
この時期になると高知県の八百屋の店頭は賑やかになる。文旦をはじめとした磁場産の柑橘類が一斉に登場してくるからだ。12月から高知県特産「山北みかん」が並び始める。この蜜柑は酸味が少なく、濃厚な味のするみかんで、お江戸界隈では目にすることがない。大量生産される東海地方や愛媛のみかんに価格で対抗できないせいかと推測するのだが、甘さには圧倒的な差があるので人気が出る気もするが。地元高知でもちょっとお高めなので、そこがネックになっているのか。
その山北みかんと置き換わるように、1月中頃から文旦が出回り始める。文旦はグレープフルーツに似た、香りの高い柑橘だが、糖度はグレープフルーツよりはるか上だ。大きさと色味のせいで八百屋の店頭では一段と目立つ。
また、この時期にはポンカンも登場する。これもお江戸界隈ではあまりみないが、酸味がほぼないみかんと思って間違いない。高知県は愛媛に次ぐ日本第2位の生産権だそうだが、こちらはお値段がだいぶこなれているので箱買いしてもお安いものだ。
高知に限らず瀬戸内から九州北部では、各県ごとに様々な、お江戸では見たこともない柑橘系フルーツが溢れている。品種改良で最近登場したというものもあるが、昔から作られている伝統的な品種も、お江戸では売られていないので珍しい。
確か、蜜柑の北限は千葉南部の太平洋沿いの地域と聞いたことがあるが、今では埼玉県北部まで広がっているのだそうで、やはりこれも平均気温の上昇のせいだろう。当然、西国の柑橘生産地では品種を変えて高温対応しなければいけないはずで、その辺りの事情が見たこともない柑橘につながっているとは思うのだが。
ちなみには小売されている文旦は、ほぼほぼルックスの良いギフト用品でお高い。幹線道路沿いにある野菜直売所などで買うと、驚くほど安い。違いは皮に多少黒い斑点がついているくらいのものだから、自家消費用としてはそれで十分なのだ。が、直売書で売っている文旦はともかく入れ目が多すぎて、現代の少人数家族では食べきれないのではないかと心配してしまう。
この文旦とポンカンの時期が終わると、高知では小夏という小ぶりな黄色いオレンジが出回るのだが、これも香り高く甘さが程よい優れもので、やはり柑橘類は南国で調達するに限ると思うのですよ。