
いつも気になるススキノ近くの立ち飲み屋で、これまた素晴らしいものに出会った。店頭にかかっているのれんのようなものは広告というよりアートだろう。
こののれんもどきアートは、どうやら季節に応じて出し物が変わるようで、初めて見た時は怪獣シリーズだった。前回はキン肉マン・レスラーで、今回は懐かしのお笑い番組キャラに変わっていた。というか、そのパロディーだ。
ただ、この「のれんのような物」に登場するキャラクター・元ネタを理解できるのは、もはやオヤジ族ではなくジジイ族だろうなと思う。リアルタイムでウルトラマン初代や仮面ラダー初代に夢中になった世代が、10代に成長した頃に流行っていたものだ。
土曜の夜といえば子供達はテレビに齧り付いていた。ドリフターズや欽ちゃんのバラエティー番組だった。その世代がハイティーンになる頃に、漫才が復活してブームになり、その勢いで新しいお笑いエンタメのスターが登場してきた。
昭和から平成にかけてのお笑い御三家?であり、今やお笑い業界の巨匠?レジェンドである、タモリ、さんま、タケシなどが毎日テレビに露出し始めた頃だった。その新興芸人が揃って出演していたのが「ひょ○きん族」であり「笑っていいとも」だった。
最近ではあれこれ話題になっているお台場のテレビ局が、視聴率競争でトップに躍り出るきっかけの一つが、新しいエンタメ番組だった。だから、このパロディーネタを笑えるのは、1970年以前に生まれたジイサン(バアサンもか)だけだ。なんとも理解難度の高いパロディーではないか。作成者には一度お会いしてみたものだ。

しかし、赤ちょうちん族といいながら、店頭に赤提灯はない。赤いコスチュームを決め込んでいるのは、Bたけしこと世界の映画巨匠なのだ。

ピンクの衣装で踊っているのは、アホちゃいまんねん。ぱーでん……………などと流行になったフレーズを繰り返す、あのおしゃべりマシーンの若かりし頃の姿で、トークではなくコスプレコントで人気を保っていたのだな。馬鹿馬鹿しさと笑いの間に教会まで紙一重で踏みとどまるセンスが売り物だった。

確かに、たけしとさんまが二枚看板で、それに若手芸人がそれぞれ独自の芸風(ユニークキャラを立てたもの)で人気を博していた番組だが、当時の演者で今でも現役で活躍するものは少ない。それどころか随分と他界してしまってもいる。

今でも忘れないフレーズやキャラ名が、この暖簾を見ていると思い出される。ブラックデ○ルだぞー、とか、あみだくじの歌が脳裏に蘇る。記憶力が低下し始める時期になりながら、どうして若い頃の馬鹿馬鹿しい記憶は鮮明に思い出されるのか、実に不思議だなあ。
やはり次はこの店で「立ち飲み」への挑戦を避けるわけにはいかないと思う。そして、この「のれんのようなアート」の制作者を聞き出さなくては。