街を歩く

只見線の旅

全国で赤字ローカル線は次々と廃線になっていくが、奇跡の復興を遂げた只見線にようやく乗って旅をした。水害で閉鎖される直前に往復の旅を考えていたが、残念ながらずいぶん長い間待たされた。

会津の山奥と新潟の山奥を繋ぐのだから、もともと乗降客数は少ない。通学に使う高校生が常連客という典型的なローカル線だ。乗降客ゼロの区間もあったそうだが、今年の夏は平日でもなかなかの客数らしい。
川沿いに走る線路は四季それぞれ美しさが変わるそうだ。次は晩秋の紅葉を見にきたいものだ。

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暑い日の辛いラーメン 

京都のラーメン屋、2度目の挑戦に出かけた。この暑い時期だから冷たい麺でもと思っていたが、注文する時に気が変わった。暑い時には辛いもの、単純な発想だが、最近はどのラーメン屋でも定番化している辛味噌ラーメンでヒーハーするのも良いかなと。

ドロンとした赤いスープは何か怪しげな感じがする。細麺に濃いめのスープがまとわりつき、見た目は相当に赤い。ただ、一口食べてみると思いの外、辛くはない。あれっと思いながら、スルスルと食べてしまった。後から来る辛味なのかと思ったが、そうでもない。程よい辛さというより、軽めの辛さという感じだ.拍子抜けしてしまった。

濃厚なスープは辛さを抑えこむかもしれない。どこか他の店で辛い味噌ラーメン試してみよう。京都の辛いラーメンはちょっとお上品だった。

街を歩く

新宿駅東口から見える光景

アルタ前スクランブル交差点から新宿駅西口方向を見る

新宿駅東口、アルタ前交差点は、また昔の混雑ぶりが戻ってきた。コロナが落ち着いてきたこともあるだろうが、一番の原因はインバウンドと呼ばれる外国人観光客が戻ってきたことだ。街頭に流れる宣伝や警察からの呼びかけも増えているし、おまけに外国語の注意も流れている。
この近くにあった郊外型電気屋の大型店が閉店し、後釜に入ったのはスポーツ用品店だが、一階の主力商品がシューズというあたりがコロナの後始末という感じがする。スポーツ用品の稼ぎ頭だったはずのゴルフ用品は、もはやお荷物扱いらしい。シューズ、アパレルの上にあるのがキャンプ用品というのも、これまたアフターコロナ世界を象徴しているようだ。
そして、店内に流れる英語、チャイナ、コリアンのアナウンスが、明らかに世界はコロナ前に戻ったという感じにさせる。
その新宿駅東口前から西側を見ると、小田急百貨店の解体工事が始まっているのがわかる。あと2年もすると、ここに高層ビルが何棟かニョキニョキ生えてくるらしい。新宿駅西側はお江戸でも屈指の高層ビル地帯だが、集まってくる人の数も都内一多い場所なので、しばらくは観光名所になるのだろう。
そうなると、新高層ビルの北側に残る木造二階建ての横丁はどうなってしまうのだろうか。どう見ても昭和30年代で時間が止まってしまったような店が並ぶ怪しげな横丁だ。今では代替わりをしているらしいのだが、従業員は大陸系の出稼ぎ組が大半を占めている店も多い。
時代からそのまま取り残されているような場所だが、花園神社周辺の飲屋街と同じで、ボヤが起きると街の住人?が寄ってたかった火消しに来る「由緒正しき場所」なのだそうだ。地元民である友人がそう言っていた。火が出ると最初に飛んでくるのは、背中などにアートを仕込んだお兄さんたちらしい。昔からのトラブルシューターとして火消しと野次馬の整理などで大活躍するそうだ。
そんな伝統的な場所を取り壊して飲食ビルにするなど言い始めると、間違いなく騒動の元になる場所だと聞いた。都会に残された聖域?、アンタッチャブルな地域なのだ。

3年後に生まれる昭和と令和の同居地帯がちょっと楽しみだ。

食べ物レポート

回転寿司で考えてみた その2

小腹が空いたので、軽く何か食べようとしたら、回転寿司とハンバーガーどちらを選ぶか。選択肢としては面白いが、少なくともお江戸とその周辺に限ると、ハンバーガー店は今やファストフードとは言えない。スマホで事前オーダーでも済ませておけば状況は違うが、店頭で商品を注文しようとすると、実に時間のかかる業態になっている。以前の評判は、国産のMバーガーでは注文してから作るので時間がかかるが、出来立てなので美味しいと言うものだった。今では米国伝来のMバーガーも注文してから作るので時間がかかる。味は、比べてみれば違いはあるかもしれないが、そこは好き好きというものだろう。
本来の言葉通りのファストフードは、今や立ち食いそばか牛丼くらいではないかと思う。そういう点(早く商品が手に入る)で、回転寿司こそは最強のファストフードだと思っていた。ところが、どこかの目立ちたがり、承認欲求の間違った人たちが起こした一連のぺろぺろ事件のせいで、寿司が回らなくなってしまった。
一皿ずつ注文し出来たてが出てくるのがメリットかというと、そうでもない。実は素早くチャチャっと飯を食いたいというニーズには、全く対応できなくなっている。一皿注文して商品が出てくるまで5-10分かかることもある。やれやれだ。
と嘆いていたのだが、なんとついに皿が回り出していた。めでたしめでたし、と思ったがよくよく見るとお安いネタの皿だけが回っている。注意書きを見ると、いわゆる「旧100円皿」だけが回転レーンに乗っているようだ。300円とか400円のお高い皿は注文しなければいけないらしい。まあ、普通に考えてもお高い皿は需要が少なめだから、鮮度管理を考えれば回る対象にはならないはずだ。
それはそれで納得できる。個人的には好みの商品が安い皿に偏っているので、もっとじゃんじゃん回してほしいものだ。

と喜んでいたのだが、好物のサバをたのんで出てきたのが、尻尾が乗った寿司だった。左と右を比べるとわかるが、どちらもサバであることは間違いない。部位の差だけだ。ただ、尻尾を食べさせられるのかとちょっと悲しくなる。
こういう部分は、何か別のもの、例えば巻物の具材にするとか、サイドメニューの酢の物に使うとか、工夫してもらえないものだろうか。ロス削減できっちり使い切るというのは理解できるが、食べ物には見栄えが重要だろうと力説したい。
まあ、食べてみればふつうにおいしいのだが。

イカは不漁つづきのせいですっかり高級ネタになったはずだが、今でも低価格帯で頑張っていた。逆に低価格の典型ネタだったタコは、世界的にタコ不足らしく、すでにイカのレベルを超え中級ネタから高級ネタに迫る躍進ぶりだった。タコ好きとしてはかなり厳しい世界になっているのが悲しい。
今やタコは海で獲るものではなく、海で育てるものになりつつあるようだ。一山当てる気があれば、タコの養殖業は成長産業になるだろう。

海鮮ユッケという軍艦巻きがあり、これがまさに魚の端っこをミンチにしたような具材だったが、予想外にうまい。なんの魚が使われているかはわからないが、混ぜると美味いの典型例だろう。ユッケというだけあり、コチジャンなどの辛味に、なぜか長芋のとろろが混じって、ネバネバ系な感じも併せ持つ「不思議寿司」だった。が、これはすっかり気に入ってしまった。もう一度食べてみたい。ただ、中身は今回とは違うだろうなあ。
サバの尻尾の有効活用は、こんな仕立てにしてもらえるといいのだが。

食べ物レポート

お盆の終わりに旨いもの

今年のお盆が15日で終了したと思ったが、どうやら16日もお盆モードが続いているらしく、新宿歌舞伎町の人出はなかなか壮観なものだった。そこをちょいと避けて西新宿で一杯やることにした。最近おきにいりの居酒屋で、冷たい日本酒を飲みながら何か美味いものを食べようと企んだ。

珍しく弘前の銘酒『豊盃』が入っていたので、迷わずこれを注文した。地元弘前でもなかなか手に入らない酒だが、たまに都内でも売っていることがある。酒らしい酒だと思っている。好みなのだ。岩手の『あさ開き』と合わせて、我がお気に入り日本酒のツー・トップだ。ちなみに、あさ開きは純米より大吟醸がうまいと思う。

なかなか珍しい大山鶏の串焼きをセットで頼んだ。普段は食べないぼんじり(しっぽ)が入っていたが、これがなかなか美味であった。食わず嫌いだったかなと反省した。

豚のステーキという、これまたストレートな食べ物だが、確かに塩焼きにした厚切り豚肉はうまい。火加減、塩加減で勝負するストロングスタイルな料理なので、調理人の腕前次第ということだろうか。

居酒屋のピザは美味い。主食の食べ物としての旨さというより、濃厚なチーズが生み出す、脂とアミノ酸たっぷりの、人類種にとってDNAに直接響き渡る旨さだからだろう。どこの居酒屋でも小ぶりなサイズで出てくるのは、やはり珍味、酒の肴としての立ち位置を守っているからだ。
これが、宅配ピザのような大きなものであると、あまりに味が強すぎる。アメリカンなピザは脂分の少ない?チーズをたっぷりかけ、チーズで腹を膨らませる食べ物(主食)なので、やはり日本酒には合わないと思う。日本的に改良された居酒屋ピザが冷たい日本酒によく合う。

という感じで、お盆の最後は魚抜きの肉食系ご馳走(居酒屋バージョン)を堪能したのであります。

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気持ちが優先している広告

自宅近くにある居酒屋が15時からの営業開始で、昼過ぎには店頭にあれこれ広告物が並んでいる。通行人に訴える良い戦術だと思うのだが、あれこれ気になってしまった。
ブラックボードの使い方が、あまり上手ではない。簡単に言うと情報過多で、おまけにユニーク情報が足りない。要は「惹きつける言葉」「吸引力のあるワード」が足りないのだ。
これはポスターなどを作る時にもよく起きることだが。制作者の視点で言えば随分大きな文字で目立っているつもりであれこれ書いてしまう。ところが、実際に掲示すると「字の大きさ」はあまりに小さい。離れたところから読みにくい。だから、読む気にならず素通りされてしまう。
このブラックボードをよく見ると、そのたくさん言いたいことがあるんだ、と言う気持ちが溢れているのはわかる。ただ、気持ちが空回りしているのも間違いなさそうだ。

少なくともメニューは三点に絞り、「おすすめの理由」をはっきり書くことだ。字の大きさは、倍以上にする必要がある。価格情報はもっとも大きくなければいけない。ついでに言えば、店内で見るテーブルメニューとは目的が異なるので、全品税込価格と一文を最上段か最下段に書けば、全体の見栄えは良くなるはずだ。
売るための創意工夫をする店長は、必ず将来的に良い店長になるはずだ。(過去の経験から)ただ、その努力を良い方向に育て上げるのは、企業の力量であり、社長の能力であるとも思う。この店を運営する会社の社長さん、一度現場を見にいってあげてほしいなあ。
外食企業は製造販売一体型の商売なので、製造部門、つまり作ったものが「美味しい」のは重要だが、販売部門として「上手な売り方」も学ぶべき必要な技術だろう。そこが、あやふやなまま多店舗化すると、現場の苦労が増えるのだよねえ。

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真っ当な食べ物

ひさしぶりに幸楽苑に行ってきた。これでも零細株主なので、毎年6月になると株主優待券が送られてくる。昔は紙の商品券みたいなものだったが、今ではデジタル対応でラインのクーポンに変わっている。ラインというアプリの特性上、ダウンロードしてから使わずに放置していると、画面のずっと下側に消えていって、いざ使おうとすると探すのが大変だ。という苦い経験を何度もして学んだのが、幸楽苑の電子優待券は、もらったらすぐに使ってしまうに限るということだ。

おまけに、今年の株主総会で、すでに引退したはずの先代社長が、社長兼会長で現役復帰した。おどろくべきことだ。ユニクロでも後継者に譲った経営を、結局は創業者が社長として復活した例もあるが、お家騒動ということでもないようだ。
要するに、二代目の社長は相当なキレものでなければ、後継者としては認められない。先代に足元を掬われるか、クビになるという運命が待っているということだ。これはヤマトの昔から政治の世界では当たり前で、戦国時代でも親子騒動は引も切らない日常茶飯事だった。お家が潰れれば自分の首も飛ぶ(物理的に)のだから、それは必死にならざるを得ない。それでも二代目が亡国の主人だった例は一山いくらの大安売りで存在する。
現代の経済社会でも、クビになる二代目の多いこと。最近では中古車販売の会社が、親子ともどもポイされたケースはちょっと珍しいが、創業者一族がクビになるのもよくあることだ。

さて、経営トップが変わって、店の運営は何か変わったのかと思ってランチの時間に行ってみた。席は満席だったので、なかなか繁盛しているみたいだ。ただ、家族連れは非常に少ない。高齢者カップルと単独男性が目立つ。オペレーションでは、水がセルフではなくなっていた。ただ、「二杯目からはご自分で」と言われた。これも珍しい対応だ。この一言を全員に言う手間を考えれば、昔のようにテーブルに水ポットを戻す方が合理的ではないか。
メニュー(タブレット)を見たら、随分とシンプルになっていた。色々あった「不思議系メニュ」がバッサリなくなっていた。価格ラインもシンプル化されている。この辺りが、新社長の最初のやり方、改善なのだろう。
冷やし坦々麺を注文した。見栄えはよい。立体感がある。味付けは濃厚というか、かなり濃い味に仕上がっている。同系統の冷たい麺である冷やし中華のさっぱりとした味と全く別方向で、胡麻の効いた濃厚スープが「濃い味」好きを取り込むだろうと思った。真っ当な商品という感じが強くする。この三年間の残念な新商品と比べると、その差は明らかではないか。

コロナの間は、やはり試行錯誤というか、迷走が続いていたラーメン業界だが、ようやく1000円越えに挑戦する「価格の天井」突破の取り組みが始まっている。その中で、低価格で高頻度客創出を狙っていた幸楽苑が、その昔の戦略に戻るのか、それとも高価格帯へ移行して新世界を目指すのか、ちょっと楽しみになってきた。
社長が変われば会社も変わるという典型例に見えるが、気になるのはその新社長の年齢くらいだろうか。生涯現役、の時代なのかもしれない。

食べ物レポート

お盆のファミレス その2

ファミレスの話の続きになる。最近、新メニューで登場したのが、居酒屋のつまみ的なハーフサイズの単品提供ものだ。通常のグランドメニュー商品が、価格を上げすぎて販売不振なのだろうと推測している。
対抗策として出現しているのが「鳥肉だけ」「つけあわせなし」「少量対応」の安く見えるメニュー導入だ。通常、この手の低価格メニューは追加の一品として、単価向上、売上点数増大を狙うものだが、明らかにその機能は果たしていない。
一番の売れ筋、値段がお手頃な商品であるはずの(あるべきな)、ハンバーグにあれこれサイドアイテムが盛りつけされたプレートが、1000円前後の高価格帯商品になり、販売数が減っているのだろう。
主力商品であるプレートの値段を下げるわけにはいかないので、苦肉の策で唐揚げ3個400円台にしてみたら、そこそこ売れてしまいました、的な結果になったようだ。おそらく想定外なことに、唐揚げ3個+ライスみたいな注文が大量に出てきたのではないか。
コロナの間に昼飲みを推進してみたら、ジジババの低価格居酒屋になり、結果的に平日ディナー帯の通常営業を邪魔することになってしまったようなものだろうか。低価格の追加品が値上げ効果を打ち消す、客単価を押し下げる存在となってしまったようだ。
これは典型的な自分勝手な読みで自滅するケースで、困ったマーチャンダイジングになりかかっているのではと疑っている。

ハニーマスタードは好物だが、日本市場ではウケ狙いとしても弱すぎる気がする

この日に注文したのは、鳥料理の単品を二皿だけだ。ドリンクバーなし、ライスorパンも頼まずに「鳥だけ」の注文だ。完全に業務上の試食モードになっている。当然ながら食事を楽しむというより、料理の品位確認、価格対比と批判的な視点になる。
タブレットで注文するから、「唐揚げ単品」のみを注文しても、「ごいっしょにライスはいかがですか?」 という呼びかけはない。
客の立場からすると面倒がなくて、それで良いとは思うが、店の立場からするとみすみす売り上げを引き上げる機会を喪失していることになる。
タブレット注文はオペレーション合理化の重要技術だ。ただ、販売技術としての推奨販売ができないという欠点を併せ持つ。合理化によるコスト削減と合理化による売り上げ低下は、大きな矛盾する課題であるが、現在進行形で拡大が続いている。
現時点で外食産業における機械化は、その両方に対応することはできない。合理化の最先端技術として一気に拡大している猫型配膳ロボットも、一台しか稼働していなかった。注文した料理は全て人の手で運ばれてきた。どうやら、ロボットもお盆休みを取るようだ。

これがサイゼ〇〇対策だとすれば評価できそうだが、単純に居酒屋の鉄板焼きメニューでは?

低価格帯ファミレスで圧倒的なオペレーション力を持つサイゼ〇〇と比べると、このスキレットタイプ鍋を使った鉄板料理は、明らかに見た目が貧弱だ。低価格居酒屋のつまみ料理としては成立するかもしれないが、ファミレスの客には受け入れがたいというか、無理な感じがする。鶏肉のグリルの脇には何もない空間があるだけ。彩り野菜もなければ、鶏肉自体も見た目の変化がない。
鉄板料理はビジュアルの変化をつけなければ、実に安っぽくなってしまう典型例だろう。これが許されるのは、低価格居酒屋の「一軒目〇〇」か「て◯ぐ」くらいだ。
インジェクションしたチキンは諦めるとして、鍋の底に溢れる油の多いのには閉口する。ソースも生煮え感が強すぎる。
何か料理としての設計が間違っているのではないかと思うほど完成度が低い。ただ1000店を超えるファミレスチェーンで、その手の失敗は考えにくい。となると、これは設計の間違いではなく、現場での加工や調理工程にミスがあるのだろうか。
あれこれ職業的な疑問は深まるばかりだが、所詮400円台の低価格メニューだし、目くじらを立ててクレームするほどのことでもない。普通の客であれば、次からはこの鉄板料理を注文しないか、あるいはもう少し感情的になっていれば、当分の間この店に来ないという静かな対応になるだろう。

アフターコロナの時代、客が戻り始めても現場の疲弊と混乱は一向におさまらないようで、経営者はこれを見逃しているのか、見放しているのか。それを聞いてみたいものだ。

食べ物レポート

お盆のファミレスで学ぶこと

見た目が貧弱すぎて、安価でもコスパを感じさせない?

お盆になると外食は夏の最盛期を迎える。特に地方都市は帰省で膨れ上がった家族連れが、普段よりはちょっとお高めの買い物をしてくれる。盆と正月というのは、掻き入れ時に間違いない。だから、当然ちょっとお高い贅沢系メニューがお盆限定で設定されるのは、業界常識だと思っていたのだが、どうやらそれはすでに過去のものらしい。
「夏のメニュー」をみてみたが、お高いメニューで目立っていたのは鰻丼くらいだ。ただ、これはすでに丼系ファストフードでは10年来の夏定番メニューであり、ファミレスで食べたいメニューであるかどうかは大いに疑問がある。ファストフードでのちょっとぜいたくな「孤食」として、鰻丼は成立する余地がある。すでに定番化した、夏の客単価増大メニューだろう。
最近では、それに和牛焼肉丼みたいな更なるアップグレード丼も登場している。本来ファミレスが狙うのであれば、そちらの方ではないかと思うのだが。
逆に定番メニューで目立ったのが「半量」にして値段を下げたメニュー群だった。これも狙いは、あれこれ色々食べたいというニーズに対応して、注文点数を引き上げるため、あわよくば通常メニューに追加として注文してもらいたい。単価、点数ともに引き上げようという目論見だろうとわかる。
しかし、ハンバーグを鉄板ではなく、皿に盛って出すとは、何か勘違いをしているようだ。明らかにチープに見える。
値上げのせいで1000円を超えるハンバーグ鉄板プレートを、あまりに高いと注文をためらう層ができてしまった。その価格不整合を感じる層が、しぶしぶ安い単品メニューに移行していくでは………と勘繰ってしまう。追加注文を期待した挙句、低価格品へ下方スライドされてしまい、客単価の低下を招いたとしても不思議ではない。

冷麺  彩り三元色は配置されているが……

「夏のメニュー」として堂々と正面突破しようとしたらしい、「冷麺」も値段とルックスのバランスが悪すぎる。もはやファミレスの王道とは何かを見失っているとしか言いようがない。
個人的に冷麺は好物だし、あちこちの焼肉屋では、勝手にランキングをつけるほど冷麺については一言持っているのだが、どうもコメントつける気にもならない。
もし、夏に冷たい麺を出して、おまけに高単価で販売したいのであれば、三輪そうめんや秋田稲庭うどんなど、高級麺を使用して豪華トッピングで食べさせるとか、冷やし中華発祥の地仙台の中華料理店のように、完全別トッピングで豪華版冷やし中華を作り出すとか、もっと違うやり方があるように思う。出雲そばや出石そばのような、少量多品種型蕎麦での展開もあるだろう。手間は増えるが、単価は上がるはずだ。

平成初期に、業界最大のファミレスチェーンであったスカイラークが、全面的にガストへの業態転換を図った。昭和のコンテンツであるスカイラークが、平成に合わせた新コンセプトであるガストに転換をしたという点で、当時の経営陣の危機感がよく理解できる。まさにガストの出現は、外食業界のパラダイムシフトだった。
そして、アフターコロナのこの時期、おそらく平成で疲弊したファミレスのコンセプトが、新しいパラダイムに移行するのだろう。今はその産みの苦しみの時期と言える。
コロナ後の混乱がおさまらないファミレス業界で、次の業界標準を生み出すのは誰になるのだろうか。少なくとも、ファミレス御三家と言われたビッグネームではないことは確かだ。
カテゴリーキラーとしてファミレスを追い落とす勢いだった回転寿司も失速しているし、洋物ファストフードは領域を広げるより自分の陣地を深掘りすることに決めたらしい。和風ファストフードは、まだまだ混乱したままだ。丼屋から定食屋への転換は、オペレーション負荷が高すぎると思うのだが。
じわじわと地方都市で勢力を広げる、郊外型喫茶店が、ファミレスに変わって次の時代の後継者になれるかもしれないと感じている。ただ、軽食に限定された商品提供とコスパの問題はある。車社会に特化して対応した立地は、逆に客層を選別する危険もある。
アフターコロナで再開するであろう、米国市場の研究とコンセプト移入もこの先の刺激材料になる。少なくとも、反面教師にすらならないファミレス群が、新しい時代のパラダイムに合わせて再構成できるとも思えない。となると、次代の主力を探す試みをサボってはいけないなあと自省している。
というのが、お盆の研究成果であります。

書評・映像評

隠れたベストセラー ラノベの発行部数

ふと気になって調べてみた。 今年上半期のベストセラーだが、一位は村上春樹作「街とその不確かな壁」で、38万部だそうだ。現代日本文学の高みであることに間違いはない村上作品は、発売とともによく売れるのだなと感心してしまう。昔のように100万部は届かないようだが、それでもさすがの村上作品だ。
紹介記事はこちら ↓
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023060100096&g=soc

発行元の新潮社サイトはこちら
https://www.shinchosha.co.jp/special/hm/

Amazonに載っている表紙

そして、こちらがアニメ化、コミカライズされたラノベ作品だ。 本編全13巻+外伝 と合わせてシリーズ20巻になる。Webサイトで連載された小説が物理的に印刷された書籍になったもので、ラノベはだいたいこのコースで商業的成功を収めるようだ。ただ、こちらの累計販売部数は550万部を超えるらしい。発行部数を巻数のあたり平均値で考えると一作当たり28万部程度となる。村上作品と比べて一冊当たりの発行部数では劣るが、それが20巻出ているという時点で驚異的な数字だろう。

https://over-lap.co.jp/narou/865540550/

Amazonに載っている表紙

村上春樹新作は3000円近い高額本だ。大学の教科書とか、学術書的な値付けだが、それでもベストセラーになる。単行本は高すぎるので、文庫化を待ち望んでいる人も多いだろう。
かたやラノベ作品は700円台だから、高校生の小遣いでも買える程度。そもそも発行部数を比べることが間違っている、ジャンル違いともいえる。
ただ、23年上期ベストセラーリストには、愛読している磯田道史氏の歴史解説本や橘玲氏の現代社会考察などの新書も含まれている。新書版の本は概ね一冊1000円以下なので、価格的な部分を言えば、村上春樹新作が圧倒的に別格なのだ。
ことのついでだが、ベストセラーによく顔を出す時事ネタ的な本で言えば、今年のランキング10位に「安倍晋三 回顧録」が入っている。


ところが「発行部数」だけで見ると、ベストセラーリストには乗らないようだが、ワンピースに代表される人気長編コミックの発行部数は、いつでもこの村上春樹新作の部数を超える。人気コミック作品の新刊は、およそ50ー100万部に近い数になる。
そして、典型的な隠されたベストセラーであるラノベの人気作品も、10巻で累計100万部越えなどという作品、シリーズものはザラにある。リアルなベストセラーは、まさにコミックとラノベの中に埋もれている。
大型書店に行けばこのことは明らかなのだ。すでに文庫本の棚とコミックの棚を比べると、コミックが圧倒的に優勢だ。文庫本の棚を見ても、ラノベの占める比率は相当なもので(書店員の選択テイスト?によって比率は変わるのだろう)、明らかに時代ものよりは多い。
そして、文芸作品などと言われる単行本は、すでに絶滅危惧種的な扱いだ。馴染みの本屋数軒を回ってみても、単行本の棚数は文庫本と比較して1-2割程度でしかないし、並んでいる本の大半は、おそらく一年以内に返本されるだろうと思われるラインナップだ。そもそも売れる本はロングセラーになる前に文庫化されてしまうから、単行本の命はきわめて短い。


書店の立場から見ると、紙に印刷されたテキストが大好きなはずの高齢者が読む本より、若者しか読まない(読者対象が少ない)ラノベ?作品とコミックの方がよく売れるということだ。ちなみに、人口比で考えると、高齢者は若者の倍に近い読者人口になっているはずだから、時代物とラノベの比率はある意味でおかしい。
これを説明するとすれば、高齢者は人口が多いが、本を読むのは嫌いな活字否定派ばかりで、若者世代は人口は少ないが読者率は高いという解釈になる。
おまけにラノベのかなりの部分は電子出版で販売されている。それにもかかわらず書店での陳列面積は、ラノベが優先されている。つまり、日本の書籍業界は、予想以上に若者向けに対応しているらしい。
書籍離れと言われて久しいが、本当に書籍から離れているのは高齢者を中心としたオールドタイマーである、と言えるのではないか。
若者を中心として紙に印刷された本は買わない「新しい読者層」が育っていて、紙ではない新しいメディアで作品を読む「ニューリーダー」が形成されているのは間違いない。

この二作の表紙を見比べるとあれこれ思うことはがあるのだが、黒バックに文字という表紙と、色鮮やかな美少女イラストの表紙は、まさに今の日本における書籍と読者というテーマが露骨に現れていると思うのだ。

追記:たまに平日の図書館に行くと、溢れているのはジジ(なぜかババは少ない)なので、活字好きの高齢者、特にジジは図書館で無料の読書を楽しんでいるのかもしれない。それはそれで、本屋にとっては役に立たない読者層ということになるのだろうが。中古本販売のブック〇〇も、ジジの姿が多いなあ。