
高知城の写真を撮るのはなかなか難しい。大手門から天守を仰ぎ見るように撮ろうとすると、お城が小さくなってしまう。城に寄った画角を選ぶと手前に来る大手門周りがうるさくなりすぎる。
余計なものを引き算した方が写真はうまく撮れるものだ。だから、大手門の中に入り石垣を舐めるように天守を煽り気味に撮る構図もあるが、これはお城のバランスが悪い。
全国のお城を見て回った結果わかったことだが、写真を撮りやすい城というのは意外と少ない。誰でも安心して撮れるのが松本城でこれぞフォトジェニックなお城としてピカイチだ。それ以外ではアングルが限定されるが姫路城になる。
江戸、名古屋、大阪城は規模は大きいが(絵になりやすいが)、構図の中に狭雑物が入り込みすぎるという欠点がある。全国どこでもお城全体が公園化されているので、あれこれ注意書きが貼られてあったりするのも困りものだ。例えば「犬のフンは持ち帰りましょう」みたいな看板が、写真の中に入り込むのは勘弁してほしい。

戦国期に建てられた城は大掛かりなもので数百、砦程度の簡易的な城を加えれば千を越えるらしい。ただ、当たり前のことだが、大多数の城は訪れるのも難しい山の中にあったりするので、写真に収めやすい城は意外と少ない。いわゆる美形な城は片手に収まるくらいしかないものだ。高知城はその数数ない美形な城の一つだが、こと撮影するという観点からはお付き合いしずらいツンデレ系だろうなあ。まあ、イケメン、美女と同じで数が少ないからこそ価値があるというべきか。
日本で天守が現存する城は12城しかない。それ以外の天守は復元、再現されたもので、あちこちお化粧直しをもされている。だから、復元天守はどうも整形手術をした美形的な感じが抜けず、やはりお城は素のままの方が良いなあと思う。
そう言う意味で、高知城は美人No.1とは言い難いが、少なくともトップ5にはランクインする。夏の高知は暑く湿気も多いので、晴れた日でもすきっとした青空が見えにくいのだが、冬であれば実にクリアーな青空を背景に高知城を見ることができる。高知城の写真を撮るならやはりこの時期がおすすめなのだな。