食べ物レポート

むさしのの名物で物申す

カレー料理は東西文化の融合が高いレベルで行われたことを意味する文化指標だ と言いたい

武蔵国とは、現在の東京都、埼玉県を合わせた地域になるはずだが、当時の都からみればほぼ地の果てだろう。北関東は下野、上野と名付けられているが、これは大和朝廷東征時代に「毛野国」があった場所だったそうで、そこが征服された後につけられた国名のようだ。「下の毛の国」がなまって「しもつけ」になり、「上の毛の国」が訛って「かみつけ→こうつけ→こうずけ」になった。
似たように大和朝廷の征服過程で統合された旧国名称が残されているのは、九州大分県周辺にあたる豊の国領土が豊前豊後となり、岡山県および広島県東部にあたる吉備国の備前、備中、備後のような感じだろうか。国名に滅ぼされた国の名称が残るのは、統合されたとはいえ、それなりに大国であったことの名残りだろう。非征服民への慰謝みたいな物だろうか。

僻地扱いされていた関東以北にある国は、いきなり「陸地の果て、国としては一番奥にある」などとこれまた酷い差別扱いで「陸奥」と名づける。大和朝廷のネーミングセンスは(統治センスも含め)、かなり低レベルというか繊細さに欠ける。
おそらく現在の宮城以北の諸部族、東北の地に住む先住民は、大和民族とは他民族と思っていた節がある。東征により従えた北関東までの国家群は、少なくとも同型民族扱いしていたはずだし、北関東に多数残る古墳群からは大和朝廷の影響が強く感じられる。尾張の豪族、信濃の豪族についてはまた別のストーリーがあるようだ。


話を戻すと当時の「武蔵国」は、今のように平野が広がっている土地ではなく、利根川、荒川などの大河川でズタズタに分断された「湿原」地帯だったようだ。農業先進地域である西国では、灌漑がすすみ治水事業も行われていたが、戦国末期まで武蔵国は湿原地帯、未開の地として放置されたままだったようだ。
だから、水がつからない場所、つまり台地や高地部分で麦作が盛んになった。他にもいくつかの要素はあるが、武蔵国と上野国では麦がたくさん取れ、それをうどんにして食べた。うどんは農業後進地帯のローカル食であり、米の代替食だったのではないか。などとあれこれうどんを食べながら考えていた。
生まれ育った北の島では、開拓当初の時期は米が取れないばよが多かった。先人の苦労で米の北限はジリジリと北上していったが、代用食として馬鈴薯、つまりじゃがいもが幅を利かせていた。
ローカルなじゃがいも料理(それも実に素朴で料理とは言えないレベルが多い)は、今ではすっかり観光客相手の売り物になっている。家庭の日常食としては衰退してしまった感がある。


じゃがいも料理とはまるで異なり、武蔵野うどんは今でも現役バリバリのローカルフードだ。つゆに入ったかけうどん的な物ではなく、もつけ汁で食べるスタイルが原型だが、そこからかなり派生的に「つけ汁のバリエーション変化」が生まれた。おそらく最初の頃は、出汁の効いた醤油味だったのだろう。それに、肉やらキノコやらの豪華な具沢山のつゆが加わったはずだ。つゆ革新運動?の流れにあわせて、カレー味は生まれた。蕎麦屋のカレー南蛮の直系子孫というか、丸パクリでしかないとは思うが。
だが、そのパクリ品が最近は実にうどんにあう、うまいと感じる。一番ポピュラーな肉汁うどんより、カレー味の方が料理としては一段レベルが高い気もする。カレー粉が一般糧に生で広がるのは明治後期以降らしいので、カレー味は比較的新規導入された物だろう。ひょっとすると昭和生まれかもしれない。

関東の蛮族と馬鹿にされていた大和朝廷の時代とは異なり、いまや武蔵国の文化レベルは格段に違うのだよ。というか、武蔵国が日本の文化を牽引している。その食文化の最高峰が「武蔵野うどん」というと言い過ぎか……………

「ところん」には武蔵野うどん伝道大使になってほしい

ちょっとだけ付け加えると、武蔵野うどんの中心地はどこになるかと問われれば、答えはいささか微妙になる。東京都下の多摩地区と埼玉県西部にある所沢狭山市周辺がうどん屋の密度が高い。武蔵国の時代には、地理的行政的境目がなかった一塊の地域であったせいもある。
周りに水田がないこと、地形が台地であることから当然ながら麦作地帯だったと推測できる。川越付近は(その昔は武蔵国の中心都市だった)周辺に大河があるので稲作が盛んだが、川から離れた地域、熊谷から行田にかけての内陸台地でも、うどん(小麦粉製品)はよく食されているらしい。(加須はうどんで町おこしをしている)

個人的には、旧武蔵国西部地域、つまり川越、所沢、熊谷、加須などが連携して埼玉うどん文化圏を名乗り、武蔵野うどんの普及拡大キャンペーンでもすれば良いのになと思う。
うどんは讃岐うどんだけではないぞ、という坂東武者の心意気(なんだ、それ)を見せても良いではないかと。だが、埼玉県庁に巣食う官吏は文化より経済、それも東京隷下での属国化を選んでいるようだ。
大和朝廷の時代から、地方官吏の考えは中央に媚びへつらう、変わりばえのしない物らしい。

食べ物レポート, 旅をする

新潟のカレー料理インスパイア

去年新潟に行った時には見かけなかった(見つけられなかった)、土産物の新作があった。一つ目は、バスセンターのカレー味という柿の種で、そもそもバスセンターの立ち食い蕎麦屋が万代そばという店名であると初めて知った。
食べてみると、確かに一般的なカレー味のスナック菓子より甘さが感じられる。独特なカレー味で、言われてみればこんな味だったかなあと納得する程度には似た味わい?がある。
新潟は柿の種の本家本元がある土地柄だから、こういう変わり種柿の種も人気がありそうだ。お土産にすると、バスセンターのカレーの蘊蓄を語るきっかけにもなるし、手頃な土産物と言えそうだ。まさに、手土産には好都合な、お手頃な一品だ。一家に一袋的な感じだと思う。
新潟から帰る時の新幹線で、これをつまみにビールを飲むという状況を考えてみれば、これまた実にぴったりする優れものだ。

これも今回初めて知ったものだが、新潟では有名なカレー味のとり半身唐揚げが、ローカル名物として存在している。一度食べてみたいと思ったが今回は機会がなかった。次回はぜひ挑戦したいものだが、そのカレー味唐揚げを再現したもののようだ。
これもその鳥唐揚げ専門店の監修だということだから、食べた感じから元の唐揚げの味を推測すると、かなり辛めでスパイスが尖っている味付けのようだ。ガラムマサラ系のスパイシーさが強いのではないか。
カレー味のスナック菓子としては、相当に辛めの設定になっている。車内でビールのお供というより、家飲みの時に箸でつまみながら(手が汚れないように)、ハイボールでも飲むのに合いそうだ。
今回は一つしか買ってこなかったのが残念だ。いくつか買い置きをしておきたい代物だが、これは新潟でしか売っていないだろうな。
最近、あちこちで亀田製菓製のローカル味小袋スナックを見かける。全国のご当地名物をコピーした商品は、地元+観光客土産として市場価値があるからだろう。
おそらくコロナ環境下での観光業不審も影響していたのだと思うが、なかなか目の付け所が面白い。ご当地版キットカットはかなり昔から存在していたが、コメ菓子の方がより人気になりそうな気もする。
しかし、新潟市民はそんなにカレー味が好きなのだろうか

食べ物レポート

魚と天ぷらの居酒屋にて

名古屋発の居酒屋チェーンで、売り物は鮨ともつ鍋という不思議なコンセプトの店がある。名古屋という大都市発祥なのだが、なぜか埼玉県の端っこの方で、プチ・ドミナントを作ろうとしているらしく、自宅の周りに何軒か出店している。
どれも小ぶりな店なのだが繁盛しているので、各駅停車でお店が増えている。社長のインタビュー記事などを読むと、なかなかユニークな出店戦略をお持ちのようだ。
そのチェーンの一軒が、鮨居酒屋から「魚と天ぷら」の店に衣替えをした。ブランドのサイトで調べてみると、全国でもこの一点だけなので、実験店ということだろう。まず注文してみたのが、お店の一推しメニューである刺身五点盛と天ぷら盛り合わせだ。たしかにコスパは良いと思う。魚の鮮度も良いし、天ぷらはカリッと揚がっている。居酒屋でよくありがちな、衣8割と着膨れた中身のわからないなんちゃって天ぷらではない。ちなみに、総菜屋の天ぷらは劣化防止のために衣が厚く膨れているものが多いが、ダメな居酒屋の天ぷらは中身の小ささを隠すために、ぶくぶくした衣になっている。天ぷらではなくフリッターだろうと突っ込みたくなる。
元来、てんぷらとはうす衣もではないかと思っているので、熱々の天ぷらを衣がふやける前にさっくりと食べるのが良い。

売り物である刺身と天ぷらのコスパの良さが確認できたところで、追加注文したのものが「本日のカブト煮」だった。これは日によって「頭」が変わる日替わりメニューで、注文してもできない日があるらしい。お店独自のメニューなので、タブレットでメニュー登録されていないから、口頭で頼んでくれとのことだった。
注文して15分ほどで出てきたのが金目鯛のカブトだった。

金目鯛の兜には初見だった。結果的に、マグロやカンパチのような大型魚のカブトとは違い、頭の見栄えの立派さとは相反してというか、食べる味が少ない。感覚的には3口で食べ切ってしまった。お値段を考えれば、こんなものかもしれないと変な納得をしてしまったが、金目鯛のカブト煮はもう少しサイズの大きいものがよろしいようだ。

珍しいなと思って注文した「鳥のはらみ」だが、これでも一応鳥肉の部位はそれなりに理解しているつもりなので、ハラミと言われると不思議な気がする。物理的には胸肉(ささみ)の下にある、モモの上パートだと理解できるが、その部分だけを捌いて売っているものだろうか。
牛のハラミなどのように内臓周りの肉や、下半身の半端な部分が安く売られるというのはありそうだが、こと鳥に関してはそんな余剰部分があるとも思えない。何か特殊な用途で使い残した肉なのかもしれない。食べると普通に美味いので文句はないが、元鳥谷の端くれとしてはあれこれ考え込んでしまった。
魚と天ぷらというコンセプトはなかなか面白い。ちょっと磨き上げると大チェーンに化けるような気もする。月一くらいでチェックに行ってみようかな(偉そうに申しております)

ご興味がある方は こちら ↓
https://yossix-shop.com/detail/20011/

街を歩く, 食べ物レポート

町角の風景とオムライス

所要があり恵比寿に行った。昼飯を食べようとアチコチ歩いて回ったが、あいにく昼のピークにあたっていて、お目当ての店はどこも満員だった。30分ほど経てばガラッと空くのは分かっていたが、何せ気温が高すぎる。結局、待つのも諦め、空いている店を探すのも放棄して、新宿に逃げ出すことにした。
その時にたまたま見かけた看板がこれだ。飲めばわかる最強炭酸とは、確かにその通りだ。飲まなければ、最強であるかどうかもわからないが。なんとも意味不明な引き文句でもあるし、少し中身をきちんと読んでみようと足を止めて看板をしっかり隅から隅まで見た。(暑いのに……………)
いくつか気がついたが、一番の衝撃というか困惑というか、おやまあこれは困ったなと思ったのが、ハイボールに使うウイスキーが今や最低ランクになっているということだ。
確か十年くらい前から始まったハイボールブームは、「角」推しだった。最近ではすっかり見かけなくなったが、綺麗なお姉さんが「いかが?」と蠱惑的に勧めてくるCMがブームのきっかけだったように記憶している。そして、その上級バージョンが「山崎」だった。
それが今では(価格は安いとは言え)、トリス級が定番になっている。ハイボールブームのおかげで、たっぷりあった(余剰在庫化していた)ウイスキー原種がすっかりなくなってしまったという話は聞いたことがある。
確かに原種不足で竹鶴のブレンドが変わったとか、山崎がほとんど出荷されず、裏ルートで売られているとかいないとか、ちらほらとその手の噂は聞いているが。最早、角ハイボールも普及品扱いではなくなったのか。なんだかショックだなあ。

ショックによろめきながら新宿まで行って、よく行く洋食屋でオムライスを食べることにした。ついでにハイボールもい一杯注文しようかと思ったのだが。
ここでも吃驚体験が待っていた。なんと午後1時近いのに満席ですわれないのだった。外国人観光客もいた。コロナの間は、ランチタイムでも客が5人しかいない………みたいな悲惨な状況の時もあった。それが、なんと席待ちになるまで復活した。めでたしと喜ぶべきだろう。
昼でこの混雑ぶりだとすると、夜は予約なしでは入れないのかもしれない。街を歩く人を見ても、2ー3割は外国人観光客みたいだし、ひょっとするとこの「オムライス」が世界的に有名になるのかもしれない。今のうちに食べておかないと、この先は1時間待ちの行列が……………と心配するような事態になるかも。でも、それは嫌だなあ。
自分の大事な場所は繁盛はしてほしいが、あまり有名になってほしくないという、矛盾した気持ちがあるので。
でも、客が入らず店が潰れてしまうのはもっと困る。しばらくせっせと通うことにしようと思いました。

食べ物レポート

焼き鳥日高で学びましょう

ホッピーはビールの搾りかすと元上司に騙されて、10年以上信じていた お江戸トラウマ 1号

埼玉が誇る町中華チェーンの日高屋には、姉妹店というべき「焼き鳥 日高」が隣町に存在する。この店は軽居酒屋としてなかなか完成度の高い秀逸なコンセプトだと思う。プロトタイプの店が大宮に開店した時、視察に行って感心したのを覚えている。その普及版が、埼玉県の古都と言うべき隣町にコロナ手前に開店していた。コロナの荒波もなんとか乗り切ったようで、今では夕方になると賑やかな店になっている。
特に、タブレット注文が一般的になる前に導入された、タッチペン式の注文票がなかなかユニークだ。ただし、使い方にはちょっとコツがいる。通な客でなければ一度説明されたくらいではよくわからない。
ただ、街の居酒屋としては常連中心の営業だろうし、これはこれで常連客が一見の客に優越感を感じさせる(俺は、簡単に注文できるのになあ的な)、良い道具かもしれない。ちなみに隣に座っていたおっさんは、全て口頭注文で通そうとしていた。大常連らしい。店のお兄ちゃんが全て代行入力していたようだ。
そして、この店ではホッピーを頼むに限る。いかにも首都圏で酒を飲んでいる気がする。初めてお江戸に出てきた時に感じた、お江戸の居酒屋で感じた違和感の根元が、このホッピーという飲み物だった。
お江戸の居酒屋では、上京してきた時の初心忘れるべからずと、よくホッピーを注文する。上京早々にお江戸で暮らしていけるか不安になった原因であるホッピーを、今では普通に愛飲できるようになった。人間、何にでも慣れるものらしい。

スタミナ焼きというメニュー 埼玉的にはカシラだと思っていたらハラミだった

焼き鳥が店名に入っているはずだが、焼き鳥だけではなく、いわゆるもつ焼きも頼める。カシラという串もお江戸に来て初めて食べたような気がする。生まれ育った街では「豚精肉」と呼んでいた豚肉の串焼きは、バラ肉の薄切りだった。このようなゴロッとした肉塊ではなかった。
これがまさにお江戸の洗礼、ホッピーと合わせてトラウマになっている「もつ焼き」という代物だ。焼き鳥屋と思い込んで入ったもつ焼き屋の店主に「うちはもつ焼き屋で、焼き鳥はない」と叱られた挙句に、おずおずと注文したのがカシラだった。今ではその言葉(カシラ)の意味を理解できるが、当時は壁際にかかっている品書きの意味がわからなかった。全く馴染みのない言葉が並んでいた。(今でもわからない特殊用語もあるから、もつ焼き屋は奥が深い)
カシラは辛味噌をつけて食べる埼玉(東松山)スタイルにすっかり慣れてしまった。シロと合わせて好みの串焼きの一つだ。改めて、人間、何にでも慣れるものだ。

鶏皮は、博多スタイルが一番旨いような気がする

最近ではほとんど注文したことのない鶏皮を久しぶりに頼んでみた。それもタレにしてみたのだが、これは失敗だった。鶏皮は塩で注文して、皮のカリカリ具合を楽しまなければと反省。人間、たまには冒険も必要だが、たいていは失敗する。

ガツ刺しは頼むのに勇気がいる 鮮度管理がダメな店はけっこうあるからだ

ガツ刺しも半年ぶりくらいで食べた。このコリコリとした食感は意外とクセになる。ただし家庭料理では、ほぼほぼ食べられない居酒屋珍味の一つだ。月刺しはポン酢で食べることが多いような気もするが、この店では辛味噌スタイルらしい。

これを想像の斜め上というのだろうか ニラ玉というニラ入り卵焼き

そこそこ腹は膨れているのだが、気になるメニューがあり、つい注文してしまった。モツ系の肉だけ食べておしまいというのも、なんだかバランスが悪いと思ったからだ。
ニラ玉と書いてある壁の品書きを見て、あれこれ想像してしまった。予想したのはニラを炒めてからの卵とじだったが、出てきたのはニラ入り卵焼きで、思わず品書きを見直してしまった。確かに、これがニラ玉と言われても文句のつけようはない。ニラと卵で出来上がっている。
この手の、品名から想像するものと実物との差というか勘違いは、典型的な居酒屋あるあるだが、それにしてもだいぶ予想が外れた。
あれこれ考えていないで食べることにしたら、これまたびっくり仰天というか、自分の好みにジャストミートの卵焼きだった。感覚的には、極上のお好み焼きを食べているようなふわふわ感があり、噛み締めるとニラの旨みがジュワッと出てくる。
試しに、卓上にあったソースをかけてみた。おお、まさしく極上お好み焼きではないか。これなら自宅でも似たようなものが作れそうだと思ったが、その時は卵をケチらずにたっぷりと使うのがコツだろう。溶いた卵には出汁を多めに混ぜて、砂糖なしのみりん少々で仕上げるのが良さそうだ。
次からは焼き鳥の注文なしで、このニラ玉だけを何度も飽きるまで繰り返し注文してみるのはどうだろうか。食べたいものだけを食べたいだけ食べて帰ると言う、究極の贅沢として良さそうな気がしてきた。おまけに安上がりで済みそうだ。
まさに、大発見というか、目から鱗というか。おそらく、数ある居酒屋メニューの中には、これと同じように勝手に思い込んでいるだけで、全く自分の想像と違うメニューが存在することのだろう。まずは自分の常識を疑うところから、人生の発見は生まれるのだと、埼玉の古都で学びました。

旅をする

JR東日本 新潟支社のお嬢さん

最初に出会ったのは、長岡駅から一駅離れた小さな駅だった。改札口を出たところに彼女は立っていた。JR東日本で駅娘の企画があったとはと驚いたが、ひょっとするとまた、どこかの企業とのコラボだろうと、あまり気にもとめなかった。とりあえず一枚写真を撮っておしまいという感じだ。

次に出会ったのは、新潟駅だった。ここでようやくスタンプラリーのキャラだということがわかった。首都圏山手線で見かけた、イケメン駅男子の新潟版なのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
新潟県限定で、JRを使って酒蔵を回るプチ旅企画のようだ。首都圏で毎年春先に実施されている、コラボキャラ・スタンプラリーの縮小版みたいなものだろうか。首都圏版では、ウルトラマンやガンダムなどの著名キャラがコラボ対象になっていた。新潟は独自キャラを建てたらしい。
しかし、スタンプラリーの巡回駅を見ると、これはなかなか完全制覇が厳しいことがわかる。新潟から離れた駅に行くと、日帰り旅行でもギリギリの行程になるだろう。新幹線も利用しての金持ちトラベルにしたとして、それどもおそらく2-3日かかるのではないか。

新潟の旅の帰り際で、長岡駅でも彼女に再会した。どうやら対象駅ごとにパネルが違うようなのだが、新潟駅では見かけなかった。新潟市内には対象となる酒蔵がないのだろうか。見落としていたことに気がついた。ちょっと残念だ。

手に持っているのは鉄印帳かと思ったら、まさかの乗務員手帳でした

今回の旅では会津若松で「鉄道むすめ」と出会った。それと見比べてみると、やはりテイストが違うというか、JR対私鉄連合みたいな雰囲気が感じられるのが面白い。JRはシャープなクールビューティー、私鉄連合はゆるふわ系という感じがする。
その延長であれこれ考えてみた。女性キャラを立てるのは、萌え好みの男子客を集めるという意図なのだろう。確かに、連動したグッズ販売などを行いやすい。茨城県大洗の戦車娘たち、静岡県沼津市のバンド娘たちの成功例もある。
ただ、御朱印めぐりのようなイベントは女性客が多いようだ。とすると、スタンプラリーを企画する時には、イケメン男子キャラの方が実効性は高そうな気もする。となると、イケメン企画ではなく萌え系企画が多いのは、イベントを決める偉い人が男性に偏っているジェンダー問題の現れかもしれない。鉄道企業に横たわる黒い性差別の闇みたいな言葉が思い浮かん。とまりと、JR東日本首都圏部隊は、かなり先進的なダイバーシティーに取り組む集団ということだろうか。
などと、かなりどうでも良い社会考察をしながら、会津新潟の旅は終わりました。鉄道むすめ、完全制覇の旅という言葉が頭の隅をかすめているが、考えないことにしておこう。

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バスセンターのカレー

店名は看板に書いていない  のだと思う

今やコラボ製品も出現する「新・新潟名物」と言わなければいけない。バンダイシティーバスセンターの端にある立ち食いそばの店にカレーを食べに行った。ただ、看板をよくみるとそば・うどん・カレーとなっているので、カレーはそばと並ぶ三大主力商品の一つであることに気がついた。
たいていの立ち食い蕎麦屋では、ライスメニューとしてカレーが置いてある。カツ丼や牛丼を名物にしている立ち食いそば店もあるから、カレーが名物になっても当たり前と言えば当たり前なのだが。そういえば日本橋の某立ち食い蕎麦屋もカレーが名物だった。
朝8時の開店時にはすでに行列ができていたが、これは全員観光客と見て良いだろう。8時15分くらいになると地元のサラリーマン的な客の姿が増えてくる。
改めて看板を見ていたら「安い、早い、うまい」と書いてある。言葉の順番が、お店側の感じる重要度順だとすると、やはり価格が第一ということだ。同じキャッチフレーズを使う牛丼の全国チェーンでは「うまい、安い、早い」だから、その差が微妙な感じで面白い。まあ、牛丼の旨さの定義も、これまた難しい気がするが。
この店のカレーの「うまさ」は、店からすると「安さ」が重要で、それには勝てないらしい。

福神漬けが救済だった

2度目のバスセンターカレーだが、今回はカレー単品なので普通盛りを注文した。しかし、カウンターに置かれた「普通盛り」を目にすると、しっかりと後悔してしまった。これはふつうもりといってはいけない、正しくは大盛り、あるいはごはん特盛と言うべき盛り方だろう………
ご飯の量が丼で二杯分くらいある。体育会系運動部の現役選手向きだ。あきらかに自分には………向いていない。そして、残念ながらカレールーとご飯のバランスが悪い。米が多すぎる。
その上、バスセンターカレーのルーは、そばつゆを使っている甘めの優しい味だ。大量の米と合わせて食べるのにはあまり向いていないように思う。前回頼んだ時は、小盛りだったのですっかり油断してしまった。
救いだったのは豪快に盛られた福神漬けで(これはお店の人が乗せるのだが)、間違ったかと思うほどの大量提供だった。弁解するようだが、セルフサービスの福神漬けを自分で山盛り取った訳ではない。
カレーを食べながら福神漬けで味変を試み、なんとか完食手前まではこぎつけだ。武蔵野うどんの店でも麺の量に騙されることは多い。普通盛りを頼んでも、通常で言えば大盛り扱い、麺が2-3玉分でてくる店がほとんどだ。これは痛い経験を通じて学んでいるので、武蔵野うどんでは麺量を確かめてから注文する。「麺の量は、どれでも同じお値段ですよ」などという甘い言葉には騙されない。
しかし、カレーで同じ目に合うとは予想もしていなかった。事前学習が足りなかったと反省するしかない。結局、この日の昼飯は抜きになってしまった。バスセンターカレー、恐るべし。でも、この優しい味はしみじみ旨いんだよね。

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古町 夕方そぞろ歩きは失敗?

古町のバス停で降りたら高層ビルにお出迎えされた

新潟には何度も仕事で来ている。が、意外と古町界隈をぶらついたことがない。仕事が片付いた後、古町まで車で連れてこられて、店の前で下ろされて、会食が終わるとタクシーでホテルに帰るみたいな行動は何度かしたことがある。だから、街の雰囲気というか、様相というかは全くわかっていなかった。そこで、夜になり少し気温が下がったら古町という繁華街を探索してみようと思ったのだが………
結論を先に言うと、暑さに負けて逃げ帰ってしまった。

いかにも高そうなお店だが、ぶらりと行って入れてくれうだろうか

暑さのせいか、街の特徴なのか、ともかく通りを歩いている人が少ない。夕方の7時前だから、普通は飲み屋を目指すサラリーマンなどがたくさんいそうなものだが。
あちこちにおしゃれな、そして高そうな店はたくさんある。この中にはすでに客がいるのだろう。

通りのハズレにある、良さげなラーメン屋は混雑していた

大通りからブラブラ歩いて反対側の太い道に出るまで、およそ10分ほど。距離にして500mもないはずだが、暑さに負けてしまった。暑さと言うより湿気の多さに閉口したと言う感じもする。風は吹いているが生ぬるい。良さげなラーメン屋を見つけたが入る気力も湧かない。残念だった。

よくわからない空間オブジェ? 

歩道には屋根がかかっているので、この通りは冬でも歩きやすいだろうから、次は冬に来ることにしようと思い、さっさと撤収することにした。次回はもう少し事前に研究をして、良い店を予約しておく方が良いかもしれない。どうも、飛び込みで入れそうな店はラーメン屋くらいだったし。

意味はわかるが、言葉としては謎な………

そんな新潟の繁華街で見つけた不思議看板。なんとなく利用の動機や使い方は理解できるが、午前1時が早朝宿泊になるのかと、あれこれ考え込んでしまった。午前1時は深夜という気がする。おまけに全日受付と言うのも、早朝宿泊とは関わりなさそうだし。
そもそも「早朝宿泊」とは日本語として正しいのか、悩ましい言葉だ。この辺りの「新造語」は、やはり夜の街らしい気もする。モーニングが、いつの間にか喫茶店の朝食を意味する代名詞になったように、「早朝」という言葉が新潟(古町)限定で違う意味を持っているのかもしれない。結局、古町探訪は次回に大きな宿題を残したまま終了してしまった。散歩としても不発だった。これまた残念。

ちなみに、水島漫画キャラの銅像は、下調べをしていないため未見だった。ちょうどこの歩き回った通りの反対側の端にあるらしい。これも次回の宿題だ。

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万代シティーの2階あたり

新潟て泊まったホテルの3階がフードコートになっていた。一回からエスカレーターでホテルのフロントに登っていく途中でいきなり出現する、仰天立地というべき場所だった。ただ、バンダイシティーはバスセンターを中心に周辺の商業ビルがペデストリアンデッキ、つまり空中回廊で結ばれているので、その回遊路からは直結する場所だから、無理な立地てはないと思う。
そこで出会ったのが、この「怪人」だ。なんだこれと思ったら、まぜそばの店だった。この方がどんな方なのか説明もないが、新潟では有名人なのかもしれない。

ペデストリアンデッキからみた入り口の看板

フードコートにはラーメン屋もあり、人気の回転寿司屋で注文したテイクアウト用の寿司を食べることもできるようだ。なかなか、快適空間のようでたくさんの客がくつろいでいる。
フードコートの真下は全国チェーンのハンバーガー屋とドーナツ屋があるので、けっこう立派なフードビジネス集積地だった

その空中回廊をバスセンターに向かえば、新潟ファストフードのイタリアンが食べられる。実にファストフード店らしい見かけだが、立地的には一等地になる。全国チェーン店を押し除け、新潟ローカルは実に強しだった。

この新潟では名物化している焼きそばを食べるのもよいだろう。店内は比較的空いているので、のんびりとした雰囲気がある。この店の下には、今や全国的知名度を持つにいたったバスセンターのカレーを提供する立ち食い蕎麦屋もある。結局、2時間近くかけてバンダイシティー周りを歩き回ってしまった。やはり、バンダイシティー周辺は密度の濃い外食地帯なのだなあ。 

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利酒の楽しみ 新潟駅でホロ酔い

新潟駅に、その名も素敵な「ぽんしゅ舘」という日本酒の販売施設がある。新潟にある蔵元の酒を集めている。酒の肴になりそうな食べ物もたくさん置いてあるので、日本酒ファンにとっては、目移りしまくりのワンダーランドだ。
その館の中に、これまたご機嫌な施設がある。

利酒をする場所と言えば良いのだが、利酒をしているうちにほろりと酔いが回る。なんとも、酒好き泣かせな設備だ。仕掛けは簡単で、五百円払うとコインが5枚もらえる。それと小ぶりなぐい呑みを一つ渡される。利酒をするには、お酒を注いでくれるマシンの所定の場所にぐい呑みをおく。マシンにはぐい呑みを差し込む窪みがあり、そこにぐい呑みをセットした後でコインを一枚投入すると、25mlのお酒が出てくる。つまり、五百円でぐい呑み五杯、計125mlの日本酒が堪能できる。

酒マシンには番号が振ってあり、それぞれの番号には新潟の酒蔵の酒が割り当てられている。同じメーカーでも純米酒や吟醸酒など複数の異なる酒が楽しめるものもある。5枚のコインを握り締め、ぐい呑みを抱えてマシンの前をうろちょろしながら、最初の一杯はどれにしようと悩む。まるで十円玉を何枚か握りしめて駄菓子屋に行った時の気分だ。
今風だなと思うのは、お酒チョイスアプリがタブレットにセットされていることだ。いくつかの質問に答えると、3種類ほどの日本酒が「おすすめ」される。このリコメンド機能は遊び心をくすぐる。

今回試した5種類で、一番のお気に入りは「055 越の寒中梅」だった。001天領杯は、かなりクセの強い酒で、久しぶりに個性的な酒に出会った感じがする。049 加賀の井は、マッチングアプリ推薦の酒だった。どの酒もユニークで、実に楽しんだ。
日本酒好きでも、お気に入りの酒は個人で大きく差があるものだ。甘めが良い、米の香りが……、スッキリと辛口が、などなど酒飲みとは実にわがままなものだといつも思う。
だから、自分の好みを人に押し付けることはしない。また、おすすめの酒を教えてくれと言われても、自分で飲んで決めろと突っぱねることにしている。最近はそんな会話すら面倒になり、一人で飲みにくのが一番良いと思っている。
誰かと飲むのであれば、誰が飲んでも答えは同じな炭酸系にする。ハイボールや酎ハイのたぐいだ。あれにはうまいもまずいもない。炭酸系でもビールになると、また蘊蓄を語り始める奴がいるので、最近は「とりあえずビールを」ということもしない。

そういうコミュニケーションが面倒くさいと感じるダメ人間なので、こういう素晴らしい施設には一人で来て、一人納得して楽しむことにしている。楽しみをシェアするのは、まだフェロモンたっぷりな若い方達にお任せしよう。(不思議と、店内にはカップルが多い)
昔、東銀座にあった日本酒センター?にも似たような仕組みがあったが、こちらの方がはるかに重宝する。1日五杯ずつのお試し・利酒をして、全種類制覇するには20日以上かかる。コンプリートに20日もかかれば、最初に飲んだものの味などすっかり忘れてしまうので、21日目からはまたフレッシュな気分で利酒サイクルが開始できる。
まさにエンドレスで楽しめるではないか。おまけに定期的に、試飲の酒は入れ替わるらしい。なんと夢のような………
やはり、新潟に住んでいる人が羨ましい。雪さえ降らなければ移住しても良いと思うほどだ。次はいつ新潟に行こうかな。