
高知市にあるイオンモールは、地方都市のイオンモールの典型で、旧市街にある繁華街を消滅させながら、新しい人工の繁華街を作ることに成功した。市内中心部から1Km程度という距離感も上手だった。ほぼ同じ人口規模である宮崎市では市内からの距離があり、高知ほどは成功していない感じがする。(まあ、規模の差も影響しているとは思うが)
そのイオン高知のフードコートは実に巨大で、イオンモールの中でも屈指の広さではないか。これに匹敵するとすれば、埼玉県越谷の巨艦店か千葉幕張にあるイオンモール本店?くらいだろう。ただ、名乗りはフードコートではない。フォレストと言っている。
多分に一時期はやったフードホールを意識したものだと思うが、その割にバラエティー感が薄い。全国展開するチェーン店が勢揃いしているわけでもない。なんともテナントミックスの意図がよく見えてこない不思議空間だ。
イオンモールは開店後5年程度でテナントが急速に入れ替わり、開店当初の意図は現実の前に崩壊するというのが定番なので、この高知のフードホールもどきが今の地方都市ショッピングモールの典型例で間違いないだろう。
開店当初は頑張っていた新興チェーンはだいたい淘汰され、馴染みの超大手だけが残る。麺業態が複数化する。場所の悪いところにインドカレーとデザートの店が進出する。だいたいそういうパターンで変化していき、フードコートが地元化していく。
ただ、その流れの中で地元の元気なローカル外食企業がフードコートに出店すると、これがなかなか人気になってフードコートの華になっていくこともある。
イオン高知ではそれが二軒もあるのだから、高知県人の地元ラブ度がわかる。
一つ目はおにぎりと卵焼きのセット販売で有名な店だ。ここの卵焼きは重量感のある厚いもので、西日本では標準の出汁味、甘さなしのものだ。個人的にはお気に入りの卵焼きだが、本店が高知県中西部の須崎市にある。高知市内からも1時間程度離れたところなのだが、みんなが知っているおにぎり屋だそうだ。
ここのおにぎりを調達するのはなかなか大変なのだが、それがモールで買えるのは素晴らしい。本来は惣菜売り場でテイクアウト対応のはずが、なぜかフードコートの中にある。それも素晴らしい。

二つ目は今回気になって食べに行った高知名物?ジャン緬がモール出店したもの。この店のカウンター前に置かれたガイドロープを見れば人気度合いがわかる。そしてこれぞファストフードのお手本と言いたくなるコンエプトだ。メインのジャン緬にトッピングバリエーションを加えただけのシンプルメニュー。そしてサイドメニューは唐揚げのみ。メニューボードはわかりやすい大判の写真と価格だけ。
この思い切りの良さこそファストフードの基本の基なのだが、今では大手ファストフードチェーンですらこれができない。ハンバーガーのM社では価格すら見せないこともある。
ちなみに業態・コンセプトが混乱するときは、必ずメニューの複雑化とオペレーションの低下が同時に起こるのだ。ある意味で混乱発生中というサインとも言える。が、業績不振になるたびに経営者を変えるので、経営者に知見がたまらない。奇抜なアイデアに走る。そしてクビになる。そもそも知見がある経営者は転職をしないせいもあるが。
個人的にはこの高知発の二つのファストフード、卵焼きとジャン緬が天下取らないものかなと夢想しているのだが。良いプロデューサーがいればいけそうな気がする。