食べ物レポート, 旅をする

ジンギスカンの旅

こリスマスという期間は、人生の大半の時期をただただ忙しく働く日だと思って過ごしていた。神社やお寺の初詣の混雑と同じで、一種の職業的な宿命と諦めていた。それが、ここ数年はコロナのせいでもあり、家にいておとなしく過ごす時間と変わっていた。ただ、長年の夢であったクリスマスに何か休みっぽいことをしてみたいという思いもあり、たまたまポカリと空いた時間に路線バスでプチ旅行をしてみた。
実家のある郊外駅から路線バスに乗り、およそ1時間ほど離れたところに温泉兼キャンプ場という施設がある。冬だからキャンプはできそうにないが、温泉客は多いようだ。バスは温泉施設の入り口前に停車するので、なんとも便利な施設だ。ただ、流石にクリスマス当日に温泉にいく酔狂な客はいなかった。終点で降りたのは自分一人で、やはりクリスマスは誰かと一緒にすごすものなのか。
ただ、その温泉に行く途中の景色が、まさにThe北海道の冬という感じがした。真っ平な場所が延々と雪で白いというものだ。夏は、この辺り一帶、すべて畑か水田だったはずだが、雪に埋もれて見当もつかない。

キャンプ場の受付も兼ねる建物にジンギスカン専用レストランがある。世間的には「チキン」を食べる日だが、自分だけは羊肉を食べるのだという高揚感がある。
ところが、レストランにに入ると昼前にも関わらず、何組かの「アンチ・チキン」派と思われる客がいた。世の中には変わった人が多いものだなあ、と自分のことを棚に上げて感心してしまった。
ちなみに、室内はジンギスカン特有の匂いが充満している。入った瞬間から、帰りのバスの中を思い(つまり自分がジンギスカン臭を強烈に放つことへの申し訳なさ)ちょっと怯んでしまった。

単純な注意事項だが、温泉に入ってあとに、帰りぎわでジンギスカンを食べると、身体中が羊肉臭くなるので、温泉に入った意味がなくなる。ジンギスカンを食べてから温泉に入るという手順が正しいので、それを間違ってはいけない。
ちなみに、なぜこの場所にジンギスカン・レストランがあるかといえば、この町が味付きジンギスカン肉で有名だからだ。肉屋兼レストラン営業をする店もあるくらいだ。最近はすっかり主流になったタレ付き肉のジンギスカンだが、昔は冷凍肉をそのまま焼いてタレにつけて食べるのが、札幌圏ではスタンダードだった。だから、初めてタレ付き肉を食べた時は相当に驚いた。これまた邪道な食べ方だな、という感じだった。

ジンギスカンといえば七輪を使った炭火という固定概念があるが、現在は技術革新もあり無煙ロースターのような「煙吸い込み」グリルで、煙まみれにならずに済むらしい。すすきののジンギスカン屋もこうなっているのだろうか。数年前に行った店は、伝統的な煙モクモク、排煙施設なしの人間燻製製造機みたいなものだった。技術革新とはありがたいものだ。

このレストラン・オリジナルも含め3種類の肉違い(味違い)セットを注文できる。昔は肉をマトン(親)とラム(子)で分けたものだが、今ではロースという言い方もあるらしい。これはラムなのかマトンなのかと聞きたくなる。最近の北海道におけるジンギスカン事情に疎すぎるなと思い知らされた。
この一皿が二千円程度なので、焼肉屋に行ったと思えば、まあ普通な値付けだろう。ただ、個人的にジンギスカンとは焼肉の半額程度で、庶民のというか貧乏人の焼肉だという強固な思い込みがある。だから、ジンギスカンも随分と高級化したものだと改めて思った。
北海道では有名なジンギスカン肉ブランドの本店(滝川市)で食べたものより価格は高いのではないかという気がする。札幌市内にある、某ビールメーカー工場跡地の巨大レストランはなかなかの高級店だ。観光客目当ての価格設定でもある。そのレストラン並みという感じだ。
夏にはキャンプにきて、この店で肉を仕入れて屋外ジンギスカンを楽しむというのは良いアイデアのように思える。次回は夏だな。
とりあえず3食食べ比べをしてみたが、お気に入りは真ん中の肉だった。

この場所にバスで来たのは意味がある。北海道限定ビールを楽しむためだ。工場跡地レストランは観光客客向けの一大テーマパーク的な賑やかさがある。お客さんを連れて接待するのであれば、まさにぴったりな場所だ。そこであればビールもジンギスカンも堪能できる。ただ、一人でひっそりとジンギスカン&ビールを楽しむのであれば、工場跡地レストランは賑やかすぎる。八代亜紀的演歌な環境が望ましいが、店内が暗すぎると肉の焼け具合がわからなくなる。ほどほどに明るくて、ほどほどに静かなところが良い。まさに、郊外の店で、それも人が集う日にだからあまり混雑していないはずで、ひっそりと一人ジンギスカン道を嗜む。我ながら、良い場所を見つけたと思った。

この日も食べたのはジンギスカンのみ。全く夾雑物なしのストロングスタイルで楽しんだ。たぶん、こんなストイックな(笑)クリスマスの楽しみ方は、最初で最後だろうなあと思いながら。

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ちくわパンで夢想すること

他の店では、この倍以上のモリモリで陳列している人気商品

札幌発のローカルパンで最強なのは、この「ちくわパン」だと思う。初めて知ったときに感じた、パンにちくわ?という違和感は、もう一切感じない。生まれた時から売っていたような錯覚すら起こしてしまうが、実は発売されて30年くらいの新参名物パンだ。このパン専用に作られたちくわの中にツナマヨが入っている。いわゆる惣菜パンだが、見た目以上に食べた後の満腹感がすごい。小ぶりなパンだが腹に溜まるというか、「私、実はすごいんです」的なストロングテイストなパンなのだ。
この山盛りに積まれているちくわパンダが、この何倍もの量が1日に何度か補充されるくらいよく売れている。

イラストのように、パーティーのお供になるとはちょっと考えずらいのだが……………

おそらくちくわパンの原型は、ツナマヨおにぎりだったのではないかと勘繰っているのだが、熊本にある弁当チェーンで販売されている「サラダちくわ」なのかもしれない。そのちくわは熊本の名物であるのはまちがいない。ちくわの中にポテトサラダを入れて丸く膨らんだものを揚げている。ちくわ天の進化系みたいなものだ。おそらく、このちくわパンの会社の社長が熊本旅行に行ったときに、食べてびっくりして、それをパンにしてみた……………みたいな想像をしている。ありそうな話だ。
お江戸の立ち食いそばでは当たり前に売っているちくわの天ぷらが、アイデアの素になっていたかもしれない。北海道ではちくわの天ぷらをあまり見かけないので、お江戸の蕎麦屋か食堂でそれを見かけた可能性はある。
ただ、ちくわの天ぷらにツナマヨを入れるというのは、二重の発想転換が必要だし、個人的には熊本のちくわ料理インスパイア系ではないかと思っている。

食べるときにはツナマヨから出た油なのか、かなり手がベトベトしてしまうのが難点だが、今ではあちこちのパン屋でちくわパンのコピー品が出回っている。すでに、札幌名物に昇格したと思って良いだろう。
ちなみに北海道コンビニの王者、セコマでもオリジナルなちくわパンが販売されている。こちらは油少なめなので、食べ比べると面白い。

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酢豚を食べに行って残念だったこと

外気温がマイナスになることが多くなる、北の街札幌の12月だが、実はこの時期のビールが美味い。それも生ビールでぐいっという飲み方よりも、瓶ビールでクイっと飲むのが良い気がしている。
理由は簡単で外は寒いが中は暑いからだ。北海道での冬といえば明らかに室内気温は夏並みだから、外の気温に合わせて重ね着をしていると、レストランなどで食事をするときには時間経過とともに一枚二枚と服を脱いでいくことになる。最後はシャツを腕捲りしてしまうこともある。部屋の中は当然のように乾燥しているのでビールが美味い。

そんなときには、中華料理屋に行って酢豚を食べる。理由は、多分だが、甘辛いあんかけの料理が冬の体感温度に合うからだろう。夏の暑い時期には、あの熱々あんかけ料理に食指が動かないということかもしれない。まあ、いつでも酢豚はおいしいけれどね。
北の街で通い慣れた町中華に行った。地下街のハズレにあり、外の寒気にさらされることなく歩いていける。冬の便利スポットだ。
いつもの酢豚とビールを頼んだら、ちょい飲みセットにするとお得だと言われて、言われるままにそれを注文した。酢豚を食べているうちに、餃子が追加で出てきた。なんだこれは?と思ったが、お得なセットとはこのハーフ餃子がついているということだった。なるほど、と納得したが。この餃子3個というのが微妙な量で、ありがたいような有り難くないような……………

普通に美味しい餃子だったが、この後に注文しようとしていたハーフラーメンのスペースが胃袋から消えてしまった。やはりサービスセットについては、注文前によくよく内容を確かめておかないといけないなと反省した。
それにしても、この餃子はかなり大きめのサイズなので、普通に餃子を注文したらそれだけでお腹がいっぱいになりそうだ。次に行くときには、このサイズ感を忘れずにいなければねえ。若い頃であれば、こんなものへっちゃらだったと嘆いてみても仕方がない。

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ヨーカンパン 南北対決?

小ぶりに見えるがずっしりと思いヘビー級

北海道のヨーカンパンと高知のヨーカンパンは、遠隔地で並行進化したものらしく、どちらが元であったという関係は全くないそうだ。高知で見かけたヨーカンパンはあんぱんに羊羹をコーティングしたものだったが、今回見つけたものはコーヒー味の羊羹?がかかっていた。
ただし、実食してみると中のあんこの味が強烈すぎて、コーヒー風味は吹き飛んでしまっている(笑)。まあ、気分は大切だからなあ、コーヒー味の気分を重視して……味変してみるのは勇気ある挑戦だったと思う。応援してあげるべきだろう。
ただ、コーヒー味に合わせて中身も少しいじくりまわすと良かったのかもしれない。

ご当地パンとしてはそれなりにユニークさが光る名品だが、発売場所が高知県でも西の果て、宿毛となると簡単に手に入るものではない。お江戸にある高知県アンテナショップで見かけることもあるが、その存在を知る人はどれだけいるだろう。まさに、そこが惜しい。都内各所にある各県のアンテナショップでは、たまにご当地パンというか県民にとってはソウルフード的なパンが売っていることがある。これを探すのが楽しみなのだが。また、アンテナショップ巡りでもしてみよかな、などと思いながら高知で朝飯に食べたヨーカんパンでありました。

その後、北海道でヨーカンパんを手に入れた。こちらは札幌周辺では有名ブランドなパン屋「ロバパン」と「ニチリョー」の製品だが、両者で微妙にデザインが異なる。ロバパン製品はちょっとお買い得な2個入りで、コッペパンにホイップクリームが入ったものに羊羹がかかっている。羊羹の味は控えめだ。

日りょー製品は一個入りで、ホイップクリーム入りなのは同じだが、ちぎって食べるタイプなのでスナック的というかおやつ的な感じだ。羊羹は甘めの味付けになっている。
両者とも味の優劣はつけ難いのだが、ロバパンは売っている場所が限られているのでにゅしゅが難しいのが難点だ。売っている店でも、入荷数が少ないのか売り切れるタイミングも早い。開店早々に行かないと入手できないこともあるのが困りものだ。

高知vs北海道のヨーカンパンは、高知産が高級品で北海道産が普及品という感じがする。これ以外に日本のどこかでヨーカンパンが売っているのであれば、ぜひ見つけ出してみたいものだなあ。

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岡山で一番うまいもの賞

岡山初日で買えなかった「たくあんサラダ」なパンを翌日手に入れた。見た目は限りなくシンプルなコッペパンだ。横須賀で買ったコッペパンサンドに似ている。つまり中身が何にもわからない「謎」パンだ。

中身を開けてみたら、マヨネーズで和えたたくあんが具材になっていた。これまたシンプルの極みだ。
どころが、食べてみたら、感動の嵐だった。今まで食べたパンの中で一番美味いかもしれない。これまで食べたことがなかった、それが盛大に悔やまれる。人生にたまたま仕掛けられた罠にハマった気分だ。なぜ、このパンのことを知らなかったのだろう。人生の大事な時間を無駄にしたような気さえする。我が人生で、最良の師である「某ケンミンショー」でも、このパンのことはしらされていないのではないか?

岡山、すごいぞ!!であった。

「福神漬けサラダロール」は前日食べて感動していたのだが、改めてもう一度食べると、こちらも「たくあんサラダロール」とは甲乙つけ難い名品であるとわかる。龍虎決戦と言いたい。嗚呼、美味しい。

中身はカレー味のマヨネーズに福神漬けが入ったものだ。シンプルだが美味い。やはりこれを食べる時は、たくあんサラダと福神漬けサラダ、各一本づづを購入し交互に食べるのがよろしい。一度に2本食べると相当に満腹になるが、どちらか一本だけ選べと言われても選択に困る。
このサラダロールを食べるだけのために岡山に住むのはしんどいが、これを食べるために岡山に行くのは、アリだと思う。それほどの名品だ。
なんとか、東京に出店してくれませんか、岡山のキムラヤさん。お願いします。

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中華そば の源流

不勉強にして岡山ラーメンという存在を知らなかった。岡山駅前を歩くと行列ができていたので足を止めてみた。カウンターだけのラーメン屋だが、地元以外の観光客も入っているようだった。

入り口脇に店のいわれが書いてある。どうやら豚骨ベースの醤油味ラーメンらしい。瀬戸内地方は、どこでも魚介系スープが前提だと思い込んでいたが、それは間違いのようだ。写真を見るとかなり黒っぽいスープなので、九州中心の白濁豚骨ラーメンとは異なっているのがわかる。トッピングもシンプルのようだ。

その日は行列に並ぶのを諦め、翌日に再訪した。昼のピークをずらしたので並ぶことなくすぐ席についた。注文は一番オーソドックスな中華そばにしたが、自販機のメニューボタンが迷いを誘う。並びがちょっとわかりにくいのでまごついてしまった。普通の中華そばは一番大きいボタンにしてもらえればなあ。
出てきたラーメンを見たら、全てがスープの下に沈んでいる。これだけサブマリンなラーメンも初めて見た。チャーシューとメンマは比較的水面から浅いので存在はわかる。しかし、ネギすら沈んでいるというのは、スープの比重のせいか? あれこれ疑問も湧いてくるが、とりあえず実食。
思い描いていた濃厚豚骨風な味はしない。濃いめのスープに見えるが、予想外に淡白系なスープだった。麺も素直で主張してくることもない。調和、というのが第一感だった。
見た目よりおとなしい。これをベースに岡山ラーメンが展開したのだとしたら、確かに岡山ラーメンは「おとなしい系ラーメン」というべきだろう。お江戸の支那そばほどさっぱりではないが、味のバランスが良い。支那そばよりこちらの方がはるかに好みだ。

食べ終わり表に出たらまた行列ができかかっていた。どうやら店内の空き具合を見計らって地元客が列を作ったり通り過ぎたりしているらしい。老舗の風格というか、岡山市民の合理性というか。
ともかく美味しいラーメンだった。

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歌舞伎町 ハーレムナイト

やはり歌舞伎町は、ハーレム な感じがする

歌舞伎町タワーは昨年の話題を攫ったものの一つだろう。旧新宿コマ劇場前の広場を取り囲むように幾つもの高層ビルが出来上がったが、このビルほど賑やかしいものはないと思う。極めて歌舞伎町的でにぎにぎしい。
このビルの前に、いわゆる「キッズ」グループが屯しているのだが、どうらや公的機関が排除活動を始めたようだ。西新宿に多数集まっていたホームレスを排除したのと同じ手法だから、この先は簡単に予想がつく。広場は常設イベントスペースになるようだ。

初めて入ったが、自分で衣をつけて自分で揚げるセルフ串揚げは面白い

そんな歌舞伎町で、なぜか男二人でセルフの串揚げ食べ放題店に入り忘年会をすることになった。忘年会繁忙期を避けるために予定していた11月の飲み会が、何度かリスケになり、結果的に12月の中旬という忘年会ピークに合わせて歌舞伎町で酒を飲むことになった。周りにいる客はほとんど忘年会だったし、歌舞伎町なので外国人客も次々とやってくる。なかなか気忙しい。

イカがうまかったが、小さすぎるぞ

串に刺されている具材はどれも小ぶりなので、とりあえず10本くらい取ってきて揚げてみることにした。セルフ方式なので「安全安心」を心がけ、野菜あるいは加熱調理品だけにしようと思ったが、エビの串刺しには心を揺さぶられつい何本か取ってしまった。

タコさんウインナーの意味はなんだったのだろう

元・唐揚げ屋のくせに(笑)、ちょうど良い上がりのタイミングが読めない。適当に引き上げてみたら、どうも揚げ時間が長すぎたようだ。その次には早めに引き上げることにしたら、今度は生揚げだった。
スマホを使ってタイマー管理でもした方が良いかと、ふと昔の職業意識が芽生えるが、所詮飲み屋のつまみだし、そこまで気張るのもなんだかなあ。あっさり諦め適当に揚げることにしたのだが、なんとみるみる揚げ方が上手になっていくではないか。揚げている途中のジュワジュワいう音で揚がり具合がわかるようになってきた?らしい。

ソースは典型的な中濃ソースと梅味のものを選んだが、当然のようにチーズ味のソースもあった。今や平成世代にはチーズ味は鉄板なのだ。串揚げに飽きるとカレーライスも食べられるし、デザート類も並べてある。お口直しにアイスクリームも食べられる。
ただ、これを満喫するには、おそらく二十代の体力と揚げ物大量摂取に耐えうる油耐性が必須条件だ。おまけに、飲み放題をつけても「油負け」するので酒も飲めなくなる。年齢的には全く不適な選択肢だった。

やはり歌舞伎町は厳しい先生なのだ。幾つになっても教育的指導を与えてくれる。くそ、だから歌舞伎町で飲むのは嫌なんだ。これも、幾つになっても学ばない自分が悪いのだけれど。

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うますぎるパン 岡山編

岡山で街歩きをしていたら、繁華街のアーケード商店街の中に大きなパン屋があった。ご当地パンがないかと入ってみたら、ありました。まさにドンピシャだったと自分を褒めたくなったくらいだ。
コッペパンの中にクリームやフィリングを詰めたものが名物シリーズらしく、〇〇ロールという名前だった。おそらく一番人気は「バナナクリーム」なのだと思う。そこから派生して、お惣菜パン的な「高菜サラダロール」とか「福神漬けサラダロール」が生み出されていったと推測したのだが。翌日の朝飯にでもしようと、良さげな3種類を選んでみた。
パン屋としては営業時間のずいぶん遅くなった夕方だったので、棚の半分以上は空っぽになっていたから、遅くても昼過ぎくらいに来なければ人気パンは売り切れてしまいお目にかかれないようだ。これは後日再訪確定だなと思いながら、営業開始時間を聞くと、なんと驚きの6:30からの早朝営業だった。
岡山のパン屋さんはすごいなと感心してしまった。結局、朝まで待ちきれず夜食にバナナクリームパンを食べたが、これは絶品だ。甘さが控えめでバナナの香りがする。うまい。確か、商品棚にバナナクリームも別売りしていたような記憶もある。これは、マストバイだ。

超絶的にうまい (個人的感想です)

翌朝、福神漬けサラダロールを食べたら、一気に美味さで目が覚めた。カレー味のマヨネーズの中に福神漬けが入っている。シャキシャキの歯触りと、福神漬けから出てくる甘塩っぱさとカレー味のマヨネーズの相性が抜群だった。至高の味(B級部門)といいたい。これを考え出した人は天才に違いない。
なぜ、岡山以外でもこのパンが売っていないのだろうか。あまりにも不思議だ。だいたい経験的にいうと、全国各地のパン屋さんは皆さん研究熱心なので、どこか遠い地方で流行っている有名人気パンの情報を貪欲に入手している。その仕入れた?人気パンを再現しえ販売していることが多い(ようだ)。
要するに丸パクリなのだが、店舗近隣の客にはそれが遥かかなたの行ったこともない見たこともない地域での人気商品だとは知る由もない。だから、「おー、これはうまいパンだなあ」「この店はすごいパンを作ったものだ」と素直に喜んでくれる。パクったもの勝ちの熾烈な世界が、実は街のパン屋さん業界には存在する。
にもかかわらず、お江戸周辺ではこのカレーマヨパンを見たことがない。我がパン屋世界ランキングで、コッペパン部門の絶対キングである盛岡「福田パン」にはカレーマヨメニューがあるかもしれないが、全く覚えていない。多分ないのだと思う。
なぜカレーマヨパンは岡山にしか存在しないのだろう。カレーパンは全国にあるのになあ。

北海道発祥だと思われるちくわパンは、最近全国あちこちで見かけるようになった。お江戸のパン屋でも買えるのだから、ほぼ全国区な商品になっていると考えて良いだろう。
大きめの甘納豆が入った豆パンも、北海道ではほぼ全域でうられているが、北海道以外では四国の一部、静岡の一部でしか見られないローカルパンだった。今ではインストアベーカリーを置くスーパーでは、全国的な標準品になりつつある。
いまだにローカル限定といえば、近江長浜のサラダパンや久留米のハム入りなのにホットドッグといわれるもの、青森のイギリストースト、高知の帽子パンなど有名どころは数多く存在する。が、この岡山木村屋のパンは全く未見だった。(単純に勉強不足だろうと言われても仕方がない)
いまだに食べたことのない、知らないうまいものがたくさんあるのは諦めるしかない。が、いつも思い知るたびにショックを受ける。

もう少しご当地パン屋の研究をしてみようか。

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居酒屋 @池袋西口 IWGP

池袋は西口と東口で見せる顔が随分と違う。西口には大劇場があり、その前の公園もイルミネーションで飾りつけられると、どうも異世界感が増してくる。普段の西口のわい雑さはどこに行ったという感じもするのだが、夜は街の顔を美人に変えてしまう。

リアウ昭和がそのまま体験できる「生きた花石」で「生き残った奇跡」

ただ、一本裏通りに入ればそこは当たり前だが厚化粧の美人ではない日常空間が広がっていて、いつもの池袋西口らしい居酒屋がある。この日は長く付き合いのある友人たちと気楽な定例飲み会の日で、ここが会場になっていた。定例飲み会と称して都内あちこちの伝統的居酒屋周りをしている。今回は池袋西口編だった。そして、この店は昭和の空気が連綿と続くThe 居酒屋であり、昭和の絶対空間の生き残りだ。

擬似昭和な飲み屋は大増殖中だ

お目当ての店の横には、大チェーンが運営する二毛作飲み屋の最新バージョンがあった。おしゃれなバーカウンターが売り物だったはずの店が、いまでは暖簾をかけて居酒屋もどきになっている。
どうもこのセンスは、昭和レトロというより文化の揺り返しみたいなものらしい。ミニスカートや厚底ブーツが何十年ぶりにまた流行るみたいなものだろう。当然、昭和を懐かしむジジイを対象にしたものではなく、昭和と江戸時代の区別もつかない若い層向けの新コンセプトだ。昭和のj雰囲気でコンセプトを固めれば、それはもはや怪獣酒場やジャングルレストランと同じ「異空間」を楽しむ場所、テーマレストランの変形になる。そこを勘違いする昭和親父は多いのだが。
どちらにせよ、擬似空間の昭和とリアルな昭和が併存している不思議な池袋西口の光景だ。

まず頼んだのはタコブツとマカロニサラダ。そもそもポテトサラダではなく、マカロニサラダを頼んでしまうのは、我ながら不思議だ。マカロニサラダは炭水化物をおかずに炭水化物を食べるような微妙な肴というかつまみだと思う。マヨとマカロニという組み合わせは、多少なりとも罪悪感を感じさせるヘビーカロリーフードだ。
タコぶつは昔は安い肴の典型だったはずだが、今ではタコはすっかり高級品になってしまった。お気楽に頼める肴ではないのだが。
ダメな居酒屋であれば、細切れなタコが2−3切れしか入っていないこともあり、店によって当たり外れが大きい「困った定番メニュー」だろう。しかし、この店では大正解で、大ぶりに切られたタコぶつだった。タコの存在感がある。えらい。感謝だ。

おかわりの注文も、ど定番ばかりで、オニオンスライスにイカ天Etc. と進行する。いかにもお江戸の居酒屋っぽいものばかりになるが、そもそも目玉商品になるようなご当地名物がお江戸には存在しない。逆に、名物はないけれどドがつく定番があるということか。

最後に注文した煮凝りも、煮魚の残りを気まぐれに出すような店はあるが、メニューにしっかりと載せているところは少ない。自宅でたまにできる鍋の残り物みたいなふやけた柔らかさではない。しっかりとした噛みごたえがあるし、歯応えすらある硬い煮凝りだった。
あまりうまく言えないのだが、この食材の始末の良さみたいなものが、お江戸居酒屋料理なのかもしれない。魚の兜焼きだとか、あら煮みたいなものを食べるたびに感じることでだ。あの手この手で「原料」を使い切る工夫が、うまい物の発明に繋がっている。昭和というより江戸時代から続く、江戸町民の知恵みたいなものではないか。経済都市江戸で生まれた食文化は、その大部分が底辺階級、下級町民向けのものが発祥のような気がする。蕎麦、握り鮨、鰻にどじょうなどなど。貧乏な独身男性向けの立ち売り商売が発祥だと聞いている。お殿様向けの高級料理は、お江戸が京都を越えることができなかった。だが、大金持ちの商人が生み出したお江戸食い道楽は今でも残っているようだ。今ではどじょうもウナギも握り鮨も庶民のものとは言い難いけれど。

そんなお江戸文化論を頭の隅に置きながら昭和な居酒屋を出てみれば、そこには二十一世紀日本の大都市文化が広がっている。池袋西口は本当に不思議空間なのだなあ。

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立ち食い蕎麦を考察 

東京西部に多い 富士そば 朝そばはお買い得 モーニングサービスらしい

立ち食い蕎麦といえば大都市にはどこでもあると思っていたが、よく記憶を辿ってみると意外とそうでもないらしい。北から考えてみると、札幌にはほとんど立ち食いそばが存在しなくなった。今では地下鉄大通駅にある店くらいしか思い出せない。オフィスビルの地下などに数軒あったはずだが、今ではビル丸ごとなくなっている。新しいオフィスビルの地下に一軒立ち食いそばが開いたが、それは酒とそばの二毛作で、どうやら蕎麦は昼専用のおまけらしい。
仙台では路面の立ち食いそばがいまだに現役だ。仙台駅の改札近くには、今でも由緒正しい駅そばが存在する。立ち食いそば界では、明らかに仙台が札幌を圧倒する。新潟ではすでに観光地化した名店「バスセンター」の蕎麦があるが、街中では見た記憶がない。
名古屋であれば新幹線ホームに駅そば(駅きしめん)が威容を誇るが、在来線ホームにもどこかに立ち食い駅そばがあるらしい。これはまだ未見だ。
新大阪では、新幹線構内にある立ち食い蕎麦にたまにお世話になっていた。今回確かめてみたらなくなっていた。その代わりフードコードができていた。記憶が定かではないので、ひょっとすると在来線の方にあったのかもしれない。これは次回、探索だ。
ただ、梅田、難波の繁華街を随分と歩き回ったが「立ち食いうどん・そば」の記憶がない。たぶん、大阪の街のどこかにはあるのだろうが。と思っていたら天王寺の駅入り口で見つけた。やはりちょっとした街っぽい場所には存在するらしい。

天王寺駅のかき揚げ蕎麦

広島でも立ち食い蕎麦を食べたことはない。ただ、アーケード街にあるラー油そばの店がスタンディングだった。が、ラー油そば元祖の「みなとや」も含めて、立ち食いそばとはちょっと違う気もする。今でも営業しているだろうか。これも要確認だな。
下関駅で立ち食い蕎麦を食べたことはある。朝早くからやっている典型的な駅そばだった。やはり、今でも営業しているのだろうか。
福岡ではうどん屋が街中に数多くあるが、立ち食いの店は入ったことがない。博多駅に立ち食い蕎麦の店があったような気もするが、うろ覚えで記憶違いの可能性は高い。
電車通勤者が多くいる大都市圏ではそれなりに生き残っているが、車社会になった地方都市では立ち食い蕎麦屋が生存しずらいのは確かだろう。その代わりに、郊外型の蕎麦屋(ただし立ち食いから座り喰いに変化しているが)をそこそこ見かけるようになった。
どこもコロナ前の記憶なので、今ではすっかり消滅しているのかもしれない。サラリーマンの通勤に特化、依存した業態である「駅そば」の大半は生き残れなかったようだ。繁華街にある簡便な立ち食い蕎麦屋もテレワークが続いていた間に、それなりに店数を減らしたようだ。

立ち食い蕎麦屋はチェーン居酒屋と同じで斜陽産業化しているが、是非生き残って欲しいものだなあ。