街を歩く

ご当地焼き鳥 in 高知

焼き鳥は全国どこに行っても必ず食べられる国民食で間違いないと思う。ただ、同じ焼き鳥が出されるわけではない。名称違いもあれば、ネタの違いもある。焼き鳥に東西文化圏の違いみたいなものがあるわけではないが、あちこちの地域で「これがうちの焼き鳥だ」と言われてびっくりすることがある。少なくとも串に刺さった肉を焼いたもの程度の共通項はあるだろうと思っていたら、世の中には串に刺さっていない焼き鳥もたくさんあるのだ。焼き鳥の世界は同床異夢をまさに体現するパラレルワールドだ。
高知県の焼き鳥全てがこうなのかはわからないが、串に肉と玉ねぎが交互に刺さっているスタイルは、まずまず一般的な形状であると思う。間にネギが入らない肉オンリーのストロング形式な焼き鳥屋は大都会には多い。逆にローカルなスタイルでは肉も小さめ、玉ねぎ小さめの一口サイズ焼き鳥になっているところも多い。高知のこの焼き鳥屋はまさに小ぶりな串の店だった。
盛り合わせを頼むと出てくる串の中身はこれまたオーソドックスであり、鳥肉、鶏皮、砂肝、レバーなどどれも標準的と言える。

ところが、おすすめメニューにあった「鶏のたたき」を注文すると、全く想像外のものが登場してきた。「たたき」というので表面を軽く炙ったささみの刺身的なものかと思っていたのだが、目の前に置かれたのはしっかりと炙ったもも肉?で、それを高知風鰹のタタキのようにニンニクと酢醤油ベースのタレで食べるというものだった。
確かに高知では鰹のタタキ以外にも、ウツボのたたき、ナスのたたきなど「たたき」シリーズは色々ある。炙ってものをタレで食べるというのが「たたき」の定義のようだ。
それに文句があるわけではないが、やはりこれは「たたき」という言葉の揺れというか地域差なのだろうなあ。言えどであれば鳥のもも焼きとシンプルに言い切りそうだ。

自分のイメージしている高知県人的な酒の飲み方は、熱燗の日本酒を差しつ差されつ、つまり献杯というのを繰り返して……………というものだったが、どうやらコロナの煽りで献杯文化はだいぶ廃れているみたいで、この日も周りの客で日本酒を飲んでいるものは皆無。ほぼほぼ生ビール(ジョッキ)かハイボール、サワー系だった。どうやら「酒」に関しては、ご当地的伝統はすっかり消滅してしまったようだが、これもご時世というものだろうなあ。

コメントを残す