
冬本番のススキノで何日か滞在することになり、ふと思い立ち晩飯に老舗のラーメン屋に行こうと思った。普段であればもう少し都心寄りのホテルに泊まっているので、ススキの南部にあるこの老舗ラーメン店に来ることは稀だ。というより20年ぶりくらいかもしれない。
学生時代には飲んだ帰りにたまに酔っていたので、味の記憶はある。いわゆる昔ながらの醤油ラーメンを中心とした、昨今のニューウェーブ・ラーメンとは一線を画するの武士的なラーメンであるという認識だった。
すすきのという立地特性上、夜の7時や8時はガラガラだと思い込んでいたのだが、なんと満席で店先には席待ちの客が溢れている。
その姿を見る限り、どうも南方イスラーム圏からの来日者らしいとわかる。あれれ、と思った。基本的にラーメンのベース食材は豚が多い。鳥や牛はほとんど使われない。イスラーム圏の方が歯大丈夫なのか。
少なくともこの手の老舗ラーメン店でハラルなメニューがあるとは思えないのだが。

店内に入ってみそラーメンをチュモンした。どうも記憶にあるより濃厚系になっている。おそらく豚骨ベースのブレンドスープに変わっているみたいだ。これはこれで美味い。文句はないが、昔のあの「札幌的なみそラーメン」はどこに行ってしまったのだろう。
半分懐かしがり、半分あれこれ考え込みながら食べていた。店内から日本語は聞こえてこない。どうも南方チャイニーズ・南方の諸島国、そして南方イスラーム圏の人たちらしい。ようやく聞こえてきた日本語の注文もよく聞くとなんだかちょっと発音が合う怪しい。注文が終わった後の会話は半島語になっていた。
要するに従業員以外は、自分しか日本人がいない。なんとなくニューヨークでラーメンを食べた時のことを思い出した。すすきのグローバルナイトだった。

メニューブックには昭和中期らしいすすきのの風景が写っている。まさにはるかに遠き時代の風景だ。この頃の店主は自分の店が国際社会の縮図になるなどとは思っていなかったに違いない。ましてやラーメンが日本を代表する和食になるとはね。
個人的には、「僕の時代を返せ」と言いたくなる気分だが、日本人だけが客で店の経営が成り立たなくなるのであれ、積極的に外国人客を迎え入れてお店を続けてほしいとは思うのだ。ただ味だけは、日本人仕様を残してほしいのだけれどね。