
若鶏の半身揚げは小樽「なると」の名物だが、一時期札幌市内にずいぶんたくさんの類似店舗ができて、そのほとんどが消滅した。若鶏の半身を塩だれにつけてあげるだけというシンプルな食べ物だが、コピー店舗はそのシンプルさゆえに本家を越えられなかったらしい。
個人的には古巣のフライドチキン屋のチキンよりも日本人向けだと思っているが、こと品質という観点で言うとちょっと怪しい。
味が問題なのではないが、油の匂いがきつい。食用油は劣化が激しいので、このようなシンプルな揚げ物であると油の匂いがついてしまう。それを避けるには頻繁に新しい油に変えるしかないのだが、実は油の中に溶け込んだ鶏脂がある意味で旨みを作り出しているようなので、新油ではどうしても「油っぽくなる」のが難点だ。このバランスが難しい兼ね合いなのだ。
表面がカリッと揚がった皮部分に塩味を強く感じる。皮もうまいが中の鶏肉が実に鶏肉らしい肉の旨さを感じる。ザンギ、いわゆる鶏唐揚げではなかなかこうはならない。ザンギは細切れにした鶏肉を揚げるので、調理時間は短くて済むが、どうしても肉に火が通り過ぎる傾向にある。
半身揚げであれば骨付きということもあり、肉にジューシーさが残る。これがうまい。フライドチキンでは胸肉が好みなのだが、この半身揚げに限ってはもも肉が好だ。
一人で半身を食べ切ると満腹感に襲われる。同時に満足感が訪れる。肉を食べ切ったという満足感だ。皿の上にはキレに骨だけが残っている。こと、チキンに関してはどこにどんな骨がついているのかは承知しているから、余すところなく完食できる。職業柄身についた数少ない有用な知恵だ……………ちなみに、軟骨部分も間違いなく平らげる。
小樽の名店「三幸」の千歳空港店では、これ以外にも大衆食堂メニューが揃っていて、千歳空港に数あるレストランの中でもイチオシだ。半身揚げとサッポロクラシックというパーフェクトな組み合わせを是非堪能してもらいたい。