ラノベは基本的に中高生・ハイティーンにターゲットを合わせたジャンル小説であり、主人公は高校生であることが多い。アニメのヒット作品でも巨大ロボットモノや、宇宙開拓時代の戦争ものにしても、大人になり切る前の少年少女が大人からの圧力や干渉に悩みつつ成長する物語に仕立てられている。ジャンル小説とはそういうものだろう。そこから派生して大人向けのラノベも生まれているが、主流はやはり高校生主人公のお話だ。
その高校生主人公を取り巻く同級生に味方や悪役を配置し、大人の敵役(大抵は教師)もあれこれ面倒を押し付けるという設定は、学園転生ものとして鉄板の舞台になっている。
ところが、なぜかこの物語では主人公群が中学2年生でありながら、その立ち振る舞いは中学生をはるかに超えた成人に近いにものなっている。
それだけでも違和感があるのだが、出てくる悪役がこれまた性格に一貫性がない(これは物語世界では最大の欠点になるもので、悪は悪で一貫して嫌な奴でいなければいけない)妙に現実社会を映し出した気持ちの悪い者だ。
確かに現実の社会で、一方的に悪い上司などは存在しない。8割は嫌味でパワハラの塊みたいな奴だが、残り2割は上司に対して忠実だったりする。100%の悪など存在するのは物語世界だけで、だから約束された悪のい役割を完遂してもらわなければならない。
ところがこの物語は、領民から慕われている善良な領主が、領民を救うため異世界から転生してきた中学生を奴隷のようにこき使い、使い捨て、挙句に死亡放置するという存在になっている。悪の権化として君臨してくれない、ダメな悪役なのだ。おまけに、あれこれ戦略級の政治活動?を企てる主人公が、その悪徳領主に対する仕返しが、なんとね小便疑惑で恥をかかせるという、小学生クラスの悪巧みだったりする。
おまけに同級生でトップの勇者適性を持った奴が、中二のくせにハニートラップに引っかかり、夜な夜なセックス接待に溺れる。なんとも混乱した世界設定ではないか。
そのせいなのだろうか、Webサイトでの連載は継続しているが書籍化は途中で中断して、コミック版は書籍版いこうも続いているという不思議な展開になっている。
おそらくWEB連載は書き手の都合で好き勝手に書いていても読者はついていると連載は続けられる。(そういう媒体だからだ)
ところが書籍化すると編集の意見や校正の都合で、お話の中の辻褄合わせが必須になる。すると書き手がやる気をなくす。
それ以上にネットでは読者がいるが、金を出して描く書籍では売れない内容であったりすると書籍化が打ち切りになる。
現代のメディアミックス作戦の中では失敗作扱いだが、WEB連載さえ続いていれば、テキストの書籍が打ち切りになっても(つまり原作がなくなっても)、WEB連載ベースでコミック継続ができるということなのだろう。
コミック内でのあれこれ設定の異常さや、不都合さ、一貫性のなさはこのように理解できるのだが。
キャラの柔らかい見かけとは裏腹に、結構アブノーマルな世界が描かれる、本来は18禁勿お話のような気がする問題作であります。ちなみに発行元は双葉社なので、大人向け出版社が少年少女向けに乗り出してみたけれど、あれこれある年少者問題に気が付かなかったというのが案外当たっているのかもしれない。迷作というか怪作というか……………













