街を歩く, 食べ物レポート

洋食屋 万歳

すごい大盛りで、とてもシンプルな外見

最近はオムライスを食べることが多い。たまたまで歩いた場所で、たまたま洋食屋を見つけるからなのだが、どこに行ってもオムライスはうまい食べ物だと思っていた。ただ、比較的続けてオムライスを食していると、まだ食べた記憶に残っているせいで味の違いがわかる。ケチャップライスの微妙な味付けの差が大きい要素だが、意外と卵の暑さというか焼き加減にも左右される。フワトロ・デミグラソースという平成以降主流のオムライスは食さないのでよくわからないが、昭和レトロなケチャップオムライスにはそれなりの言い分がある。
ちなみに、この店のオムライスは薄味だった。個人的にはもう少しチキン多め、味付け濃いめが好みなのだ。ただし、卵の上にかかるケチャップは大盛りなので満足感がある。飯の盛りもたっぷりで、普通盛りなのに大盛り的サイズになっている。完食するのがきついレベルだった。

メニューは洋食系の定番がてんこ盛りに並んでいる。もしもう少しお腹に余裕があったらハンバーグは食べたかった。みんちカツと書いてあるものは、おそらくメンチカツなのだろうが、それはぜひ食べてみたかった。しかし一番心残りなのはスコッチエッグだ。これがメニューにある店は、それだけで3回通う価値があると思っている。ビフカツも西国では当たり前だが、お江戸界隈ではあまり目にしない名品だ。
実に魅力的な店だが、また訪れる機会はあるのだろうか。旅先の食堂は一期一会だからなあ。

ほぼ女性客で占められる盛りの良い洋食屋という存在は、やはり街のお宝だろうなと思う。世の男性が好むボリューム重視な定食屋と対極をなす「おしゃれだけど腹一杯になる」洋食屋とは、地域の文化度合いを示すものだ。
しかし、なぜお江戸ではこのコンセプトの店がないのだろうか。浅草で人気の洋食屋は、これに近いところもあるが値段と量が全然違う。ファミレスの普及が何かの要因だった可能性はある。もう少し、西国の洋食屋を調査してみなければと食い意地優先で考えております。

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うどん屋の凄さとは

徳島の食文化は基本的に大阪ベースだと思っていた。今では地続きで神戸に高速道路で繋がっている。駅前からは当たり前のように、神戸三宮行きや関西空港行きの直通バスが出ている。
会社員時代も、徳島に関しては大阪と同様な販売施策でいけると踏んでいた。四国の他の三県はそうはいかない。地名の名前の通り、各県ごとに嗜好性やら販促に対する反応が違うので、四国はマーケットサイズの割に苦労する「重たい地域」だった。
ところが、どうもその常識が通じないようで、うどんに関しては讃岐スタイルがストレートに伝播しているらしい。大阪のうどんはどうなっているのだろうか。
徳島といえばラーメン県だと勝手に思い込んでいたが、隣県うどん王国からの侵略には寛容らしいのだ。

店内に入れば、カウンター前に行列をしてうどんとサイドアイテムをセルフでとるスタイルだった。どうもテーブルに座り注文をとってもらうというお江戸の常識は通用しない。このスタイルに文句はないのだが、それでも香川県の外で、某全国チェーン以外がこういう売り方をしているとは、なんだかすごいことだ。

まずはかけうどんにげそ天といういつものスタイルで食べてみた。これは確かに「讃岐うどん」だ。ちょっと麺が柔らかい感じもするが、高松でも店によっては麺の固さ柔らかさには差があるので問題といえない。出汁も濃いめの旨さいものだった。普通に美味いうどんだ。

それでも気になって、追加で釜揚げうどんを頼んでみた。釜揚げうどんは、ある意味かけうどんよりもうどんの質がわかると思う。茹で加減であったり、うどんの仕上げ方であったり、かなり素直にうどんの基本が現れるメニューな気がしている。だから、時間があるときはかけうどんではなく釜揚げうどんを注文する。釜揚げうどんは茹でたてで出ることが多い。ちなみに、某全国チェーンではこの差が出ない。茹でたうどんを出汁に入れるか湯に入れるかの違いくらいしかないようだ。
結論として、この店は釜揚げうどんがうまい。時間がかかるが、こちらが好みだ。つまり、讃岐スタイル、それもストロングスタイルのうどん屋であり、なんちゃって讃岐うどんではない。
瀬戸内海を挟んだ岡山と香川のうどんの差も面白いと思うが、香川と徳島のうどんに差がない方がもっと面白い。こころをそそる研究テーマだ。ただ、なんとなくこの讃岐うどん伝播現象は、比較的最近起きたことのような気もする。時間をかけて調べてみようか。

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一点突破主義のレストラン

10年ほど前に、この店に来たことがある。しかし、臨時休業にぶち当たり中に入ることができなかった。香川名物の鳥料理、その元祖であり、テレビなどでも時々取り上げられる名店だ。香川に仕事できた時に、「骨付鳥」を食べたいというと問答無用でこの支店に連れて行かれる。
天邪鬼な気分になり、何度か他の店に行って骨付鳥を頼んで見たが、やはり現地人の見識は高いものでこの店の鳥が一番うまいと思う。元祖は元祖になるだけの力量があるということだ。
この日も開店から30分ほどのタイミングで行ったのだが、すでに長い行列ができていた。およそ40分ほど待ってようやく席に着くことができた。

JRの駅にご当地キャラがいたのだが、なんと著名な「丸亀城」ではなく「骨付鳥」様がご就任されているではないか。例えてみれば、浜松で徳川家康を押し退けて鰻がご当地キャラになっているようなものだ。あちこちでご当地キャラを見てきたが、これはすごいことだろう。くまもん対からしれんこん、みたいなことで、「くまもん」が負けているということだよなあと、感心してしまった。

前菜に頼んだ、鶏皮の酢の物は絶品だった。鶏皮をカリカリに揚げたもの(多分)を使っている。食感のカリカリ感が素晴らしい。よく出てくるニュルっとした鶏皮の食感ではない。これだけで酒が進んでしまいそうだ。

強烈な塩胡椒の味がうまさの秘訣

そして大本命の「おやどり」が到着した。この親鳥特有の固さが好みなのだ。骨を手に取り、直接ガブリと頬張れば、塩と胡椒とニンニクが一体になり口の中で爆発する。散々いろいろな鳥料理を食べてきたが、やはりこれが筆頭というか鳥料理界のキングだろうと思う。世紀末世界で言えばラ◯ウ級の存在だ。そして鳥料理界に北斗の伝承者は存在しないのだなあ。超然と君臨する単独峰のようなものだ。

そして、絶対王者に追随するのが、おむすびと鳥スープのセットだ。このお供なしで、骨付鳥を堪能したことにはならない。小ぶりではあるが3個もおむすびがついてくるというのは、白飯と骨付鳥の塩味が抜群の相性を持っているからだろう。うまいコメを食べるといつも日本人に生まれて良かったと思う。世界中で米料理はあるが、やはり熱々の白飯とシンプルな塩味のおかず、例えばたくあんだったり塩辛だったり海苔の佃煮であったりとの組み合わせは、地上最強のご馳走だ。
白飯と出汁の効いた汁とこの骨付鳥一品あれば、その瞬間にこの世は天国になる。そんなことを感じさせる「幸せなお店」であるのですよ。
わざわざいく価値がある「孤高のレストラン」でのひと時でありました。

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りゅうきゅうとごまさば

ずっと不思議に思っていることなのだが、日本では相当に名高いブランド魚「関アジ、関サバ」は、大分県と愛媛県の中間海域でとられるものなので、大分名物にもなれば愛媛名物にもなるのではないか。
ところが、愛媛に行くと何故か町中が「鯛推し」で、アジ・サバの文字を見かけない。そこで大分県のホームページを見てみたら、なるほどなと理解できた。

参考ホームページはこちら  ↓
https://edit.pref.oita.jp/news-columns/2291/

魚の取れた場所よりは、釣り方や保存方法に特徴があるようだ。つまり、技術により作られた名産品ということだ。

そんな魚の技術大国で、ゴマ鯖を食べた。鯖を甘い醤油タレと胡麻で食べる料理は、よく北部九州で見かけるものだ。熊本や宮崎といった九州南部では見た記憶がない。おそらく太平洋岸の鯖はアニサキスのため生食を敬遠されるのだろう。日本海側の鯖にいるアニサキスはあまり悪さをしないらしいので、福岡あたりでは、このゴマ鯖が居酒屋のメニューに当たり前に載っている。瀬戸内海の鯖は生食できるのだろうか。その境目が大分愛媛巻の海域、豊後水道なのだが。


タレの量や胡麻の量に差はあるが、基本は甘い醤油タレで鯖を食べるというものだ。これを食べると、ちょっとした生きている幸せを感じられる。個人的にはマイベスト5に入る食べ物だ。居酒屋に入ってメニューにゴマ鯖の文字を見つけると、ほぼ自動的に注文してしまう。
不思議なのは、日本海側の港町、つまり島根県から青森県に至るまでの地域でも鯖は広くとられていると思うのだが、ゴマ鯖を食べられる街がない。少なくとも自分の行った店では、九州を外れるとゴマ鯖が消えている気がする。山口県の西部あたりでは食べられているのかもしれないが。これもいつか確かめてみたいものだ。
お江戸には間違いなく存在しない。(一部の九州料理店ではあるのかもしれないが)

そのごまサバとに似た料理というか、大分県特化型メニューが「りゅうきゅう」という食べ物らしい。味付けは胡麻鯖に似た甘い醤油タレが切り身に絡んでいる。鯖だけではなく、刺身にする魚であれば良いらしい。確かにアジを使ったりゅうきゅうは美味かった。白身魚で作るのかどうかはわからなかったが、この甘いタレで食べる切り身は実に美味しい。薬味は好みで適当で良いらしいので、その辺りもなかなかのゆるさが心地よい。美味しく魚が食べられるのであれば、小うるさい作法はあまりいらない。個人的には海苔と胡麻を合わせるのが良さそうな気がするが、生姜やニンニクを合わせてもうまそうだ。
瀬戸内海は古代から中世にかけて日本の先端技術地域であり、醤油文化(つまり都会の味付け)が先行して発達した地域だ。豊前豊後も瀬戸内文化圏では西方先進地域あたる。たから生まれた醤油料理が「りゅうきゅう」なのだろう。
房総名物のアジ料理「なめろう」に味噌が使われているのとは対照的で、東西の文化成熟度の違いみたいなものが現れている気がする。徳川政権が京都ではなく江戸に首府を構えたのは、やはり西方先進文化による文化汚染(侵食)を恐れたからなのだろうなあ、などと美味い魚料理を食べながら食に見る東西文化格差を考えていた。

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美味しいご飯はオムライス

高知県の老舗洋食屋にずっと行きたいと思っていた。はりまや橋からひろめ市場に向かってアーケードを歩いていく途中で、ちょっと左折するバス通り沿いにある。店頭には大きなメニュー写真があるのですぐわかる。多分、この店を初めて見かけてから10年くらいたったはずだ。何度か店の前には来ているのだが、なぜか不思議なくらい臨時休業にあたってしまい、一度も入ることができなかった。
今回は臨時休業になりそうもない日曜日に目標を合わせてきた。そのせいで、ようやく店の中に入ることができた。めでたしめでたし。そして、注文するものは店に入る前から、いや、10年前から決めている。オムライスだ。
店内に入ると、ちょっとした高級感がある落ち着いた雰囲気のレストランだった。老舗の洋食店でよく感じる品の良いおもてなし感というか、ハレの日感だ。家族の大事なイベントのたびに通ってくる定番のお店、とでもいえばいいだろうか。クロスのかかったテーブルが非日常感を演出する。最近のファミレスは下駄履きで行けそうなお気楽食堂だが、こういう店はスーツで来なければいけないと思ってしまう。凛とした佇まいを感じてしまうのは、昭和生まれのノスタルジーみたいなものかもしれない。ホテルのレストランとはまた違う。背筋を伸ばしてご飯を食べようみたいな感覚がある。

メニューを開けると本格的な肉料理も並ぶ「正しい洋食」レストランだった。高知県はお江戸と比べて物価、特に食べ物関連の値段は2割ほど安く感じる。その感覚でメニューを見ると、これは相当にお値段の張る店だとわかる。
オムライス単品を食べれば良いと思ってきたのだが、ちょっと他のものも食べたくなってしまった。となれば、天使のエビフライを頼むしかない。ただ、天使のエビフライって何だ? 羽でもついているかのか? それとも頭にリングが乗っているか?

しばらく待つと、端正なオムライスが出てきた。比較的グラマラスなボディーのオムライスだ。ケチャップはたっぷりとかかっている。まさに自分の好み通りだ。ケチャップが少ないと、中身が美味しくてもちょっと悲しくなってしまう。オムライスとは中身のチキンライスにケチャップを加えた濃厚味にして食べるのが「通」だと勝手に思っているせいだ。だから、断じてデミグラスソースのかかったオムライスは支持しない。
しかし、この一品は本当にフォトジェニックな美しさだ。オムライスとして理想的なフォルムというべきか。卵焼きも焦げひとつない、完璧なルックスを保っている。

試しに中を割ってみた。中も美しい。チキンライスのオレンジ色と卵の黄色の調和が、目に優しい。インバウンドでやってくる海外観光客よ、これぞ日本が誇る洋食の最高峰「オムライス」だ。心して食せ、そして感動せよ、日本の食文化、そのきわみがここにある、と興奮して説教したくなるほどだ。
まあ、でもオムライスの名店はインバウンドからはひっそりと隠しておきたいのが本音なので、決してそんなことは言いません。

サイドとして出てきたエビフライも熟練の仕事だった。ただ、天使の意味がやはりわからない。ひょっとしたら、自家製タルタルソースのことなのだろうか。タルタルソースも、至極うまいと感じた。このソースでもう少しフライが食べたくなった。
食後、実に満足しながらも、次に来れるのはいつになるのだろうと不安になる。我が身にまとわりついている「臨時休業」にぶち当たる悪運を、どこかでお祓いしてこないと、またお休みの日に当たってしまいそうだ。

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高知の至宝 葉牡丹

高知市内にある繁華街からちょっと外れた場所に、高知の誇るべき至宝と言いたい居酒屋がある。この店が高知に来る目的になっても良さそうなくらい、愛してやまない老舗居酒屋だ。
この店に初めて連れてきてもらったのは、15年くらい前のことだった。ビジネスの打ち合わせが終わった後で、取引先の社長が連れてきてくれた。何でも、高校生の頃から通っているという。いまではコンプラを含めあり得ない「悪さ」を許してくれていた時代だ。ただ、高校生でも酒を飲んだくれていたわけではなく、二十四時間営業の便利な食堂として使っていたらしい。
だから、初回に行った時の注文はカツオのたたきなどの高知名物料理はそっちのけで、野菜炒めにオムライス、ナポリタンという、まさに高校生爆食メニューだった。(よくそれで酒を飲んだものだと後になって我ながら感心した)

高知県内でこの店の名は轟いているらしい。高知県で成人するものの通過儀礼として、誰もがこの店での体験をしているようだ。いや、それに異議など全くない。良い店は世代を超えて継承されるべき文化遺産だ。ただ、この店が某ケンミンショーにだけは登場して欲しくないとは思う。今でも十分混雑している店だから、これ以上旅行者(自分を例外として)が押し寄せると店の前に行列ができそうだ。ましてや、インバウンド客が押し寄せる光景など想像もしたくない。
まあ、この店のおばちゃんパワーがあれば、インバウンドのさばきなどお茶のこさいさいみたいな気もするが。

分厚いメニュー本?の中に、和洋中、酒の肴に飯、そばなどなどが混在している。昔のデパート大食堂と、大衆居酒屋のメニューを混ぜ合わせたらこんなメニューになると思う。大人にとってはパラダイス的メニューだ。
今回はこれまで注文したことのないものを頼んでみた。

まずは串揚げ盛り合わせだ。5本セットでソース味。大阪の串揚げに似た気配はある。高知は、というか四国全体が京都・大阪から地理的に近いためか、料理を含めて広い意味で関西文化圏に入っているようだ。
この店には焼き鳥、串焼きも種類豊富なので、焼き鳥盛り合わせと串揚げ盛り合わせを頼んでおけば、とりあえず注文は一旦完了できる。とりあえずビールととりあえず焼き鳥、あるいは串揚げで……………というのは、酒飲みには優しい対応だろう。

今までに頼んだことのない二つ目、温かい豆腐も注文してみた。これは、思いのほか薄味で出汁も控えめ。何となく意外な味付けだ。ネギの緑が西国に来たことを知らせてくれる。関東の黒い蕎麦つゆに驚く関西人みたいな東西食文化あるあるネタの反対側が、この緑のネギだろう。関東の人間からすると、豆腐には白ネギが定番で緑のネギは余った端っこみたいな気がしてくる。まあ最近では彩として「万能ネギ」が使われることも多いので、その手の違和感がほとんどなくなってはいるが、

忘れていけないのが「親鳥」の焼き物。これは、おそらく香川名物「骨付鳥」のインスパイア品(コピー品)だろう。ただ、味付けは原型の濃い塩胡椒・ニンニク味ではなく、何と焼き鳥のタレを注文できる。塩味もあるが、それは何度か食べているので、今回はタレにしてみた。焼き鳥のタレだから、当然のように甘ジョッパイのだが、それが不思議と親鳥に合う。今度は「ひな」にしてみようかなと思ったが、それではジャンボ焼き鳥ではないかと気がついた。まあ、でも試してみようか。

ああ、きっとまた次に来た時もこの店に寄るのだろうな、という確信がある。ひろめ市場が高知のカオス代表であるならば、葉牡丹は高知の煌めき、とでも言いたい。葉牡丹、お江戸支店を作ってもらえないだろうか。どうです、高知県庁(旧)おもてなし課の皆様。最低でも週一で通いますから。

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カツオを食べるなら田中鮮魚店

今回は友人の店の宣伝みたいなものなのでご承知おき願いたい。

最近、せっせと通っている高知県中西部の町で、人気の魚屋を営んでいる友人が、イートインコーナーを設けたらそれが大盛況で昼時には空席待ちの行列ができるほどの人気ぶりだ。基本的に友人はカツオソムリエという熟練のかつお職人なので、その目利きは信頼できる。
高知にはうまい鰹を食べさせる店は多い。だが、あえて高知市内の店は諦めて、この町に来るべきだ。カツオソムリエの名人技を堪能してほしい。


この港町で揚がったカツオを食べるのが、人生最良の選択であり、心底からおすすめする。ただ、何といっても漁に左右される。カツオが揚がらない日にはカツオ無しのこともある。その時は運が悪いと諦めるしかない。
この町で揚がるカツオは土佐湾で一本釣りされた鮮度抜群の生カツオなので、カツオ大好きな高知人がわざわざ買いに来るほどだ。当然、高知に来たら鰹のタタキを食べるべきだと思うが、実際に現地に来てみると地元の人はたたきではなく刺身を好むらしい。この日も、たたきではなくカツオの刺身が出てきた。(ちなみに、出てくるものはいつも友人任せなので………たたきを食べたければ、きちんとそれを主張しておかなければいけない)

ここでカツオを食べると人生を確実に不幸にする。と警告しておく。要するに、ここのカツオのレベルが高すぎるので、自宅近くのスーパーで売っているカツオなど(たとえ産地がお江戸近海、銚子沖だとしても)食べる気がしなくなるからだ。
それでもカツオ食べたさに負け地元スーパーで買ってしまうが、その度に「これは違う。 あの鰹が食べたい」となってしまうのだ。スーパーで売っている普通のカツオで喜んでいた過去の自分がうらやましい。

この店でカツオ(それ以外の魚も含めて)を食べるには、まず魚屋の店頭で盛り付けられている刺身を選ぶ。基本的に重量料金なので、たくさん食べたければ大きめのものをえらぶ。皿ごとに値段がついているので、迷うことはない。カツオ以外にもその日の新鮮な魚が並んでいるから、二種三種と好みの刺身を選ぶことは可能だ。4人くらいで行けば、相当な種類の魚を楽しめる。
ご飯と味噌汁のセットは別料金だ。時間がかかるのを承知であれば、店頭にならんでいる干物も焼いてくれる。客席は基本的にセルフサービスだから、食堂というよりは飲食スペースと考えれば良い。
料亭で出てくる鮮度のカツオが大衆食堂の料金で食べられるから、高知県内どころか県外からも客が押し寄せる。最近では日本語を介さないインバウンド客まで押しかける。なので、鮮魚店で英語の達人が働いている。

この大正町市場では、田中鮮魚店のほかに飲食店が数店営業している。そのどこでも新鮮なカツオや海鮮料理が食べられる。あまり人には教えたくない穴場スポットなのだが。
高知に観光に行ったらレンタカーでこの街に行くのをお勧めする。高速を使い小一時間のドライブで、天上天下唯我独尊の気分になるカツオ体験が待っている。

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南のあまいもの事情

九州ではこういう団子の作り方があるのだなと驚いたのが、みたらしと餡が一本の団子にかかっているものだ。
世の中には三色団子という団子の色が違うものはたまに見かける。大体が赤白緑みたいな感じだ。色は違うが味はあまり差がないようだ。
お江戸界隈ではあん団子1本みたらし団子2本でセットになったミックス団子は当たり前のようにある。
この前、北海道で発見したものは,あん団子と胡麻団子のミックスもあった。しかし、九州産のこのミックス団子は、見ての通り一つの串の中で味変している。

この団子の製造工程を想像すると、あれこれ楽しくなってくるが、よくこんな面倒くさいことを考えたものだ。いや、考えるまでであれば数多くの挑戦者がいたと思うが、実際に作って発売したという時点で尊敬してしまう。アタマが下がる。すごいなあ。

なんだか九州人の菓子職人は「すごすぎる」と思って横を見たら、これまたあまりみた記憶のない大福があった。豆大福とか蓬大福、塩大福はみたことがあるが……………
ごま大福とは初めて見たかもしれない。胡麻を振った餅菓子は割とよく見かける。が、それを大福と名乗っているのは、どうなのだろう。大福の正しい定義はよくわかっていないけれど、これはまさに初見のような気がする。白胡麻がかかったおはぎは関西で見た。それの平行進化系だろうか。おまけに大福と言いながら、小さくて薄い。
なんだか文化の違い、みたいなものを感じてしまった。日本は東西で本当に食文化が違っているのだな。

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九州パンの謎

九州出身の芸人が、九州のパンといえばリョーユーパンだと力説していた。その言葉だけが記憶に残っていたのだが、九州パンのコーナーを見ていたらその記憶が蘇ってきた。とりあえず一つ買ってみようかと思いながら眺めていたら、「マンハッタン」という名前が気になってしまった。
なぜ、この名前なのだろうか、という疑問が湧く。九州のどこかに「まんはったん」と発音する地名があるのだろうか。そこが、たまたま創業者の故郷だったとか………
不思議に思いリョーユーパンのサイトをのぞいてみたら、全然違っていた。アメリカ合衆国ニューヨークに旅行した時に食べたドーナツが原型らしい。
昭和の食品開発ストーリーあるあるの典型みたいなものだった。それでも、なるほどと納得した。

ただ、そのマンハッタンの横にはいちご味もあったので、両方買ってきた。ストロベリーマンハッタンは季節商品なのだろうか。

パンの包装袋を見る限り、元祖月別フェアと書いてあるから、1ヶ月限定なのだろう。苺味の次は何味になるのか妙に気になる。2月だとしたら桜には早そうだから「梅味」だろうか。この時期に思い浮かぶフルーツは他に何かあるか?

実食してみると、マンハッタン通常品はチョコレートがかかったチュロスみたいなものだった。これはなかなか気に入った。歯応えのある硬さが良い。首都圏では見かけない類のパンだった。おしゃれなブーランジェリーみたいなところで売っていそうだ。

苺味は苺フレーバーの砂糖がかかっている。いわゆるアイシングというものだ。これもなかなか上手いテクニックだが、やはりオリジナルのチョコ味の方が完成度が高いような気がする。
大手パンメーカーでこのコピー品を販売することはないのだろうか。確かにヤ◯ザキやフ◯パンは、ドーナツ系のラインが弱いから難しいのかもしれない。タカ◯ベーカーリーあたりでなんとかしてくれないものだろうか。
次に九州に行く機会があれば、もう少しリョーユーパンの調査をしてみたいものだ。

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ローカルパン 南北対決

札幌に行ったらラーメンよりもジンギスカンよりも先に食べてほしいちくわパン

個人的に北海道札幌を代表するパンは、やはり「ちくわパン」だと思う。随分と値上がりしてしまったのは残念だが、うまさは保証済みだ。このちくわは専用に作られているそうなので、家庭で真似をしても微妙に味が違うということになるらしい。

もう一つのローカルパンは、これまたチープ系な豆パンだ。最近ではいわゆるブーランジェリー(普通にいえばベーカリーだろう)でも販売されている高級豆パンは、豆の量が圧倒的に多いが、個人的にはこの3個で100円という廉価版豆パンが好みだ。残念ながらロバパンの製品を置いているスーパーは限られているので、なかなか手に入りにくいのが難点だ。北海道における大手製パンメーカー、ニチリョー製の豆パンは簡単に手に入るが、ロバパン製品を推したい。

あとは、ようかんパンだ。ロバパン製品は本当にお安い。2個入り100円だった。大手製パンであるニチリョーでもようかんパンは存在するが、これも味の好みで分かれるところだろう。甘いパンだから、甘さの嗜好性が好みに出るようだ。

九州を代表する製パンメーカー、リョーユーパンで見つけたコーヒーサンドは、青森のローカルパン代表「イギリストースト」に酷似している。どちらが元になっているかという疑問も浮かぶが、おそらく同時並行に生まれたものではないか。
このパンをトーストにして食べると、かなり満腹感のある朝飯になりそうな気がした。

そして九州といえばフランソワのパンだ。(と個人的に勝手に思い込んでいます)
このメーカーは安くてうまいを実践する、日常食としてのパンはかくあるべしというお手本のようなパンメーカーだと思う。フランソワのパンが供給されている北部九州の方達は幸せだなあ。ちょっと妬ましい気がする。
自分の住む関東のはずれ街では、全国規模の大手メーカーのパンが主流なので、美味しいパンを探すには、小ぶりなベーカリーを丁寧に回るしかない。まあ、それはそれで楽しみだが、やはり美味しいローカルパンがある街は羨ましいものだ。