅だった。ああ、これも美味いなあと感激した。酒の肴として餅はどうよという気もするが、出汁が染みた油揚げと合わされば、すっかり気分は天国だろう。

壁に貼られたメニュー(品書き)にシャコ酢があった。ひょっとすると、ジャコ酢、つまりちりめんじゃこの酢の物かという疑念も頭を掠めたが、注文してみれば大好物のシャコだった。確か、ここから岡山寄りにある町はシャコの名産地だから、そこから届いているのかもしれない。
なんだか、とてつもなく贅沢をした気分になったのは、最近めっきりシャコが食べられなくなったからだ。確か江戸湾でもシャコはよく取れるはずなのに、食べる機会がない。お江戸のシャコはどこに行ったのだろう。
これは思わずおかわりがしたくなるほどの美味さで、旅先で拾った儲け物で美味しい肴だった。瀬戸内の海に感謝だ。

そして、締めのメインに選んだのがオムライスだ。最後の最後まで「やきめし」とどちらを注文するかで迷った。が、やはりオムライスがあれば、頼まないわけにはいかない。ひょっとすると飲み屋的に小ぶりなサイズであれば、ちょっと無理をして「やきめし」をおかわりしても良いかと思っていたが、出てきたモノをみてすぐに諦めた。どう見ても普通サイズの1.5倍、いや厚みを入れたら2倍くらいのボリュームがある。これでは一皿完食するのも難しそうだ。
味付けは昔ながらのケチャップ味チキンライスで、予想通り、期待以上で満足度120%のオムライスだった。おまけに、添え物の福神漬けがサイドアイテムといいたいくらいの盛りの良さ。これにも感謝だ。
感服しました「自由軒」さま、ありがとうございます。全てが美味しい・嬉しい・楽しい定食屋であり居心地の良い居酒屋でありました。

帰り際に覗いてみたら、お城がライトアップされていた。良い町だな、福山。

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焼豚玉子飯 見参!!

某県民の紹介番組で見かけたご当地名品、名物料理には時々心をぐいっとそそられるものがある。愛媛県今治の賄い飯発祥という名物丼?は、一度食べてみたいものだとずっと思っていた。
テレビで見る限り、自分で再現できそうなシンプルメニューだが、なんちゃってコピーをする前に、やはり一度は実食してみたいのが人情だろう。
たまたま、今治で時間が空いたこともありネットで場所を調べてノコノコと食べに行ったのだが、徒歩15分かけて行く価値はあった。
ちなみに、地方都市はすでに自動車なしで生きてはいけない(生きてはいけるがとても不便な暮らしになる)社会なので、いざどこかに出かけようとすると、バスかレンタル自転車しか使えない。
ただバス路線は旅行者にはなかなか理解できない。事前にたっぷり時間をかけて調べないと、まず使いきれない。諦めて歩くかタクシーを利用するしかないのだが、行きにタクシーを使っても帰りの足の確保がこれまた面倒だ。というわけで徒歩にてレストランを目指した。
散々歩いた後で、駅前でレンタサイクルにすればよかったと後悔したが、とりあえず頑張って歩き通してヘロヘロになりながらたどり着いた。店舗前の駐車場は満車で人気ぶりがよくわかる。

トイレに行って帰ってきたらテーブルの上に乗っていた 提供速度は1分?

お目当ての焼豚玉子飯は予想通りのルックスで、おまけに牛丼より早いかもと思う提供速度だった。米の量は丼飯?としても多めだろう。目玉焼きの下には焼き豚の切り身が敷き詰められている。
比較的硬めの焼き豚(確かにチャーシューというよりやきぶただった)に、半熟卵の黄身を纏わせて食べる。甘い醤油タレが絡むと、実に旨しだった。
最初の感想は、なんともストロングスタイルな丼料理だ、というものだった。正確にいうと丼というより中華料理店によくある具乗せご飯で、かけご飯系のめしだ。系統的に言えば中華飯の一族だろう。
皿の上に見えているのは全面的に目玉焼きなのだから、冷静に見ればずいぶんシンプルなルックスだ。まさに玉子飯だ。ところが、その下に隠れている焼き豚と合わせると、「実は私、脱ぐとすごいんです」的なグラマラスな「飯」料理になっている。
岡山名物のバラ寿司に似た、表はシンプルだが中身は豪華な食べ物という感じだ。自作で再現しようとすると、まずは焼き豚の製造が高い難度になりそうだ。煮豚ではなく、焼き豚にするべきだろうと思う。甘いタレは市販の照り焼きソースをアレンジすればなんとかなりそうだが、焼き豚の仕込みに使ったものを流用する手もありそうだ。
ただ、この実食した「目玉焼き2個」に対応するボリュームにすると、自宅ランチとしてはちょっと多すぎるので、玉子一個バージョンにアレンジするべきだろう。

いやはや、まだ食べたことのない「すごく美味い料理」はたくさん存在するのだな。

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もう一つの焼き鳥

今治で足止めを食らった弾丸ツアーだったが、そこは意識を切り替えて前向きに今治を楽しむことにした。この地の名物といえば今治焼き鳥なので、泥縄的にネットで焼き鳥屋を調べてみたら、ホテルの近くに有名店があった。開店時間直後を狙って出かけた。そこで今治焼き鳥に初見参した。

ただし、目的はもう一つあった。今治焼き鳥にチャレンジも心惹かれながら、興味津々だったのが「せんざんき」という料理だった。これは今治特有の鶏の唐揚げのことらしいのだが、どうやら北海道名物?であるザンギのルーツらしいという説を聞いたことがあるからだ。ご当地鶏料理は全国あちこちで散々試してきたが、実はこの今治名物の鶏料理二品は今まで未見のままだったのでワクワクでありました。

鶏皮うまし キャベツはお口直しに

今治焼き鳥は串に刺さっていない。鉄板の上で肉を焼き、それを鉄の重しで押し付けて仕上げる。どうやら調理時間を短縮するための仕掛けらしい。造船町なので、飲みに来るおっちゃんたちが料理を待つのを嫌がる傾向にあるようで、時短調理になったと聞いた。
主流は鳥皮だとのことなので、まずはそれを注文した。串に刺さった皮とは全く別物で、カリカリとした歯触りとジュワッとした油が良いバランスだ。それを甘い味噌タレにつけて食べる。ポリポリという感じで一皿を速攻で完食した。これはなかなかいける食べ物だ。が、真似をするのはちょっと難しいかもしれない。

二品目に蓮根の焼き物を頼んだ。穴の中には詰め物がしてあり、それを味噌タレで食べる。頭の中に浮かんだのは、焼きおでんという言葉だった。普段はあまり食べない蓮根だが、こうして食べるとこれまた美味い。蓮根の硬めの歯触りが珍しい。芋料理ではこの歯触りは難しいだろう。レンコン、すごい。

胸肉と手羽の唐揚げ これもうましだ

そして最後に「せんざんき」に挑戦した。カリッと揚がった骨付きの鳥唐だった。おそらく醤油タレに漬け込んで味を染み込ませた、味付き唐揚げなのだが、これが北海道ザンギのルーツと言われると、ちょっと微妙な感じがする。
比較的薄味だということもあり、ニンニク醤油でガツンと来るザンギと比べると、相当にオシャレ感がある。
カリカリ衣の唐揚げがお好みであれば、これはまさにドンピシャな唐揚げだろう。これのもも肉も食べてみたかったなあ。

カウンターに小上がりがある小体な店だったが、実に清掃が行き届いていて、店内には焼き鳥屋でよくみられる油でベタついた感じは全くない。店主の接客もキビキビとしていて気持ちが良い。素晴らしいお店だと感嘆してしまった。
今治焼き鳥は、実に旨いものでありましたが、それはこの店主のおかげなのだと思う次第。やはり、お店の質は人で決まるということでしょう。

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クラシカルディナーin松山

松山に滞在した時間は極めて短いのだが、妙に印象に残る街だった。大街道から松山市駅に続くアーケードを散歩して、かなりくたびれたところで遅めの晩飯に選んだのは、なんとも風流な?、いや、見た目賑やかな居酒屋だった。
店名がなかなか笑わせてくれる。これが自◯党だったら、入るのを躊躇ったと思う。店名の頭に「立憲」の文字がついたら、随分嫌な感じがして入らなかったかもしれない。
しかし、民の酒なのだから、それは歓迎するべきだ。

商店街を歩く中で散々見かけてきた鯛めしの看板にひきずられて、まずは鯛の刺身を頼んでみた。面白いなと思ったのが、醤油が甘い濃口だったことだ。海を隔てた大分の醤油、いわゆる九州醤油に似ている。大分と愛媛は瀬戸内の端というか伊予灘を挟んだ向かい合いの地なので、一部の食文化は同化しているのかもしれない。
鯛の刺身は好物なので美味しくいただいた。お値段を考えると、これはすごい値打ちがあるような気がする。

当然のように、追加したのが宇和島じゃこ天で、まずは何もつけずに一口。続いて醤油をつけて味変。魚の練り物としては宮城の笹かまぼこがまず思い浮かぶのだが、あれとは違う魚の揚げ物の代表だ。全国各地に、魚の練りものを揚げた「天ぷら」「〇〇揚げ」「〇〇天」は数多くあるが、個人的な好みで言えばじゃこ天が一番だ。
特に揚げたて、熱々を食べるとほんのりと人生の幸せを感じる。普段はほとんど練り物を食べないのだが、これだけは別格だ。これに続く揚げ物といえば、宮崎の飫肥天だと思うが、あちらはかなり甘い味付けなので同じ魚の揚げ物として種族は異なる。飫肥天も揚げたてはとてつもなく美味い。

サーモンのカルパッチョとは………

こういう大衆居酒屋では、それなりの定番がある。モツ煮であったり串焼きであったり、おでんであったりする。ただ、その大衆居酒屋にも技術革新の波は押し寄せてきているのだ。
なんと、メニューに当たり前のようにカルパッチョがある。ちょっと興味を惹かれて注文して見た。瀬戸内魚のカルパッチョに違いないので、どんな魚が出てくるか楽しみだった。
答えは、サーモンだった。なんだか肩透かしを喰らったような気もする。善意に解釈すれば、カルパッチョは洋物メニューなので、洋物の魚にしたということかもしれない。しかし、まさか、瀬戸内の街でサーモンを食べることになるとは。まあ、その個人的な期待を除けば、おいしいカルパッチョ松山版ではありましたよ。

熱燗を頼んだら地元の酒がコップで出てきた。これが、まさに大衆居酒屋の大衆居酒屋たるところで、銚子ではなくカップ酒というのが素晴らしい。ただ、周りを見渡してもほとんどがビールとサワーだったから、コップ酒はすでに廃れゆく酒文化なのだと、この地でもまた改めて確認できてしまった。残念。

ドリンクメニューの端っこに書いてあった注意書きが、果てしなく悲しみを呼ぶ。居酒屋に来て飲み物(酒とは言わない)を注文もしない客がいるのか。確かに駅前の居酒屋だから、飯を食べにくる客もいるのだろう。ただ、居酒屋は飯では儲からない。酒を頼み、つまみを頼み、締めで食べてもらうために安価な飯を置いている。それを、水と飯で注文されると儲からないどころか赤字かもしれない。
俺は客だぞ、飯だけ注文して何が悪いと言い張るクレーマー客が大量発生したのだろうな。
不文律とは書かれていなくても守るべきルールはあるということを言う。それが通じなくなれば文化は破壊される。ジジババは若い世代にそれを教え伝えなければいけないと思うのだが、ふと心の中をよぎる疑惑がある。この水だけ飯食い客は、いい歳をしたオヤジやオバン、いや、もしかするとジジババではないのか。多分、そうんだろう。
最近の若いものは……………というセリフは、なんと3000年以上昔のバビロン帝国の記録に残っているそうだから、ほぼ人類が誕生して以来ずっと続いている悪習だろう。ただ、最近のジジババは、道徳律が崩壊したクズ人間が多いのも事実で、若者をあげつらう資格などかけらもないとは思うのだ。
世も末だな。

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駅そばを食らうはずが

福山の駅前というか駅に直結した場所で駅蕎麦を発見したのだが、実はこの店の屋号が店頭ではよくわからない。お江戸でよく見かける駅そばは、店頭の看板や暖簾でしっかりわかるのだが。

店内に入ると、どうやら屋号は「めん」らしい。いや、「あじわい処 麺」らしい。多分、広島県のJR駅のあちこちに支店があるのではないかという気もするが、実際に確かめてみるつもりはないので、あくまで憶測だ。

その店の入り口に大きなラーメンの看板があったので、最初はラーメン屋なのだと思った。瀬戸内のこの辺りでは尾道ラーメンが有名だが、見た目にはちょっと似ているような気がする「福山ラーメン」だ。
説明書きを読むと、ますます尾道ラーメン的な雰囲気も感じるが、ここはお店の気合を信じて福山ラーメンを頼むことにした。

見た目は背脂ちゃっちゃ系みたいだが、味はさっぱりしていた

出てきた福山ラーメンは、もろに店頭看板と同じルックスで、まさに看板に偽り無しだ。実食してみると、これまた看板に書かれている通りで、個人的にはちょっと懐かしい昭和の醤油ラーメン的な味わいを感じた。
最近の人気店では豚骨ベースが当たり前の濃厚味が中心だから、鶏ガラスープでさっぱりと……………などとくると、これぞ昔の王道だったのだよ、と言いたくなる。が、今では、これがすっかり変化球扱いになっている。
朝から美味しくラーメンを完食したが、周りで食べているサラリーマンは皆うどんだった。どうやら、福山はうどん文化圏みたいな気がする。瀬戸内の反対側は愛媛県なので、うどん県香川の影響は薄い気もするが、そもそも瀬戸内全域がそばよりうどんなではないかと思う。
広島名物お好み焼きでも中に入れる麺は、中華麺よりうどんを好む人が多いと聞いたこともある。うどん県のラーメンはどんな変化をするのだろうか。そういえば、香川でラーメン屋に入った記憶は全くないから、それもいつかは確かめてみたい。
旅先の街に行ったときには、駅そば探しで少し時間をかけてみようかと思った。また面白いものにお目にかかれるかもしれない。
旅するときにテーマは大事だよね。